翌朝は、早い時間に朝食が部屋に来た。そのまま支度をして、いつもなら、食事をしている時間に部屋を出た。
何故か移動は馬車だった。
町の端から端まで走ったかのような距離を移動した。
到着したのは、パッと連想したのは、テレビのロケの現場のような所だ。
しかも、サ〇ケとかの大掛かりなほう。
広い敷地に入ったところで馬車は止まる。
敷地を囲む塀沿いに建つ小屋から、3人ほどの、エルフが出てきた。
いかにも魔導士って格好をしている。
いよいよだ、魔法を見せろと言うのだろう。
「こちらです……」
ニジルイハが持って来た書類を手渡すと、3人はそれを読みだした。
「リベラ……くんかな? 」
「はい…… 」
「闇魔法と、土魔法と、他には?」
「いえ、それだけです……」
「空は飛べるらしいが? 」
「飛べます…… 」
3人バラバラに聞いてくる。
女の人が1人と男の人が2人だ。
そんなに年寄りには見えないから、人で言うなら、まだ若い30〜40代と言った感じ。
「この敷地から、でない範囲で飛んでみてくれるかな?」
「矢で射るれたり、しませんよね? 」
「はは、もちろんそんな事はしないさ…… 」
飛べと言うから、飛びました。
頭上をクルクルと。
敷地の端から端まで飛ぶと、色んな設備があるのが、分かった。
的が並んでいるだけの所や、木の樽が積まれた所に、木でやぐらが組まれている所も。
長い丸太が、一本地面から生えているものあった。
一通り、見終えたら、彼らの前に着地した。
いちおう、スカートの前を抑えた。
「詠唱は、しないのか? 」
「どれくらいの時間飛んでいられる?」
「物は持って飛べる? どれくらいの重さまでいける?」
3人で質問攻撃だ。
「ええと、たぶん、半日は飛んでいられると思います、 詠唱はしません、手に持てる程度しか持てません…… 」
「半日もか…… それなら、国の端から端までも行けるんじゃないか? 」
これは、質問だろうか。
こたえようがないので無視する。
「闇魔法は、何が出来るの? 」
「球、槍、壁、盾、矢、腕、影潜りと…… 」
「ちょっと待って、 影に潜れるの? 」
「はい……」
「魔族でもないのに……」
なるほど。
やっぱり、魔族じゃないとそこまでは、出来ないのか。
言った以上、やれと言われればやるしかないわけで。
やれと言われたから、目の前で影に潜ってみせた。
「影収納もできるのではないか? 」
「あー、はい…… 」
何故知っているのだろう。
思いつくのは、ニジルイハだ。
新しい下着を用意しておいたのを影から出したと思ったのだろう。
見られてないと思ったのだけど。
土魔法は槍を地面生やす "アーススパイク" と言うのまでにした。
もちろん、実演を指示されたので、披露した。
ばあちゃん魔法は、誰にも言わない。
「ただ、実戦は経験がないようだな…… 魔物が死んでも泣いてるようだしなぁ……… 」
それを知ってるのはニジルイハだけだ。
彼女は監視役でもあったらしい。
事細かく報告書に記してあるのだろう。とんだ保母さんだ。
実技の時間は終わりらしい。
難しい顔をした3人は、腕組みをしてディベートに興じている。
"危険過ぎる、追放しろ" なんて結論にならないと、いいのだけど。
暫く傍らで聞いていたら、誰に預けるの行き先で言い争っているらしい。
誰かの管理下に置くのは、決定らしい。
そして、それは誰が適当かと。
「ああ、今日のところは、帰っていいよ」
そう声をかけられて、馬車で連れて行かれる。
昨日と同じ施設の部屋だ。
どうも、生徒ではなくて、教職員側の宿泊施設らしい。
まさか、先生を迎えに来た訳ではないだろうけど、5〜6人の生徒が誰かの名前を連呼しながら、歩いていた。
あれは、間違いなく先生を探しているようだ。
「え、 どこの子? 」
廊下に出て、様子を見ていたら、見つかった。
「誰の子? エセンシャヌ先生の子?とか? 」
「リベライ先生の妹さんじゃないの? 」
口々に知らない名前を言ってくる。
「その子は、能力審査に来たお客様よ 」
ニジルイハが、顔を出して生徒達に告げると、"この子、大人なの?" と一様に驚いていた。
これが、一般的な俺の見た目らしい。
中学とは言わないまでも高校生程度にしか見えないようだ。
明らかに大人ではないと。
それも、どうなのだろう。
喜んで腰を振ってた男もいた気もしたが。
あれは、黒歴史だ。
思い出さないよう封印しておこう。
チェルニアからは一応、淫獣として週に一度程度は人の精を吸っておくようにするべき、とは聞いている。
人と、同じように、毎日食事をしてての事だろうから、フェリオてはないが、相手を確保しておかないといけないのだろうか。
血吸が無くなって、日の光に反応しなくなったのは、良かったけれど、違う心配が、出来てしまった。