スーパーロボット大戦 Re:Boot 作:戯龍
ついてねぇなぁ。 それが、俺――ヴァンの偽らざる本音の一つだった。
旅先で助けたお嬢ちゃんは見た目にそぐわず、意外なほどタフだった。
オマケに、やけくそ気味に「お嫁さんになってあげる!」と言い出す始末。
「……あのなぁ。結婚てぇもんは、そんな気安く口にできるモンじゃねぇぞ」
諭してみたが、エビフライみたいなツインテールの少女は諦める気配がない。
(胸元にぶら下げてる奴は俺が苦手な星型リクガメの幼体か。でかくなるぞソイツは)
ウェンディと名乗ったその娘は何でも、行方不明の兄を探しているらしい。
だがこの広いEIのどこにいるのやら。ま、俺も人のことは言えねぇがな。
兄ねぇ……。そういや俺にも、義兄と呼べそうだった奴がいたっけな。
今じゃそいつを義兄などと呼べる雰囲気じゃないことだけは確かだ。
奴がどこで何をしてるか知らねぇが、俺の仇に付いて回っているらしい。
俺のこの身体はもう常人のソレじゃねぇ。いつまで一緒にいられるかも分からん。
そこんところを説明する知恵もない俺には、はぐらかすのが精一杯だった。
着の身着のままで出てきた彼女は銃を背負うが、残弾は一発だけだというしな。
面倒は見切れないと途中で置いていくこともできたが、それでは寝覚めが悪い。
お財布代わりと言っちゃなんだが、彼女が役に立っていないわけでもない。
そんな凸凹な道中の果てに、俺たちは目的地の街『ゾネット』へと辿り着いた。
そこで俺たちの前に現れたのは、俺が追っていた男の一人――ガドヴェドの爺だった。
「よくここまで辿り着いたな、ヴァン。お前に一つの提案がある」
「……俺と共に、新しいオリジナル7の一人にならないか」
ぬけぬけと言い放つソイツの傍らには、ウェンディの兄、ミハエルの姿もあった。
だがどうにも雲行きが怪しい。あいつ、妹の大事な銃をゴミ箱へ放り捨てやがった。
「てめぇ……それでもウェンディの兄貴か。何てことしやがる!」
しかし、ミハエルの視線は冷ややかなものだった。
「お前には関係ない。そんな玩具は、もう要らないんだよ」
「俺は同志様の教えに共感した。もう俺に構わないでくれ」と、そいつは背を向けた。
「同志……だと? おい、ミハエル! 俺の質問に答えろ!!」
追い縋ろうとした俺の前に、ガドヴェドのボケ爺が立ち塞がる。
「ヴァン。お前の答えをまだ聞いていないぞ」「冗談じゃねぇ。今はそんな時じゃねぇだろうが!」
「それとも何か? それが答えって訳じゃねぇだろうな!ガドヴェド!!」
―チリン。ハットの縁に結わえ付けられた、銀の婚約指輪が静かに鳴った。
帽子をくるりと回す。これが俺の戦闘スタイルだ。
着ている服だって結婚式当日のタキシード。俺の出で立ちなんてどうでもいい。
だがこれが俺の決意の証であり、同時に、大事なエレナに捧げる喪服だった。
腰の大型拳銃の様な鞘から一本の剣を引き抜き、一閃させる。
それは瞬時に、しなやかな一本の蛮刃へと姿を変えた。
形状記憶合金製のソレを破壊できるのは、同じ素材で作られた業物しかない。
「くっ……どうしても駄目か、ヴァン!」
ガドヴェドが脂汗を浮かべながら、己の武器を身に付けている鞘から引き抜き斧に替える。
何も、ガドヴェド・ガオードと俺がこれから直接この手で殺し合うわけじゃない。
資格ある俺たちがやるべきことは、ただ一つ。
俺は蛮刃を振るい、虚空を『V』の字に切り裂いた。
呼応するように、ガドヴェドもまた斧で空間を斬る。
その瞬間。遥か衛星軌道上に位置する6つの衛星の内、
2つから同時に二本の光が地表に向けて射出された。
オリジナル7にのみ搭乗が許される特別な「ヨロイ」。それが俺達の切り札だ。
何気に武器形態を持つ計7つの「ヨロイ」達。
ユ「武器形態がメインってなら、R-GUNもその類型じゃろうな」