スーパーロボット大戦 Re:Boot   作:戯龍

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備えは大事


怠慢、もしくは楽観者

 白き仮面の男は今日もご機嫌だった。今のところ、何もかもが順調である。

宇宙の彼方から話し合いの通じそうにない機械の塊どもが地球に向かってこようと、彼は気に留めない。

(所詮は元の持ち主を失ったガラクタに過ぎん。例え紫の星だろうがアルクトスだろうが同じことだ)

 

 だから、南方への出先でほんのちょっとの油断から、異形に改造された暗殺者に

肉体をズタズタに引き裂かれ、生体レーザーで頭部をドロドロに融解されようが、

彼は気にも留めていなかった。

 

「やれやれ……。手向けの言葉も知らぬとは、最近の連中は少々教育が足りないようだね。

そんな安っぽい玩具(オモチャ)の改造肉体(サイボーグ)で、この私を殺したつもりかい?」

暗殺者の背後に、突故として死んだはずの男が現れ、朗らかに声をかける。

 

 驚愕した暗殺者が振り返った瞬間、その体内に仕込まれた自爆装置が作動。

周囲の建造物ごと緑色の毒煙とプラズマの炎に包み込む、凄まじい質量爆発が巻き起こった。

 

 遠方からその様子を観察していた別の暗殺者たちが、細胞一つ残さず消滅させたと

今度こそ勝利を確信したその時――。

 

「無駄だよ、すべてはね。この私を消し去りたいのなら、

せめてこの星ごと塵に換える覚悟でも持ってきてもらおうか」

またしても背後から現れた男は、せせら笑いながら暗殺者たちの意識をあっけなく刈り取った。

 

「この分不相応なしつこさ…バイオネット(BIO NET)か。旧文明の残り滓の分際で、

少々調子に乗らせすぎたようだね…そろそろお灸を据えてさしあげた方が良いかも知れませんね」

例え惑星ごと爆破されようが、既存の手段では決して死なないであろうその男

―エンブリオは、仮面の奥で妖しく微笑んだ。

 

 

「……はっくしょんっっ!」砂漠のど真ん中に張られたテントの中、彼女は高熱にうなされていた。

今日もどこかで誰かが私の噂をしているのだろう、でなきゃこんなに身体が苦しいはずがない。

(そもそも、なんで私がこんな目に遭わなきゃいけないのよ……)

 

 アンジェラ・バルザックは、今日も今日とて謎の状態異常現象に苦しめられていた。

きっかけは「謎のハッカーの正体を突き止めろ」という、些細な先陣争いだったはずだ。

暇を持て余してこぞって手を挙げた同僚たちを、出し抜いたまでは良かったのだけど。

 

しかし結果はこのザマであり、彼女は己の判断に少々苛立っていた。

「こんなことなら、せめて肉体が成長期に進むまで待てば良かったわ」

保安局で「鉄の女」の二つ名を持つほど優秀だと自負していたが、完全に功を焦った。

 

 本来なら20歳前後の姿になるべきを、プロセスを急いで10歳ほどの未熟な姿で固定してしまったのだ。

電脳世界の住民である彼女にとって、現在の肉体はクローニング技術で再現した仮初めの器でしかない。

「早いとここの妙な状態を治して、あの『仕事人』って男からアレを取り返さないと……」

 

 彼女が最も恐れているのは、ディーヴァ上層部からの無慈悲な「切り捨て」だった。

もしこの不慣れな生身の状態でアクセス権を剥奪されたら、それは本当の破滅を意味する。

 

 「いぇーい」おそらくは、彼のようなアウトロー特有の口癖なのだろう。

そんな軽い合言葉と共に、ディンゴと名乗る地上調査員がテントの入り口に姿を現した。

「何が『いぇーい』よ……! 早く私の端末を返しなさいってば。ごほ、ごほっ」

 

「あれ? 結構有名なフレーズの筈なんだけどな。お嬢ちゃん、『J9』って知ってるかい?」

とぼけた調子で、ディンゴはおちゃらけながらアンジェラをからかう。

(これだから、地上の低俗な連中は嫌いなのよ……!)

 

 心の中で激しく毒づくが、端末を取り上げられている以上は睨みつけることしかできない。

愛機アーハンすら呼べない現状に、彼女はただ甘んじるしかなかった。




 一種のバイオロイドだってナマモノだもの。風邪の一つや二つ位はひきますよね。
ユ「まぁそれはのぅ…準備不足とか祟ればそうなるかもじゃがの。ワクチンだって完璧ではないじゃろし」
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