TS転生者は推しのアイドルを救いたい   作:アキレスけん

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 序盤の数話だけ日記形式です。
 対戦よろしくお願いします。


01.転生したら美幼女だった件

 あまりにも奇想天外な体験をしてしまったので、今日から日記をつけることにする。もしかしたら俺の頭がおかしくなっているだけかもしれない。だからあえて記録として残しておくのだ。もちろん誰にも見せるつもりはないが。

 

 

 

 

 

 〇月××日――。

 

 死んだ。と思ってたら蘇った。

 ……と思ったらそれもまた違うみたい。俺は男だったのに女になっているし、両親もこんなイケメンと美女ではなかったはずだ。今の俺はハーフで、サラッサラの金髪がチャームポイントの美幼女らしい。なんで?

 これはいわゆる転生というやつなのだろうか。しかもTS転生だよ……オイオイオイ、死ぬわあいつ。死んでたわあいつ。

 

 

 

 

 

 〇月××日――。

 

 転生した直後は完全に前世の俺の記憶しかなかったのだが、数日もたつとよく馴染んだ。

 何がって? 『今の俺』の記憶だよ。

 金髪のぷりちー美幼女として生きてきた思い出が俺の頭の中にあるんだよね。だからこんな幼女の自分のことをちゃんと『自分自身』として認識できる。

 

 ……そうは言っても幼女なんで、たかだか数年の記憶しかないんだけど。

 

 まあとにかく、それにプラスして前世の男だったころの俺がインストールされた感じ。あれ? これいらなくね?

 

 まぁ、されちゃったもんは仕方がない。見た目は美幼女、中身は何か不純物が混ざった謎の人格として生きていくしかないんや……。

 

 下手に前世の記憶が混ざったせいで、両親に甘えるのがなんだか気恥ずかしい。

 

 

 

 

 

 〇月××日――。

 

 今の俺としての生活にもぼちぼち慣れてきたんだけど……とんでもないことに気がついた。

 俺は前世の俺が死んでから数年後に輪廻転生を経てまた人間として生まれて、何らかのイレギュラーで記憶が蘇ってしまったのだと思っていたのだが。

 カレンダーを見たら気がついてしまったのだ……俺が死んだ年より過去の日付だと。

 

 つまり実は俺はTS時間逆行系転生者だったんだよ!!!!!

 

 ナ、ナンダッテー!!

 

 

 

 

 

 〇月××日――。

 

 昨日はあまりの驚きに一日を無駄にしてしまった……。

 

 だけど今日はちゃんと調べた、オレ、エライ。

 結論を言うと、何の因果か俺が過去の世界に転生したということは間違いなさそうだった。

 俺が子供の頃に見ていた特撮番組だったり、流行っていた曲だったりが現在進行形で最新のトレンドになっているのだ。

 つまり宝くじとかを買えば一獲千金の大儲け!? とか思ったけど、そもそも前世で宝くじなんて買ったことがなかったし当たりの番号なんて知らねえや。なんか儲けそうな時事ネタとかも詳しい年代とか知識とか知らないしなぁ……もっとちゃんと世の中のことについて目を向けるべきだった。

 まあ俺の今の年齢だとそんなもの買えないからあんな関係ないか。

 

 

 

 

 

 〇月××日――。

 

 くだらないことを書き綴ってしまったけど、俺が本当に過去の世界に戻っているのなら。俺にはどうしても叶えたい願いがある。

 全てをかけてもいいと思えるほどの重大な使命だ。

 

 それは、前世で俺が推していたアイドル『星川怜奈』ちゃんを救うこと。

 

 俺はきっと、そのためにやり直せたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 〇月××日――。

 

 俺の決意を表すためにも、『星川怜奈』ちゃんについてまとめておこうと思う。

 

 星川怜奈ちゃんは前世の俺の推しのアイドルで、いじめられて引きこもっていた俺の人生を変えてくれた恩人でもある。彼女に会えたことで俺は自分のちっぽけさを知ったし、またがんばろうという気持ちになれた。

 

 怜奈ちゃんの何がすごいってまあもう全部なんだけどやっぱりライブなんだよね。ステージの上で一生懸命に歌っている彼女の姿はとてもキラキラしていて、俺なんて一目ぼれだった。ライブ上での圧倒的なパフォーマンスもさることながら、怜奈ちゃんはとにかくサービス精神が豊富! コールも上手いしファン一人一人をちゃんと見てくれている。俺も一回ウィンクされたことあるし……いや絶対俺のこと見たって! 隣の奴じゃないから! 絶対俺だね!!

 握手会のときだって、嫌な顔ひとつしないで真摯に対応してくれた。いやアイドルだから笑顔はみんな大事ってのはそれはそうなんだけど違くて! 怜奈ちゃんは絶対義務じゃなくて! もうほんとに満面の笑みで迎えてくれたんだ! そう! 笑顔がとても良い!! そこも怜奈ちゃんの魅力であってだな!!

 そんな怜奈ちゃんなんだが実は――(この先数ページに渡ってひたすら推しへの魅力が語られている)。

 

 

 

 

 

 〇月××日――。

 

 昨日はつい興奮してしまった……。怜奈ちゃんへの思いだけで何ページ使ってんだって話だよ。

 まあ、それだけ怜奈ちゃんは尊いということで間違いない。

 

 さて、そもそも怜奈ちゃんを『救う』というのはどういうことかというと。

 

 ……今思い出してもつらい出来事だが、怜奈ちゃんは交通事故で亡くなってしまったのだ。

 デビュー当時からキラキラで輝いていた怜奈ちゃん。どうしようもなかった俺にもう一度頑張る勇気をくれた怜奈ちゃんは、実力があったのだろう……すぐに世間でもブレイクした。

 テレビにも出るようになって、CDもオリコンに載るぐらい売れ、お茶の間にも怜奈ちゃんの存在が浸透してきた頃……事故は起こった。

 次の現場へと車で移動している最中の事故。それも相手側の信号無視という怜奈ちゃん側に一切非のないもので、あっけなく怜奈ちゃんは命を落とした。

 

 日付まではっきり覚えている。俺の中の光が、再び消えた日。

 

 

 

 前世、俺は怜奈ちゃんに救われた。今度は俺が怜奈ちゃんを救う番だ。これは怜奈ちゃんが交通事故に遭うことを知っている俺にしかできないことなのだ。

 

 俺が逆行転生したのは、神様からのチャンスなのかもしれない。

 

 ……頑張るぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〇月××日――。

 

 怜奈ちゃんと遭遇したんだけどなんで?

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