スーパーロボット大戦 Re:Boot 作:戯龍
首都高での事件以来、初野華がどこか腫れ物に触れるような目で自分を窺うようになってしまった。
その様子に天海護は少なからず心を痛め、少しばかり落ち込んでいた。
そんな彼の元に、GGGの大河長官から直々に呼び出しの連絡が入る。
指定された場所で護を出迎えたのは、大河長官が乗った一台のパトカーだった。
かつて東名高速の高速道路交通警察隊に配備されていた、見覚えのある型だ。
「紹介しよう。彼の名前は『ボルフォッグ』だ」と車から降りた大河長官は護に告げた。
長官がわざわざ護を召喚したのは他でもない、彼の身辺警護を強化するためだった。
「初めまして、護隊員。今後ともよろしくお願いいたします」
「わっはぁ……!」と、突然しゃべり出した『車』に、護は一瞬で目を輝かせた。
ボルフォッグもまた意志を持つ勇者ロボの一体であり、変形形態もあるという。
しかしそれは「後のお楽しみ」として、その日の対面は短時間で幕を閉じた。
護が帰路についた後、車形態のままの彼と、運転席で話し込む大河長官の姿があった。
実はブレイブポリスが担当した「ガワン」の護送車列に、彼が紛れ込んでいたのは彼らだけの秘密だ。
「宜しかったのですか? 私はただのパトカーとして、陰から彼を守ることも可能でしたが」
ボルフォッグのAIの大本は生きた人間であり、その思考能力は開発中の竜シリーズを凌駕する。
「ああ。首都高でのEI-06の件もあって、ゾンダーが護君を狙っている可能性は捨てきれんからな」
「判りました。時間稼ぎはお任せ下さい」とボルフォッグは静かに応じる。
「すまんな。例の『シンクロン理論』は我々の科学力でも難解な部分が多くてね」
「君の最大パワーアップ形態である『三身一体』システムの完成は、まだ先になりそうだ―」
それは単体での出力向上に限界があるボルフォッグのため、開発が進められている新技術だった。
特殊亜空間内のパーツと質量を置き換える変形は、かつて『J9』と呼ばれた組織が遺した遺産でもある。
「お構いなく。現状でも、2つの超技術を搭載出来ているだけでも御の字ですよ」
それはブレイブポリスのシャドウ丸の隠密回路の先駆けとなった機能と、
赤色灯に偽装された特殊音波発生装置。ギャレオンの解析結果から齎された超技術である。
かつて生身の諜報員だった頃に比べれば重武装だが、ゾンダー相手には戦力不足なのは否めない。
それでも、勇者ロボとして表舞台で誰かを守るために戦える。
その機会を与えられたボルフォッグの電子頭脳は、静かな闘志で満ち溢れていた。
一方その頃。月の螺旋城に戦利品として持ち去られた電童から引きずり出された
銀河と北斗は檻に捕らえられた後もいがみ合い、責任の擦り合いをしていた。
機械の様に冷徹なアルテアも流石に彼らの諍いを煩いと思ったのか檻には近づこうともしない。
電池切れで動けなくなった電童はハンガーの中に収められていたが、
その装甲の一部が開くと中からベガが息を潜めつつこっそりと姿を現し床に舞い降りた。
電童と凰牙との直接対決の直後にメンテナンスハッチの中に忍び込んでいたのだ。
(…やっぱり空気がある。アルテアって奴の為だけの特別仕様と言う訳でもなさそうね)
彼女も自分の持っている知識と機械化帝国での常識とではズレがある事は承知していたが、
どうやら酸素ボンベやノーマルスーツの世話にならずに済みそうで思わず胸を撫でおろした。
「ドウカサレシタカ?アルテアサマ」
考え事をしていたベガは背後からいきなりかけられた電子音声にビクッして振り向いた。
そこには整備ロボットらしき小型ロボットがベガを見上げていた。
シンクロン理論に関しては放映当時から搭載されてるのでは?とか噂されてた気がしたので取り入れてみました。
ユ「…ブライは入れんでいいのかの?」
その物ではなく、派生技術的なモノだと思ってくれた方がいいかも知れない…