スーパーロボット大戦 Re:Boot 作:戯龍
野営中に物音がして、寝ぼけ眼で愛機の周囲を窺うこと数分後。
儂は何故か、頭の髪の毛をモシャモシャと喰まれている気がするんじゃが……。
『ブルルル』 うーむ。最近の幽霊とやらは、随分とハイテクじゃのう。
精霊馬にしてはやたらメカニカルじゃし、額には槍のような角まで生えとる。
『ブルル?』 …うん、現実逃避はここまでじゃな。
こやつは虚空の立体映像のようなモノじゃし、実体化もできるらしいけど。
何でまた本来なら関係ない筈の儂のところに迷い出たんじゃろうか。
星見町の復興が進んだから富士の麓へ移ろうかな?と思っとったらコレである。
儂のグルンガストの技で、そんな高エネルギーを発した覚えは無いんじゃがなぁ。
どうやら、この青い機械の馬が司る感情は『信頼』らしいけどな。
地球の十二支で言う所の『午』モチーフ。…確か、『ユニコーンドリル』じゃったかの?
街の復興を手伝っとった儂に反応した理屈は儂には今一判らんが。
このままついうっかり契約しちゃったら、電童側が困らんかのぅ?
相変わらず頭頂部の髪を喰われたまま、ユイネは途方に暮れていた。
電童の基地もパイロット達の住所も知ってはいるが、どう切り出すべきか。完全に詰んでいた。
「仕方ない。皆が起き出す前に、TV局の回線にでも誘導するしかなさそうじゃの」
月面での鋼龍戦隊との邂逅といい、本来のスケジュールとはズレが生じている。
電子の聖獣に気に入られてしまった彼女の悩みは、当分尽きそうに無かった。
お台場でのヘテロダインとダイ・ガードの戦いは、結果から言えばダイ・ガードの勝利に終わった。
ただし――それが奇跡的な「運」の手繰り寄せた結果であることは、言うまでもない。
諸悪の根源は、実戦初投入となった新装備「ドリル・アーム」だった。
削岩能力こそ抜群だが、その実態は問題のバーゲンセールである。
回転の反動を相殺するカウンター機構がないため、起動した瞬間に機体制御は崩壊。
じゃじゃ馬どころではない暴れっぷりで、腕のコントロールすらおぼつかない。
おまけに内蔵された噴射機構が誤作動を起こし、狙いを定めることすら不可能な有様だった。
案の定、ヘテロダインにはかすりもせず、ドリルは地面に深く突き刺さって抜けなくなる。
絶体絶命のピンチの中、メインパイロット・赤木の判断でギアを逆回転させ、
力任せに引き抜くことには成功した。しかし、タイミング悪く触手で頭部を絡め取られていたせいで、
勢い余って相手に正面から抱きつく形になってしまう。
「離せ、この野郎!」とばかりに必死でもがいた結果、ドリルがヘテロダインの背中を偶然にも抉り取った。
それが文字通り、ヘテロダインの弱点を衝く形となり、図らずも撃破に成功してしまったのだ。
その様子をテレビ中継で見守っていたガンダムマニアたちは、決着のシルエットに激しく色めき立った。
「見ろ、ラスト・シューティングだ!」そんな絶賛の嵐を余所に、
ダイ・ガードは右腕を振り上げたポーズのまま完全に沈黙した。
充電65%という無茶な状態で強行出撃したツケが回り、完全にバッテリーが干上がったのだ。
まさに薄氷を踏む勝利であった。ちなみにその裏で、21世紀警備保障のオフィスでは、
一つの大騒動が巻き起こっていた。事後承諾の起動承認書類の山に、
猛烈な勢いでハンコを押し続ける事務方たちの血のにじむような戦いがあったらしい。
一回動かすだけで、赤木の給料の約三ヶ月分が湯水のように吹き飛ぶ民間企業のロボット。
今回はたまたま偶然が味方したに過ぎない。しかし、ヘテロダインを確実に倒せる「道具」の誕生は
―21世紀警備保障の、そして世界の運命を確実に変えようとしていた。
wikiでは触れられてないみたいですが、アルクトスにも12支の概念はあるらしいので一部独自解釈も含めつつ取り入れる事にします。
ユ「儂が髪の毛喰まれとるんは、馬あるあるだからかの?」
まぁ毛繕いみたいなモンだとは思います。