スーパーロボット大戦 Re:Boot 作:戯龍
バッドバーストの体内――正確には取り込まれたバスの中では、暴動が巻き起こっていた。
何より監視役のギーグが不在になったことが大きい。
拘束を振り払った乗客たちは、鬱憤を晴らすかのように配線を千切っては捨てていた。
その最中に、運転手がある事実に気が付いた。
誰もハンドルを切っていないのに、機械化獣の動きに合わせて動くハンドルやシフトレバー。
よくよく観察すれば、バスの機器は機械化獣の動きに追従する形で動いている。
試しにハンドルを握って動きに合わせて回してみれば、機械化獣もそれに従って動いてみせたのだ。
後は言わずもがなだった。乗客たちは寄ってたかって、歯車王の操縦を妨害し始めたのだ。
歯車王がオート側なら、彼らはマニュアル側。いわば「パワーアシスト機能が無い車」を動かすのと一緒だ。
流石にウィンカーやライトのスイッチを弄る余裕はなかった。
しかし、全力で動くレバーを全員で逆側へと押し込んでいく。
かくしてバッドバーストは思うような行動が出来ず、相反する行動命令に身を捩るような無様な姿を見せ始めた。
「何やってんだ、あの機械化獣?」
ゴウザウラーのコックピットで、拳一が毒気を抜かれるのも無理はなかった。
「どうやら取り込まれたバスの乗客の皆さんが、一致団結して機械化獣の動作を妨害しているみたいですね」
教授こと小島尊子が、バッドバーストの構造に呆れつつも感心したような声を漏らした。
「あの巨大機械化獣は、元を正せば人間が操る乗り物ですからね」
「つまり、システム上マニュアル側に優先権があるんです」
右に行こうとすれば左、前に行こうとすれば後退。
まるで千鳥足の如くふらつく機械化獣は、攻撃の的さえ定まらない。
「成る程…そういう事か。出来ればエンジンを切ってくれればいいんだろうけど、それは流石に無理か」
ふらつくバッドバーストの背後、迫りくるEI-06を抑え込んだガイガーの後方では、
勇気を振り絞って脱出した初野華が護に受け止められていた。
「はいこれ、護君の。大事な物なんでしょ?」彼女が差し出したのは護のGGGポケベルだった。
護が脱出する際に車内に置き忘れてしまったそれを彼女が発見し回収してくれていたらしい。
「有難う。…でも今度からは華ちゃんの脱出の方を優先してね?」
心遣いは有難いが自分のせいで事件に巻き込まれてしまったのだと思うと護も申し訳無く思う。
「ゾーンダーッ!」ガイガーに侵攻を止められたEI-06は邪魔だとばかりに唸りを上げ、
腹部のトラックのフロントグリルを模ったシャッターから巨大なフォークバケットアームを繰り出した。
取り込んだ車の特性を模倣し武器とする。どうやら取り込んだ車の中に工事車両も含まれていた様だった。
「不味いな。もしあのゾンダーが儂の思った通りの能力を持っとったらかなり危険な奴じゃわぃ」
GGG基地でガイガーの戦いの推移を見守っていた麗雄博士が呟いた。
フォークバケットでぶん殴られたり強制排除されそうになりながらもガイガーは耐えている。
『待たせたな!』『これより救助活動を開始します!凱隊長!!もう少しだけ耐えて下さい!』
その時、炎竜と氷竜が現地に臨場した。早速ラダーやクレーンアームでの救助活動に移行する。
操縦者の居ないビークル達に若干警戒気味だった被災者達も救助活動には素直に従って避難していく。
「長官、ボルフォッグから緊急入電です。防衛軍が宇宙開発公団に協力要請をするそうです」
諜報部オペレーターの猿頭寺耕助が大河に報告を入れてくる。
「こんな時にか?・・・防衛軍で一体何が起こっているんだ?」
流石の大河も目の前の事件とボルフォッグからの連絡との関連が結びつかず首を捻るしか無かった。
大元の機構が残ったまま使うからこうなるという。機械化帝国の宿命、なのかな?
ユ「まぁ、『大元』を考えればそらそうとなるよな。としかならん訳ではあろうがの」