異世界の石   作:井ノ中蛙

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第25話 ホントラスの町

 

 

 ホントラスの町は、ワオルーの町から東に2つ進んだ位置にある。

 近くはない。

 町から少し離れた草原に降りて、影に木箱と封筒を仕舞った。

 1つ目の町は道を辿れば簡単に着く筈で、問題は2つ目の町だ。

 正確には東南方向に向かうと有るらしい。

 しかし、倍近い距離で東に位置する町もあるそうで、その3つの町の間には、森が広がっているそうだ。

 森に入らず迂回するように進むのが良いらしい。

 そう説明されたが、行ってみない事には、分からない。

 

 上空から道を辿りながら、進むと、1つ目の町は、すんなり見つかった。

 飛ぶと馬車より早い。

 上空は風があって、フードと手で押さえて、スカートとローブは、股で挟んでとめた。

 長いタイツのような物は売っているが、ガーターベルトのようなもので、腰から吊るしかなく、着けるのを躊躇している。

 ガーターベルトは見た目がセクシー過ぎるだけじゃなくて、下着の下に着けないと、トイレの度に外すさないといけないだろう。

 下着の下に着けるには、下半身マッバで着けるという事だと思うのだけど、その時間が困る。

 まさかフェリオに手伝わせる訳にはいかないだろうし。

 伸縮する布地がないから、靴下は何度か折り返して形を保つようにして履くものだとされている。

 少しでも長い状態で履こうとしても、すぐにヨレヨレと下に下がるだけだから。

 ズボンを穿けば全て解決するが、ズボン姿の女性を見たのは、森の中の集落にいたエルフ位なものだ。

 町中では見たこともない。

 見せパンならぬパンツ隠しにズロースを履くと言う手もある。

 ズロース&タイツで、下半身の守りは鉄壁となるだろう。

 寒い季節なら、それも良いだろうけど、フェリオ曰く、これから季節は暑くなるそうだ。

 暑い中、ローブを被るだけでもキツイのではないだろうか。

 更に追い打ちをかけて下半身の守りを固めるのは、現実的とは思えない。

 

 町を通過すると、その少し先には森が広がっている。

 北から伸びるように広がる森。

 森の淵を沿うように続く道があるから、それを辿ろう。

 森の中を突っ切る道もあるが、上からでは木々が邪魔になって途切れ途切れにしか見えない。

 敢えてハズレの道を辿る必要もないから、無視する。

 

「ふぅ……… 」

 

 日頃の運動不足がたたったのか、ちょっと疲れたから、下に降りて休もう。

 こんなに連続して空を飛んだ事が無かったから、ちょっとしんどい。

 "ブワッ" と地上に降り立つ際にスカートか膨らんでしまったが、まあ、御愛嬌だ。

 日に当たり続けるのがキツいので、そのまま自分の影に潜った。

 影の中は暗くてジリジリと照らす日の光も届かない。

 酷く快適だ。

 体から力を抜いても影の中では、それ以上沈んだり倒れるような事はない。

 言ってみれば、宇宙空間のように無重量で浮かんでいる感覚に近い。

 なので、目を閉じると、とてもリラックスした。

 

 たぶん、お昼寝してしまったのだと思う。 

 気がついて影から抜けだすと、少し日の光が和らいで感じられた。

 時計でもあれば、正確な時間が分かるのに。

 慌てて、空へと飛び上がる。

 どうやらそんなに時間が経っているようにも見えない。

 進むべき方向を確認してから、道の先に見える町へと急ぐのだった。

 

 ホントラスの町は、心なしか少し大きく感じられる。

 ギルドでもこの辺りでは一番大きいとは聞いていたから。

 町の近くの道に降りる。

 人通りはあるから、少し注目を集めた感は否定しない。

 とは言え、これは仕事なのだし、いきなり町中に降りた訳でもないから、何かを言われる道理はない筈だ。

 人混みと言うまでの人通りはないが、人の流れにのって、町中の道を進む。

 魔導士ギルドの建物の場所は、大まかに聞いてある。

 大通り同士の交わる十字路が3つあるうちの最初の角を右に折れて、少し進むと左側にあるそうだ。

 本に杖を図案化したような看板が目印。

 建物の影を縫うように進みたいけど、子供でもあるまいし、それをやったら往来の邪魔になるだけか。

 ままならぬものである。

 

 魔導士ギルドはすぐ見つかった。

 扉を開けて中へ進むと、作りはワオルーのギルドと同じに見えるが、規模がちょっと大きい感じがした。

 並んでいる長椅子の数が単純に倍だ。

 受け付けのカウンターも長くて職員の数も多い。

 とは言え、規模の割に魔導士の数は少なくて閑散とした雰囲気なのは、共通しているようだ。

 この時間、ここにいると言う事は仕事にありつけなかったと見ていい。

 若しくは良い仕事でも待っていられる余裕があるのだろうか。

 他人の心配より、自分の心配だ。

 

「あの、配達の依頼でワオルーから来たんですけど家が…… 」

 

「はあ? 」

 

 俺が空輸の仕事の途中だと伝えると、よほどイレギュラーな申し出だったらしい。

 届け先の家の場所が分からないから教えて欲しいと言った辺りから、眉をしかめだした。

 それも身分証を出すまでの間で、身分証と依頼書を見せると、コロリと態度を変えた。

 銀の階級は伊達ではないらしい。

 町の地図を見せてもらい、グレシェディエ家の位置を何度も確認させてくれた。

 町の南側には、将棋の盤面のように真っ直ぐな道が整然と縦横に走っているそうだ。

 縦4本横3本、の道はそれぞれ名前かついているそうだ。

 教えてくれたが、右から左で聞き流した。

 知りたいのはグレシェディエ家の位置だけだから。

 将棋で言うなら2-3歩か。

 右端から2列目、上から3段めの位置にある屋敷がそれとなる。

 

「ありがとう…… 」

 

 礼を言って表から出ようとしたら、裏へ案内された。

 空へと発着は全て裏手が共通認識のようだ。

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