スーパーロボット大戦 Re:Boot 作:戯龍
ヴィレッタは報告書をめくり、次に少女が駆っていた機体の解析データに目を落とす。
かつて行方不明となった特機――『グルンガスト壱式』の龍型ヘッド搭載機。
だがその機体には、本来の仕様にない連結式の巨大な「機械の尻尾」が追加されていた。
その無骨な尾は、質量兵器として叩きつける強力な武装であると同時に、
各節が長期滞在用の宿泊ユニットや補修部品のストレージとして改造されている。
データシートに並ぶ数値からも、そこでの生々しい生活の痕跡が見て取れた。
「ロバート博士も呆れていたな。自分の開発した特機をあんな風に魔改造した奴の顔が見たい、と」
ギリアムの言葉に、ヴィレッタは(お前が言うな、と言いたいところだが……)と毒づく。
しかし、仕様変更に憤慨するより感心していたあたり、博士も内心では気に入っているのだろう。
少女が機体の調査を快諾してくれたことに、ヴィレッタは密かに安堵する。
「さて、これから彼女をどうするか、だな。危険性がないことは承知しているが……」
ギリアムの尋問を終えたとはいえ、正体不明の少女を乗せる以上は用心に越したことはない。
(……あの男たちなら、素性よりも先に『使えるか否か』で引き入れているところだな)
脳裏に浮かぶのは、向こう見ずな賭けを好むハガネの同僚たちの顔だ。
月ベース基地が謎の敵に占拠された以上、彼女を元の場所に放り出すわけにもいかなくなった。
かといって、衛星軌道上に浮かぶいくつかの無人宇宙ステーションは現在立ち入り禁止区域だという。
つまるところ、地上に辿り着ける距離になるまでは、一蓮托生の関係に甘んじるしかない。
幸い、本人にも戦う気があるため、傭兵扱いにできる事だけが唯一の救いだった。
「いいでしょう。彼女をブリーフィング・ルームへ通してちょうだい」
危険な賭けに乗る彼らの泥臭い流儀に、自分も毒されてきている自覚はある。
だが、今のヴィレッタはそれを、決して悪い気はしていなかった。
「了解した。私の方でも調べを進めておこう。見たところ、悪い子には思えないがね」
ギリアムはそう言葉を残し、去り際にその背中で小さく呟いた。
(さて……これが吉と出るか、凶と出るか。見ものだな)
月を急襲した、大小さまざまな円盤状の謎の機動兵器群。
そこから逃れ、満身創痍の姿で地球へ敗走する一隻の宇宙艦艇。
その惨状を一瞥もせず、宇宙ステーションはひっそりと宇宙空間を揺蕩うていた。
人類の箱舟たるそのステーションが、敵に無視されたのは偶然ではない。
優れたステルス性や、熱源遮断の技術によるものでもなかった。
敵の主が掲げる「理想」に対し、彼らが無害だと判定されたに過ぎない。
当然、ステーションの管理者たちがその事実を知る由もない。
彼らはただ、自らの崇高な理念と成功に酔いしれていた。
宇宙の果ての種蒔き目的の開拓船団の一角で気高き「同類」が生まれようが関知しない。
それでも彼らは、地球の動向にだけは冷徹に目を光らせていた。
「金髪のペテン師」や「武器商人」と蔑む者たちとも、あえて通じる。
生きた情報こそが、彼らにとって生存のための命綱だったからだ。
だが、その静寂を破る不協和音が、荒廃した砂漠から観測される。
それはかつて別組織が捨て去った、過去の遺物に過ぎない筈のモノだった。
しかし遺物は羽化前の卵のごとく脈動し、「乗員募集」の信号を放って来た。
相次ぐハッキング行為に、ステーション上層部もついに静観を断念した。
事態を迅速に処理すべく、複数の捜査官を地球へ放つ。
「鉄の女」と呼ばれるエリートの彼女もまた、その一人として地上へ降り立つ事になる。
ユ「なんかどさくさに紛れて地球に降下しようとしとる連中がおるようなんじゃが?」
皆一緒に降りたら怖くない、的な?一応彼らは許可貰ってるでしょうから地球から迎撃される事はないとはおも