異世界の石   作:井ノ中蛙

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第60話 実験

 

 

 その魔法陣が、記されているページを捲るファンネリア。

 

「男の子、召喚出来ないかと思って……」

 

 話が飛躍し過ぎてて、良く分からなかった。

 今までの難しい話は、全て前置きだったのか。

 ファンネリアは18歳になる。

 そっちに興味があっても驚く事ではない。

 瞬間移動装置から、結界のように空間を仕切る魔法陣を、召喚魔法の仕掛けから、召喚魔法似該当する魔法陣を、組み合わせた森の外から、男の子を召喚する装置を彼女は研究開発していたそうだ。

 

「そんなことをして、どうするの?」

 

「エルフ以外の男の子と…… 」

 

 "したいの?" と聞いたら、ファンネリアはコクリと頷いた。

 姉弟揃って、同じ穴の狢だったようだ。

 エルフの女の子は純潔を大切にするのではないかと聞いたら、両親はそんな考えらしく、娘が避妊の魔法陣を入れるのも禁じているそうだ。

 しかし、本人は既に玩具で純潔の証の膜は破いてしまったとか。

 エルフ以外の種族の男なら妊娠しないので、森の外から男を召喚したいそうだ。

 没頭している研究とは、その為の手段である。

 目的は弟と大して変わらない。

 さすが姉弟だ。

 そんなものの為に貴重な文献を取り寄せては、研究していたとは思わなかった。

 

「リベラ、何処に男の子が居るか見当ついたりしない? 」

 

「男の子………」

 

 思い出したくもない男の顔を思い出してしまう。

 

「………アザン? 」

 

 名前まで思い出した。

 

「その男は何族なの? 」

 

「人族かな…… 」

 

 "その男を召喚するわよ" と先走るファンネリア。

 いや、だってまだ研究中と言っていただろうに。

 

 裏庭に建つ別棟の建物は彼女の研究室なのだそう。

 本当なら、召喚する魔物の毛なり牙なり、何か元となる部位が必要らしいが、それは、術者の記憶と書き換えれば良いと簡単に言い放つファンネリア。

 床と天井から吊られた木の板には魔法陣がえがかれていた。

 それを囲むように、その周りには囲むように線が引かれ、別の魔法陣の書かれた紙がある。

 

「本当なら、祭壇みたいな台の上に召喚するべきなのよね、けど何が原因で事故が起きるか分からないでしょう? 可能性は極力排除すべきよね…… 」

 

 放っておいたら、今にも魔法陣を作動させかねない勢いだ。

 協力するとは言ったが、お嬢様の不純異性交遊の手伝いをするとは言ってない。

 それにまさか、装置は完成していないだろう。

 

「完成してるわよ、リベラが術者となって作動させれば、動き出すはずよ 」

 

 淀みない眼でこちらを見据えるファンネリア。

 じゃあ、何を研究していたのかと言う話になる。

 ファンネリアが言うには、元となる毛や爪などを、ピンポイントで召喚出来ないかと、改造を試みていたのだとか。

 考えただけでも、かなり難易度は高そうだ。

 見たことも会った事もない人を召喚出来てしまったらどうしようとか、そのリスクを考えないのだろうか。

 必ず男の子が来るとは限らないだろうに。

 女かも知れないし、年寄りかもしれない。

 何かの手違いで、生きていないかもしれない。

 生きてる人を簡単に召喚出来る方がおかしいと思うのだけど。

 

「大丈夫よ、 生きてない者は召喚出来ないから…… 」

 

 魔法陣の一部を指さして、"ここに生者とシンボルが書いてあるわよ" と説明されても、半信半疑だ。

 術者の記憶にある場所と記憶にある者を呼び寄せると、魔法陣の一部を書き換えて、召喚対象を限定は満たしていると、自信有りげに説明する。

 足掛け三年、ファンネリアの研究が結実するか否かの大事な実験は、夜、行う事にした。

 アザンが寝た頃を見計らう必要があるからだ。

 本当に召喚できるのだろうか。

 距離だって相当離れているはずだ。

 時差だってあるかもしれない。

 もう、あの小屋に住んでいない可能性もある。

 本当なら成功して欲しくはない、そう思いながら、思い出したくないアザンの事を、仕方なしなし頭に浮かべて、魔法陣の書かれた紙に手をついて、魔力を流した。

 

「………!」

 

 結構な量の魔力を吸われた感じがする。

 疲労感が体を重く感じさせた。

 

「リベラ、この人で合ってる? 」

 

「え、 ………あー、 はい…… 」

 

 アザンがそこに横たわっていた。

 いつも寝る時の下着だけつけた格好で。

 結界が水族館のガラスのように薄ぼんやりと空間を仕切っている。

 "危ない" と声をかける間もなく、ファンネリアは結界を通って、寝てる男の方へと行ってしまった。

 寝間着姿で行くのは危険だと思うのだけど。

 男の体に手を伸ばして撫で回すと、一番気になる箇所へ手を潜り込ませた。

 神聖国の男に装着された貞操金具の事は事前に説明してある。

 実物を目の前にして、少し戸惑っているようだ。

 男が目を覚ます。

 たいそう驚いた様子ではいたが、ファンネリアがしている事に逆らう気はさなさそうだ。

 されるがまま、大人しくしているが、 我慢できなくなったのか、ファンネリアの寝間着の中へと手を伸ばした。

 その後は、戸惑いも迷いもない。

 アザンは溜まっていたのか、なかなかの勢いで彼女の服を剥きはじめた。

 ファンネリアは、思いが叶ったのか、凄い満足そうな表情でされるがままだった。

 それでも、30分ほど経っただろうか。

 はじめの勢いが激し過ぎたのだと思う。

 肩で息するアザンから、寝間着を持ってファンネリアが離れるのを見届けると俺は、魔法陣から手を離した。

 アザンが消えると次には結界が消えた。

 はからずも実験は成功した。

 減った魔力を補うのに、ビエナから "精" を貰わないといけないだろう。

 どうやら、結界の外は見えないのだろう。

 アザンは俺に気がついた様子はなかったから。それとも忘れてしまっただけだと良いのだけど。

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