エルフのおじさんは、さも少し歩けば草原は終わるような事を言っていたけど、まあまあ広かった。
チビリベラの足では、日が落ちてしまうかもしれない距離だ。
神聖国騎士か怖くて雲の上まで上昇している。
眼下の景色はちょっと異常なものだった。
神聖国は、某アニメの町のように周りをぐるりと、塀と堀で囲み、何箇所かの橋を通らないと中に入れないようだ。
城塞都市ならぬ城塞国家だ。
地形が半島なので、陸の部分だけ仕切るように塀が。建てられていて、海岸線は、自然のままに見える。
港もあるようだから、出入りするのは海からの方が簡単そうだ。
船を使うと監視の目も行き届いて都合が良いのが想像出来る。
それなりに、考えられてるようだ。
もっとすっと下には他の鳥も飛んでいるのが見える。
もう少し高度を下げても大丈夫だろう。
海岸沿いには、魚を捕る漁師のちいさな船が小さな港に幾つもの係留されている。
海鳥も沢山飛んでいる。 のどかな漁村のような風景に見とれていたときだ。
ーーーヒュン!
目の前、30cmも離れていない所を矢が通り過ぎて行った。
慌てて急旋回する。
狙われてる。
けど、そんなに低くまで降りてるつもりは無いのだけど。
「あ、いでっ!」
鶏の嘴てはあったが、人の言葉を発してしまった。
腹に矢が刺さった。
ちきしょう、誰の仕業だ。
上昇してにげようとするも、体はその逆を行く。
みるみる体が動かなくなる。
翼を中途半端に、畳んだ姿のまま、俺はボチャンと海に堕ちた。
ヤバい、ヤバい、ヤバい、体が動かない。
溺れる、死んでしまう。
慌てて何をしたら良いか分からない。
どうしよう、どうしようと、気が焦るだけだ。
と、気がついた。
淫獣の姿の時、息してただろうか。
別にそれほど、苦しい訳ではない。
皮膚呼吸とか、そもそも呼吸自体必要ないのかもしれない。
とは言え、エラがある訳じゃないから、早く上がった方が良いのだろうけど。
体が動かないのはなぜだ?
まるで石のように、固くて重くなってしまった。
何をすると良いだろうか。
といっても体が動かないのだから、出来る事は限られる。
魔法くらいか。
試しに治癒魔法をかけてみた。
何度もかけると、体の自由が戻ってきた。
見ると矢も石になっている。
こんな矢を良く飛ばせるものだ。
いや、飛んでる時は普通の矢で、何かにか当たると石になる魔道具とかかもしれない。
矢の刺さったまわりだけ元に戻らない部分があった。
鳥の姿では無理だ。
人の体になってから、矢を手で掴んで引き抜いた。
「んぐぐぐ……」
凄く痛い。
体の一部も一緒に取れてしまった。
矢の先に250ml缶がくっついたような形の石が抜けた。
ただでさえ、体が小さくて困っていたのに、更に減ってしまったじゃないか。
海底の砂に石の矢を捨てる。
月面を歩くように、フワリ、フワリと一歩進むごとに浮かびそうになりながら、砂浜に上陸した。
酷い目にあった。
神聖国は油断ならない所だ。
少し先に大きな岩があったのて、その影に腰を下ろして、一休みしよう。
いつの間にか眠っていたらしい。
揺すられて目が覚めた。
横に寝かされて、ずっと揺すられている。
それに何だかとても、気持ち良いのだけど。
「あ…… ああ…… 」
思わず声が、漏れてしまうほどに。
「気がついたか、 もう少しでイクからな…… 」
男の声だった。
そうか、この男に何をされてるのか、理解出来た。
若そうな顔をしている。
今、難しい顔から恍惚の表情になった。
どうやら終わったらしい。
酷く疲れていた。
覚醒してはまどろんで、また覚醒しては、ぼうとしていた。
カチャカチャと金属音がして、男は、下を見て何かをしていた。
本当なら、キャーとか叫んで抵抗するのだろうけど、今は疲れてて、そんな元気はない。
それに気持ち良かったし。
もっとして欲しいくらい。
あれは癒しだ、疲れた体に染み渡る快感と若い男の精だ。
もっともっと、癒しが必要だ。
バチバチと部屋の中央にある囲炉裏のような所で火が燃えていた。
男は、一旦何処かへ行ったと思ったらすぐに戻ってきた。
手に持っているのは何だろう。
「なあ、食べるか? 」
男は、横に腰を下ろすと、あぐらをかいた。
何をくれるのかと思ったら、伸ばしてきた手は胸を触りはじめた。
「お前、どうして、あんなところで寝てたんだ? 変な奴等に拾われたら、大変な事になるぞ? 」
いや、もう、十分大変な目にあってるから、ご心配には及ばないと思うのですがね。
「あん…… 」
先っぽを摘むな、先っぽを。
声を出すと、すぐに手が引っ込んだ。
もっと丁寧に扱え。
この下手くそめ。
「何か着るか? それとも食べるか? 」
「食べる…… 」
"じゃ、手伝ってやる" と言うと、男は抱き起こしてくれ、口に熱いドロドロした粥のような物を木のスプーンで運んでくれた。
ちゃんと、フーフーしてくれる気の遣いよう。
「ちょっと、抱きしめていいか? 」
する事しておきながら、なぜそれを今さら聞くんだ?
頷くと、ぎゅっと抱きしめられた。
「柔らかくていい匂いがする……」
フェリオみたいな事を言う奴だ。
散々味わった後だろうに。
男は、アザンと名乗った。
漁師とは言わず、漁師の手伝いと言ったから、まだ見習いとかなのだろう。
俺は男に拾われて、気に入られて、飼われてるような状態だ。
毎日、朝早く出かけると、帰ってくるのは夕方だ。
食事は朝、夕の2回。
さっさと逃げ出すべきだと思うが、体が言う事を聞いてくれない。
かなり無理をしたらしい。
毎日抱かれるのも、この体には良い事らしい。
気持ち良くて、されるのを待ってる自分がいるのに気づいた。
まあ、淫獣なんだし、当たり前と言われれば、その通りなのだけど。
人の倫理を淫獣に当て嵌めるのは、どうかと思うのは俺だけか?
男も、朝も夕方も寝たきりの俺の事を心配して、精のつく物を用意してくれたりする。
フェリオではないが、俺に夢中なのが伝わってくる。
粗末な湯浴み場では、彼に支えられながら、体を洗われた。
そのままプレイに流れ込むと言うお約束の展開も忘れない。
貧しくも慎ましい、若い2人に訪れた悲劇、それは俺の復帰である。
"俺様、完全復活!" なんて宣言して高笑いなんかしない。
助けて貰ったお礼に鶴になって、機織りなんかもナシだ。
玉手箱を置いて竜宮城へ帰るのも却下する。
「海に帰るね……」
そうだ。
選んだのはポ〇ョルート。