スーパーロボット大戦 Re:Boot   作:戯龍

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 用意された命の使われ方こそ違えども


それは鏡の様でいて

 メガロード23番艦の地下に眠る「Nouvelle Tokyo City」。

ウォルフガングに出会った智美が新たに知ったデザルグ軍の真実。

それはメガロードと呼ばれるこの船団を虎視眈々と狙う宇宙の荒くれ者達だった。

 

 足元の大地が偽物だという事実だけでも、受け入れがたいものだった。

それなのに、自分が生まれ育ったはずの『世界』そのものまで作り物だったとは――。

別の銀河を目指していたはずのメガロードが、なぜか地球へ逆戻りしているという現実。

 

 冗談だと言って笑い飛ばすには、あまりにも悪質すぎる。

「やはり、お主を救ったのは正解じゃったな。理解が早くて助かるわぃ」

モニターに映し出されたメガロードの簡易全体図。

 

 その冷たい光を浴びながら大まかな構造の内容を説明していたウォルフガングが、

頭を抱える智美を見て、満足げに目を細めた。

「…ちなみに聞くけど。私の『死体』は、どこから持ってきたの?」

どうしても拭えない不気味な疑問を、智美は絞り出すように尋ねた。 

 

 「ああ、それか。簡単に言えば、お主のスペアの肉体を使わせてもらったのよ」

メガロードが隠し持つ欺瞞。それは「昭和」という時代を維持運営するための、

異常とも言える『演者』の管理システムだった。

 

 銀河への種蒔き船団という性質上、生体資源には自ずと限界がある。

クローニングを繰り返したところで、それだって限度というものがあろう。

その破綻を、バハムートは「Nouvelle Tokyo City」の住民を使い回すことで強引に解決してきたのだ。

 

 智美が当たり前に交流していた地上の人々。

その大半は、かつては華やかであったろうこの地下世界で暮らしていた者たちだった。 

しかし、想定外の事態で住人の誰かが命を落とせば、次の『シーズン』の辻褄が合わなくなる。 

 

 その穴埋めとして機能するのが、バハムートが一つのシーズン中に用意するクローンの予備体だった。

ウォルフガングはその歪んだ仕組みを逆手に取り、智美の命を救い出したのだ。

つまりあの夜、暴漢を装った軍の暗殺者が殺したのは智美のクローンだったというのが真相である。

 

 彼女を殺害したと信じ込んでいる軍の刺客には悪いが、

予備の肉体をストックするというシステムを組み込んでいたのは他ならぬバハムート自身。

彼らにとっては、身から出た錆でしかなかった。

 

 

 綾波レイ。それが己という『個体』に与えられた名前だと、目の前の男は言った。

私は女という存在で、男とは似ているようで違うモノらしい。そういうものなのだろうか。

ただ、その男――ゲンドウだけが私に微笑みをくれる。

 

 私の面倒を見る彼は、ときおり別な女の名前らしきモノを呟いている。大丈夫なのだろうか。

どうやら私はその女とやらに似ている気はするが、私でないことだけは確かだ。

私は、彼が褒めてくれることをやり込むだけの存在でしかないというのに。

 

 だから、碇シンジという同級生が私とゲンドウのやり取りを見て以降、

こちらを窺うようになったことも大して気にならなかった。

私が私でいられるのは、今の私の努力に因るモノ。

 

 それ以上でも、それ以下でもないはずだから。

だから、宛がわれたアパートに彼が忘れ物を届けに訪ねてこようとも、

私にはどうでもいいことだった。

 

 湯浴み直後に遭遇しようとも、恥という感情は元より持ち合わせていない。

けれど、ソレだけは、気軽に触られたくはなかった。

それは私が、私だと認められた「証」なのだから。

 

「これ、父さんの眼鏡……? 何でこれがここに?」

空気とやらを読み損ねたシンジが、眼鏡ケースから取り上げる。

それは彼女がゲンドウから手渡された、何よりも大切な品物だった。




ディストピア的な舞台だからこそ成り立つであろう『演者』の入れ替わり劇でした。
ユ「やり方こそアレじゃが命を救うという目的の根底だけは同じであったという事なのかのう?よー判らんわ」
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