異世界の石   作:井ノ中蛙

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第12話 魔眼

 

 

「こんにちは…… 」

 

 接客は日本の頃とは、まるで違った。

 普通に挨拶を交わし、"何の用か?" "〇〇をして欲しいが幾らか?" がテンプレートのように繰り返された。

 "いらっしゃいませ" "ありがとうございました" なんて愛想を振りまく事はない。

 避妊の魔法陣は勿論のこと、鑑定からポーション販売まで手広く扱うのかカトリーナの店だ。

 一般的に "魔法屋" と呼ばれる部類の店だそうだ。

 

 下働きの娘はミゼンと言う。

 魔法の素質には、恵まれてないが、魔法は好きだとか。

 好きでなければ続かないだろうと勝手に胸中、慮った。

 

「あんた、幾つなの? まだ子供じゃないの? 」

 

「あー、その子は、ヴァンパイアだからね、82になるけど、獣人族だと12〜13歳位じゃないかしらね…… 」

 

 ペラペラと何でも喋ってしまうカトリーナ。

 歳よりヴァンパイアに目を丸くするミゼン。

 

「そうなの? 」

 

「ええ、まあ…… 」

 

「ヴァンパイアって、魔法強いのよね? どんなの使えるの? 」

 

「ええと……、 そんなに多くなくて…… 」

 

 細かい事を聞かれるとしどろもどろになるしかない。

 彼女の好奇心を満たすほどの魔法を知っているとは思えない。

 さすがにやって見せろとまでは言わないので助かった。

 カトリーナの魔法も見せて貰った事はないらしい。

 町中で理由もなく魔法を使うと場合によっては騎士団に捕まってしまうのだと聞いて、納得した。

 ミゼンについて仕事を教わりながら、数日があっという間に過ぎた。

 魔法屋に就職した訳ではないのだけど、カトリーナの良いように使われてる気がしないではないが。

 庶民の生活を知れて得るものも多いから、それはそれで良い勉強になってると思う。

 

 ミゼンは人族の17歳。

 背も俺より高くて丁度お姉さんと言ったところだ。

 カトリーナは、完全に大人の女性と言った感じ。

 魔法屋に居候して5日目、やっと、魔眼の使い方の指導がはじまった。

 

「こう、目に魔力を軽く集中させれば、見たい物が、勝手に見えてくるもんなんですけどね…… 」

 

 彼女のライトブラウンの瞳が紅く染まった。

 魔眼を使うと瞳の色が変わるらしい。

 吸魔族なら、何ら難しい事ではなく普通に出来る筈と、チクリと言われた。

 鳥が飛べるように、四つ足の動物が早く走れるように、吸魔族は魔眼を使えるものだとか。

 

「ん〜〜〜〜!」

 

 魔力ってどうやって、集中させるのか。どうやら、出来て当たり前の事を意識してやろうとするのが、とても、難しいと言う事を学んだ。

 息張って力を込めるも、違うらしい。

 そもそものそもそも、"魔力って何?" からはじめないといけない、らしい。

 初歩の前の基礎、基礎の前の常識か。

 "魔力も意識出来んと、どうやって魔法使いますの?" カトリーナからは、遠慮の無いツッコミが入る。

 魔法を覚えた頃は鎧の中だったから、体の感覚に乏しかった。

 魔力を意識するだなんて、考えた事もない。

 鎧の中は、空洞だと、思っていたくらいなのだから。

 

「ふんむっ!」

 

 力の入れ方を変えても魔眼は、発動しなかった。

 ミゼンに、頭を撫でられ、カワイカワイされて、慰められる。

 柔らかな双丘が頭に当たって、ドキドキしてしまうのだけど。

 

「ここに、こう、押しつけて…… どう、 気持ち良いの分かる? 」

 

 ミゼンが俺に指導しているのは、いわゆる "角オナ" だと思う。

 カトリーナから、ミゼンからも教わる事があると、言われたが、まさかそれが自慰行為のやり方とは思わなかった。

 

「んっ…… 」

 

 すぐにコツは理解した。

 これでもいちおう、やれば出来る子なんで。

 

「はぁ…… 」

 

 "何でこんな事を?" なんて聞けないまま、角オナの練習に励むのだった。

 ひょっとして、リラックスした状態だと魔力を意識しやすいとか、だろうか。

 まさか、そんな事があるだろうか。

 下着に冷たいものを感じて、汚してしまったのを意識した。

 こんな感じで魔力も意識出来たりするものだろうか?

 魔力を意識する為に受け付けのカウンターの中にある一段低い棚の角が、俺の定位置となった。

 背中を向けて静かに立ってる時は、角オナ中である確率が高いので注意して欲しい。

 角オナ生活をはじめて、1週間。

 遂にその結果を得る日が訪れようとしていた。

 

「あ、 何かきそう…… 」

 

「リベラちゃん、イキそう? 」

 

「何か、変になりそう…… 」

 

 角オナで新たな段階へと向かう扉の直前まで来た、その確かな手応えを感じていた。

 ひょっとして、イケたら魔力を感じ

られるようになるのかも知れない。

 いや、違うだろ。

 自分で自分にツッコミを入れる。

 百歩譲って、リラックス効果はまあ、ある気がする。

 30分でも1時間でも続ける持久力はついたと思う。

 それがどうして魔眼の助けになるのかは、やはり、分からない。

 

「ふんむ〜〜〜」

 

 いつもより息張ってみるも、相変わらず魔眼は、開眼せず。

 魔力を意識出来ないのだから、目に集中出来る気がしないのだけど。

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