止まった針は時の終わりに未来を見る   作:ドレットノータス

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第17刻 追う者、残る者

真夜中の駒王町は、静かだった。

 

 私たちは教会の聖職者に扮し、フリードが現れそうな通りを順番に歩いていた。一誠、木場くん、匙くんは神父服。私と小猫さんは修道服を身につけている。フリードが、この町へ派遣された教会の神父たちを狩っているという情報を利用し、私たち自身が囮となり、フリードを誘い出す作戦だった。

 

 捜索隊は二手に分かれている。ゼノヴィアさんとイリナさんの教会組。一誠、木場くん、小猫さん、匙くん、そして私。連絡手段はイリナさんの携帯電話で、何かあれば小猫さんがすぐ連絡することになっていた。

 

 一時間ほど歩いても、フリードは現れなかった。

 

「……出てこねえな」

 

 一誠が呟く。私たちは道端で足を止め、今後の方針を相談することにした。

 

 その時、少し離れた場所に、ごく普通の自動販売機が立っているのが目に入った。

 

 その瞬間、私は思わず顔をしかめた。

 

 理由は、自分でも上手く説明できなかった。青白い光。無機質な機械音。誰かに観察されているような、居心地の悪い感覚。それらが一瞬だけ、頭の奥をよぎった。

 

 私の中にあるアリスやケイの記憶にとって、自動販売機は決して無関係なものではなかった。ただし、それは私自身が経験した記憶ではないはずだ。それでも自動販売機を目にした瞬間、記憶の断片が勝手に反応した。

 

 同時に、別の歴史も脳裏へ浮かんでいる。自動販売機が、人々を守る戦士を運ぶバイクへ姿を変える歴史。どちらも、体温を伴わない知識だった。それなのに、今この機械を見た瞬間、確かめてみたいという衝動が生まれた。

 

 私は自動販売機へ手をかざした。何が起きるのか、確信があったわけではない。

 

 光の粒子が機械の表面を覆っていく。白い外装が形を変え、機体の下部から車輪が現れる。側面や背面から機械部品が展開し、普通の自動販売機だったものが、別の姿へ組み替わっていった。

 

 変化が終わった時、私はその名を理解した。

 

 ――マシンベンダー。

 

「……何だそれ!?」

 

 一誠が驚愕の声を上げた。私も驚いていたが、顔には出さなかった。  この機体を動かすには、セルメダルが必要らしい。

 

 感覚的に、そう理解した。どこから来る知識なのかは分からない。ただ、そういうものだと知っている。

 

 私は一誠を見た。

 

「……なんか嫌な予感がする」

 

 一誠が一歩下がる。正しい予感だった。

 

 私は一誠の中にある強烈な欲望へ、そっと力を伸ばした。正確には、彼の中で渦巻くスケベ心の、ほんの一部へ。

 

 光が一誠の胸元から漏れ、小さなメダルの形になって私の手のひらへ落ちた。

 

「なんか今、俺の中から大切なものを抜かれた気がする……」

 

 一誠が青い顔で自分の胸を押さえた。

 

「安心してください。まだ十分に残っています」

 

「何が残ってるんだよ!?」

 

 安心材料にはならなかったようだ。しかし、事実なので訂正はしなかった。  私は生成したセルメダルを、マシンベンダーの投入口へ入れた。

 

 ガコン、と音がして、取り出し口から缶の形をしたものが排出された。

 

 私はもう一度、一誠の欲望からセルメダルを生み出し、投入口へ入れた。また一つ、缶が落ちる。さらに一枚。さらに一つ。私は同じ作業を繰り返した。

 

「ま、まだやるのか!?」

 

 一誠の声が、徐々に上ずっていく。

 

「まだです」

 

 私は淡々と答え、作業を続けた。

 

 三十個を超えても、手を止めない。足元には、いつの間にか缶の山ができていた。匙くんが、少しずつ一誠から距離を取り始める。小猫さんは、積み上がった缶と一誠を交互に見比べていた。

 

「お、俺の欲望から、こんなに出てくるのかよ……」

 

 一誠自身も、自分の中身の底なしさに困惑しているようだった。

 

「先輩、最低です」

 

「俺は何もしてねえだろ!?」

 

「安心してください、一誠」

 

「だから、何をだよ?」

 

「これだけ取り出しても、まだ十分に残っています」

 

「何が残ってるんだよ!?」

 

 最終的に、足元には三十六個の缶が積み上がった。そこで私は、ようやく手を止めた。ちょうどよい数だと、感覚的に分かった。  小猫さんが、足元の缶を一つ拾い上げた。

 

「これは何ですか」

 

「私の使い魔みたいなものです」

 

「みたいなもの、とは」

 

 説明が難しかったので、そのまま流すことにした。

 

「これをすべて開けてください」

 

「全部!?」

 

 一誠が声を裏返らせた。五人で手分けして、缶を次々に開けていく。

 

 缶の上部を開くたび、金属部分が分割され、小型の機械へと変形した。鳥の形をしたもの。地上を素早く移動するもの。細い路地や建物の隙間へ入れそうなもの。周囲の情報を中継できるらしいもの。次々と姿を変えていく機械たちを前に、一誠たちは言葉を失っていた。

 

「これ、本当に全部使い魔なのか?」

 

 一誠が新しい缶を開けながら尋ねる。

 

「みたいなものです」

 

「さっきから、その曖昧な言い方やめろ!」

 

「では、使い魔ということにします」

 

「決め方が軽い!」

 

 最後の一体を開け終える。道端には、様々な形をしたカンドロイドたちが集まっていた。私はその中心へ立つ。

 

「町全体へ散らばってください」

 

 カンドロイドたちが、一斉にこちらを向いた。

 

「人目につかないように移動しながら、フリード、聖剣らしき武器を持つ人物、不審な戦闘や破壊の痕跡を探してください」

 

 幾つもの機械音が返ってくる。

 

「何か見つけたら、すぐに報告を」

 

 鳥型の機体は夜空へ飛び上がった。地上を移動する機体は路地の暗がりへ入り込み、小型の機体は建物の隙間や塀の上へ散っていく。一体だけを、一誠たちと私の連絡役として残した。

 

 カンドロイドたちが町の中へ溶け込んでいくのを見届け、私は小さく息を吐いた。ひと仕事終えた気分だった。  次に、私はマシンベンダーへ触れた。

 

 内部から、先ほどよりも大きな駆動音が響く。縦長の機体が中央から折れ曲がり、車輪が前後へ展開した。外装と内部フレームが次々と組み替わり、大型の二輪車へ姿を変えていく。

 

 ――ライドベンダー。

 

 私は迷わず、その座席へ跨がった。触れた瞬間、乗り方も操作方法も、感覚として頭に流れ込んでくる。何も学んでいないはずなのに、操作の手順だけは自然に理解できた。

 

「ミライ、お前、バイクの免許持ってんのか? そもそも、それ大型バイクじゃねえのか!?」

 

「もちろん持っていませんよ。そもそも、悪魔と仲良くなっている人間が、細かいことを気にすると思いますか?」

 

「いや、駄目だろ!」

 

「悪魔の癖に細かいですね。貴方も悪魔なら、盗んだバイクで走り出すくらいしても自然ですよ」

 

「お前は悪魔を何だと思ってるんだ!」

 

「俺たちへの偏見がひどくないですか」

 

 匙くんが控えめに抗議した。

 

「不良の上位種でしょうか」

 

「全然違う!」

 

 一誠と匙くんの声が重なった。

 

「無免許運転です」

 

 小猫さんが冷静に言った。

 

「はい」

 

「犯罪です」

 

「理解しています」

 

「理解した上で乗るのですか」

 

「今は捜索の効率を優先します」

 

「その理屈は通らねえよ!」

 

 一誠がライドベンダーの前へ回り込んだ。

 

「とにかく降りろ!」

 

「危ないので、前を空けてください」

 

「本当に走り出す気か!?」

 

「そのために変形させました」

 

 私はスロットルに手をかける。

 

「では、行ってきます」

 

「ま――」

 

 一誠が慌てて飛びのいた瞬間、私はライドベンダーを発進させた。

 

 重い車体が僅かに沈み込み、低い駆動音とともに一気に加速する。夜の風が頬へ当たり、街灯の光が左右へ流れていった。

 

 背後から、

 

「人の話を聞けえええええっ!」

 

「無免許運転するなあああああっ!」

 

 という声が聞こえたが、私は聞かなかったことにして、別の区域へ向かった。

 

 

 ライドベンダーの駆動音が聞こえなくなった後も、一誠はしばらく夜道の先を睨んでいた。

 

「……本当に行きやがった」

 

「先輩、諦めてください」

 

 小猫が淡々と言った。

 

「諦めるところ、そこ!?」

 

「他に心当たりは?」

 

 匙が話を切り替える。しばらく黙っていた木場が、ふと顔を上げた。

 

「一か所、心当たりがある」

 

「木場?」

 

「以前、討伐したはぐれ悪魔――バイザーがいた屋敷。今は無人ですが、隠れ家として使うには都合がいい」

 

 一誠が頷いた。

 

「行ってみるか」

 

 一誠がそう言うと、四人は夜道を屋敷へ向かって歩き出した。

 

 バイザーの屋敷は、町外れに建つ古い洋館だった。

 

 四人が敷地へ足を踏み入れた瞬間、屋根の上から影が降ってくる。

 

「町中をうろついてる神父ごっこの連中がいると思ったら、お前らかよ!」

 

 フリードだった。手にした剣が、異様な速度で振り下ろされる。木場が咄嗟に魔剣で受け止めた。衝撃で足元の土が抉れる。

 

 小猫はすぐに後方へ下がり、イリナの携帯電話へ発信した。

 

「フリードと遭遇しました。」

 

 続いて、残していたカンドロイドにも屋敷の位置を伝える。小型機は短い電子音を返し、その情報を離れた場所にいるミライへ送信した。

 

「……エクスカリバー・ラピッドリィ」

 

 木場が呟く。

 

「正解! 加速の聖剣だ! 避けられるもんなら避けてみな!」

 

 フリードの姿が消えたように見えた。次の瞬間には、木場の背後へ回り込んでいる。木場は振り返りざまに魔剣を合わせたが、フリードの剣はすぐに別の角度から襲いかかる。魔剣と聖剣が、夜の敷地内で幾度も火花を散らした。

 

 木場は剣技で食らいついている。しかし、ラピッドリィの加速を得たフリードの手数は、それを上回っていた。

 

「木場!」

 

 一誠が動こうとした瞬間、匙が制する。

 

「待て。俺が先だ」

 

 匙の手のひらから、黒い線が伸びた。黒い龍脈――アブソーブション・ライン。それがフリードの身体へ絡みつく。

 

「な――」

 

 フリードの動きが目に見えて鈍り、ラピッドリィを覆っていた光も僅かに弱まった。

 

「今だ、兵藤!」

 

「おう!」

 

 一誠が木場へ駆け寄り、左腕の籠手を突き出す。

 

『Transfer!』

 

 赤い光が、蓄えられていた力と共に木場へ流れ込んだ。木場の魔剣が強く輝き、動きが変わる。拘束によって動きの鈍ったフリードへ、強化された木場が初めて押し返す一撃を叩き込んだ。

 

「がっ……!」

 

 フリードが後方へ弾かれる。

 

 その時、屋敷の扉が音もなく開いた。

 

「見事だ。だが、まだ足りぬな」

 

 白髪の老人が姿を現す。木場の表情が、一瞬で強張った。

 

「バルパー・ガリレイ……!」

 

 その名を、木場は押し殺した声で吐き出した。

 

 バルパーは木場を一瞥しただけで、拘束されているフリードへ声をかける。

 

「フリード。お前の身体には、聖剣計画によって得られた因子が流れている。感じるだろう」

 

「あ……ああ、感じるぜ」

 

「その因子を、刀身へ注ぎ込め」

 

 フリードが目を見開き、口元を歪めた。

 

「そいつは、いいことを聞いた!」

 

 フリードの体内から濁った白い光が浮かび上がり、ラピッドリィの刀身へ流れ込む。聖剣の輝きが、爆発的に膨れ上がった。

 

「何だ、この力は……!」

 

 匙が目を見開く。フリードが強引に身体を捻る。膨れ上がった聖剣の力によって、フリードを縛っていた黒い線が強引に引き剥がされた。

 

「うわああっ!」

 

 接続を強制的に断たれた反動で、匙の身体が後方へ吹き飛び、地面へ叩きつけられる。

 

「匙!」

 

 木場が反応するより早く、加速したフリードの剣が振り下ろされた。

 

 その剣が届く寸前、青みがかった髪をなびかせた少女が、木場とフリードの間へ飛び込んだ。

 

「間に合ったか」

 

 エクスカリバー・デストラクションが、ラピッドリィの一撃を真正面から受け止めていた。

 

「ゼノヴィア!」

 

「遅れてすまない」

 

 続けて、もう一つの気配が屋敷の敷地へ駆け込んでくる。

 

「一誠くん、木場くん、大丈夫!?」

 

「イリナ!」

 

 小猫から連絡を受けた二人が、駆けつけたのだ。

 

 ゼノヴィアはフリードを押し返しながら、バルパーを睨む。

 

「聖剣計画の主犯が、今度は自ら手を汚すのか」

 

「汚れ仕事は好みではないのだがね」

 

 バルパーは涼しい顔で答えた。

 

 木場の拳が強く握られている。バルパーへ向ける視線には、隠しようのない憎悪が滲んでいた。

 

 その時、遠くから低い駆動音が近づいてきた。

 

 

 カンドロイドから屋敷の位置を受け取った時、私はすでに町の反対側まで来ていた。すぐにライドベンダーの進路を変える。

 

 夜道を走り、屋敷の門が見えた時、敷地の中から強い衝撃音が響いた。私はそのまま門を抜け、屋敷の敷地へ乗り入れる。速度を落とし、戦っている人たちから距離を取った場所で停車した。

 

「遅くなりました」

 

 ライドベンダーから降りた私の前には、激しい戦闘の跡が広がっていた。木場くん。ゼノヴィアさん。フリード。そして、バルパー・ガリレイ。

 

「まず無免許でここまで来たことについて話そうぜ!」

 

 一誠が振り返って叫んだ。

 

「今はその場合ではありません」

 

「ぐっ……それもそうか」

 

 一往復で会話を切り上げ、私は敵の方へ意識を向けた。到着したばかりで、何が起きているのか完全には把握できていない。状況も分からないまま割り込めば、木場くんやゼノヴィアさんの動きを妨げかねなかった。

 

 まずは状況を見極める。

 

 そう判断した直後、バルパーが私の方を見た。

 

「増援か。それも、得体の知れない力を持つ者のようだ」

 

 彼は僅かに目を細め、フリードへ声をかけた。

 

「これ以上、ここで交戦を続ける必要はない。退くぞ、フリード」

 

「えー、まだ遊べそうなのに」

 

「今は潮時だ」

 

 二人の足元に、あらかじめ用意されていたらしい魔法陣が浮かび上がる。

 

「逃がすかよ!」

 

 一誠が叫んだ。しかし、その声が届くより早く、光が弾ける。フリードとバルパーの姿が消えた。

 

 直後、屋敷の裏手に広がる林の中を、白い光が高速で移動していった。ラピッドリィの刀身を覆っていたものと、よく似た光だった。

 

 あまりにも分かりやすい光だった。こちらに追わせるため、わざと痕跡を残しているようにも見えた。

 

「待ってください。罠の可能性があります」

 

 私はそう声をかけたが、木場くんはもう走り出していた。

 

「裏です!」

 

「木場くん!」

 

「すみません。行かせてください!」

 

 振り返ることなく、屋敷の裏手へ駆けていく。

 

「エクスカリバーとバルパーを逃すわけにはいかない。私も追う」

 

 ゼノヴィアさんが続いた。

 

「待って、ゼノヴィア! 私も行く!」

 

 イリナさんも、その後を追う。

 

 三人の背中は林の中へ消え、すぐに見えなくなった。

 

 私はライドベンダーへ視線を向けた。今から乗れば、追いつけるかもしれない。けれど、三人が入っていったのは、木々に囲まれた細い道だった。ライドベンダーで無理に入り込めば、かえって見失う可能性もある。

 

 それに、視線を落とすと、匙くんが膝をついたまま動けずにいた。

 

「匙くん、大丈夫ですか」

 

「……悪い。拘束を破られた反動で、身体に力が入らねえ」

 

 三人が消えた林と、目の前の匙くん。これ以上、残った私たちまで分かれるべきではなかった。私は追跡をカンドロイドへ任せ、匙くんのそばへ残ることを選んだ。

 

 連絡役のカンドロイドへ告げる。

 

「木場くんたちを追ってください。何かあれば、すぐに報告を」

 

 小型の機体は短い電子音を返し、林の中へ走り去った。

 

 

 それから間もなく、屋敷の敷地に新たな魔法陣が展開された。

 

 リアス先輩、朱乃さん、支取会長、椿さんが姿を現す。

 

「これは……」

 

 リアス先輩が、壊れた敷地を見回した。

 

「表立って介入するつもりはなかったけれど、あなたたちが命令を破る可能性は考えていたから、使い魔に祐斗たちの位置だけは追わせていたの」

 

 リアス先輩の表情が僅かに曇った。

 

「けれど、祐斗たちが屋敷の裏の林へ入ったところで、使い魔も三人を見失ったわ」

 

「私も、匙の位置は確認していました」

 

 支取会長が眼鏡を押し上げる。

 

「ですが、急に聖剣の反応が膨れ上がった。私たちが転移の準備を整えた時には、すでに戦闘は終わっていたようですね」

 

 リアス先輩の視線が、私たち一人ひとりを通り過ぎる。

 

「それで、説明してもらえるかしら」

 

 その声は静かだった。けれど、断るという選択肢が存在しないことだけは分かった。

 

 私たちは、しばらく説教を受けた。命令に背いて勝手に捜索へ出たこと。敵と接触した後も、その場から退かなかったこと。

 

 私も、言い訳はしなかった。

 

「命令に背いたことは、事実です」

 

 素直に認める。

 

 一誠は、今夜の捜索を始めてからの経緯を、最初から説明した。その途中で、私が無免許のままライドベンダーで走り去ったことまで、律儀に報告した。

 

 支取会長が、私をじっと見た。

 

「それと、無免許で大型二輪車を運転したことについても聞きました」

 

「はい」

 

「どうしてそこだけ、そんなに素直なのですか」

 

「事実だからです」

 

「反省してください」

 

「はい」

 

 それ以上、説教は長引かなかった。木場くんたちが行方不明になっているという事実が、あまりにも大きかったからだ。

 

 現状の報告を終えると、リアス先輩たちは使い魔を放ち、三人の捜索を開始した。私のカンドロイドも、引き続き町や周辺の林を探し続けている。

 

 それでも、一定の時間が経っても三人は見つからなかった。

 

「捜索は私たちが続けるわ。あなたたちは、今夜はもう帰りなさい」

 

 リアス先輩の声には、有無を言わせない響きがあった。

 

 帰宅する前に、私は支取会長の転移魔法で、ライドベンダーと共に元の通りへ送ってもらった。自動販売機があった場所へライドベンダーを置き、その表面へ手を触れる。力を引くと、車輪と外装が折り畳まれ、機械部品が元の位置へ収まっていった。変化が終わった後には、何事もなかったように、普通の自動販売機が立っていた。

 

 

 木場くんたちを見つけたという報告は、その夜が明けるまで、どのカンドロイドからも届かなかった。

 

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