スーパーロボット大戦 Re:Boot   作:戯龍

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首都高の攻防中の出来事です。


隣り合わせの危機

 首都高での戦闘が発生していた頃。東京湾岸沿いの一般道上では、

未曽有の大波乱が起っていた。警視庁へと移送されるはずだった『人造巨獣ガワン』。

その封印カプセルをブレイブポリスから差し押さえた防衛隊関東軍の保護カーゴ内で、

あろうことか巨獣の幼体が解き放たれてしまったのだ。

 

 「うわーっ!? 助けてくれー!」情けない悲鳴を上げて逃げ惑うのは、

尾上せいあの弟、尾上真琴である。

彼は軍上層部からの密命を受け、ガワンの細胞を奪取するという目的を果たした直後だった。

 

 ジェラルミンケースに注射器を仕舞い込んだところまでは完璧だったが、その後がいけなかった。

ほんの一瞬の隙だった。空気に触れたカプセル内の細胞は、恐るべき速度で急速に成長を開始。

等身大の着ぐるみほどの大きさになると、真琴の後をがっつくように追い回し始めたのだ。

 

 それが刷り込みによるものか、あるいはガワンの単なる食い気によるものか、もはや確かめる術はない。

「撃てーっ、撃て撃て!」パンパンと乾いた拳銃の音を合図に、機関銃の弾雨や手榴弾が遠慮なく飛び交った。

だがその結果、巻き添えを喰った涙目の真琴が、ガワンに丸呑みにされるまで時間はかからなかった。

 

 幸いにも呑まれたのは彼だけだったのだが、

真琴が防疫用のノーマルスーツに身を包んでいたことも災いし、

周囲には誰が呑まれたのかすら判らぬ始末だった。

 

 そして現在。尾上せいあが大体の事態を把握した時には、

すでにガワンの体躯は保護カーゴに押し戻せないほど巨大化していた。

安全対策上、もはや都内中央に車列を向かわせる事は不可能なのは誰の目にも明らかだった。

 

 「一体何をどうすれば、こんなことになるのよ!?」よりによって弟が呑まれるとは。

せいあが頭を抱えるのも無理はなかった。随伴していたデッカードたちブレイブポリスも、

ガワン自体に悪意がないことくらいは察している。しかし、相手はあまりに特殊なバイオ生命体だ。

 

 さらに隊員たちの聞き取りを進める中で、ガワンの恐るべき適応能力が浮き彫りになっていく。

「何だって!? 銃が効かなくなるのか?」デッカードの超AIが驚愕のログを弾き出した。

一度や二度の銃撃なら甘んじて受けるものの、それ以降は同型の火器が無意味化するというのである。

 

 「まさかとは思うけど、あの『ヘテロダイン』みたいな怪獣を造るつもりだった、なんて言わないよね?」

勇太がドン引きするのも当然だった。いくら違法な研究とはいえ、限度というものがある。

せいあは、この惨事が実の弟の引き起こした失態の結果だとは、まだ夢にも思っていなかった。

 

 最悪の場合、OE兵器でガワンを跡形もなく吹き飛ばすしかなくなるだろう。

「やむを得ん…。宇宙開発公団に連絡だ。彼らが保有する特殊鋼弾の使用許可を取り付ける!」

現場の指揮官としてせいあは苦渋の決断を下し、車列をお台場近郊の第7埋立地に向けて移動させる事に。

 

 「まずは人命救助が最優先だ。あの特殊鋼弾であれば、中に呑まれた真琴を救出できる可能性がある」

それは本来、スペースプレーンなどの宇宙船の堅固な装甲に穴を穿ち、

閉じ込められた搭乗員を救うための宇宙用救命トンネルの別名でもあった。




攻防戦その③にすべきかどうか迷いましたが、地理的にはやや外側での出来事なので、あえて切り離しました。
ユ「東京湾左岸側がボロクソになってく気がするんじゃが、気のせいじゃないよな!?」
星見町付近は呪われてるんですかねぇ…(白目
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