スーパーロボット大戦 Re:Boot 作:戯龍
その遺跡から発掘されたのは「ゴラーゴン」だけではない。
甲児を「ご主人様」と呼ぶ謎多き美少女、リサもまた発掘品の一つだった。
発見当時、彼女の衣装は完全に風化しており、文字通りの素っ裸だったという。
その状況を初めて目撃した弓さやかが、思わず甲児にビンタを見舞ったのも無理はない。
のっそり博士らの精査によれば、彼女の身体の91%は生体パーツで構成されている。
それは過去の高度な文明が生み出した、一種の生体エミュレーターだった。
リサの名は「LARGE INTELLIGENCE SYSTEM AGENTS」の頭文字だ。
最初に起動させた甲児を「ご主人様」と慕うのは、システム上の仕様と言えた。
しかしそれ以上に彼女はまるで雛鳥のように、現代の知識を貪欲に吸収していく。
「まるで人間コンピューターね。ミケーネ語まで堪能だなんて」
子供たちに人気の『GBN』では、電子生命体「ELダイバー」が認知されたばかりだ。
彼らもまた、人間と同様の豊かな知能と感情を持っている。
「うむ。彼女の場合、一から学び直しているという表現の方が正しいと思うがね」
そう語りながら資料をまとめていた、せわし博士の言葉をさやかは思い出す。
長い眠りによる経年劣化のせいか、発見時の彼女の記憶はまっさらな状態だったのだ。
そんなリサは今、「ぼすらーめん」でミケーネ兵とブロッケン伯爵を相手に大立ち回りを演じていた。
「貴様、ローレライ…いや、ガミアQのコピーかッ!」
華奢な身体に似合わぬ怪力で店外へ叩き出された伯爵が、忌々しげに喚き散らす。
「失礼ね! 私はオリジナルよっ!!」
んべー、と舌を出して逃げていく伯爵を挑発するリサだったが、状況は芳しくない。
光子力研究所にあしゅら男爵率いる別働隊が向かったという報せが、さやかの元に届いたのはその時だった。
グレイス・オコーナーの調査によれば、あのランカ・リーは間違いなくランシェ・メイの娘だった。
ランシェ本人はバジュラ禍に呑まれて現在も生死不明らしい。
オズマ・リーとやらのお節介には、つい恨み節の一つもぶつけたくなるのが人情というものだろう。
だが、おかしな点もある。彼女がペットとして飼っている、
あの緑色の幼体の正体を奴らは判っているのだろうか。いや、恐らくフロンティアの連中は知らないのだ。
あれこそがバジュラの幼体そのものであることに。
不思議なのは、それが一匹だけで孤立しているにもかかわらず、
親たるバジュラを呼び寄せる兆候を一切見せない点だ。
我々の調べでは、アレは群体で行動する生物のはずだ。
頂点にクイーンを頂く、蜂や蟻にも似た生態。
戦い方次第では相手の戦術すら学習し、攻撃を模倣するだけでなく、無効化する能力すら持つ。
そんな凶悪極まりない可能性の塊が、比較的大人しい状態で彼女に飼われている。
これほどのサンプルに興味を持つなと言う方が、科学者としての私の魂には無理な注文だ。
幸いにして、ここはギャラクシーではなくフロンティアという名の別組織の艦(ふね)である。
電脳貴族たちも自分たちに実害がなければ、少々荒っぽい提案でも喜々として受け入れるだけの余裕があった。
「遠慮なくやっちまいなー」意訳せずとも、受信したフォールド通信波はノリノリの内容だった。
(悪く思うなよ、ランシェ。積年の怨念、貴様の娘で今から存分に晴らしてやるわ)
―そんな風に内心で息巻いていたからだろうか。
つい手元が狂い、シェリルのお立ち台を遠隔操作して彼女をそこから落っことしてしまった。
シリアスな復讐劇の幕開けにするはずが、実につまらないミスをしてしまったものである。
ELダイバー達を引き合いに出してますが、彼らもまた造られた命。元になった本人とまでは言い切れない存在なんですよね…
ユ「某特撮宇宙艦隊物で意図せず複製されちゃった人みたいなモンかいのぅ?」
転送事故の結果、ではなくその過程で止まってる状態が近いかも…