どうも、半人半妖です   作:覚め

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脱走2では、より多くの依姫が登場。


脱走2

「体調はどうですか?」

 

豊姫もどうやら俺に対して体調を尋ねることに慣れたらしい。毒を突っ込まれた翌日は随分と疲れた様子だったが、その翌日にはもう痕跡はなかった。俺はと言うと、刀を抜かれて窓を直されて終わりだった。何をされることもない。変わったことと言えば、豊姫が来るたびにその後ろに数人の玉兎か依姫がいることくらいか。脱走は不可能だと言うことを示したいらしい。左肩から穢れを出すことによって発生する視界の変化で退屈を紛らわせる。脱走は無理かな?

 

「…そろそろ、この質問に対する返事が欲しく思えますが」

 

「目の前にどんな状態の人間がいるかな?」

 

「子供がいますね」

 

「子供は風の子元気な子、毒はブッ刺せないから帰せ」

 

「はぁ…」

 

「飯が飲み物だけなのどうにかならない?」

 

「ええ。貴方に道具を与えることになりますから」

 

会話が続く。今頃慧音は何してるかな。確実に一週間近く経ってるよなぁ。流石に探してくれているとは思うけど、妹紅はどうかな。あっさりと割り切って慧音に諦めるよう言い聞かせているかもしれない。不死者は行方不明とかに多く出会ってそうだしな。まあ妹紅だしやりそうだな…。他の交友関係はほとんどなかったから、心配するような奴はいないな。まあ…希薄な関係とは言え十六夜もあるけど、流石にないか。思いつきで申し訳ないが、窓を殴ってみた。豊姫が平然な顔で制止してくる。

 

「割れないか」

 

「ええ。月の科学力ですから。地上の民にはどうしようもないです」

 

「…玉兎達、退かしてくれれば答えるよ」

 

「はぁ…今更信じられると思いますか。二度の脱走に毒針…無理でしょう」

 

「依姫を置けばいい。玉兎を退かせば良いんだから」

 

「…待っていてくださいね」

 

「待つ以外やることないけど」

 

少しして、玉兎が消えて代わりに依姫が来た。態度はいつも通りか。いや、良いんだけどさ。と言うわけで再び冒頭の質問が始まった。体調は良好、空腹感が少し。人肌に触れたいと伝えてみたところ無視された。帰れたら久しぶりに慧音に抱きついてやろうかな。と、そこでなんだかよく分からない質問をされた。地上から月に何かしたことを感知した、何をしたのか知らないか。勿論知らない。魔法とかその類だろうか?と言ってみると成る程と言われた。なんだ?俺を助けに誰か来るのか?…俺の知ってる魔法を使えるやつなんて、それこそ家出娘しか知らんが。

 

「…いえ、極々小規模かつ秘匿されてまして。我々でも突き止められないので何か心当たりでも、と。まあ何もなければそのままですが」

 

「へぇ〜」

 

「貴方の知人にはいない…となれば、貴方が消えた理由を突き詰められていないと言うことですね。依姫」

 

「伝えておきます。」

 

「妹かぁ…俺もいたんだけどなぁ」

 

「あら、貴方から話を持ちかけてくるなんて。珍しいこともあるのですね」

 

「今思えば、一番優しかったなぁ」

 

「続きを」

 

「姉様?」

 

「依姫は席を外して」

 

一応、動けなくなるまでは俺に飯を届けてくれたしな。ここは良いぞぉ。昔閉じ込められたところより明るいし、寒くも暑くもない。たまに来る動物もいない。お前らを動物とするかは知らんが。布団もある、椅子もある。思わなかった、あんな場所と同じような状況でも、話し相手がいて明るければここまで良くなるとは。あの時の自分と話せるなら…マッチで火をつける時は投げ込むな。ちゃんと火つけろと言っておきたいな。そうすればここにいないかもしれない。

 

「私の妹も優しいんですよ。仕事で潰れそうな時や研究で切羽詰まった時は紅茶に睡眠薬を入れて眠らせてくれるんです」

 

「ごめんよくわからない」

 

「私を労っているんでしょうね、可愛いです」

 

「ま、優しいってのは嬉しいわな」

 

「私もかなり優しめなはずなのですが」

 

「俺は身内の人間以外に優しくされたら吐き気がするよ」

 

「では、私は常に吐き気を催させますね」

 

優しくするねと言う意味なのか、それともイラついたから毒で吐き気を催させるぞと言う意味なのか分からないが、それを言って豊姫は去っていった。さて、豊姫が消えたと言うことはもう俺を尋ねる奴はいないということ。と言うわけでおそらく生えたばかりの針を使わせていただく。窓に突き刺さるほどに鋭いこの針は、なぜか穢れを排出すると生えたばかりのように鋭くなるのでいくらでも使える。窓の輪郭線を描くように穴を開け、窓から脱出。玉兎を退かせておいてよかった。これなら脱走できる。二度目のときは羽衣なかったけど、流石にもう戻してあるだろ…

 

「ない…けど、近くにあるだろ」

 

あった。つーか全然玉兎見かけないけど、何?俺の脱走時ってそんな都合よくみんな居ないの?何でこんなことなってんだ。空の見えるところまで出て、羽衣を使う。浮き始めて、豊姫の発言は嘘なんじゃないか?と調子に乗るが、その後ゆらゆらとかなりひどい揺れ方をしながら浮上。早く行ってくれと思うが、そもそも空を飛んでいるので目立つわけだ。あれ、これどのみちバレてるな?ふわりふわふわ、ぐらりぐらぐら、飛んでいるところに豊姫。だろうね、こんだけ長い間飛んでるんだから。

 

「…私が見逃すと?」

 

「やべっ」

 

「そもそも片腕では使えないと言ったでしょう。時間もかかる大変原始的な…何故使えてるんですか?」

 

「コツ掴めた!じゃあな!!」

 

「っ!」




玉兎「依姫様にこれを移せって言われたけど…めんど!そこら辺に押し込めとこ!」
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