スーパーロボット大戦 Re:Boot   作:戯龍

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帰りたくても帰れなかった悲劇の証


過去の残像

 宇宙へと上がったノリコとアマノ・カズミを出迎えたのは、

銀河殴り込み部隊への補給を担う混成艦隊であった。

地上での組み立てを終えたバスターマシン1号機を送り届けたのは、ユング・フロイトと名乗る美女だった。

 

「貴女がタカヤ・ノリコ? ……お姉さま、この子、本当にただのヒヨッコなのね」

「ええ、けれど将来の有望株よ」と胸を張るカズミと、ユング。

ふたりの豊かな双丘に挟まれる形となったノリコは、思わず自身の平坦な胸に複雑な視線を落とす。

 

 「それで早速だけれど、私達は『亜光速訓練』に入るということでいいのかしら?」

亜光速訓練――それは「エーテル」で満たされた宇宙ゆえに成立する、短期実戦訓練のこと。

ウラシマ効果を利用し、訓練中の体感時間を外部のそれに比べて何十倍にも引き延ばすのだ。

 

 一種の魔法にも似た理論だが、一歩使い方を誤れば二度と同じ時間帯の地球には戻って来られない。

それは未来への片道切符であり、引き返しのつかない一方通行の荒業でもあった。

またマクロス等の『フォールド』とは異なり、実体を伴って空間を激走する技術でもある。

 

 そのため超高速で加速した質量そのものが、敵を粉砕する恐るべき破壊兵器へと変貌する。

突っ込まれた対象は、文字通り「相対論的な渾身のボディ・ブロー」を喰らうに等しい。

宇宙怪獣と呼ばれる絶望的な存在もまた、これと同様の加速能力を持っている。

 

 それに対抗する苦肉の策とはいえ、これが人型兵器に搭載できるまで小型化されたのは末恐ろしい。

一説にはイスルギ重工が、この機能を次世代バルキリーへ組み込むべく模索中だとも噂されていた。

つまり、ガンバスターという機動兵器は、地球連邦軍の試作型SRXのような特異な存在と言えるだろう。

 

 既に次期簡易型の試作や、量産化を見据えた部品の共有化段階には入ってはいる。

しかし宇宙怪獣の圧倒的な物量に対し、絶対的な頭数が足りず、未完成のまま戦場へ引っ張り出された。

故にあの機体の操縦者は徹底的に人を選ぶが、その巨体ゆえに搭載機器の刷新は容易だった。

 

 現場に到達するまでの巡航中にも、何度も改修を重ねる必要があったからだ。

開発がイスルギ重工とマオ社という、ある意味で対照的な2社に委託されたのもそれが理由である。

根幹の操縦システムは固定だが、それ以外は2社の自由裁量によって随時アップデートされる。

 

 たとえボトル・シップ方式で搬入できる容積が決まっていようとも、常に最新型を試せるのだ。

彼女たちの体感時間で一年満たない内に次世代へ更新されるなら、前線の兵士として乗らない手はない。

そんな大人の裏事情は兎も角として、ノリコがその日の訓練中に遭遇した艦艇はあまりに見覚えがありすぎた。

 

 「戻りなさい、ノリコ! 行っては駄目よ!」というお姉さまの必死の警告さえ、耳には届かない。

なぜならそこには、今にも撃沈しそうになりながらも孤独に帰還しつつある、父の乗る艦がいたからだ。

彼女だって、それが亜光速航行の歪みによって生じた、過去の『残像』であることくらいは判っていた。

 

 それでも、敵の猛攻を受けてからまだ2、3分しか経っていないように見えるその艦に飛びついた。

中身を確認するまでは、どうしても父の生存を諦めることなどできなかった。

そして―彼女は残酷な現実を思い知る。

 

 かつて空中で爆散した『ノーチラス』号がそうであったように艦橋ユニットが無残に脱落した

『るくしおん』が既に物言わぬ骸に過ぎない事を。帰還した彼女の精神状態は最悪の極みに達し、

お姉さまとのペアを解消せざるを得ないところまで追い詰められてしまう。




艦橋ユニットが脱落したのは完コピした結果なのかどうかまでは判らないけど、爆散した状態から元の宇宙船の状態に造り直せるというのもある意味凄い事だったのかも知れない。
ユ「日本海溝だかに沈んだのはまだ沈んだままなのかのぅ?」
この世界の人達が深海に挑戦し続ける限りは何時の日か日の目を見る時があるかもですけどね・・・
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