引き金が落ちた。
腹の底まで響くような轟音が二十五階のスカイロビーを貫き、直前まで私の頭があった場所を弾丸が通り抜ける。背後の柱へ着弾した瞬間、大理石の化粧材が白い破片となって周囲へ弾け飛んだ。
「――っ!」
身体を戻すより先に床を蹴り、二十六階へ続く階段へ向かう。
「FOX3、距離を詰めろ。FOX2、その後ろにつけ。FOX4は射線が通った時だけ撃て」
「了解!」
「はい」
『りょーかい』
背後から迫る足音は、休憩へ入る前までより明らかに近かった。
階段へ飛び込み、いつものように二段飛ばしで駆け上がろうとしたところで、左太腿の奥に鋭い痛みが走る。
「っ……」
思わず歩幅が縮んだ。二十三階で《メディカル》を使ったとはいえ、傷そのものが治ったわけではない。左脇腹も呼吸を深くするたびに痛み、右肩と肩甲骨周辺には、オトギさんから受けた対物ライフルの重い衝撃が今も残っている。
それでも、足は止めなかった。クルミさんたちは待ってくれないし、今回は最初から、距離を作らせるつもりさえないらしい。
○
二十六階の防火扉を押し開けると、中央のエレベーターホールから左右へ長い客室廊下が伸びていた。
屋上から伝わってくる振動に合わせて照明が小さく揺れ、壁に掛けられた絵が僅かに傾いているものの、この辺りはまだ大きく壊れてはいない。
宿泊客のいない貸切状態に加え、非常時に備えて宿泊区画の電子錠は一斉解錠されたままになっている。おかげで客室へ逃げ込むたび、カードキーを探す必要はない。
「ちょっと待ってって!」
「待ったら追いつかれるので嫌です!」
「もう追いついてるって!」
声の近さからして、その言葉はほとんど間違っていなかった。
廊下の角を曲がった先には、清掃途中だったらしいワゴンが置かれていた。タオルや替えのシーツ、洗剤類が積まれ、その横には一本のモップが立て掛けられている。
私は《アストラノヴァ》を右手だけで抱え直し、走りながら左手を伸ばしてモップを引き抜いた。握っただけで、いつものものとは違うと分かる。
グレイフィアさんから頂いた専用品より軽く、柄も少し長い。重心も合っていないし、私の身体能力を前提に補強されてもいない。
さすがに会談の行われるホテルへ、自分用のモップまで持ち込む理由はない。そう考えて置いてきたことを、今になって少しだけ後悔した。
けれど、これでも使うだけなら十分だった。
クルミさんとニコさんには以前、一誠や裕斗と一緒に、銃を持ったまま距離を詰められた時の対処や、近距離での身体の使い方を教わったことがある。つまり、こちらが何を知っているのかは、向こうも知っている。
前方へ走りながら身体を反転させた時には、もうクルミさんの大盾が目の前まで迫っていた。
「っ!」
モップの先端を振り上げる。狙いは盾そのものではない。先端を盾の上端へ滑らせ、クルミさんの顔の前へ被せて視界を一瞬だけ遮ると、すぐに柄の中央を持ち替え、掃除をする時のような低い軌道で足元へ走らせた。
「それ、次は下でしょ!」
クルミさんが先に足を引く。
「……当然、覚えていますよね!」
「教えたんだから覚えてるって!」
外された勢いを止めず、モップを半回転させて柄尻を突き込む。大盾が横から割り込み、硬い感触が腕へ返ってきた。それとほぼ同時に、右肩の傷まで強く疼く。
「っ……!」
僅かに遅れた。そこを、ニコさんは見逃さなかった。
「右肩、まだ痛そうですね」
盾の脇からショットガンが伸びる。
「お気遣いはありがたいですが――」
モップの先端を銃身へ絡ませ、真正面から押さえ込まず、そのまま横へ滑らせる。
「今は結構です!」
銃口が壁へ向いた。けれど、ニコさんはすぐに手首を返し、モップを銃身から外す。
「ちゃんと覚えてますね」
「教えていただきましたから」
「でも、それを外す方法も教えましたよ?」
「それも覚えています!」
ショットガンが再びこちらを向く。もう避けられる距離ではなかった。
Shield ON
《アストラノヴァ》から防御機構が展開された直後、至近距離からの散弾が叩きつけられた。
「っ……!」
弾そのものは止めたものの、衝撃は右肩から背中へ抜け、十八階で撃たれた肩甲骨周辺まで強く痛む。さらに――。
「今!」
クルミさんが大盾ごと突っ込んできて、二つの盾が激突した。
真正面から受け止め続けるつもりはない。右足を引き、腰の向きを変えながら重心を横へ移す。力で止めるのではなく、流す。グレイフィアさんに何度も直された動きだった。
クルミさんの勢いが前へ抜けた瞬間、その盾の側面へ身体を滑り込ませる。
「わっ!」
すれ違いざまに《シールド》を解除し、《アストラノヴァ》を腰の近くへ抱え直して、左手のモップを引きながら廊下の奥へ駆け出した。
「FOX3、そのまま追え。FOX2は右から先回り」
「分かった!」
「はい」
一人を抜いただけでは、当然終わらない。客室の一つへ飛び込んでドアを閉めても、数秒もしないうちに足音が近づいてきた。
私は室内を見回し、窓際まで続く厚手のカーテンへ《アストラノヴァ》を向ける。
Scissors ON
鋏状の機構がレール近くの固定部分をまとめて切断し、重い布が床へ落ちる。それとほぼ同時に、ドアが開いた。
「そこ!」
入ってきたクルミさんへ向け、私は落ちたカーテンを蹴り上げた。
「うわっ!」
白い布が視界を覆う。その向こうへモップを差し込むと、すぐに硬いものへ当たった。盾だ。位置さえ分かれば十分だった。モップで盾の表面をなぞりながら、その脇を抜けて廊下へ飛び出す。
「FOX1、左に抜けた!」
「確認した。FOX2、そのまま」
前方の角からニコさんが現れた。後ろからはクルミさん、さらに遠くからユキノさんの銃撃まで飛んでくる。廊下の中央には清掃ワゴンが残り、その向こうには小さなソファまで置かれていた。走って抜けようとすれば間に合わない。
Hopping ON
跳躍補助機構が展開され、身体が強く上へ運ばれる。
「上!?」
清掃ワゴンを越え、その向こうのソファまでまとめて飛び越える。踏み切った瞬間に左太腿が強く痛んだけれど、すでに身体は宙にあった。
着地点を確認した、その時だった。
腹の底へ響くような轟音。
『そこかな~』
「――っ!」
床が弾けた。狙われていたのは、着地点だった。
身体を捻ったせいで姿勢が崩れ、右肩から落ちそうになる。それだけは避けたい。左側へ身体を流して勢いを殺さず床へ転がり、左脇腹の痛みをこらえて片膝から立ち上がった。
「……着地点まで読まれますか」
クルミさんたちの足音は、さっきまでより明らかに近い。距離を与えれば、その分だけ私の使えるものが増える。だから、最初から何もさせない気なのだ。
――ただ、一つだけ引っかかる。
二十五階でユキノさんは、私が四人を会談室から引き離そうとしていたことまで見抜いていた。それなら普通は、誰か一人でも十階へ戻すはずだ。けれど、クルミさんもニコさんも、ユキノさんもオトギさんも、四人ともまだ私を追っている。
理由までは分からない。でも、それを考えるために立ち止まれる状況でもなかった。
○
二十七階へ入ってからは、長い廊下をそのまま走るのをやめた。客室へ入り、内部の連結扉から隣室へ移り、そこから一度廊下へ戻ってまた別の部屋へ入る。
普通なら移動経路として使わない場所ばかり選んでいるのに、FOX小隊は少しも離れなかった。
「FOX2、次の連結室へ回れ。FOX3はそのまま追え」
「……本当に早いですね」
連結扉を閉めた直後、反対側の出入口からクルミさんが飛び込んでくる。モップを盾の側面へ沿わせて腕の方へ絡ませようとしたけれど、クルミさんはそれを振り払わず、大盾ごとこちらへ押し込んできた。
「っ……!」
背中が壁へ触れ、モップの柄が盾との間に挟まれる。このまま力比べをすれば壊れる。握る力を緩め、角度を変えて引き抜こうとした瞬間、横からニコさんが踏み込んできた。
「失礼しますね」
右腕を取られ、傷んだ肩へ負担が掛かって思わず息が詰まる。それでも力任せには引かない。掴まれた手首を相手の親指側へ向け、身体ごと内側へ滑り込ませると、手が外れた。
その動きのまま掌底へ繋ぐと、ニコさんが頭を引いた。続けて出した肘も腕で流される。ならばと身体を低くして足払いへ移ったが、ニコさんは先に足を引いた。
「そこも覚えてます」
「……教わった通りですから!」
言い終わるより先に肩を取られ、身体が浮いた。
右肩から落ちればまずい。腰を捻って左側へ落ちる形に変えながら受け身を取り、左脇腹に鈍い痛みを感じつつも床を転がって、勢いが残っているうちに片膝をつく。
「お、綺麗に立った!」
クルミさんの声。
「何度も転がされましたから!」
「誰に?」
「グレイフィアさんです!」
「あー……」
クルミさんが妙に納得した顔になり、ニコさんまで小さく頷いた。
「それなら納得ですね」
「どういう意味ですか」
「そのままの意味ですよ」
もちろん、会話をしているからといって攻撃は止まらない。クルミさんが再び大盾を前へ出す。モップを拾い直す時間はなかった。
Spike ON
《アストラノヴァ》から展開したスパイクで盾そのものを壊すのではなく、その縁へ引っ掛けて横へ引く。
「っと!」
大盾が僅かに外側へ流れた。そこへ身体を滑り込ませ、肩を入れて距離を詰めながら掌底を打ち込むと、クルミさんが半歩下がる。
《スパイク》を解除して床のモップを左手で拾った直後、ニコさんが来た。柄を回してショットガンの銃口を横へ逸らしたところへ、今度はクルミさんの盾が割り込んでくる。モップを横へ寝かせ、盾の動きを流そうとした。
しかし。
バキッ。
「…………」
嫌な音がして、手元が急に軽くなる。柄が真ん中から折れていた。
「……やっぱり、持ちませんでしたか」
「今それ気にする!?」
「気にはなります!」
折れた柄の片側だけを短く持ち、ニコさんの銃身を一度払って距離を作る。これ以上は長物として使えない。私は折れた柄を床へ置いた。
「……ありがとうございました」
「モップにお礼言った!」
「借りたものなので!」
正面にはクルミさん、反対側にはニコさん。廊下へ出ても、ユキノさんが待っている。なら、出口を使わなければいい。
Drill ON
「え?」
狙うのは、隣室との間にある非構造壁だった。回転機構を押し当てると、甲高い音を立てて壁材が砕け始める。
「ちょっと、そこ壊すの!?」
身体が通れるだけの穴を開け、《ドリル》を解除して隣室へ飛び込んだ。
「FOX1! 壁抜いた!」
「確認した。FOX2は廊下から回れ。FOX3はそのまま追え」
「そのままって……この穴、盾通らないんだけど!」
「縦にしろ」
「無茶言うなぁ!」
振り返る余裕はなかったが、すぐ後ろで壁材がさらに崩れる大きな音がした。どうやら本当に盾を縦にして押し込み、そのまま穴を広げながら通ってきているらしい。
「……来るんですね」
「行けって言われたからね!」
さらに別の客室を抜けて廊下へ出ると、清掃用のワゴンが一台、通路脇に立ったまま残されていた。
Stamper ON
走りながら、時間差で炸裂するスタンプ機構をワゴンの側面へ押し付け、そのまま解除して角を曲がる。
数秒後。
「これ何――」
ドンッ!
背後で爆発が起き、ワゴンが横倒しになって、積まれていたタオルや備品が廊下いっぱいへ散らばった。
「わっ!」
「FOX3、止まるな!」
「止まってないって!」
完全には止められない。それでも、数秒は稼げた。
階段へ向かおうとしたところで、次の角からニコさんが現れる。
「はい、こちらです」
「……」
反転すればクルミさん。右の廊下へ入ろうとすれば、ユキノさんの銃弾が壁へ刺さる。左側の長い直線の向こうには、オトギさんの長い銃身まで見えた。
『そっちは空いてるよ~』
「絶対に空いていませんよね」
『うん』
「ですよね!」
四方向。今度は、本当に塞がれている。
Smoke ON
濃い煙を一気に吐き出し、廊下の交差点を覆う。
「煙!」
「いつもの逃げ方を警戒しろ。FOX3は階段側、FOX2は客室側――」
ユキノさんの指示を聞きながら、私は逆に、その声がした方向へ走った。
何度も煙を使い、その度に距離を取ってきた。なら、向こうもそう考える。だから今回は、近づく。
煙の中でユキノさんの姿は見えない。けれど、最後にいた位置は覚えている。数歩進んだところで、煙の中から銃口が現れた。
「――!」
身体を沈めて銃身の下へ入り、左手で横へ押し流しながら、肩をぶつけるようにして脇を抜ける。
「っ、進路変更! 階段へ向かった!」
《スモーク》を解除して煙の外へ出ると、目の前には二十八階へ続く階段があった。左太腿の痛みを無視し、一段ずつ駆け上がる。
一人なら抜けられる。クルミさんでも、ニコさんでも、ユキノさんでも、オトギさんでも、逃げるだけなら方法はいくつか思いつく。問題は、一人を抜いた先に必ず次がいることだった。
○
二十八階へ上がると、客室の造りが少し変わった。通常の客室に混じってジュニアスイートが増え、リビングと寝室が分かれた広い部屋の外壁側には、大きなガラス戸とバルコニーが設けられている。
私はそのうちの一室へ飛び込み、ソファの脇を抜けた。後ろからクルミさん、正面側の扉からはニコさんが入ってくる。
「挟みましたよ」
「そうみたいですね!」
ニコさんのショットガンがこちらを向く。《アストラノヴァ》を持ち上げたものの、撃つより先に銃身を横へ押し流された。こちらもショットガンを外へ向けて一歩踏み込むと、もう銃を撃つための距離ではなくなる。
ニコさんの膝を避けて肘を返したが、腕で受けられ、すぐに右手首を取られた。傷んだ肩を引かれ、痛みで力が僅かに抜ける。
「っ……!」
「やっぱり右、かなり痛そうですね」
「戦いながら診察しないでください!」
身体を内側へ入れて手首を外す。けれど、その先までニコさんは知っている。
「次はこっちですよね」
外した腕を追うのではなく、肩を押さえられた。私はすぐに重心を落とし、投げへ移られる前に横へ抜ける。そこへクルミさんの盾が迫った。
室内側には、もう逃げ場がない。背後にはバルコニーへ続くガラス戸。なら、外へ出る。
戸を開け、そのまま夜風の中へ飛び出した。
「外に行った!」
冷たい風が髪を一気に後ろへ流す。数十階下には街の灯りが広がり、上からは屋上の戦いの衝撃が、時折ホテル全体を震わせている。
バルコニーは室内より遥かに狭く、隣のバルコニーまでは数メートル。後ろにはクルミさんがいて、隣の部屋でも誰かが動いている。
Camera ON
観測機構で、まず隣のバルコニーを見る。ユキノさん――そこへ飛ぶのは駄目だ。さらにその先、一部屋挟んだ先には誰もいないバルコニーがある。そして反対側、少し離れた位置には長い銃身が見えた。
「……オトギさん」
画面の中で、こちらへ向いていた銃口が動く。
『見つかった~』
すぐに《カメラ》を解除した直後、腹の底へ響く轟音とともに手すりが弾け、破片が夜へ飛んだ。
狙うのは、ユキノさんのいる隣ではない。そのさらに先だ。
Rocket ON
「一個飛ばすつもり!?」
クルミさんの声を背中に聞きながら噴射する。身体が強く引かれて足元から床が消え、夜空と、遥か下に広がる街の灯りだけが視界いっぱいに広がった。
一直線に、一部屋挟んだ先のバルコニーへ。
「FOX4」
『はーい』
再び、腹の底へ響く轟音。
「――っ!」
今度は左上腕へ強烈な衝撃が叩き込まれた。腕そのものが横へ跳ね、《アストラノヴァ》を落としかける。どうにか右手で保持したものの、身体の軌道まで大きく逸れ、目標にしていたバルコニーの手すりが目の前を通過した。
「まず――」
足元には何もなく、身体がそのまま落ちていく。
Parachute ON
《ロケット》を解除して減速機構を展開すると、身体を強く引き上げられるような抵抗が掛かった。
「っ……!」
右肩と左上腕が同時に痛む。それでも落下速度は大きく下がり、強い風に流されながら、ホテルの外壁に沿ってゆっくりと降りていく。窓が一枚、二枚と上へ流れた。
腹の底へ響く轟音がもう一度響き、すぐ横の外壁が砕ける。
『逃げにくそうだね~』
「そう思うなら撃たないでください!」
『それは無理かな~』
「知っています!」
外壁の角が近づいてくる。その時、下見のときに確認していた場所を思い出した。
二十八階のコーナースイートには、建物の形に合わせて、他のバルコニーより少し低い位置へ張り出したテラスがある。同じ二十八階の、あそこなら届く。
風に流される力を利用して身体を寄せ、テラスの床が近づいたところで《パラシュート》を解除する。両足が床へ触れた瞬間、左太腿へ鋭い痛みが走り、まともには踏ん張れなかった。
だから止めずに、そのまま前へ転がって衝撃を逃がし、片膝をつく。
「っ……はぁ……」
すぐに立つ。テラスから室内へ続くガラス戸には、屋上からの振動のせいか、蜘蛛の巣状の亀裂がすでに走っていた。開けている時間はない。
《アストラノヴァ》を横向きに構え、その側面を亀裂へ叩きつけると、ガラスが大きな音を立てて砕けた。破片を避けながら室内へ飛び込む。
「おかえりなさい」
「……待っていましたか」
ニコさんがいた。
「ええ。あの位置から落ちたなら、この辺りかなと思いまして」
ショットガンの銃口が上がり、こちらも《アストラノヴァ》を向ける。けれど距離は一歩もない。左腕にはオトギさんから受けたばかりの痛みがあり、右肩もとうに万全ではない。
それでも、ニコさんが銃身へ手を掛けた瞬間には身体が動いていた。
ショットガンを壁側へ押そうと左腕へ力を込めた途端、撃たれた上腕に痺れるような痛みが走る。
「っ……!」
押し切れない。すぐに腕だけで対抗するのをやめ、身体ごとニコさんとの距離を詰める。天井へ押し上げられた《アストラノヴァ》はそのままに肘を返したが、それも避けられた。
そのまま身体を寄せ、互いに銃を撃てない距離を保つ。ニコさんが肩を入れて押し返し、左脇腹の痛みで僅かに姿勢が崩れたところへ、足が来た。
踏まれる前に引き、今度はこちらから足払いへ繋いだけれど、ニコさんに避けられる。
「以前より、ずっと繋がるようになりましたね」
「何度も練習しましたから」
「木場さんたちと一緒に?」
「はい。一誠もです」
「それなら教えた甲斐がありました」
「今は少し複雑ですが!」
ほんの僅かに距離が開き、互いに銃口を上げる。ほぼ同時に発砲し、身体をずらしたそれぞれの背後で、弾丸が家具へ突き刺さった。
その間へ、大盾が割り込む。
「追いついた!」
「……早いですね!」
「外まで回らされたんだからね!」
クルミさんだ。廊下側からはユキノさんの足音、窓の外の別のバルコニーでは、オトギさんが再び射線を作ろうとしている。
また四人。けれど今度は、ただ走り出すわけにはいかない。このままでは出口を塞がれる。
私は天井近くへ視線を走らせた。屋上からの振動で天井材の一部が落ち、客室の扉の少し先、共用部へ続く梁が剥き出しになっている。使える。
Winch ON
ワイヤーを射出して梁へ固定する。
「またそれ!?」
クルミさんが盾を構え直す。私はワイヤーを巻き取り、身体が前へ引かれるのに合わせて、真正面から抜こうとはせずソファの背を踏み台に斜め上へ跳び、盾の上を越える。
「ちょっ!」
左太腿が悲鳴を上げ、右肩にも巻き取りの負荷が掛かる。それでも、今止まる方が危険だった。
クルミさんの頭上を抜けて廊下側へ着地すると、ユキノさんが銃口を向けた。床へ身体を投げて最初の一発をやり過ごし、《ウインチ》を解除する。転がった勢いのまま立ち上がり、二十九階へ続く階段へ飛び込んだ。
○
二十八階では、外へ出ることで一度だけ包囲を崩せた。なら、次も使えるかもしれない。
そんなことを考えながら二十九階の防火扉を押し開けると、さらに広い上級客室階が広がっていた。外壁側の大きな窓の向こうには、複数のバルコニーが並んでいる。
自然とそちらへ視線が向いた、その直後だった。
「FOX3、外側へ先行。FOX2は室内から回り込め。FOX4は外壁側へ射線を作れ」
「分かった!」
「はい」
『はーい』
「…………」
すでにクルミさんが別の客室から外側へ走っている。ニコさんの足音は室内側、オトギさんに至っては、もう姿すら見えなかった。
私は一度だけ息を吐く。
「……もう、そこまで読まれていますか」
返事の代わりに、遠くから腹の底へ響く轟音が返ってきた。
今後、本作で特に見てみたい仮面ライダー要素は?
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歴代ライダー本人の登場
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歴代ライダーとの共闘
-
歴代ライダーとの対決
-
ライドウォッチ
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アーマータイム
-
ミライ独自のライダー形態
-
他キャラの仮面ライダー化
-
ライダー由来の武器・アイテム
-
ライダーマシン
-
怪人・敵組織
-
歴代ライダーの能力再現
-
歴代ライダーの必殺技
-
原作ライダーの名場面オマージュ
-
仮面ライダー側の世界観・設定
-
昭和ライダー要素
-
平成一期ライダー要素
-
平成二期ライダー要素
-
令和ライダー要素
-
劇場版・Vシネマなどの要素
-
その他(感想欄で教えてください)