異世界の石   作:井ノ中蛙

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第53話 ホンボリスの町2

 

 

 翌朝は、早い時間に朝食が部屋に来た。そのまま支度をして、いつもなら、食事をしている時間に部屋を出た。

 何故か移動は馬車だった。

 町の端から端まで走ったかのような距離を移動した。

 到着したのは、パッと連想したのは、テレビのロケの現場のような所だ。

 しかも、サ〇ケとかの大掛かりなほう。

 広い敷地に入ったところで馬車は止まる。

 敷地を囲む塀沿いに建つ小屋から、3人ほどの、エルフが出てきた。

 いかにも魔導士って格好をしている。

 いよいよだ、魔法を見せろと言うのだろう。

 

「こちらです……」

 

 ニジルイハが持って来た書類を手渡すと、3人はそれを読みだした。

 

「リベラ……くんかな? 」 

 

「はい…… 」

 

「闇魔法と、土魔法と、他には?」

 

「いえ、それだけです……」

 

「空は飛べるらしいが? 」

 

「飛べます…… 」

 

 3人バラバラに聞いてくる。

 女の人が1人と男の人が2人だ。

 そんなに年寄りには見えないから、人で言うなら、まだ若い30〜40代と言った感じ。

 

「この敷地から、でない範囲で飛んでみてくれるかな?」

 

「矢で射るれたり、しませんよね? 」

 

「はは、もちろんそんな事はしないさ…… 」

 

 飛べと言うから、飛びました。

 頭上をクルクルと。

 敷地の端から端まで飛ぶと、色んな設備があるのが、分かった。

 的が並んでいるだけの所や、木の樽が積まれた所に、木でやぐらが組まれている所も。

 長い丸太が、一本地面から生えているものあった。

 一通り、見終えたら、彼らの前に着地した。

 いちおう、スカートの前を抑えた。

 

「詠唱は、しないのか? 」

 

「どれくらいの時間飛んでいられる?」

 

「物は持って飛べる? どれくらいの重さまでいける?」

 

 3人で質問攻撃だ。

 

「ええと、たぶん、半日は飛んでいられると思います、 詠唱はしません、手に持てる程度しか持てません…… 」

 

「半日もか…… それなら、国の端から端までも行けるんじゃないか? 」

 

 これは、質問だろうか。

 こたえようがないので無視する。

 

「闇魔法は、何が出来るの? 」

 

「球、槍、壁、盾、矢、腕、影潜りと…… 」

 

「ちょっと待って、 影に潜れるの? 」

 

「はい……」

 

「魔族でもないのに……」

 

 なるほど。

 やっぱり、魔族じゃないとそこまでは、出来ないのか。

 言った以上、やれと言われればやるしかないわけで。

 やれと言われたから、目の前で影に潜ってみせた。

 

「影収納もできるのではないか? 」

 

「あー、はい…… 」

 

 何故知っているのだろう。

 思いつくのは、ニジルイハだ。

 新しい下着を用意しておいたのを影から出したと思ったのだろう。

 見られてないと思ったのだけど。

 土魔法は槍を地面生やす "アーススパイク" と言うのまでにした。

 もちろん、実演を指示されたので、披露した。

 ばあちゃん魔法は、誰にも言わない。

 

「ただ、実戦は経験がないようだな…… 魔物が死んでも泣いてるようだしなぁ……… 」

 

 それを知ってるのはニジルイハだけだ。

 彼女は監視役でもあったらしい。

 事細かく報告書に記してあるのだろう。とんだ保母さんだ。

 

 実技の時間は終わりらしい。

 難しい顔をした3人は、腕組みをしてディベートに興じている。

 "危険過ぎる、追放しろ" なんて結論にならないと、いいのだけど。

 暫く傍らで聞いていたら、誰に預けるの行き先で言い争っているらしい。

 誰かの管理下に置くのは、決定らしい。

 そして、それは誰が適当かと。

 

「ああ、今日のところは、帰っていいよ」

 

 そう声をかけられて、馬車で連れて行かれる。

 昨日と同じ施設の部屋だ。

 どうも、生徒ではなくて、教職員側の宿泊施設らしい。

 まさか、先生を迎えに来た訳ではないだろうけど、5〜6人の生徒が誰かの名前を連呼しながら、歩いていた。

 あれは、間違いなく先生を探しているようだ。

 

「え、 どこの子? 」 

 

 廊下に出て、様子を見ていたら、見つかった。

 

「誰の子? エセンシャヌ先生の子?とか? 」

 

「リベライ先生の妹さんじゃないの? 」

 

 口々に知らない名前を言ってくる。

 

「その子は、能力審査に来たお客様よ 」

 

 ニジルイハが、顔を出して生徒達に告げると、"この子、大人なの?" と一様に驚いていた。

 これが、一般的な俺の見た目らしい。

 中学とは言わないまでも高校生程度にしか見えないようだ。

 明らかに大人ではないと。

 それも、どうなのだろう。

 喜んで腰を振ってた男もいた気もしたが。

 あれは、黒歴史だ。

 思い出さないよう封印しておこう。

 チェルニアからは一応、淫獣として週に一度程度は人の精を吸っておくようにするべき、とは聞いている。

 人と、同じように、毎日食事をしてての事だろうから、フェリオてはないが、相手を確保しておかないといけないのだろうか。

 血吸が無くなって、日の光に反応しなくなったのは、良かったけれど、違う心配が、出来てしまった。

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