スーパーロボット大戦 Re:Boot   作:戯龍

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 乗せるモノが金品とは限らない


天秤の傾きし刻

 東北地方に覇を唱えるガリア帝国の傘下にある遺伝子研究所で違法に造られた

『人造巨獣ガワン』が、ついに東京へ移送される日がやって来た。

 

 警視総監の冴島としては、なぜそんなみえすいた地雷を

警視庁が保護せねばならんのかという不満もあったろうが、

ミスルギ帝国直々の要請とあっては断れない。

 

 それだけブレイブポリスへの期待が高い証拠だったが、

問題は道中で防衛隊が横やりを入れて来た事から始まった。

彼らは民間企業にダイ・ガードを下げ渡したせいで、今さら功を焦っていたのだ。

 

 「私は防衛隊関東軍の尾上せいあ一等陸佐だ。ガワンは我々が差し押さえる」

軍人としての威圧感を放つ彼女の目は、ブレイブポリスたちに厳しく向けられる。

せいあの目には、子供である勇太の「部下への態度」が甘く映ったのだ。

 

 「そんなぁ!」と納得のいかない勇太だが、彼女を論破できる言葉を持たない。

「ボス、ここは私に話をさせてください」とコンバット刑事マクレーンが前に出る。

「お前はその子供の部下だろう。ロボット風情が人間に指図をするつもりか?」

 

 せいあが挑戦的な目で彼を見上げた。マクレーンの静かな佇まいが気に障ったらしい。

「指図はいたしません。我々はこのまま移送したいのですが、何か不都合でも?」

あくまで冷静に対話を試みるマクレーンに対し、せいあも本音を切り出す。

 

 「お前たちには伏せられているが、『バイオネット』という犯罪組織がソレを狙っている」

彼女は半透明のカプセルに封じられた、マスコットじみたトカゲの幼体もどきを指さす。

「正直、お前たちの武装じゃ立ち向かえない相手よ。だから私たちが派遣されたの」

 

 「姉さん、喋りすぎだってば」と、横にいた彼女の弟の尾上真琴が呆れたように苦言を呈した。

「あらそう?どうせバレる事だし、今のうちに情報を共有した方が問題は起きないわ」

悪戯っぽく笑いながらも、せいあの鋭い眼差しはマクレーンに注がれたままだった。

 

 

 最初に根を上げたのは北斗だった。授業中の呼び出しにがあれば従わなければならないが

放っておけば被害が拡大してしまう。

そのジレンマに加え、生真面目な彼は周囲に嘘を吐き続ける現状に良心の呵責にも苛まれていた。

 

 「あのなぁ。何寝言言ってるんだよ。電童は俺達じゃねえと満足に動かせないんだぜ?」

一方の銀河は、学業の成績も授業からの抜け出し方も実にとにかくいい加減。

むしろ、ガルファの戦力を遠慮なくぶっ飛ばせる現状を歓迎している節すらあった。

 

 実家が少林寺拳法の道場という環境に加え、自身もすでに柔道の黒帯を締める実力者。

なんなら一年先輩の6年2組の白金太郎とは、柔道大会のチームメイトとして気心の知れた仲だ。

そんな日常の延長にいる銀河に対し、北斗の焦燥感は募るばかりだった。 

 

「でも、吉良国さんやベガさんだって、電童を動かせない訳じゃないんでしょ!?」

いくら北斗が『瞬間記憶』で挙動をトレースできるとはいえ、それは借り物の力。

頑強さに任せて突っ込む銀河のスタイルに、彼の心には不満と疲弊が溜まっていく。

 

 噛み合わない二人の歩調に比例して、必要なシンクロ率は下がり続ける一方だった。

「大体、電童のあの仕様は何とかならないんですか!? せめて一人で動かせなきゃ!」

渋谷長官に食ってかかるほど緊迫した少年の姿に、大人たちも心を痛めていた。

 

「こらえてくれないか、北斗君。Dr.井上がエミュレーターを考察中だが上手くいかないんだ」

「電童に選ばれたことのどこが不満なんだよ。地球の危機より学校の成績が大事なのかよ」

銀河のトゲのある言葉に北斗も激昂し、二人は司令室で掴み合いの口論を始めてしまう。

 

 「はいはい、二人ともそこまで! 電童に出動要請が出たわ。またこの町内で事件よ!!」

ベガの鋭い声が響き、少年たちは渋々ながらもそれぞれの操縦席へと向かう。

だが、そこで待つのが電子の聖獣と、漆黒の「もう一機の電童」である事を彼らはまだ知らなかった。




 実質マクレーンの彼女の登場回でした。
ユ「似た者同士惹かれ合うって奴かいのぅ?」
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