ようこそ、朝露に千歳を願う教室へ   作:じぇみに先生

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8話

中間テストの前日、重苦しい空気が漂う教室に、救いの神が舞い降りた。

 

「みんな、ちょっといいかな?」

 

櫛田さんがカバンから厚い紙の束を取り出し、クラスメイトの机に配っていく。手渡された用紙を見て、池くんや山内くんが驚愕の声を上げた。

 

「これ……一昨年の中間テストの過去問!? すげえ! 櫛田ちゃん、これどこで手に入れたんだよ!」

「ふふ、ちょっと上のクラスの先輩にお願いしてね。次のテスト、範囲が変わって大変だけど、これでみんなで赤点を回避しよう?」

 

教室中が歓喜の渦に包まれる。誰もが口々に櫛田さんへの感謝を叫び、彼女を称賛していた。

私もその輪の隅で、無害なクラスメイトの一人としておずおずとした笑みを浮かべ、過去問を受け取った。

 

(櫛田さん、すごいな……。コミュ力が高くて、顔も可愛くて、そして、過去問の存在にまで気が付くなんて)

 

クラス全体の平均点を底上げする、これ以上ない強力な一手。彼女の圧倒的な優秀さを素直に称賛しつつ、私は明日の本番に向けて、自身の点数を予定通り「50点〜60点の凡人ライン」に調整する計算を脳内で淡々と行った。赤点を取らず、かといって目立ちもしない、完璧な擬態のためのスコア。

 

 

 

 

そして、中間テストの結果発表当日。

 

教壇に立った茶柱先生が、いつも通りの冷淡な声で「今から発表する」と告げ、黒板に全員の点数が貼り出された。

 

自分の点数を確認する。現代文54点、数学58点、英語52点……。すべてが私の計算通り、50点から60点の間で綺麗に収まっていた。赤点はどこにもない。凡人の擬態としてはこれ以上ない出来栄えだった。

 

同時に、周囲から須藤くんたちの喜びの叫びが聞こえてきた。どうやら彼らも過去問のおかげで、赤点ラインを脱したかに見えた。ホッと胸をなでおろしつつも、私はどうしても気になっていた須藤くんの『英語』の点数へと視線を走らせた。テスト当日、前日にどうしても英語の勉強時間が確保できずに焦っていた彼の不安げな顔が、脳裏をよぎっていたからだ。

 

(あっ──)

 

黒板の数字を見つめたまま、私の思考が一瞬だけ停止した。

須藤くんの英語の点数は、39点。

今回の赤点算出の方法は、クラスの平均点の半分だ。計算では、Dクラスの英語の平均点から導き出される赤点の境界線は、『39.6点』。

もし、この学校のシステムにおいて小数点以下が切り捨てられる仕様なら、彼はギリギリで助かる。けれど──。

 

「お前は赤点だ、須藤」

 

教壇からの茶柱先生の非情な宣告が、図書室の静寂を切り裂くように教室へ響いた。

小数点以下の救済はなかった。堀北さんが食い下がるように弁明を試みるが、茶柱先生の冷徹な態度が変わることはなく、結局、結果が覆ることはなかった。退学という二文字を残し、茶柱先生はそのまま教室から退出していく。

 

教室中が絶望のどん底に突き落とされた、その直後だった。

私のすぐ前の席で、綾小路くんが音もなく立ち上がった。

 

「どこ行くんだよ、綾小路!」

 

呆然と座り込んでいた池くんが声をかけると、綾小路くんはいつもと変わらない覇気のない声で、ボソリと返した。

 

「トイレ」

 

彼はそのまま、一度も振り返ることなく教室を出ていく。

その背中を見送った瞬間、私の背筋に、以前感じたあの「怪物の残響」がゾワリと走った。ただのトイレなわけがない。周囲が須藤くんの退学騒ぎに気を取られている隙を見計らい、私は誰にも気づかれないよう、静かに席を立って彼の後を追った。

 

一階へと続く静まり返った廊下。

物陰に身を潜め、息を殺して角の先を窺うと、そこには案の定、茶柱先生の後を追いかけていた、綾小路くんの姿があった。

 

「先生、一つ質問させてください。この社会は平等だと思いますか?」

 

鼓膜に滑り込んでくる、起伏のない声。

茶柱先生は足を止め、自嘲気味に鼻で笑った。

「私なりの見解でいえば、当然、世の中は平等じゃない。少しもな」

「そうですね。オレもそう思います」

 

二人の会話を盗み聞きしながら、私の胸の奥に、冷たい澱のようなものが沈殿していく。

 

(私にはわからない。私は人間じゃないから。皆が感じる『平等』のモノサシが、どんな形をしているのかすらも……)

 

自分が人間としての根源的な感覚を持ち合わせていないという事実。あの白い部屋で育ち、普通を奪われた自分という存在の欠落。考えれば考えるほど、底のない暗い沼に引きずり込まれそうになる。

 

(──露草さん)

 

背後からかけられた硬質な声に、心臓が跳ね上がった。振り返ると、いつの間にか堀北さんがすぐ傍までやってきていた。互いに顔を見合わせる。けれど、どちらも何も言わなかった。今は口を開いて存在を露呈させるべきではない──その共通の判断のもと、私たちは再び息を潜めて二人の会話に耳を傾けた。

 

角の向こうでは、綾小路くんが淡々と、Dクラスがいかに情報格差による不平等を強いられていたかを説いていた。テスト範囲の変更が他クラスより遅れて告げられたこと、それに対する学校側の適切な対応を希望する、と。

しかし、茶柱先生はその要求を冷たく退けた。

 

「現段階ではそれは覆らない。諦めろ」

「現段階では──つまり、覆る方法がある、ということですね」

 

そして、千歳は知る。茶柱が綾小路を買っていることを。過去問の購入、は、だれでも思いつくことだが、それをクラスで共有し平均点を底上げしたことは彼が初めてだと。そして、そこに辿り着くロジックこそ価値があるのだと茶柱は語る。

 

「過去問を手に入れたのも、共有したのも櫛田ですし、オレは何もしてませんよ」

「お前が表立って騒ぎたくない理由は察するが、──残念ながら把握済みだ」

 

やはり、あの男は怪物だ。私の拙い擬態なんて、最初から彼の手のひらの上で泳がされているに過ぎないのではないか。恐怖で指先が小さく震える。

 

しかし、過去問を用いたところで、結果として須藤くんは赤点を取ってしまった。これ以上どうしたって、彼の退学を覆すことなんて……。

 

「須藤の英語、そのテストの点数を、1点売ってください」

 

綾小路くんの口から放たれたその言葉が、私の脳細胞を激しく揺さぶった。

点数を、買う──?

 

その瞬間、入学式の日に茶柱先生が言っていた言葉が、鮮烈なフラッシュバックを伴って脳裏で結びついた。

『学校内においてポイントで買えないものはない。学校の敷地内にあるものなら、何でも購入可能だ』

 

あの時、私は深く考えもしなかった。コンビニへ行き、無料の生活支援商品ばかりに目を奪われ、この学園のシステムを分かった気になっていた。この学校は、ポイントさえあれば、試験の結果というルールすらもハッキングできる場所だったのだ。

 

「フッ、なるほど。お前らしい発想だ。だが、1点につき10万ポイントを請求させてもらう」

 

「意地悪っすね」と呆れたように溢す綾小路くん。今月の支給がゼロだったDクラスの生徒には、最初の10万ポイント以外に収入はない。一ヶ月の間、1ポイントも使わずに過ごした生徒など、このクラスには一人もいないはずだ。

 

「──私も出します」

 

隣にいた堀北さんが、静かに、しかし確固たる足取りで陰から姿を現した。

私は瞬時に計算を巡らせる。ここで二人の取引をただ見送れば、私はこの怪物たちのサークルから完全に排除され、生存圏を失う。何より、一般生徒としての擬態を保つなら、ここでクラスメイトのために必死に協力する「従順で無害な女子」を演じるのが最も合理的だ。

 

「わ、私も……あまり、持っていませんけど、出します……っ」

 

二人の後に続くようにして、私も物陰からおずおずと姿を現した。

茶柱先生は、堀北さんの登場にはどこか嬉しそうな顔をしたが、私の姿を認めた瞬間、その端正な顔を意外そうに歪めた。

 

「……露草がいるとは意外だったな。お前の有能さ、あまり多くの人間に、知られたくはないんじゃないのか?」

「オレは別に有能などでは……」

「そうね、あなたはとても嫌味な生徒だわ」

 

堀北さんが、冷徹な、しかしどこか不気味なものを見るような目で、まっすぐに綾小路くんを射抜いた。

 

実力を隠してテストで手を抜き、過去問の手柄を何食わぬ顔で櫛田さんに譲り、この土壇場で「点数を買う」という常識外れの発想を平然と形にしてみせた目の前の男──。その「綾小路清隆」という存在の底知れなさ、底気味悪さが、彼女のプライドには酷く嫌味に映ったのだろう。

 

私たちはそれぞれの学生証を茶柱先生に手渡した。私の残高から2万ポイントが引かれ、残りの8万ポイントを二人が折半する形で、合計10万ポイントの取引が成立した。須藤くんの1点は、無事に買い取られたのだ。

 

「お前たちがいれば──本当に、上のクラスに上がれるかもしれないな」

 

学生証を返しながら、茶柱先生が含みを持たせた笑みを浮かべる。

堀北さんはまっすぐに前を見据え、力強く言い放った。

 

「私は絶対に上がってみせます。過去にDクラスが上がった例がないとしても、関係ありません」

「ほう、その自信はどこから来る?」

「不良品ならほんの少し修理、変化を与えるだけで、それは良品へと変わる可能性を秘めているからです」

 

堀北さんのその言葉を聞きながら、私は内心、微塵も賛同できなかった。

修理、変化。そんな美しい奇跡が、私に起こるはずがない。あの白い部屋で間引きされ、出来損ないの『不良品』として完成してしまった私は、もう二度と直らないことを、誰よりも自分自身がよく知っているから。

 

「なら、楽しみにしようじゃないか。担任として、行く末を温かく見守らせてもらう」

 

茶柱先生は満足げな笑みを残し、今度こそ廊下の奥へと去っていった。

張り詰めていた空気が緩み、堀北さんが私たちの顔を見ることなく、冷淡に告げる。

 

「教室へ戻りましょうか」

 

「うん……っ」

 

私は小さく頷き、前を歩き出した二人の背中を追うように歩き出した。

光の当たる場所へ、上のクラスへとまっすぐに突き進んでいく二人の歩調。それを見つめながらトボトボと歩く私の背中は、どこか小さく、(まる)く縮こまっていた。

 

 

 

「マジで助かったぜ! サンキューな、堀北!」

 

コンビニで買い込んできた炭酸ジュースやお菓子を床に広げ、須藤くんが上機嫌に声を張り上げる。その横では、池くんと山内くんが我が物顔で綾小路くんのベッドに寝転びながら、大騒ぎしていた。

 

「中間テストを乗り越えたぐらいで、浮かれないほうがいいわよ。次の期末テストは今回よりもさらに難易度の高い問題が控えているかもしれないわ。次もしっかり勉強しなさいよね」

 

堀北さんは、そんな男子たちの喧騒から少し離れた場所に座り、いつも通りの厳しい口調で釘を刺す。

 

「へーへー、分かってますよだ。なぁ、綾小路?」

「なんでオレに振るんだ……」

 

部屋の主である綾小路くんは、そんな男子たちの絡みをいつもの覇気のない目で受け流しながら、ぽつんと壁際に座っている。

 

「ねえ、堀北さん」

 

お菓子を囲む男子たちの騒ぎにそっと乗せるようにして、ローテーブルの向かい側に座っていた櫛田さんが口を開いた。小首を傾げて、小悪魔のような、それでいてひどく無垢な笑顔を堀北さんに向ける。

 

「それにしても、どうやって須藤くんの退学を取り消してもらえたの?」

 

その純粋な好奇心を装った問いかけに、私はお皿に盛られたクッキーを齧る手をピタリと止めた。

 

学校のルールそのものをハッキングした、ポイントによる点数の売買。綾小路くんと茶柱先生との一連のやり取りを漏らすわけにはいかない。もし漏らしてしまえば──

 

「さあ、覚えてないわね」

 

堀北さんは手元のコップを見つめたまま、声音の温度を一つも変えずに淡々と言い放った。あからさまな門前払い。他人に内情を明かすつもりなど微塵もない、彼女らしい冷徹なはぐらかし方だった。

 

「うわ秘密!?」

 

大げさにリアクションをとる池くん。櫛田さんは「えー、内緒なんだ。ちょっと寂しいな」と、大袈裟に頬を膨らませて困ったように眉を下げる。

 

やがて男子たちが格闘ゲームの勝敗で本格的に盛り上がり、完全に自分たちの世界に入り込み始めた頃。ローテーブルを挟んだ私たちの周りには、自然と「女子だけの静かな空間」が出来上がっていた。

 

櫛田さんはまだ諦めていなかった。笑みを絶やさないまま、もう一歩だけ距離を詰めるようにして、女子だけの空間で改めて堀北さんの顔を覗き込む。

 

「退学回避の方法、ほんとに覚えてないの?」

「しつこいわよ」

 

ピシャリと、堀北さんの声音に明確な拒絶のトーンが混じる。

堀北さんが頑として口を割らないと見るや、完璧な天使の笑顔を維持したまま、櫛田さんの綺麗な瞳が不意に私の方へと向けられた。

 

「……露草さん?」

 

ビクッと、背筋が跳ね上がる。

一番口の軽そうな、端から見て御しやすいだけの私へと、ターゲットが完全に切り替わった。

 

「ゴホッ、う、げほっ……!」

 

完全に、呼吸のタイミングを誤った。

あまりの緊迫感に心臓が跳ね上がり、あろうことか口に含んでいたクッキーの破片が気管に入りそうになる。計算でも演技でもない。私は本気で激しく咳き込み、涙目で顔を真っ赤にして慌てふためいた。

 

「だ、大丈夫、露草さん!? はい、お水!」

「あ、あり……」

 

差し出されたコップの水を一気に飲み干す。

喉の奥がヒリヒリと痛み、頭が真っ白になるほどの冷や汗が背中を伝っていた。ここで下手に論理的な言い訳を並べようとすれば、声の震えで嘘だと見破られるかもしれない。本能的な恐怖が、私の口を極限まで硬直させる。

 

早く、この視線の刃が飛び交う空間から逃げ出さなければ。

 

「お、お手洗いお借りしましゅ……っ」

 

舌が完全にもつれていた。

情けなく噛み切った声を残し、私は逃げるようにして綾小路くんの部屋のトイレへと駆け込んだ。

 

 

 

トイレから出た後は、櫛田さんは私に心配の声を掛けるぐらいで、それ以上、先ほどのことを聞いてくる様子はなかった。

 

「そろそろ、いい時間だな」

 

壁際でずっと静観していた綾小路くんが、時計を見上げながらぽつりと呟く。それを合図に、須藤くんたちが「おう、じゃあ帰るか」「綾小路、部屋ありがとなー」と立ち上がり、男子たちはゾロゾロと部屋の外へ出ていった。

 

残された私たちは、床やテーブルに散らばった空き缶や、お菓子のゴミをさっと袋にまとめて片付けを始める。すると、廊下の方から「櫛田ちゃーん! 」と山内くんが櫛田さんを呼ぶ声が聞こえてきた。

 

「あ、はーい! 今行くね!」

 

櫛田さんは外に向かって明るく応じると、「ごめんね、二人とも。片付けよろしく!」と小さく手を振って部屋を出ていく。

それを見届けた堀北さんも、手荷物をまとめながら、壁際の少年に一瞥をくれた。

 

「私も戻るわ。また明日」

 

一言だけ残し、堀北さんもまた静かにドアを閉めて去っていった。

 

途端に、狭い部屋を重苦しいほどの静寂が支配する。残されたのは、私と綾小路くんの二人きりだった。

 

「あとはやっておくから、露草も帰っていいぞ」

「うん。これだけやっちゃうね」

 

私は彼の方を見ないよう、手元のゴミ袋に意識を集中させた。散らばったお菓子のゴミを押し込み、ビニール袋の口をぎゅっと結ぼうと指先を動かす。

 

「なあ、露草。聞いてもいいか?」

「なに?」

 

「お前はオレと茶柱先生との会話を聞いて、どう思った?」

 

指先が、ピタリと止まる。

喉の奥がカラカラに乾き、心臓がドクンと嫌な音を立てて跳ね上がった。私は何でもない一般生徒のトーンを必死に維持しながら、掠れそうな声を絞り出す。

 

「どうって……」

「聞いていたんだろ? 過去問のことでオレが裏で動いていたと言ったり、茶柱先生がやけにオレを高く買っていたり。茶柱先生はオレのことを買いかぶっている。正直、困っているんだ。オレはいたって普通の、ことなかれ主義な男子生徒だ。堀北曰く、嫌味なヤツでもあるらしい。だから、露草に変な誤解を与えてないか心配でな」

 

感情の起伏が一切ない、あまりにも平坦な声。

綾小路くんは、言い逃れを許さない精緻な事実をその響きに乗せて、背後から静かに私を縛り付ける。

 

「お前はオレをよく見ているみたいだからな」

 

──悟った。

私は、失敗したのだと。

 

あの放課後、自販機の前で彼に呼びかけ、お人好しのフリをして安易に質問を投げかけたこと。それが私の致命的な足跡(バグ)になっていた。いや、それよりもっと根本からだめだった。入学式のあのバスの中で、真っ先に感じたあの本能的な感覚。

 

(だめ、見ちゃだめ……! 巻き込まれる。あの男の視界に入ったら、私の擬態なんて一瞬で剥ぎ取られる──)

 

そう強く感じていたはずなのに。

私は、彼を視界に入れるべきじゃなかったのだ。

 

『深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている』

 

聞き飽きる程、様々な場所で使われてきた言葉。

なのに、自身の抱える恐怖心が、未知への好奇心の一員となった時。その歪な探究心が引き金となり、私を、この目の前に佇む深い闇の底へと引きずり誘っていた。

 

もう引き返せない。私の言葉を彼は待っている。

計算。そして、導き出す。

この異常な観察を、この不自然な執着を、この場で彼に納得させるための──最も説得力のある、私の行動原理を。

 

私は意を決し、袋の口を強く結んだ。

そして振り返り、初めて、その底の知れない無機質な瞳を正面からまっすぐに見つめ返す。

 

「うん、私はあなたをずっと見てきた。あなたの背中を、あなたの行動を。ずっと、ずっと」

 

顔がカッと熱くなっていくのを自覚しながら、私は自身の全てを賭けて、その言葉を紡いだ。

 

「あなたが好きです、綾小路くん」

 

──この状況を切り抜けるためだけの、安っぽい欺瞞だった。




以上で原作1巻終了です。
2巻部分がすべて完成したら、また一斉に投稿します。
1か月以上音沙汰がなければたぶん飽きてやめたんだと思います。
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