翌日の放課後、私たちはリアス先輩に案内され、旧校舎の奥へ向かっていた。普段使っている部室を通り過ぎ、その先の廊下へ進む。窓から差し込む夕方の光は次第に弱くなり、奥へ行くほど人の気配も薄れていった。
「部長、その子ってこの先にいるんですか?」
一誠が声を抑えて尋ねる。
「ええ。もうすぐよ」
先頭を歩くリアス先輩の隣には、朱乃さんがいる。その後ろを祐斗、小猫さん、アーシアさん、ゼノヴィアさん、一誠、私の順で進んでいた。
やがて、リアス先輩は一つの扉の前で足を止めた。見た目だけなら、ほかの教室と大きな違いはない。けれど、扉と周囲の壁には、何重もの術式が刻まれていた。普通の鍵とは違う。内側から漏れ出そうとする何かを押さえ込むように、複数の封印が重ねられている。中にいる人を逃がさないためというより、その人の力を外へ出さないための封印に見えた。
「昨日も聞いたけど、実際に見ると厳重だな……」
一誠が扉を見上げる。
「ギャスパーの神器は、本人の意思とは関係なく発動することがあるの。だから、念のために必要なのよ」
リアス先輩が一誠を振り返る。
「中へ入っても、急に近づいたり、大声を出したりしないでちょうだい」
「俺、そんなに信用ないんですか?」
「一誠ですから」
「ミライまで即答するなよ!」
扉の向こうから、小さく何かがぶつかる音がした。一誠が口を閉じる。
「もう驚かせています」
「悪かったよ……」
リアス先輩は小さく息を吐き、扉へ手を当てた。流し込まれた魔力に反応し、刻まれていた術式が一つずつ淡く輝く。複雑に重なった光の線がほどけ、重い金具が外れるような音が続いた。最後の封印が消える。リアス先輩は、できるだけ音を立てないように扉を開けた。
◇
部屋の中は薄暗かった。窓には厚いカーテンが引かれ、夕方の光もほとんど差し込んでいない。壁際には本棚や机があり、床には大小の箱が積まれていた。必要な家具だけを置いた部屋に見える。それでも、本棚には多くの本が詰め込まれ、棚の上には可愛らしいぬいぐるみが並んでいた。長い間、ここで生活していることが分かる。
「ギャスパー」
リアス先輩が部屋の奥へ呼びかけた。
「私よ。入るわね」
「ぶ、部長……?」
積まれた箱の向こうから、小さな声が返ってくる。
「今日は、あなたに会ってもらいたい人たちを連れてきたの」
「人たち……?」
箱の端から、金色の髪が覗いた。続いて、赤い目と白い肌。少女のように整った顔立ちをした人物が、こちらの様子を窺っていた。身に着けているのは、女子用の制服だった。人数の多さに驚いたのか、すぐに顔の半分を箱の陰へ隠してしまう。
「女の子……?」
一誠が小さく呟いた。
「ギャスパー。大丈夫よ。ここにいるのは、皆あなたの仲間だから」
「で、でも、人が多いですぅ……」
ギャスパーさんの視線が、私たちの間を落ち着きなく動く。アーシアさんが一歩進もうとしたが、怯えさせないように、その場で足を止めた。
「初めまして。アーシア・アルジェントです」
「は、初めまして……」
「私もリアス部長の眷属で、ギャスパーさんと同じ僧侶なんです」
「僧侶……」
一誠がアーシアさんとギャスパーさんを見比べた。何かを想像したらしく、表情が緩んでいく。
「金髪美少女の僧侶が二人……」
「一誠」
リアス先輩が呆れたように名前を呼ぶ。
「何ですか、部長?」
「先に教えておくけれど、ギャスパーは男の子よ」
一誠の笑顔が止まった。
「……え?」
「男の子よ」
リアス先輩がもう一度告げる。一誠はゆっくりとギャスパーさんを見る。
「お、男?」
「は、はいですぅ……」
一誠の肩が落ちた。その様子を見上げ、小猫さんが静かに口を開く。
「人の夢と書いて、儚い」
「まだ何も始まってねえよ……」
「始まる前に終わりました」
「追い打ちをかけるな、小猫ちゃん……」
ゼノヴィアさんは、一誠とは違うところが気になったようだった。
「男なのに、なぜ女子の制服を着ている?」
「こ、こっちの方が可愛いからですぅ……」
「可愛いから?」
「はい……」
「本人が可愛いと思って選んでいるのでしたら、問題ないのではありませんか?」
私が言うと、一誠が顔を上げた。
「ミライは普通に受け入れるんだな」
「服装は、着る本人が決めるものだと思います」
「そういうものなのか?」
「一誠も、着たい服を着ればよいのではありませんか?」
「俺は今の制服でいい!」
「では、問題ありません」
視線を感じた。ギャスパーさんが、箱の陰から私を見ていた。目が合うと、すぐに隠れてしまう。けれど、先ほどよりも少しだけ多く顔を出していた。
「改めて紹介するわね」
リアス先輩が私たちの前へ出る。
「この子はギャスパー・ヴラディ。私のもう一人の僧侶よ」
「よ、よろしくお願いしますぅ……」
ギャスパーさんが小さく頭を下げた。
「人間と吸血鬼の混血で、強力な神器を持っているわ。ただ、その力をまだ制御できていないの」
「昨日、話していた神器ですね」
「ええ」
リアス先輩は、箱の陰にいるギャスパーさんへ向き直った。
「ギャスパー。これから少しずつ、外へ出る練習を始めてみない?」
「そ、外……?」
「いきなり大勢の前へ出ろとは言わないわ。まずは部室へ来たり、皆と話したりするところからでいいの」
「無理ですぅ……」
ギャスパーさんが首を振る。
「人が怖いです。外も怖いです。それに、ボクが出たら、また力が勝手に……」
「ギャスパー」
「無理ですぅ!」
声が大きくなった。一誠が、落ち着かせようとしたのか、一歩前へ出る。
「大丈夫だって。いきなり何かさせようってわけじゃ――」
「来ないでくださいぃ!」
ギャスパーさんの赤い目が、強い光を放った。
◇
一誠の声が、途中で途切れた。伸ばしかけていた腕も、揺れていた髪も動かない。リアス先輩も、朱乃さんも、祐斗も、アーシアさんも、その瞬間の姿勢のまま止まっていた。カーテンの隙間から差し込む光の中で、埃が宙に浮いている。それさえ、まったく動いていなかった。
音もない。皆の呼吸音さえ聞こえない。周囲の時間が止まっていた。
けれど、私は止まっていなかった。身体に違和感はない。指も足も、自分の意思どおりに動かせる。それでも、私は動かなかった。ここで私だけが動けば、説明を求められる。それ以上に、あの力が私にだけ効かなかったとギャスパーさんに知られれば、自分の神器を恐れている彼を、さらに怯えさせるかもしれない。
「ご、ごめんなさい……」
止まった世界の中で、ギャスパーさんだけが声を出していた。
「また、止めてしまいました……」
箱の陰から飛び出し、私たちから逃げるように部屋の奥へ走っていく。周囲を見る余裕はないらしく、私が動けることには気づいていなかった。奥に積まれた別の箱の裏へ潜り込む。その直後、宙に浮かんでいた埃が再び落ち始めた。
「――わけじゃ……って、あれ?」
一誠の声が続いた。伸ばした手の先から、ギャスパーさんだけが消えている。
「どこへ行った?」
「今のが、ギャスパーの神器よ」
リアス先輩が、部屋の奥を見る。
「《停止世界の邪眼》――フォービドゥン・バロール・ビュー。視界に捉えた対象の動きを、一定時間停止させる神器よ」
「俺たち、止められてたのか?」
「ええ。止まっている間のことは、認識できなかったでしょうけれどね」
一誠が自分の手を握り、また開いた。
「全然分からなかった。気づいたら、ギャスパーが消えてたぞ」
「それほど強力な神器なのですか?」
アーシアさんが尋ねる。
「使い方次第では、とても強い力になるわ」
リアス先輩が頷く。
「でも、ギャスパーはまだ制御できていない。恐怖や興奮で感情が高ぶると、本人の意思とは関係なく発動してしまうの」
時間を止める力。それが私に効かなかった理由に、心当たりがないわけではない。私の中にある力も、時間と無関係ではなかった。けれど、なぜ止まらなかったのかを正確に説明できるほど、自分自身のことを理解してはいない。それに、皆へ説明するのは会談の場だと決めている。今ここで、自分だけが動けたと伝えても、疑問を増やすだけだった。私は何も言わず、ギャスパーさんが隠れた部屋の奥を見つめた。
◇
「ギャスパー」
リアス先輩が、積まれた箱の向こうへ呼びかける。
「怒っていないわ。出てきても大丈夫よ」
「ご、ごめんなさいですぅ……」
「謝らなくていいの。だからこそ、これから皆と一緒に練習していきましょう」
「でも……」
「一人では難しくても、皆とならできることもあるわ」
しばらく待つと、箱の隙間からギャスパーさんが顔を出した。赤い目には、怯えと申し訳なさが混ざっている。
「一誠」
「はい?」
「あなたには、眷属の先輩としてギャスパーを支えてほしいの」
「俺が?」
「あなたも、自分の神器に振り回された経験があるでしょう?」
一誠が左腕へ目を落とす。
「今だって、まだ使いこなせてるとは言えないですけど……」
「それでも、以前よりは進んでいるわ。だから、ギャスパーにも伝えられることがあると思うの」
一誠は、箱の陰にいるギャスパーさんを見た。
「分かりました、部長。俺にできることなら、やってみます」
「ありがとう」
リアス先輩は祐斗へ視線を向けた。
「祐斗、そろそろ時間ね」
「うん」
祐斗が頷く。
「どこかへ行くのですか?」
私が尋ねると、祐斗は腰に下げた剣へ手を添えた。
「首脳会談に向けて、もう少し訓練を続けることになっているんだ。聖魔剣も、まだ完成した力ではないからね」
「無理はしないでください」
「分かっているよ」
祐斗は穏やかに笑った。
「私と朱乃も、会談の準備へ戻るわ」
「それでは、あとは皆さんにお願いしますね」
朱乃さんはそう言って、箱の陰にいるギャスパーさんへ柔らかく微笑んだ。
「無理に外へ連れ出す必要はないわ。今日は少し話すだけでも十分よ」
「分かりました」
アーシアさんが答える。
「一誠。お願いね」
「はい、部長」
リアス先輩と朱乃さん、祐斗が部屋を出ていった。残ったのは、一誠、アーシアさん、小猫さん、ゼノヴィアさん、私。そして、再び箱の陰へ隠れたギャスパーさんだった。
◇
「ギャスパー」
一誠は、今度はその場から動かずに呼びかけた。
「いきなり外へ出ろとは言わねえよ。少しだけ、こっちへ来て話さないか?」
「む、無理ですぅ……」
「俺たちは敵じゃないからさ」
「それでも、人が怖いです……」
一誠が困ったように頭を掻く。アーシアさんが、その隣から声をかけた。
「ギャスパーさん。私も初めは、皆さんとどのようにお話しすればよいのか分かりませんでした」
「アーシアさんもですか……?」
「はい。でも、一誠さんやリアス部長たちが助けてくださいました」
「でも、ボクは……」
「無理をしなくても大丈夫です。まずは、お顔を見せていただくだけでも……」
箱の隙間から、ギャスパーさんが少しだけ顔を出す。アーシアさんへ向ける視線は、先ほどよりも落ち着いていた。
「なるほど」
ゼノヴィアさんが腕を組んだ。
「部屋に閉じこもっているから、弱気になるのだ。まずは身体を動かした方がよい」
「段階を飛ばしすぎです」
「何もしなければ、変わらないだろう」
ゼノヴィアさんはギャスパーさんへ向き直った。
「ギャスパー。まずは走れ」
「ど、どうしてですかぁ……?」
「身体を動かせば、余計なことを考えずに済む」
そう言いながら、ゼノヴィアさんが背中のデュランダルへ手を伸ばした。
「ゼノヴィアさん。なぜ剣が必要なのですか?」
「私が剣を持って追えば、本気で逃げるだろう」
「それは鍛錬ではなく、脅迫です」
「使うつもりはない」
「ギャスパーさんには分かりません」
「ひぃっ!」
私の言葉を証明するように、ギャスパーさんが箱の陰から飛び出した。そのまま扉へ向かって走る。
「速いではないか。その調子だ」
「追いかけないでくださいぃ!」
「ゼノヴィア、待て!」
一誠も廊下へ出ていく。小猫さんは、制服のポケットから小さな袋を取り出した。中にはニンニクが入っていた。
「小猫さん」
「はい」
「それをどうするつもりですか?」
「吸血鬼に効くか確認します」
「今は倒す場面ではありません」
「確認するだけです」
小猫さんも、ニンニクを手に廊下へ向かう。
「結局、追いかけるのですね」
「はい」
アーシアさんが困ったように二人を見送った。
「大丈夫でしょうか?」
「大丈夫ではないと思います」
私たちも後を追った。
◇
旧校舎の廊下では、ギャスパーさんが柱の陰へ隠れ、その少し前を一誠が塞いでいた。さらに離れた場所で、ゼノヴィアさんと小猫さんが様子を窺っている。
「二人とも、一度落ち着け!」
「私は落ち着いている」
「私もです」
「その状態で言われても信用できねえよ!」
「何の騒ぎだ?」
廊下の向こうから声がした。書類を抱えた匙さんが、こちらへ歩いてくる。
「兵藤。また何かやってるのか?」
「何で最初から俺が原因だと思うんだよ!」
「普段の行いだ」
「否定しにくいのが腹立つ!」
その間に、ギャスパーさんが柱の陰から顔を出した。匙さんの視線がそちらへ向く。
「何だよ。こんな可愛い子がいたのか?」
ギャスパーさんは驚き、また顔を隠した。匙さんが一誠へ顔を寄せる。
「おい、兵藤。誰だ、あの金髪の美少女は?」
「リアス部長の、もう一人の僧侶だ」
「もう一人?」
匙さんの目が輝く。
「アーシアさんと金髪美少女僧侶コンビってことか!」
一誠の表情が複雑なものになる。
「分かるぞ、匙。でも、ギャスパーは男だ」
「……男?」
「男だ」
匙さんは、書類を抱えたままその場へ膝をついた。
「そんな……」
「俺もさっき、同じ衝撃を受けた」
「受けたくなかった……」
「二人とも」
私が声をかける。
「ギャスパーさんの前で続ける話ではありません」
一誠と匙さんが、同時に柱の陰を見る。
「悪い、ギャスパー」
「す、すまん……」
「なぜ匙さんまで謝るのですか?」
「何となく……」
そのとき、廊下の奥から別の声が聞こえた。
「聖魔剣の使い手は、ここにはいないのか?」
聞き覚えのある声だった。
◇
廊下の端に、一人の男性が立っていた。仕立てのよい服を自然に着こなし、落ち着いた表情でこちらを見ている。以前、百年以上使われてきた懐中時計を、私の店へ持ち込んだ男性だった。
「……以前の懐中時計のお客様」
男性が私を見る。
「覚えていたか、時計屋の嬢ちゃん」
「忘れるわけがありません。あれほど貴重な時計を持ち込んだ太客ですから」
ゼノヴィアさんの手が、すぐにデュランダルへ伸びた。小猫さんも姿勢を低くし、男性から目を逸らさない。匙さんは抱えていた書類を脇へ寄せ、いつでも動けるように身構えていた。
「ミライさんのお知り合いですか?」
アーシアさんが、警戒したまま尋ねる。
「知り合いというほどではありません。時計を預かったお客様です」
「俺の悪魔契約のお得意様でもある」
一誠が男性を睨んだ。
「何度か契約で呼び出されて、ついこの間、向こうから名乗ってきたんだ」
一誠の声が低くなる。
「堕天使の総督、アザゼルってな」
「そう警戒するな。今日は戦いに来たわけじゃない」
「だったら、何をしに来たんだよ」
一誠が尋ねる。
「聖魔剣の使い手を見に来た。ここにいると聞いたんだがな」
「祐斗なら、訓練に行っています」
私が答える。
「入れ違いか」
アザゼルは残念そうに言った。それ以上、祐斗を捜そうとはしなかった。
「それより、あんた。どうして今まで正体を隠して俺に近づいてたんだ?」
「神器所有者を観察するのが趣味でな」
「趣味で人の生活に入り込むな!」
「悪意があったわけじゃない」
「だからって、納得できるかよ!」
アザゼルは肩をすくめ、今度は私へ視線を向けた。
「お前にも正体を隠していたことになるな」
「時計の修理に、お客様の正体は必要ありませんでした。その点は構いません」
「話が分かるな」
「ですが、一誠に身分を隠して近づいた理由が『趣味』というのは理解できません」
「時計屋の嬢ちゃんも、そこは気にするのか」
「当然です」
アザゼルの視線が、一誠へ移る。
「赤龍帝の籠手」
続いて、アーシアさんを見る。
「聖母の微笑」
最後に、柱の陰に隠れているギャスパーさんへ目を向けた。
「そこの坊主が、停止世界の邪眼か」
「ど、どうして……」
「神器研究は俺の趣味みたいなもんでな。有名どころなら、見ればだいたい分かる」
アザゼルは最後に私を見た。その目が、わずかに細められる。
「だが、お前のは別だ」
「私ですか?」
「ああ。少なくとも、俺の知っている神器の分類には入らん」
一誠たちの視線が、私へ集まった。
「私の力については、会談の場で皆さんにまとめて説明します」
「今は話せないのか?」
アザゼルが尋ねる。
「中途半端に説明すれば、余計に混乱させるだけです。それに、私自身にも整理する時間が必要です」
「そうか。なら、会談で聞かせてもらう」
アザゼルはあっさりと背を向けた。
「聖魔剣の使い手がいないなら、ここに長居する理由もない。邪魔したな」
「勝手に入ってきて、それだけかよ!」
「話なら会談でできる。今ここで揉める必要もないだろ?」
誰も答えなかった。友好的な相手ではない。けれど、三大勢力の代表が集まる会談を目前に、こちらから争いを始めることもできなかった。アザゼルは最後に一度だけ私を見て、そのまま廊下の奥へ歩いていった。
◇
アザゼルの姿が見えなくなってからも、廊下には張りつめた空気が残っていた。
「何しに来たんだ、あいつ……」
一誠が吐き捨てるように言う。
「祐斗の聖魔剣を確認しに来たようですが、それだけではなかったと思います」
「ミライの力にも気づいてたな」
「見抜いたのではありません。分からないと言われただけです」
「それでも、あいつが分からないって言うくらいなんだろ?」
否定はできなかった。神器を研究しているアザゼルから、既存の分類には入らないと言われた。分かっていたことを、改めて突きつけられたような気がした。
「会談で話すって言ってたよな」
「はい」
「じゃあ、それまでは待つ」
「ありがとうございます」
一誠は、それ以上尋ねなかった。柱の陰から、ギャスパーさんがこちらを見ている。力を制御できず、自分自身を怖がっている少年。その力で周囲の時間が止まったとき、私だけは止まらなかった。けれど、そのことは誰にも話せなかった。ギャスパーさんにも。皆にも。
会談までに、自分の力が何なのかを、皆へ話せる言葉にしなければならなかった。
今後の更新について、最も近い希望を教えてください
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このまま続けてほしい
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短く休んでから再開してほしい
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不定期でも続けてほしい
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今回で一区切りでもよい
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作者の判断に任せたい