透き通る世界観で贈る異端児   作:鯖美

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リベンジマッチ

硝煙の匂いが鼻腔を刺激する。

戦闘狂という訳では無いが、銃撃戦に花を咲かせてる時は実家に戻ったかのような安心感を覚える。

前世からそうだったが、ブルーアーカイブの世界でもその気質は変わらないらしい。

 

「ちぃっ!!誰から襲撃を受けている!!」

 

「あの姿……あの体躯、り、リトルホワイトデーモンです!!」

 

「なにぃ!?」

 

先生から別れて半月ほど経過した。明日の食費すらないボクは傭兵紛いなことをずっとし続けている。

そんなことをやっていると、いつの間にか周辺にいるチンピラや不良などに、不名誉なあだ名をつけられてしまった。

 

「誰がっ!!『リトル』ですかぁぁ!!」

 

「うぎにゃっ……!?」

 

「なっ!早すぎ……ふぐおっ!?」

 

一人目の不良を下から切り上げ、流れるままに足で二人目の腹部を貫く。その一撃で、意識を刈り取れたようで、力無く地に伏せさせることに成功したらしい。

 

「これで、仕事完了ですかね」

 

すると仕事相手からの連絡が来る。概ね依頼遂行に関する内容だろう。

 

『依頼の終了を確認した。手続きが終わり次第、指定の口座に振り込ませてもらう。流石な仕事だった、リトルホワイトデーモン。』

 

「………………ありがとうございます。失礼します。」

 

……スゥ……リトルホワイトデーモンってなんなんですかぁぁぁ!!ホワイトデーモンだけでいいじゃないですか!?リトル要りましたかねぇ!?ま、まぁいいです。これで1週間分ぐらいの食費と武器の整備費は賄える。

 

私事ではあるのだが、最近武器の劣化が著しく、光線を出すときの燃料の消費量が最初の時と比べ遥かに燃費が悪くなり、本来は三十発ぐらいは余裕で撃てていたというのに、今や十連射できたらいい方だ。

 

整備費とは言ったが、今使っている武器はこの世界では特殊すぎて、まともに整備をしてくれる人もいなく、中身の清掃や見てくれを綺麗に整える程度しかしてはくれない。

 

中身の清掃だけでも、撃てる弾数が少しだけ増えるため、整備をしてるくれる整備士に何度かお願いをしていたのだが、最近はその悪足掻きも効果を示しにくくなってしまっている。

 

「これは、新調しないとダメかな……」

 

かと言って、普通の銃ってのも面白味がないため、あまり使いたくはない、やはり浪漫は大事だ。

この武器は確か五年前程にミレミアム自治区で拾ったので、ミレミアムになら、似たような武器があるのだろうか。

 

現在使っている武器は買った訳ではなく、路地裏に行ったら落ちていたので、もしかしたら非売品なのかもしれないが、似たようなものがあるのではないかと思う。

 

「思い立ったは吉日……ですね」

 

そして三大高の一つである、ミレミアム学園が所有するミレミアム自治区に赴こうと思う。

新たな武器、または整備が出来る所があるといいのだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほへ〜、来るのは二回目だけど、やっぱ近未来って感じがして浪漫感じるなぁ」

 

やはりミレミアムの技術は凄すぎる。見るもの全てがワクワクする近未来技術に心が踊ってしょうがない。

ここでならば新武器が見つかるかもしれない。

 

「ん〜でも、広すぎてどこ行けばいいか……事前に調べるべきだったなぁ」

 

「おや?そこの君」

 

「はい?」

 

あたふたしていると後ろから声をかけられた。振り返ると、そこにはイケメン美少女が立っていた。

声は中性的で、少し淡い紫が特徴的な美少女……おや?どこかで見たことがあるような……

 

「初めましてだね。私の名前は白石ウタハ、ミレミアム学園に通っているよ」

 

ネ……ネームドキャラだぁぁ!!た、確か、ミレミアム学園のマイスターであり、希代の変人だったような……あと応援団とかやってたっけ?

と、とりあえず自己紹介しないと……

 

「は、初めまして、白宮 レイと言います。えっと……」

 

「急に声を掛けて申し訳ない。少しその武器に興味があってね」

 

「んえ?これ……ですか?」

 

「そう、エンジニア部の物でしょ?」

 

「……え!?!?そうだったんですか!?」

 

え?そうだったの!?んまぁ確かにミレミアムで拾ったものではあったのだが、あんな路地裏でゴミと一緒に捨てられてあったものだったので、誰かが適当に作って飽きたから捨てた物だとばかり……

 

「おや?知らなかったのかい?そうだよ、それは元々は私たちエンジニア部の先輩たちが作ったものだからね」

 

「えっと、か、返した方がいいですか?」

 

「いや、いいよ、それはもう君のものだ。それよりも難儀してるんじゃないかなと思ってね。例えば直してもらえる人がいないだとか……」

 

「そ、そうなんですよ!!どもこかしこも、うちでは直せないと言われて……」

 

「やはりか。一つ提案があるのだが、それを私たちに託してみる気はないかい?」

 

「へ?託す?」

 

「どうせ、直せないのなら、ワンチャンにかけてみる気はないかい?」

 

……確かこの人勝手に自爆機能とかつける人じゃなかったっけ?ワイヤレスだとか……だが、このまま右往左往していたら一向に直せないため、そのワンチャンスに掛けてみることにした。

 

「では、よろしくお願いします。では……どうぞ。」

 

コートからボクの愛用武器を取り出し白石ウタハに差し出す。この武器は一体どんな姿になってしまうのだろう。

内心戦々恐々としながら、受け取るのを待っていたのだが。

 

「そのまま受け取ってもいいのだが、そうだね。着いてきてくれないかい?」

 

「へ?どこに?」

 

「ミレミアム学園のエンジニア部にだよ」

 

「え、ちょっとまっ……っ!」

 

とことこと有無を言わせぬままに歩き出され、早歩き気味に後を追うことになってしまった。

ミレミアム学園には行く気はなかったというのに……

 

「ところで、それはいつぐらいから使い始めたんだい?」

 

「えっと五年前……とかだったと思います!」

 

「やはりか……なるほど、先輩達は報われるね」

 

感慨深そうにボクの武器を見つめる。過去にこの武器で何かあったのだろうか。

 

「それはね、一度売りに出したヤツなんだ。」

 

「え?でも、捨てられたってことは売れ残ってしまった……とか?」

 

「いや、売れたんだよそれは、聞いた話によるとね。その時はまだ一年生だった生徒に半ば無理やり買われたそうだ。その子は過信してたんだよ。自分は強いだからなんでも使えるし、奇天烈な武器を使いこなせる。これで一躍有名人だーって言う具合にね。」

 

「でも、そうはいかなかったんですね……」

 

「その通り。その子は結局痛い目を見たらしいよ、真に使いこなすには近づかないとイケないし、射撃に関しても命中精度は低く、タメがいるモードもある。最初は頑張ってたみたいだけど、いつの間にか普通の銃を使ってたらしい」

 

「だから、あんな路地裏に……」

 

「だからね、報われたんだって思えるんだ。一度は日の目を見れなかった先輩達の武器が、今やリトルホワイトデーモンと言わしめるほどの実力者の手に回ったことがね……」

 

「そんな……実力者なんて……ん?今なんて?」

 

「え?だからリトルホワイトデーモンに……」

 

「知ってたんですか……!?」

 

「最近知り得たんだ。ミレミアムにまで広がり始めてるいるよ?」

 

そんな広く知れ渡ってんの!?たかだか、半月ほどバイトしたぐらいで!?リトルホワイトデーモンってなんなんだよぉぉ!!ダサすぎんだろぉぉ!!まだ別の名前だったら苦笑いで済ませるのにぃぃ!!

 

「え、えっと、その名前で呼ぶのはだけは辞めてくれませんか?」

 

「嫌なのかい?私はいいと思うのだが……」

 

「嫌ですっ!」

 

「そ、そうか……ほら、着いたよ。」

 

「わぁ……っ!」

 

初めて学園という物に来たのだが、最初に思ったのが綺麗という気持ちだった。サンクトュムタワーと比べたら小さいのかもしれないが、辺りのビルや建物群より遥かに大きく、先がまるで見えないほどに広かった。

 

「ん?シロじゃねぇっか!」

 

「んえ!?ネル先輩っ!?」

 

「おう!久しぶりだな!どうしてここにいるんだ?」

 

ミレミアム学園に来たのだから、会うかもしれないとは思ったがまさか校門の前で出会うとは、運命とは分からないものである。

ネル先輩は普段のメイド服姿ではなく通常の学生服を着ているためどこか新鮮だ。

 

それよりも、先に謝らないといけないことがある。また出会ったら絶対に謝ろうとしていたことだ。

 

「……シロ?」

 

「えっと……ネル先輩、その、ごめんなさいっ!!」

 

「ん?なんでてめぇが謝んだよ?」

 

「えっと……白柳シロってその……偽名なんです。」

 

最初は全てに干渉したくないという気持ちが先行して、慌てて考えた名前だが、本当に失礼なことをしたと思っている。

先生と話して、どこか吹っ切れたのかもしれないが、今は干渉するだとかしないだとかではなく、ただ運命に漂うただの人でありたいと思うのだ。

 

「あぁ?んなことかよ、ハナっから気づいてたから気にすんな。」

 

「え?あ?へ?」

 

「アスナにもだ。」

 

「そう……だったんですか……どうやって。」

 

「先生の反応、それとアイコンタクトしてたろ?」

 

本当に最初から分かっていたらしい、そのおままごとに何も文句を言わずに付き合ってくれていたんだと気づいて、なんとも言えない気持ちになる。

 

「んじゃあ、そうだな。改めて自己紹介だ。ミレミアム学園三年生美甘ネルだ。」

 

「……白宮 レイです」

 

「おう!よろしくな。そんで、ミレミアムにまで来て何するんだ?」

 

「おや?もういいのかい?感動の再会みたいだったみたいだが」

 

「茶化さないでくださいよぉ……えっと、武器を見てもらうんです。」

 

「武器?あぁ、なるほど、だからウタハなのか」

 

「制作元もエンジニア部だし、先輩達の遺物を直接見てみたかったのもあるのだけどね。」

 

「あん?元々てめーらのもんだったのかよ?だからあんなヘンテコな武器になったんだな」

 

「かっこいいの言い間違えじゃないかい?それよりも、点検しないとだね。おいで」

 

「あたしも着いて言っていいか?」

 

「構わないよ」

 

「ボクもいいですよ」

 

ネル先輩がパーティに加わりましたっ!じゃないじゃない。

ミレミアムに来たからなのか、ゲーム思考がふつふつ湧き出てきて変なことを考えてしまう。

 

エンジニア部か、キヴォトスは奇人変人がたくさんいるけれど、エンジニアも大概やばかったような気もしなくもないが、ネル先輩もいる事だし大丈夫だよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「改めてリベンジマッチだなぁ!!レイっ!」

 

「え?え?え?」

 

な、なんでこうなったぁぁぁ!!何となくこうなるかもなぁみたいなこと思ったけどぉ!!

現在エンジニア部の部室のある一角で、ネル先輩と一騎打ちする事になってしまった。

 

「調べたところ、その武器なかなか複雑でね。直すには破損部分を見つけるために全てをバラす必要があるのだが、小型故なのか、中身のパーツが全て小さく精密に組まれていた、それに単純に古く整備もままなっていなかったから錆びが見つかっている。だから新調とまでは行かないが、その武器を元に産まれ直させた方がいいと思ってね。」

 

「それでなんで戦闘……?」

 

「それは単純、君はただの拳銃などは求めていないだろう?なら君の戦闘スタイルでも見て作ってみようと思ってね」

 

「……さいですか」

 

そう言われてしまえばやるしかないだろう。今の武器に愛着はかなりある方だが、ちゃんと整備や点検をされたいい武器になって欲しい。

……生まれ変わったら、名前でもつけてあげようかな

 

「話はついたか?」

 

「はい……!胸借りさせてもらいますっ!」

 

「ゴングは……いらねぇよな?」

 

「逆に欲しいんですか?」

 

「はっ!いらねぇ……よっ!!」

 

真っ直ぐに突進してきた!?……ネル先輩は強い、このキヴォトス最強格だ。ただ突っ込んで有象無象を蹴散らせる力がそこにあるが……それは三回目だ、容易にいなせる。

 

「いなせるとか……おもってんだろ?」

 

「っ!?」

 

チェーンで繋いだ銃でモーニングスターみたいにぶん投げてきた!?だが、そんなことをすれば銃が破損するのは必死ではないか……!?

 

「当てるわけねぇだろ?」

 

チェーンを引いて、手元に……!?まずいっ!

 

「一発食らっときなっ!!」

 

「がぁぁっ!」

 

回し蹴りを横腹にもろに食らってしまった。そこらのチンピラとは比較にならないほどの威力……なるほど、投げてきたのは一歩引かせる為の布石、凄いですネル先輩。

 

「お前相手にバカ正直に突っ込む方が馬鹿だからな。」

 

「ははっ、随分と高く見てくれるんですねネル先輩」

 

「当たり前だろ?一回負けてんだぞあたしは」

 

「勝ったつもりはないんですけどねっ!」

 

軽く足に力を込める。ボクは敏捷性には自信があるつもりだ、そのまま姿勢をネル先輩の膝下まで倒した状態で真正面まで近づく。

 

「舐められたもんだなぁっ!レイっ!」

 

「信頼してるんですよっ!!」

 

そのまま切り上げを行うが、足で受け止められてしまったが、それを狙っていた。

受け止められた方の武器を手放し滑るようにして足に絡め取り、そのままぶん投げる。

 

「ちぃっ!……んっと!!」

 

壁に当たる瞬間体をひねり、壁で着地をして降りてくると共に膝蹴りが顔面に飛来したので、顔を少し左にずらして回避する。

そのまま背後に回ったネル先輩を武器を逆手持ちにし光線を放つが、3次元的な動きをしながら躱された。

 

「随分……信頼してるなぁ!?あたしが足で止めなかったらどうするつもりだったんだぁ!?」

 

「何回言わせるんですか……!!そこも含めて信頼してるんですよ、あなたなら最小限で受け止めるって!!」

 

「ハッ!いい後輩なこった!!ミレミアムに入らないか?メイド部は何時でも門を開いてるぜ?」

 

「まぁ……考えときますよ!」

 

徒手格闘をしながら勧誘されるが、考える暇がないので後回しにする。徒手格闘戦は前回ボクの方が優勢だったと言うのに、互角と言えるほどに成長を遂げている。

 

「こっちも忘れてねぇかぁ!?」

 

「こっちのセリフですよっ!」

 

後方へ飛び下がりながら、先程の徒手格闘中に武器のチャージは完了しているため、そのまま打とうとしたのだが……

 

「やっぱあたしのセリフだ」

 

……チェーン!?サブマシンガンを当てる気か!?いや違う!チェーンによる拘束が目的かっ!

すぐさま体を翻し片手で地面への衝撃を緩和した瞬間……

 

「読んで来ると思ったぜ?」

 

「随分信頼してくれるんですねっ!」

 

サブマシンガンによる弾幕、着地直後に回避できる術はなく、そのまま受け入れるしかない。

 

「タダでは食らうものですかっ!!」

 

左手に持っていた武器を投げつけ標準をずらし、投げた武器のスピードと同じスピードで走り出し、突きを当てようとする

 

「ぐっ……!」

 

咄嗟にネル先輩は銃を間に入れてくるが、ボクはパワーも結構自信あるのだ。

投擲した武器を躱すために重心が傾いているネル先輩ぐらいは容易に力勝ちできるはずだ。

 

「はぁ!?」

 

「だらぁ!!」

 

ネル先輩の体を宙に浮かせそのまま吹き飛ばす。ネル先輩はボクに持っていない技術や戦闘の勘を持っている、それを壊すためには単純な力が有効だ。

 

「ぐっ……!ははっ!あたしが力負けするとはなぁっ!」

 

「体制を崩したときのネル先輩とならって話です、通常ならまず通りません」

 

「そこ含めてだろ?戦闘ってのはよ?……なぁもぉいいだろ?そろそろ使ってこい」

 

「なにを……ですか?」

 

「とぼけんじゃねぇ、本気の速さを見せてみろって言ってんだ」

 

「後悔しないでくださいね?」

 

「ハッ!言ってろ!」

 

冗談はさておき、ネル先輩を仕留めるためにはやはりこれしかないみたいだ。

足に力を込める軽くではなく全力で、確実に仕留めるためにバカ正直に特攻などはしない。

ネル先輩の周りを不規則に動き撹乱させようとするが、どうやら目で追えているらしいため、少し小細工を混ぜる。

 

「チャージは貯めたまんまですよネル先輩」

 

跳躍をし斜めにレーザービームを浴びせようとするが当然のように回避をされるが体制を崩していた。それと同時にネル先輩の目の前に現れるそのまま袈裟を落とす。

 

「やっぱ、見えねぇな。でも場所はわかる」

 

「ぐふっ!!」

 

土手っ腹に拳が突き刺さっていた。完璧に読まれていたらしい、慢心していた。どうせ見えないのだから合わせることなど不可能だと思ってしまっていた。

誘導されていたのだこの位置に、わざと体制を不自然に崩した瞬間から警戒するべきだった。

 

「今回はあたしの勝ちだな?」

 

「はい……ボクの負けです」

 

流石はネル先輩だ。誇らしいほどに強く優しい人だ、こんな先輩と関係を持っていることに嬉しく思う。

戦いが終わったと同時にウタハさんが近寄ってくる。

 

「お疲れ様、想定以上の結果本当に凄まじかったよ」

 

「あ、ありがとうございます……?」

 

「褒め言葉ぐらい素直に受け取っときゃぁいいんだよレイ」

 

「そ、そうですねっ!ありがとうございます!」

 

何もかも疑念から入ってしまう、悪い癖だ。そんなことを考えていると、ウタハさんがタブレット片手でポチポチと打つのを辞め、こちらに向き直る。

 

「うん、決めた。レイ、浪漫は好きかい?」

 

「大好きですっ!!」

 

「好きだよなぁてめぇらは」

 

「浪漫に勝るものはないからね」

 

「ですです!」

 

「はいはい」

 

ネル先輩に呆れられてしまったが、やはり浪漫は大事なのだ!ロマン=かっこいいなのです。

 

「少しだけ……そうだね、三日ほど待ってくれないかい?なるべく早めにはするよ」

 

「いえいえ!無理せずに大丈夫ですっ!お代とかは?」

 

「いらないよ、その代わり記録を定期的に撮らせて欲しいんだ。」

 

「記録……ですか?」

 

「レイの戦闘記録には興味がある。なにせ、誰も使いこなせなかった武器をあんなにまで使いこなせるものだから、製作意欲が湧くというものでね。」

 

「わ、わかりましたっ!」

 

よろしく頼むよと言うやいなや、制作に取り掛かってくれた。流石はマイスターと言ったところだろう。制作に関してはウタハさんに任さておけば問題ないことが直感で理解できるほどに格好よく思えた。

 

「んじゃあよぉ、レイ!部活、見に来ねぇか?」

 

「えっ!?」

 

「さっき言ったろ?勧誘だよ勧誘」

 

あっ!先頭に集中しすぎていてすっぽり抜けていた。というかまじだったのか……部活動か、前世ではやったことがなかったな。

そもそも、部活なのだからその学園の生徒で無ければ所属出来ないのでは?

 

「ボク、ミレミアムの生徒じゃないですよ?」

 

「そこ含めての勧誘だレイ……ミレミアムに来ねぇか?」

 

「…………考えときます」

 

「はんっ!まぁ今はそれでいい。」

 

すると、胸ポケットに入れてあったスマホのバイブ音が鳴り響く。仕事の電話だろうか?

スマホを取りだし名称を見るのだが、その名称は先生であった。

 

「ネル先輩、少しだけ外します!」

 

「あぁ、分かった」

 

エンジニア部の部室からすぐに出て、通話ボタンに手をかけ、通話を開始する。

先生からの連絡はメールでなら毎日してくれていたが、通話は一度たりともなかったために、嫌な予感がする。

 

"レイ、急に連絡してごめんね。"

 

「いえ!ボクは先生の護衛ですから」

 

"その……いきなりで申し訳ないけど、助けてはくれないかい?"

 

「何か……あったんですか?」

 

"一人の生徒が悪い大人に誑かされてしまったんだ、情けない先生でごめんね、でも私だけじゃあどうしても手が足りないんだ。お願い私の大切な生徒を助けて欲しいんだ。"

 

「……わかりました、すぐ行きます。」

 

"……!……ありがとう。場所はメールで送るね"

 

ガチャリと通話を閉じる。攫われた生徒とはつまり小鳥遊ホシノのことだろう。原作でも複数の生徒に助けを求めていたはず、その中にボクという選択肢が出来てしまったのだろう。

ならボクがすることは、なるべく道筋を逸らさずに完璧に先生やその生徒を守り抜くことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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