スーパーロボット大戦 Re:Boot   作:戯龍

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但し紐付き


律する者達

 今日の興行も無事に終わった。次のステージはいつ、どこであったか。

現在の彼女にとって「歌姫」のマネージャーなど、ただの仮初めの肩書に過ぎない。

回ってくるデータは過去の焼き直しだ。それは退屈なルーティンの繰り返しに過ぎない。

 

 天候などの環境条件さえ、すべてスケジュールで制御されている世界。

不確定要素に振り回されることのない、完璧に整えられた「舞台」。

だからこそ、本来の任務からかけ離れた現状にも、彼女は平然と従っていられる。

 

 手元で飼育している「歌姫」にしても、まったく同じことだ。

わざわざ路地裏の泥中から拾い上げてやった甲斐はあった。

生まれたての雛鳥のように、その育成はあまりにも容易いやすかった。

 

 玩具のような彼女の扱いに、思うところがないわけではない。

だが現在のグレイスにとってはそれすらも、用意されたマニュアルの範疇だった。

よって、ギャラクシー船団からフロンティア船団に場を移そうとも。

 

 今迄とやる事は変わらない筈であった、あの「歌姫の卵」に巡り合うまでは。

(ランカ・リーだと?……まさか)(唯の偶然だと思いたいけれど、あの顔は……)

自身が育てるシェリル・ノームもまた、複雑な背景を持っている。

 

 だが、ランシェ・メイは違う。忘れることのできないかつての同僚であり、

現在の自分を作った疫病神。

あの忌々しいバジュラ禍さえ無ければ、今の「グレイス」は存在していなかったからだ。

 

 

 その小娘は今迄扱ってきた同類達の中では最も強烈かつ狂暴な個性を隠し持っていた。

「やめろ。離せ!それは私のだ!!」抑え込んだ今も尚反抗の意思を隠そうとしない豪胆さ。

まるであのドラゴン達が怒り狂った時にも似た荒々しさに司令官のジルは内心苦笑するしかない。

 

 だが、アルゼナルという名の要塞の実態は巨大な鳥籠、すなわち監獄であり、

彼女自身もまた悲しいかな、その中で囀るだけのカナリアの一人でしかない事は、

己が身を持って体験した事で嫌という程知っている。その代償は余りにも大きかったから。

 

 ミシミシと右手に装着されてる籠手状の義手が悲鳴を上げ始めたが手を緩める訳には行かない。

何とか彼女から取り上げる事に成功したソレの感触は失って久しい己がそれに良く酷似していた。

(一応あの機体に反応するか試してみるか。恐らく私では無駄ではあろうが念の為だ)

 

 「いい加減にしろ。おまえはもう皇女アンジェリーナではない。今からお前はアンジェと名乗れ」

あえて突き放す様に言い放つと寸鉄身を帯びぬ状態にまでひん剥いた彼女を最下層の独房に放り込む。

隣はあの流竜馬だ。彼に面会に来ていた甲児にギロリ。と目線を送ると彼女はそこから去っていった。

 

 彼女を身体検査と称して拷問じみた扱いをしたのは単に憂さ晴らしという訳でもない。

生国であるガリア帝国での己に対しての扱いに思う所はない訳ではないがそれはそれ。

いつまでも皇族の王女としての矜持のままではむしろ彼女の身が危ないからというそれゆえの処置だった。

 

 現在は自分が此処のトップだとは言っても彼女は未だその処遇に対して疑念を抱いていた。

ノーマである事もそうだが右腕を失い、戦闘能力が低下してしまった自分ではパラメイルでさえ扱えない。

かと言って科学要塞研究所所属のイチナナ式に乗せて貰う訳にもいかないのだから癪に障る。

 

 (だが、此処では稼ぎが無ければ生活が成り立たない仕組みとなっているのも事実だ)

あのエンブリオとやらに一時気に留められてなければこんな事には成らなかったのではないか?

一度膨らんだ疑惑は今も尚、彼女の心の何処かで燻っていた。

 

 だが、清涼剤代わりとなる存在も居ない訳ではない。科学者たる立場を崩さないあの兜甲児や

兜シローといったかつて世界を救った勇者達と接する事で彼女は大分落ち着きを取り戻していた。

シロー曰く、甲児が苦手としている兜剣造所長に似ている所もあるらしいが、まぁ悪い気はしなかった。




 ある意味彼女らも被害者だったりする。はてさて本作ではどうなる事やら。
ユ「まぁそこんところはお約束なんやろうしのぅ」
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