アプリみたいな魔法を使う主役っぽい魔法少女、に懐かれた先輩の私   作:いくらシック

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#3 後輩魔法少女、と私

 朝日が眩しい。いつも、私は朝が弱いのでのんびりと起きれるようにする。

 

 前世では、朝の手入れとかもろくにしていなかったのに。

 

 ひんやりとした体を起こす。冷えやすい気がするね、この体。

 

「ふあ……ねむっ」

「契約者は朝が弱いな!」

「……うるさい」

 

 ぺちっ、と指で弾いてやる。頭に響くからでかい声はやめてほしいよね。

 

「痛い!何をするんだ!」

「こういう魔法少女系って、たまにヨーセイみたいなのが黒幕だったりするけどそうなの?」

「えっ、冤罪で攻撃されたのか!?」

「なんだ、違うんだね」

「わざわざそんなことするわけないだろう!」

「ふーん、そう」

 

 まあ、本当かはわからないけれど。

 

 そういうパターンがあったら怖いから、気を付けないと。なんてね。

 

 にしても、昨日は登校中にカレイドスコープらしい人を見かけた気がするんだけど。

 もしかして、結構近くに住んでいたり、ね。

 

 っていうか、生存戦略の件の話でちょっと思ったことがある。

 元々、私は主役の子の仲間になりたいというのが目的だったんだけれどね。

 

 そうなると、やるべきは主役の子がある程度活動してから、初めて出会う強敵から助けるシチュエーションでしょ。

 

 でもね、私は初戦で助けてしまった。

 

 これってさ、主役の子の仲間じゃなくて師匠ポジになってしまいませんか?

 

 そうなるとね、大事なときに私があの子を庇って死んでしまいかねない。

 それはちょっと、まずいな?

 

 そのポジションからは抜け出したいなーって思うんだけど、どうしたらいいかな。わからないね。

 

 ズキリ、と頭が痛んだ。なんか、寝付き悪かったかな。

 

 うーん、不調のままだと魔法少女にも支障があるから、気を付けようね。 

 

 さて、今日も学校に行くか。

 

 

 

 にしてもどうしようかな。登校しながら私は考えていました。

 師匠ポジションからの抜け出し方をね。

 

 そもそも、主役みたいな子いないかなー!探しは仲間みたいな子が欲しかったんです。この場合、後輩だからね。少し違うよね。

 

 だからといって、仲良くしないぞってわけではないんだけれど。

 

 ……なんとか、こう並び立つポジションに頑張って移行しようかな。

 

 ――そんな私の視界を、一人の女の子が過った。反射的にまずい、と思い引き返そうとしたときに、その子の瞳がこちらを向く。

 

「……先輩?」

 

 ……無視していいかな。

 

「やっぱり先輩ですよね!?」

 

 でも、それはさすがにかわいそうか。タイミングだなあ。

 もうちょっと、落ち着いたタイミングで来てほしかったかな、なんて。

 

 君のことをどう対処するかなんて決まってないんだから。

 

「……誰ですか?」

「いや、先輩でしょ。魔法しょ……むぐっ」

 

 おい、こんなところで何を言おうとしてるんだ。無理矢理この子の口を手で塞いだ。

 

「……後輩、ストップ」

 

 こくこく、と勢いよく頷いたので離してやる。

 

「ぷはっ、ごっごめんなさい……」

 

 魔法少女カレイドスコープ、快活そうな女の子。

 ちょっと、考えなしに見えるのだけはよくないけれど。

 

「あのね、話をするとバレるでしょ」

「……確かに、そうですけど。でも、先輩みたいな人だとすぐにばれるんじゃ」

 

 なんだ、それ。私の見た目が派手だって言いたいのか?

 

「先輩みたいな美人、全然いないですし」

 

 あっ、そっちか。まあ特徴的な見た目だけれどね

 

「あなた以外にはバレないから大丈夫」

「……どういうことですか?」

「魔法少女には認識阻害の魔法がかかるの」

「認識、阻害……」

 

 魔法少女の姿は変身前と顔付きとかは変わらない。

 それでも、バレることはない。なぜか?

 

 それは認識阻害の魔法がかかっているからです。

 目の前で変身したって、バレないようになってるんだとか。便利だね。

 

 ただし、唯一の例外がある。

 

「でもそれだと、なんで私にはわかったんですか?」

「魔法少女には効かないから」

 

 魔法少女同士は、お互いがわかった方が便利なので、そこは判別できるようになってるらしいよ。

 

「っていうか、あなたは契約妖精からそういうの聞いてないの?」

「ええと、プイプイは協会への連絡があるとかで」

「ああ、そういう」

 

 っていうかなにそのプイプイって名前。ふざけてるの?

 

 そのまま放り出すのもどうかしてるね、契約妖精は。手続きが必要なのもわかるけれど。

 

 にしても、仕方ない。授業まで時間があるし少しだけ話をしてあげるか。

 

「こっち来て」

「はっ、はい!」

 

 私が歩き出すと、慌てたように私に付いてくる。犬みたいな子だね。

 

 私の隣に並ぶとちらり、とこちらを見てくる。そのまま、ゆっくりと口を開いた。

 

「先輩」

「何、後輩。諸々の説明は移動し終わってからにしたいんだけど」

「その、先輩って高校生ですか?」

「そうだよ。一年だけれど」

「……じゃあ、年も先輩なんだ」

 

 ふーん、この子は年下なんだ。って思ったけれど、ここら辺の中学の制服着てるからそうか。

 

 魔法少女は、わりと中高生ぐらいの人が多いらしい。少女だものね。

 

 大学生とかで活動してる人もいるけど、まあいいのかな?

 いいか。そういう先輩魔法少女がいるのも面白いし。

 

「後輩は中三?」

「はい。……っていうか、そろそろ名前教えてくれません?」

 

 不満そうに眉を下げるものだから、仕方ないので教えてあげるか。

 魔法少女名だけで、よくない?とは思ってたけれども。

 

「椎名アリサだよ、後輩」

「椎名、先輩」

「先輩は継続なんだね」

「だって、先輩ですし」

「そっか」

 

 朝早く出ておいてよかったね、こういうことがあると遅刻してしまうから。

 

「……っていうか、私の名前は聞いてくれないんですか?」

「聞いてほしいの?」

「……まあその、教えてあげてもいいですよ?」

 

 聞いてほしそうに目を左右に揺らしているものだから、少しだけ悪戯心が鎌首を持ち上げてきた。

 

「じゃあいいや」

「……うう、聞いてもらってもいいですか?」

「わかったよ、いじめないであげる。君の名前は?」

 

 項垂れる後輩が面白くて、くすりと頬を緩めると、ボーッとこちらを見ている。何?

 

 ハッとしてから、名前を口にした。

 

「……えと、その。水鏡涼花ですっ!」

「ふうん」

 

 特徴的な名前。やっぱり、君が主役なんじゃない?

 

「で、気が済んだ?私、そろそろ学校に行きたいのだけれど。他にしたいことある?」

「……連絡先教えてもらえます?」

「そんなのでいいの?」

「えっ、教えてくれるんですか?」

「別に、君に教えるぐらいはいいよ?同じ仲間みたいなものでしょ」

 

 連絡先を書いた紙を渡すと、慌てたようにカレイドスコープ――水鏡涼花は受け取った。

 

「その、何かあれば聞いていいですかっ!?」

「うん?いいよ」

 

 まあ、魔法少女のことは気になるもんね。

 

「じゃあ、早速……」

「どうぞ?」

「先輩、椎名先輩は付き合ってる人とかいますかっ!?」

「……??」

 

 うん???

 




今後、別に書き溜めている部分がまるでないので本当に不定期になります。
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