「ちょっと、トイレ…… 」
満月の日が来た。
朝から異常に喉が渇いた。
何杯もお茶をガブ飲みしては、トイレに行くを繰り返した。
お茶で渇きが癒える筈がない。
それは血の渇きなのだから。
時間が空いても魔法の練習もスキルの練習もする気になれない。
珍しくイライラしてるのが、自分でも分かる。
普段は、物静かに角オナしてるばかりではないのだけど。
いや、角オナもする気になれないから。
敢えて言うけど、普段からそんなにしてないから。
角オナ勧めてくる方がおかしいのは分かって欲しいのだけど。
気もそぞろで、イチ日の営業を終える。
さすがに、今日は鑑定の仕事も回って来なかった。
そんなに、毎日鑑定がある訳じゃないのだけどね。
人だけじゃなくて、魔道具とかを診る仕事もあるし、素材の鑑定なんかもたまに有ったりするから。
で、今日は夕食より先に湯浴みしてきなさいと言われたところ。
半切りの木樽いっぱいのお湯を見ると、全部飲み干したくなる衝動に駆られる。
自分でもどこか、おかしいと思うものの、初めて迎える満月の夜にヴァンパイアかおかしくなるのは仕方ないのかもしれない。
本来、血なんて吸うものではないのだけど今、猛烈に吸いたいのは紛れもない事実だし。
髪は洗わなかった。
髪を洗うのは2〜3日おきだから。
「自分の部屋で吸うといいよ、吸い殺すまでやりそうなら止めますから…… 」
人の血を吸うのは、初めてだと言ってある。
"今までとうしていた?" とはカトリーナは聞いたりしない。
ここに来る前、獣人国の人達から、姫様と共に保護したと聞いている筈だから。
詳しく聞くのは危険だと分かってるのだろう。
寝間着姿で、部屋に行くと、フェリオの雄の臭いがしていた。
普段はこんなに臭う事はなかったのに、不思議だ。
なぜか上半身、裸になってるフェリオ。
カトリーナの指示でベッドに腰掛けるフェリオの後ろから、俺はベッドに上がり、彼の首筋に近づいた。
ーーーカプッ
"チュウ" とひと口血を吸った。
美味かった。
ほんのり甘くて生温かくて、どことなく濃厚なカプチーノにも似た飲み応えが胸を満たす。
更にもう、ひと口。
ヤバい、美味くて蕩けそう。
フェリオも顔と胸に手を回して全身で抱きしめる。
こんなに美味い血を逃してなるものか。
ダメだ、コレは、全部俺のものにしないとダメだ。
更にもうひと口吸ってから口を離した。
「はああぁぁ……… 」
「どう、人族の血は? 美味しいでしょうねぇ…… 」
カトリーナが言うも、俺はこの血はわたさないと、抱きしめる腕に力を込めた。
「ポーション飲ませないと、使い物になんないんわよ? 」
ポーションの容器を持つカトリーナにそう言われて、フェリオも顔を見た。
目を閉じて、なんか怠そう。
"ほら" とポーションを渡され、栓を取りフェリオに、飲ませる。
「そろそろ、燃えて来てるんじゃないのかい? 」
カトリーナにお尻をペロンと触られた。
「あ、あん…… 」
思わず変な声が出てしまう。
そう、胸の中、滾る熱いものは、吸った血だけではないらしい。
体中、なんか熱っぽい。
凄く角オナしたくて腰が引けてしまってる。
そして、フェリオの雄の臭いが目の前にある。
まだまだ体は子供なのに。
なぜ、こんなにも欲しくなってしまうのか。
「ヴァンパイアはね、血を吸ったあとは、必ず欲情の衝動にやられるって決まってましてね、 フェリオにも、ちゃんと、仕込んでおいときました、 じゃ…… 」
そう言い残して、カトリーナは、部屋を出て行った。
フェリオの顔を見るより早く、彼の頭を抱きしめて唇を重ねる。
「…………。」
翌朝、目を覚ますと、気怠くて頭がなかなか覚醒しない。
なぜ、人のベッドに誰が、いるのだろうと、頭を動かすと、フェリオだった。
「あ……………………」
一瞬で思い出す、昨夜のアレコレ。
ええと、〇〇が、〇〇で、〇〇の〇〇だったから。
〇〇だらけで、何も伝わる気がしないので、止める。
そう言う展開があったと、否定はしないわけですね。
関係各所におかれましては、ご心配、ご迷惑をおかけしたか事を深くお詫びしたいのですが、別にスクープ撮られた訳でもないので、無かった事にしても良いかなって。
「あれ? 」
自分の体がおかしな事になってるのに気がついた。
お胸が、凄く成長しているのだけど。
なんでだ?
上体を起こす。
ミゼンから教えて貰って買った手鏡を取りに棚まで行くと、手鏡に、写ってる女の人は、自分とは明らかに違う姿だった。
中学生が高校生にってる感じと言えば上手く伝わるだろうか。
髪も瞳の色も同じだが、明らかに大人の雰囲気になってる。
それは、成長した姿と言えるかもしれない。
ヴァンパイアって血を吸うと成長するの?
だとしたら、こんなに急成長したら、あっという間に年取ってしまうだろうに。
混乱して頭を振ると、胸までフルフルと揺れた。
凄い景色に目が奪われてしまうのだけど。