スーパーロボット大戦 Re:Boot 作:戯龍
主人公の苗字も判明したよ。
「個人事業主? 彼女がか? 間違いなく10代なのだろう?」
ヴィレッタはギリアムから受け取った報告書に眉を顰め、内容を確かめるように呟いた。
給料の前払いと称して特機を与えられるだけでも、十分に特異な例だというのに。
ギリアムも深刻な面持ちで頷く。
「そうだ。聞けば他にも、10代の科学者や研究者が世界中に溢れているらしい」
クローニング技術による人口水増し政策――その歪な背景が関係しているのは間違いなかった。
自分たちの側で言えば、シャイン王女やラトゥーニ、ゼオラたちもそれに近い存在といえる。
前線における女性パイロットの比率の高さも、単なる兵力不足ゆえと納得していた。
軍属という立場上、それが銃後の「歪な社会進出」の縮図だとも疑わなかったのだ。
だが、その前提が今、足元から崩れ去った。これは一朝一夕で形成された歪みではない。
一年間の空白で埋められるほど生易しいものでもない。
手元の報告書に刻まれているのは、現代社会のあまりにも悍ましい「狂気」だった。
「宇宙怪獣」の脅威や、異次元から現れる「怪獣」の存在は把握している。
地底世界ラ・ギアスを知る身として、地上で新たな魔法文化が芽生えつつあることも。
日本を筆頭に、大小様々な『国』が乱立し栄華を競い合っていることも前提条件として知ってはいる。
「インベーダー」なるスライム状の宇宙生物の来襲も知らないでは済まされないだろう。
月面にゲッターの量産型の残骸がそこらに転がっているというのも判らないではない。
要は回収が間に合っていないのだ。そこに武器商人やら部品漁りが漁夫の利を狙って襲ってくる。
何時の時代の光景だと頭を抱えたいがそこまでモラルが低下していたとは。
「おまけに魔法を使えない者を『ノーマ』と呼び、人間以下に蔑む風潮まであったとはな」
自分たちが命を懸けて世界を守っていた最中に、社会の倫理はとっくに崩壊していたのだ。
「選民思想……いや、これではまるで使い捨ての『道具』ではないか」
月ベース基地付近で保護した少女の言葉が、最悪の形で脳内で繋がる。
『これでもマシな方』――彼女は確かにそう呟いていた。
華々しい英雄の活躍の影で、組織的、あるいは不条理な『間引き』が平然と行われている。
「この『トップレス理論』とやらに年齢制限があるというのも、どこか眉唾だな」
彼らが危惧しているのは、その不穏な理論名だけではない。
水着並みの軽装で機動兵器を駆る方が合理的だという、極端な効率至上主義。
それは安全対策をどこ吹く風と笑い飛ばすような、歪んだ設計思想すら許容してさえいた。
「我々も人のことを言えた義理ではないが、ここまであからさまだと発案者の神経を疑うな」
ヴィレッタの言葉に、ギリアムが厳しい声で応じる。
「ああ。気がかりなのはそれだけではない。地表近くに発生するという『界震』も問題だ」
発生には何らかの条件があるらしく、幸いにも乱発はしていないようだが。
出現が沈静化しているという「怪獣」や、時折現れるドラゴン然とした「魔物」。
そして、そのドラゴン対策に、先ほどの「ノーマ」たちが駆り出されているという現実。
これではまるでゲームの駒の様なものではないか。
そこには、この凄惨な状況を特等席で楽しんでいるような、考案者の歪んだ悪意すら滲む。
「ユイネ・ツクモ……だったか。九十九姓に心当たりは……私にはないな」
ヴィレッタは、先ほど艦に収容したばかりの少女へと思考を巡らせる。
電子ファイルに添付された身分証明書の写しを見つめる。
そこには、はっきりと『九十九 結音』の文字が刻まれていた。
某火星の関係者ではありませんよー。特機に私服で乗り込む方々から見ても初見じゃそれはちょっと、やり過ぎでは?と思うだろうセレクトしてみました。ユ「まぁ戦闘中にトイレタイムとか待ってくれん連中相手ではのぅ・・・」