艦娘たちがTRPGを遊んでみる   作:萩原 優

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今回は軽めの小話です。拙作を気に入ってくれた方も、初めての読者様も、どうぞ肩の力を抜いてお楽しみください。


冒険のはじまりと、じこはおこるさ

プロローグ

 

とある孤島の泊地にて

 

提督:なんですかこの辞書みたいに厚い本の山は?

 

女提督:いやー集めるの大変だったわ。絶版本まで用意しろとか無茶ぶりしてくるんだもん上の人。

 

提督:話が見えないんですが。……これひょっとして、全部TRPGのルルブですか?

 

女提督:あら、聞いてない? どこかのお暇な司令官が、艦娘とTRPG遊ぶ広報動画を流したそうなのよ。そしたらバズっちゃって凄いことになったとか。で、横須賀傘下の私たちもやってくれるよね? って言う無言の圧力がねぇ。

 

提督:俺ら、戦争してるんですけどね。

 

女提督:宣伝して資金を引っ張って来るのも戦争の一場面よ。それより、どれから行く? 私もさすがに最新なのは分かんないのよね。

 

漣:ご主人様がた、最近の流行を知りたいんですね? やっぱりクトゥルフ人気は不動ですぞ。

 

提督:やめれ、艦娘の発狂ロールなんて見たくない。と言うかゲームでまで深海の化け物と戦うの、余暇になってないだろ。

 

漣:そう言えばそうですなぁ。じゃあロシア艦の皆さん呼んで、『パラノイア』でZAP! し合いましょう!

 

提督:よせよ隣人を告発し合うゲームとか。と言うか何で不穏な候補ばかり挙げるんだよ。

 

女提督:とりあえず、色々試してみましょうか。しっくりくるゲームがあったら、皆でやってもいいし。

 

提督:またルールの勉強かぁ。でもまあ、面白そうではあるな。

 

漣:これは、作者の脳内でTRPGをプレイする、艦娘たちの失敗や暴走を切り取った、言わばお遊び記事ですぞ。独自解釈に寛容な提督さん(ご主人さま)は是非私たちのセッションに遊びに来てください。

 

 

 

みっしょん01 『GM以外全部加賀さん』

 

提督(以下GM):新発売の試供品だ。『新たなる艦これRPG2026 ~永久(とわ)の復活編~』!

 

赤城:なんか、そこはかとなく嫌なタイトルですね。

 

GM:まあ前シリーズは「艦これはもう新版が出ることはありません」なんてアナウンスが出て皆悲しんだけど、あまりに要望があったんでリメイクに踏み切ったんだと。

 

翔鶴:でもなんでこんなものが作られたんですか?

 

GM:戦意高揚と言う噂があるが、全部嘘だ。お前たちが人気があるから、ゲームで遊びたいと言う声が大きかったとか。

 

瑞鶴:内地の人、何考えてるか分からない。

 

GM:さあ、今回は”人材交流システム”ってのがあってだな。キャラメイク時にポイントを支払うことによって、他鎮守府から応援に来た艦娘が使えるんだ。つまり艦隊内に同じ艦娘がいてもOK。

 

瑞鶴:ふーん。じゃあかぶってもいいってことね?

 

GM:そうだな。サプリだと空軍パイロットや友好的な深海棲艦も使えるんだが、今回は艦娘オンリーで行こうか。

 

瑞鶴:じゃあ私! 加賀さんやる!

 

GM:まあ予想通りだな。赤城と翔鶴は?

 

赤城:ふっ、せっかくだから私は加賀さんを選びますよ。一航戦の絆に隙は無し。

 

翔鶴:では私も加賀先輩をやらせていただきます。

 

GM:ちょ、まってくれ! データもロールプレイも全部加賀でやるのか? あいつの初期データ低速の攻撃偏重だぞ。

 

瑞鶴:問題ないわ。結果が全てです。ついていらっしゃい五航戦。

 

翔鶴:鎧袖一触です。的確な攻撃で装甲は抜けます。

 

赤城:おなかがすきました。おにぎりをいただくわ。

 

GM:もう何が何だかわからんぞ。あと赤城のは口調を加賀にしただけだよな。

 

赤城:ふふふ、でもあなた達は知らないでしょう? 二人を叱った後の加賀さんがちょっとだけしょげているのを。

 

瑞鶴:ガタッ!

 

翔鶴:そのお話を詳しく!

 

赤城:可愛いですよ? 「赤城さん、少し言い過ぎたかしら」とか言ってくる加賀さんの顔。

 

瑞鶴:負けないわ! 私たちを褒めるとき、「まずまずね」しか言わないけど、その日のお代わりが一杯多いのはお見通しです!

 

赤城:くっ、やるようになりましたね瑞鶴。それに気づいていたとは。

 

翔鶴:もう一航戦に負けてばかりの私たちじゃありません! 先輩は『加賀岬』をリクエストされたら面倒くさそうにしますけど、実は声の調整とか完璧にして歌ってくれます!

 

赤城:そして皆の喜ぶ顔を見ると、少しだけ自慢げになるんです。

 

翔鶴・瑞鶴:それな!

 

GM:ええと、これTRPGのセッションなんだが……。

 

 

 

※後日

 

加賀:提督、執務中に音楽を聴くのは感心しないわ。

 

提督:そうじゃないんだわ。例の広報の記事に困ってんだよ。八割がお前のことだもん。

 

加賀:私の? あの子が私の悪口でも言っているのね。貸しなさい。

 

提督:……あっ、まて!

 

加賀:これは……カオマッカ

 

 自分が知らないところで愛でられていたと知った加賀は、しばらく皆の顔を直視できなかったとさ。

 

 なおその話を聞いた三人は、第二回開催を強く要望したが、俺はその件をのらりくらりとかわして有耶無耶にする決意をしたのだった。




本作で提督のキャラとか気になった方は、姉妹作の方も是非どうぞ。こちらはギャグありシリアスありの長編です。現在最終章突入を控えています。

『仮免提督といじわる空母・改二』
https://syosetu.org/novel/353261/
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