生き残りたいだけなのに、アプリみたいな魔法を使う主役魔法少女(仮)に懐かれてる、先輩魔法少女の私   作:いくらシック

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#4 噂話と、私

「あの、だから……先輩ってその。彼氏とかっ、いますかっ!?」

「……ちょっと待ってくれる?」

 

 なんでそうなるの?

 そういうのじゃなくてね、私は魔法のこととか聞かれるのかなーって思ってたんだけどね?

 

 そういうの気になるの?年頃だねー、この子は。

 

 ……それよりも、魔法とかのこと気にならないの?

 それとも、魔法少女は彼氏とかいるものなのかとかきになってるんだろうか。わからないけどもね?

 

「いやその、ダメでしたか……?」

 

 覗き込むようにして、瞳が少し揺れている。子犬みたいで可愛らしくて、思わず軽く笑ってしまう。

 

「いいよ?別に。いないもの」

「……そんなに美人なのに?」

「それ言い出したら、君だって恋人いそうでしょ。可愛いし」

「別に私もいませんけどっ。っていうか、そういうことさらっと言わないでくださいっ!」

「うっ、うん」

 

 ズイッと目の前まで近づいてくるものだから、少しだけびっくりする。この子の距離感があまり、よくわからない。

 

 そういうことって何?先に、美人だとか言われたのこっちなんだけど。

 

 ……美人ねえ、ちょっとまだ現実感がないんだよねそこ。これ、私なんだって鏡を見る度に思うから。

 

 それよりも。

 

「っていうか、魔法少女とかについて聞きたいんじゃないんだね」

「……あっ」

 

 今気付いたんかい。

 

「魔法少女よりも人の色恋沙汰気にするとか、青春だなあ」

「いや、そういうんじゃないですって!ただ、先輩のだから気になって」

「確かに、魔法少女って彼氏持ってるのかとか気になるもんね」

「……そういうのじゃないですけどもういいですっ」

 

 ぷいっ、とそっぽ向かれてしまった。……そういうのじゃないなら、なんで聞いてきたのかがよくわからないけれど。

 

「ごめんね?」

 

 一応、謝っておくと、じーっとその瞳がのぞき込んでくる。なんというか、言いたいことでもありそうな。

 

 はあ、と軽くため息をつかれた。

 

「じゃあ、魔法のことで聞きたいんですけど」

「どうぞ?」

 

 メモ帳のことかな。

 

「先輩の魔法のことです。なんか、クリスタルみたいなのに、文字が出てましたよね?」

 

 あっ、そっちか。

 

「あー、あれか。魔法文字だね」

「魔法、文字……?」

 

 まあ、わからないよね。ここら辺ってあんまり知られてないしね。

 

 実は、魔法少女ってなったらそういうの教えてくれるものがあった方がいいのかもしれない。

 

 私だって、そこそこ困ってきたから。

 死活問題ですよ。

 

「魔法少女の魔法って、文字とか記号とか模様とかが出てくることがあるの」

「……あっ、見たことある気がします」

「なんでかはわからないけれど、こういうのがあるだけで魔法って発動するの。不思議でしょ」

「なるほど、そういうものなんですね」

 

 こういうのも、契約妖精に聞いて欲しいけど。プイプイ、後は頑張ってね。

 

 ふと、スマホの時間を確認すると、あまり余裕がない。

 

「そろそろ時間だから、もういい?」

「あっ、はいっ。ありがとうございましたっ!」

 

 ぺこり、と礼儀よくお辞儀しては勢いよく去っていった。

 うーん、普通にいい子。なんか、こんな魔法少女の世界に来て大丈夫かな。

 

 ……ああいう主役みたいな子探してたんだけど、実際に会うと幸せになってほしい気持ちになるなあ。

 なんか、近くで変身を見てしまったせいかもしれない。

 

 ――この世界は、意外と優しくないから。

 

「うん?アリサ?おはよう」

「あっ、透子。おはよう」

 

 不意に声をかけられると、パタパタと駆けてくる透子が視界に入った。

 

「こんなところで珍しいねー」

「うん、まあね」

「さっきの子は誰だったん?」

 

 あっ、見えてたんだ。遠目からはわからなかったのかもしれない。

 ……目立つ見た目だけどね。

 

「昨日知り合った子」

「ふーん、珍しい。アリサって、あんまり人付き合いとか得意じゃなさそうだし」

「悪かったね?」

「いや、私は得してるよ。独り占め」

 

 悪戯っぽく笑う。そういう言い方されるとずるいよね。

 

 並んで、学校まで一緒に歩く。

 

「そういえば、昨日新しく魔法少女出たらしいよ」

「詳しいね?さすが、魔法少女オタク」

 

 昨日ってことは、これはカレイドスコープか。そう、何人も新しい子が生まれてたら怖いしね。

 

 ……っていうことは。

 

「でしょ。で!その新人を助けたのが、アイリスクォーツ様らしいんだよ!」

 

 だろうと思ったよ!

 

「そ、そうなんだ」

「いやー、アイリスクォーツ様は情報が少ないからね、少しでも知りたいところ!」

「……テンションたかっ」

「だって、気になるでしょ?それに、その新人さんに笑いかけながら、手を差し出したんだとか!」

 

 ……そんなわかるもんなの?

 

 急いで、スマホを取り出した。指を滑らせる。

 

 魔法少女アイリスクォーツの情報をある程度引き出し始める。

 

 すらすら、と流れていく情報に目を通すと、昨日の私の活躍についてちょっと書かれてる。

 

 それに加えて、今までの私のこととかも。

 

 ……なに、この蹴られたい魔法少女1位とかって。

 こっちは、綺麗な魔法少女の話か。

 

 で、こっちは……うーん、R指定だから無視しておく。

 

「これは、新人魔法少女ちゃんとアイリスクォーツ様のてぇてぇ展開もあるってことですよ!」

「なにその、てぇてぇって」

「尊い関係性」

「ふうん、そうなんだね?」

 

 いまいち、よくわからないけれど。透子が楽しそうならいいかな。

 

 変に上機嫌な透子に、ひたすら話しかけられながら、学校までゆっくりと歩いた。

 

 ちょっと、時間はギリギリだったけれども。そんな日もあってもいいかもね、なんて。

 

◇◇◇

 

 次の日も、普通に過ごそうとしていたはずなのに、少しびっくりしたものを目にしてしまった。

 

 いつものように起きて、準備して外に出るとすぐに嫌な予感がした。

 

 これはいつも、スタフティが出る時に感じるものだ。

 魔法少女は、敵の出現を確認できないとね。

 

 だから、少し急いでその場に向かおうとしたんだけどね。先客がいたんだよ。

 

 ――グルルルル

 

 吠えるような、スタフティの鳴き声がする。

 

 そこに、躍り出るのは一人の少女。

 

 胸元から光が弾けて、それが勢いよく少女の前まで出る。

 

 少女――水鏡涼花がそれに触れる。

 

「マジカルスパークル――ブルームアップ」

 

 激しい閃光と共に、魔法少女カレイドスコープが出現した。

 

「"ノートパッド"」

 

 手に、メモ帳が出現する。

 

「ふんっ!」

 

 それを、思いっきりスタフティに投げつける。それが直撃すると強い衝撃音と共に、スタフティが揺れてのけ反った。

 

 ……待って、そういう魔法じゃなくない!?




一応これがメモ帳の使い方ではないのでそれだけは
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