ボクがメイドぉ!?!?
突然ですが、お金が無いです。
助けてェェェェェ!!ボクのお金どこ言っちゃったのぉおぉ!!
く、詳しいことを話すと、色々な会社に自身を売りに出しまくってたんですが、最初の方は当然まともな会社らしき所に売り込みに行きました。
ですが現在ボクは無所属、無学園、身元不明の三点コンボでそりゃもう落とされに落とされ、結局頼りになるのは闇の会社つまり悪徳業者に自身を売りに出さずに負えなくなりました……
と、当然、人が死に至るだとか、生活ができなくなるようにしろっ!みたいな事は避けまくりましたよ?
でも、そうしているうちに受けられる仕事なんてみるみる少なくなりますし、挙句の果てに仕事をしたのに支払い無しみたいな悪徳業者にも鉢合わせる始末!!
まぁその会社潰したけどっ!!
という訳でボクは金欠。
なんなら明日を生きるためのお金すらない大貧乏学生街道ただいま爆走中なのです。
「というわけで、戦闘屋再開したいです。」
"それで私のところに?"
「ボクにはもう…先生しか頼りが…っ!」
"ははっ、そう言われたら弱いなぁ"
そうボクが、大貧乏学生街道から脱却するためにやろうとしたことは戦闘屋の再開である。
なぜならっ!……言いたくはないがボクは戦闘しか脳がないし、一番慣れてるのもこう言った傭兵業だしで、やはり性に合うからだ。
そして何故先生に頼ったのか……それはお金がないボクに戦闘屋なんて開ける資金があるわけねぇからですよっ!!
そういう訳で今現在先生に泣き落とし……ゲフンゲフン、お願いしに来ています。
まぁ、元の場所に戻るのもいいのだが…………まぁ合理的に考えてあそこは立地悪すぎるし、護衛対象がいるキヴォトスから離れることも出来ないので、ここでやって行く方がいいと言うのが結論だ。
"なら、元の場所に戻るのも……いや、ふふ、その顔は戻りたくないんだね?"
「……聞かないでください」
"それで事務所が欲しいってことだね?"
「はい!運営事務所……じゃなくてもいいんですけど、何かしら依頼が立て込んでくる環境が欲しいです」
そうなんでもいいのだ。
Webでも事務所でも……ん?Webでもいいなら自分でやればいいだって?だからお金がねぇんだって言ってんだろぉっ!
パソコン持ってないし…なんなら技術すらないし…人に依頼とかできるお金ないしっ!!
やはり頼るべきは友…っ!!というわけなのだっ!
"でも、タダじゃないよ?"
「分かってますよ。ボクもそこまで図々しくないですよ。」
"というと?"
「ボクの売上の三割と今後の依頼料割り引いてあげます。どうです?」
"んー、じゃあ、売上三割を無くして、未来永劫私の護衛でどう?"
「冗談ですよね?」
"……………"
「黙んないでよっ!?」
とんでもない冗談吐きやがるぜぇ……というか、元々ボクは先生の無期限の護衛だ。
ボクが先生の護衛をしなくなる時は先生が殉職する時とボクがいなくなる時、それかただ単純に先生がキヴォトスから離れたりシャーレを辞める時だけだ。
その護衛という肩書きがある限り、先生のいるキヴォトスから離れられないし、お願いごとなら基本聞くつもりなので提示した条件は別になくてもいい条件なのだが……
"っ……ははっ、冗談だよ。わかった、それでいいよ。あとは任せといて"
「頼りになる友ですねっ!」
"こういう時だけレイは………全くしょうがないなぁ……"
「結局絆されてるじゃないですか……」
さす先である。
千の知り合いより一人の友だ。
ウキウキしながらシャーレを後にしようと思ったのだが。
"もうできてるよ?"
「……はぁ!?」
"いやぁ……実はね"
その後先生から説明されたが、少し…いや大分驚きの内容だった。
もうなんと、先生はボクの為に既にWebでのサイトを作ってくれていたみたいだ。
というのも、元々郊外からこのキヴォトスに来てから既に、戦闘屋業の運営のことを進めていたらしくWeb上でのサイトは出来ていたみたいだ、ボクがシャーレに所属した時にその諸々全てをボクにあげようとしていたみたいだ。
え?聖人なんですか?あなたは?
「……せ、先生っ!大好きっ!!」
"ふふふ……苦しゅうない苦しゅうない"
「やっぱり嘘です」
"えぇ!?"
いやぁ、本当に先生流石である。
これで事務所とかあったら完璧の布陣である……
"それと事務所もあるよ?"
「やっぱ大好きっ!!」
"どっち!?"
ぐへへ……もやし生活にも終止符をうてるっ!!ステーキ食べたいっ!もちろんデザートにいちごパフェをつけて!
よっしゃぁ!これで依頼がじゃんじゃん来てボクの懐もウハウハ状態が目に見えてわかるぜぇ……
「まぁ……そんな甘くないよねぇ!?」
そりゃそうだ。
来るわけが無いのだこんな無名な会社、以前の時は、郊外に出る前にやたら運が良かったのと時間もあったのでじゃんじゃんバイトを受けまくれていて、名声もそれなりにあった。
開業したての時に既にあった名声を使って、かなり依頼が立て込んできたのだが。
今回はそんな名声を作る暇もなく……というかリトルホワイトデーモンっていう名前を使いたくないというか……ダサいし……それなら、以前あった名声を使おうとしたが、その時の戦闘屋に立て込んでくる依頼を尽く断りまくってしまって、途中から誰からも依頼貰えなかったし依頼を貰えてた時の名声も地に落ちていた。
ま、まぁ!そんなこともあり、全くの無名な状態で会社を立ち上げてしまったので他会社に埋もれに埋もれてしまった……
"やっぱり使えるものは使った方がいいんじゃない?"
「ぐぬぬ……でも、心機一転と言う言葉がありますっ!真っさらな状態ででがんばりますよっ!」
"ふふ、わかったわかった"
「頭撫でんなっ!?」
慈愛の目で見つめて頭を撫でてくる先生の腕をどかそうとするが万力が如く力に退けることが叶わなかった……え?先生ハルクだったりする?
「く、お、覚えといてくださいねぇ……」
"おぉ、怖い怖い。"
「……」
程なくして、先生の胸ポケットからバイブ音が聞こえる。
スマホの通知音だろうか?
"おっ、朗報だよ?"
「え?依頼ですか!?」
"打って変わって抱きついてこないの可愛いなぁ"
「それで!?内容は!?」
"んーとね、ネルからの依頼だよ"
「……へ?」
"しばらくメイドになって欲しいんだって"
「……拒否は?」
"またしばらくもやし生活になるよ?"
「…………」
メイドぉ!?ボクが!?メイドぉ!?
くっ、心は男のつもりなのでどうしても突っかかりがある……ま、まぁ十五年間女性として過ごしたからまだ完全なる拒否反応がでてないことが幸いか?
というかネル先輩……勧誘の件本気だったんですか!?
くぅ……お金ないしなぁ……運営資金もいるし……ご飯食べたいよぉ……
"それで、どうする?"
「や……やります」
"そう送っとくね、ちなみに明日からみたいだよ?"
「明日からァ!?」
急が過ぎますってネル先輩っ!!どんだけメイド部に入れたいんですかっ!?
や、やはり少し心の準備を……
"2週間で50万クレジットだって"
「すぐ行きます」
"oh......食い気味……"
くそうっ!お金の魔力がっ!!
さすがダブルオー……その懐はサウナがごとくアツアツなのかっ!?
しょうがないので明日にミレニアムにまた出向くことになった。
「よう!!レイ!久しぶりだなっ!」
「……久しぶり……です」
ミレニアムの駅前にてネル先輩が迎えに来てくれた。
他のC&Cのメンバーが見当たらないので恐らく学園で待機または仕事中だろうか?
「なんだぁ?元気ねぇなぁ?」
「いや……だって、これからメイド服着ることなるんですよね?」
「そんなに嫌なのか?いつもズボンとコートだしたまにはいいんじゃねぇの?」
「いや………………もういいです」
「はっ!まぁ元気だせって、きっと似合ってるからよ!」
「…………はい」
な、なんだ今の快活な笑顔は、ふぅ…イケメンだぁ……危うく惚れるところだった。
なんでボクと同じぐらいの身長なのに男勝りでイケメンなところを出せるのだろうか?
「今すごく失礼なこと考えてなかったか?」
「……いえ」
「まぁ……いいか。それより早く行こーぜ。遅れちまう」
「………はぁい」
気乗りはしないがこれでも仕事。
きっちりこなしてこそのプロというものだ、心に勝を入れて戦地に出向くことに……
「というか、メイド服持ってるか?」
「え?持ってませんけど」
「だろーな、良かったぜ。実はもう用意してたんだ」
「あ、やっぱ本当に着るんですね……えっと、ありがとう……ございます?」
「ん〜、じゃあ今着替えるか。」
「え!?今!?」
「ほらよっ」
投げ渡されたのは一つのアタッシュケース。
恐らくこの中にボク専用のメイド服が入っているのだろう。
「というかなんで今……」
「そりゃあ、着いたらすぐ仕事に決まってるからな。歩いたら着替える場所がある。そこで着替えてこい」
「……ははっ……はい」
ははっ、あははははぁ!もうなんかっ!なんとでもなれえ!!
「おぉ、似合ってんじゃん。」
「っ……うっ、これ誰が選んだんですかぁ……」
「ん?アスナの直感」
「……くっ」
本当に似合っている。
いわゆるゴスロリと言うやつなのだろう。
黒を基調としたゴスロリメイド服のクラシカルスタイル。
至る所にフリルが散りばめられ、愛くるしくデザインされていて、特徴的なのはそのスカート、ミニスカと言われる物で、その短さに選んだアスナを変な目で見てしまった。
髪は店員に弄られ、ツインテールだ。
黒くかなり大きめのリボンを左右につけており遠目から見てもかなり目立つだろう、ルービックキューブのようなものは、ミニスカの少し下あたりにある黒のタイツの履き目にかけられていた。
「これ見えますよねぇ!?ご、ご丁寧に下着まで備え付けられていましたし……」
「ははっ!良いじゃねぇか。正直言って見惚れちまうくらいだぜ?」
「っ……くぅ……」
「ほら、準備できたんならいこーぜ」
「あぁ!もう!行きますよぉ!!」
半ばやけくそになってるレイを見て吹き出しそうになるが何とか堪える。
本当に新鮮だ、いつも似通ってる服、それも男性ものしか着ないレイがこんなに女の子らしい服を着てるところを見ると、すごく言い表せない気持ちになる。
なるほど、これがギャップか……
「そういや、仮でも一応はメイド部になるのか……コードネーム考えねぇとな」
「こ、コードネーム……!」
「なんか反応いいな」
「かっこいいですもん」
「……まぁ分かんなくもねぇな。そうだなぁ……コールサインゼロってのはどうだ?」
「か、かっこいい……っ!」
「…………ならよかったよ」
その反応に少し呆れるが、同時に愛くるしくも感じた。
何故ゼロなんて付けたのかは単純でアタシと同じぐらい強いからだ。
生半可な数字はつけれねぇし、仮入部ってことになるからまだ本格的にはメイド部には存在してねぇってことでコールサインゼロだ。
安直すぎるかもしれねぇが、こういうのは直感が大事だと思う。
「なら行くか。仕事しにな」
「はいっ!」
コードネームってだけでこんなにも舞い上がるものなのかと少し可笑しくなるのと同時にレイっぽいなぁっと考えながら微笑んでいた。
今気づいたのだが、雰囲気が少し変わったか?この前までは少しだけ不安定な……それと言って今すぐにでも消えてしまいそうな気配が完全になくなりつつあることに気づく。
まるでキヴォトスに馴染んできているかのような感じだ。
「いい出会いがあったんだな」
「え?」
「や、なんでもねぇよ」
「肝心な時に聞こえない鈍感系主人公みたいになってません?ボク?」
「っ……ははっ!そうかもな。」
「えぇ!?」
「それよりもっ!」
レイの手を強引に取る。
仕事の時間が迫りに迫っているのでさっさと行きたかったのもあるが、なんだか楽しくなってきて普段の自身ではしない事をしているのかもしれない。
そんなびっくりしてるレイの腕を引きながら仕事現場に向かうのであった。
「っ!ぐぁぁ!!」
「な、なんだあのガキ共!!」
「ははっ!こうして共闘するのは初めてだなぁ!?」
「荒っぽすぎますよ!?ネル先輩!?」
ネル先輩に手を引かれ仕事現場に来たのだが、まさかの悪徳業者の殲滅の仕事だった。
まぁ半ば分かってはいたが、前情報なしでいきなり「共闘だ」って言うからなんの事かと思った。
「でもしっかり合わせるじゃねぇか!やっぱ似てるなあたしら!!」
「似てないですよぉ!?」
ネル先輩は直感で戦闘を遂行するからとにかくワンアクションが早い。
ボクだから反応できてるだけで、他の人ならまるでついていけないだろう、まぁボクも合わせるのに必死なのだが……
「いつも……っ!こんな感じなんですかぁ!?」
「信頼してんだよ」
「重い信頼ですね……!?」
「妥当な信頼だ」
ボク達は互いに言い争いみたいなことをしながら次々と殲滅していく。
数は多いがそれだけだ、ボクがいなくともネル先輩が居れば容易に制圧できるぐらいなので瞬く間に敵が地に伏して行く
「これボクいりました?」
「研修みてぇなもんだ。依頼として入ってきた仮入部でもメイド部の一員なのは変わりはねぇしな」
「あ、一応仮入部扱いなんですね。」
「ん?言ってなかったか?」
「だいたい察しはついてましたけどね……」
「メイド部、C&Cは何時でも門が開いてるぜ?」
「考えときます……」
これからしばらくは勧誘が続きそうだなぁと思いながら片手間に敵を薙ぎ払ってゆく。
先程ネル先輩は荒っぽいと言ったが、慣れてきたら戦いやすくてしょうがなかった。
細かいところで援護射撃をくれるし、ボクが接敵するはずだった敵を先回りをして倒してくれるしで本当にやりやすかった。
「て、てめぇらぁ!!敵を前にして何だべってんだよっ!?」
「あ?てめぇが最後か?」
そうこうしてる内に残る敵は残りの一名にまでなっていた。
現場に来てからおよそ10分もかからずに制圧して見せたので、威勢の割にはどこか焦燥としている様子だった。
「まっ、なんでもいいんだけどよ。」
「……ぐぎゃっ!?」
間髪入れずに制圧に移り、最後の残兵を倒す。
これで仕事終了だろうか?
「ん?すまん。ちょっと待っててくれ」
「え?あ、はい」
ネル先輩が耳につけていたワイヤレスイヤホンに手を当て誰かと通話をし始めた。
その内容は聞こえないし話し相手も分からないが。
「おう、どうした?……ゲーム開発部?知らねぇ部活だな…………ふぅん、わかった、今行く。」
「なんの電話です?」
「仕事の電話だ」
「へぇ、頑張ってください!」
「お前も来るんだよっ!」
ネル先輩の猛烈なツッコミをされる。
ゲーム開発部とか聞こえたけど……まさかっ!?……えーと、扉だっけ?いや窓?……あっ!鏡のくだりか!?
たしかアリスがゲーム開発部に入ったパヴァーヌ編。
そこで、ゲーム開発部の存続を賭けた、一世一代の泥棒に繰り出すみたいなやつだっけ?
ま、まずい。
非常にまずい、ここでボクという存在があそこのいざこざに混ざるのはかなり不味いっ!
何故なら、ボクが異端なのもあるし今の時期に行くとモロに物語に介入するのもあるのだが、何よりワンチャンあのシナリオでアリスが死に至る可能性があるからだ。
もし、ボクの過剰な干渉でシナリオに影響してしまい、リオが先生達一行を食い止めて、そのままアリスを殺害なんて言うことがあってはならないのだ。
それ以外でアリスに影響が出てしまってもゲームオーバーまっしぐらなのは容易に想像できる。
少なからずボクがキヴォトスにいるだけで変化を及ぼしているとは思うが、あまり大きな変化は起こしたくない。
「ん?どうした?具合でも悪いのか?」
「あ、いえ、大丈夫です」
「なら、早いとこ行こうぜ、間に合わなくなっちまう。」
腕を引いて走らないで!?
本当に早くついちゃうから!?
あっ、でもこれでいいのかっ!?あの章はネル先輩が沢山登場するはずだし。
でも、ボクを引っ張らないでくれぇぇぇぇえ!?
「っ、はぁ……はぁ」
「な、何とか逃げ切れた?」
「こ、これからどうする……?」
「もうミレニアムプライスへの出品は終わってるんだし……とりあえず結果がでるまで、このまま逃げ続けよう!」
鏡の入手に成功したあとの事、希望の光となっていた鏡は思っていた結果には至らずゲーム開発部の皆は一時的に意気消沈としていたが、一人が立ち上がりまた一人と行った形で奮起し、新作のゲーム開発成功に漕ぎ着けた。
そして後は逃げるだけ……
「逃げ切れると思ってのか?」
「っ……!?きゃぁっ!」
「ミドリ!?」
気配がしなかった。
気づいた時にはもうミドリが撃たれていて、そのまま両膝を着いて倒れかけるところを私が支える。
この声、この口調、なるほどネルか。
前からわかってはいたが、やはりとんでもなく強い子だ、それにネルが居るということは他メイド部とレイもいるのか……まずいな
「なるほどな。どうりでいちいちいい判断だと思ったぜ、なぁ?先生?」
"ははっ、久しぶりだね。ネル"
「私もいるよっ!」
"ふふ、分かってるよアスナ、他のみんなは初めてかな?"
「あぁ、初めてだ。私はカリンよろしくな」
「はい、アカネと申します。」
自己紹介をしてくれるアカネとカリン、二人も正統派なメイド服を着こなしており、こんな状況でもなければ何分か見とれてしまう自信がある。
「さっきこのチビたちを指揮したのも、ミレニアムの差押品保管所を襲撃も先生……か」
「え?何?知り合いだったの?」
「まぁ、少し……ね」
モモイが…いやゲーム開発部の面々が困惑の表情を見せる。
私がその疑問に答えながら、ある生徒を探しているのだが、姿が見当たらない。
"そういえば、レイがいないね?"
「…………あぁ、まぁ、そう……だな?まぁ、すぐ来るんじゃねぇの?」
"んえ?な、なんかあったりしたの?"
「あぁ……と」
ネルがものすごく困ったかのような反応を見せる。
レイの身に何かあったのだろうか?反応から見るに危険だとか危ない事が起こってる訳では無いのだろうとは思うのだが。
「迷子だ。」
"……へ?"
「だぁからっ!迷子中だって言ってんだろ!?」
"っ……はははっ!"
思わず吹き出してしまった。
レイは普段は気丈に振る舞うし、かなり真面目でその上凄く優しいけど、正直言ってそれと同時にかなりのドジっ子だからなぁ……
「とにかぁくっ!このあたしからは逃げきれねぇんだよ!」
"リベンジってことねっ!"
「ちっげぇよ!まぁ、強いて言うなら、そこのデコ出してるあんた、よくもあたしを騙してくれたな……?」
「ひっ!……す、すみません!」
「やるじゃねぇか、褒めてやるぜ。ほんと、大した演技力だ。」
「あ、え?」
以前にユズがネルの事を出し抜いた時の話だろう。
あの時は危なかった、危うく見つかり逃げる手段もなく、そのまま連行だったろうから。
「まぁ、それはいいとして……そっちの馬鹿みたいにでけぇ武器持ってるあんた。」
「……?」
「あんただよあんた!」
「アリスのことですか?」
「そうだてめぇには用がある。C&Cに一発喰らわせたらしいじゃねぇか……ちと、ツラ貸せや」
「あ、アリスこのパターン知ってます!告白イベントですね!チビメイド様はアリスに惚れていると、スチル獲得ですっ!」
"……あっ、"
「「「あっ」」」
その言葉はダメだよぉっ!?
ネルの琴線に触れる、というか誰に対してもチビと言う言葉はまずいよアリス……!?
「ふ、ふっざけんなぁ!!だれがチビメイド様だ!!ぶっ殺されてぇのか!?」
「ひっ……」
「こ、こわ」
「はぁ……なかなかイラつかせてくれるじゃねぇか、というか、やたら最近てめぇの身の丈に合わねぇ、異常にでかい武器使ってるやつ多くねぇか?はぁ……まぁいい、一応言っとくが別にC&Cに一発食らわせた分の復讐ってわけじゃねぇ。そこに恨みはねぇが……俄然興味が湧いてきてな」
どうやら、報復やリベンジと言った形ではないようだ。
「確認、って言った方がいいかもしれねぇが、ちょっくら相手してもらおうか」
「……分かりました」
「おっ、やる気満々ときたか。なら構えろ。」
ネルの纏う空気が変わる。
だがその表情は以前に笑みを浮かべていて、本当にただの確認、本気ではやるだろうが捕まえようという魂胆では無いことがわかった。
アリスは光の剣を持ち、魔力を貯める。
どうやら一撃で仕留めにかかるようだ。
「魔力充電100%!!……光……よっ!」
アリスが光線を放つ。
一瞬の静寂の後に音が来るほどの威力と速度、一般の生徒いやある程度実力を備えた生徒を持ってしても当たれば確実にノックダウンだろう。
光線が通った所は所々軋み、今にでも崩れてしまいそうな程だったと言うのに……
「……ふぅん」
「んな!?」
軽々と躱された。
それに動揺しているアリスに間髪入れずに前方に跳躍するように突進する。
「わりぃな、生憎速度には慣れてんだ。」
「うっぐぅ!!」
アリスが光の剣の大きさを利用して盾のように防ぐが時間の問題だと言うのは誰の目を見ても明らかだった。
「てめぇの弱点は近寄られたら撃てねぇとこだ。威力と速度は高ぇがそれ相応のタメがいるし、尚且つ近寄られたら自分も巻き込まれる。」
ネルの言うことは最もだった。
現在のアリスは防戦一方、攻めあぐねているのは明白だった。そんな時、アリスは思いの寄らない奇策に走った。
「魔力充電……100%!!」
「まさかっ!?テメェごと巻き込んで!?」
「光…よっ!」
なんとアリスは地面に対して光の剣を発射した。
あたりの建物が揺れに揺れ、破損した箇所から出る煙で当たりが見えない。
"ネル!?アリス!?"
「アリス……!?」
「ネル先輩!?」
煙が晴れるとそこにはアリスもネルもいなかった。
下を見ると大穴が空いていた、どうやら光の剣の威力に耐えきれなくなった床が音を立てて崩れたのだろう。
ゲーム開発部とC&Cの皆が慌ててその大穴に近寄り見下げるのだが、そこに居たのは、然程怪我をしていないアリスとネルがいた。
どうやら、床が崩れたお陰で光の剣による威力の反動が軽減されたらしい。
"良かった……"
「いっ、いったぁぁぁい!?」
"へ……?"
聞き覚えがある声がした。
その声の正体は瓦礫の隙間から塵まみれになりながら這い上がり、姿を見せる。
白髪に黒が混じっている髪に真っ白な瞳……ん?
「はぁ!?レイ!?」
「え?な、なに!?何が起こってるの!?」
まさかのレイがいた。
何が起こっているのか分からないレイは辺りをキョロキョロしながら若干涙目を作っていた。
「チビメイドが増えました……あっ!仲間を呼ぶってやつですねっ!」
「え?な!?誰がチビですかぁ!?ってアリ…!?」
「わぁ!レイちゃんだぁ!久しぶり〜!」
「え?あ、久しぶりです!」
「ふむ、あれが例の……」
「え?ぞ、増援……?」
各々が違った反応を見せる。
一人は久しぶりの再会に喜び、一人は噂の人を見たかのような反応を見せ、一人は新手だと思っていた。
私も困惑を少し見せるが……その後すぐに笑みが漏れてしまっていた。