どうも、半人半妖です   作:覚め

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Q.じゃあ平は老けたままってこと??
A.釣り合いが取れる年齢まで若返る。触れない限り老けない。


濃霧

「はーい、皆さん落ち着いて避難してくださいね〜」

 

カッパの作った拡声器を片手に声を大きくしながら進む。空は赤色、どこぞの湖のような濃い霧が空を覆い、日光が届きづらくなっている。最早あかるさは夜と変わらん。そんな異変が発生し、慧音や稗田家の連中と共に避難勧告をしている。家の中で篭っとけ。作物?どうだろ、わからん。もしかしならダメかもね。まあ互いに頑張ったってことで。幸いにも俺の担当する区域には作物など無く、責任転嫁されることもない。慧音や稗田家に苦労を被らせることにはなるが、まあ仕方ない。つーか人多いな。

 

「はいそこ、慌てず押さずに進んでくださーい。知り合いの家に入れるのなら知り合いの家へ、無ければいったん広場の避難所へ避難してくださーい」

 

まあ俺の声なんぞ聞く奴がそんなことするわけもなく。結局慧音が来るまではこのようにして焼け石に水のような行為を繰り返すばかりだ。以前も同じようなことがあったが、その時は稗田家に任せた。稗田家や慧音が言うには声に覇気がないらしい。デカけりゃみんな言うこと聞くんじゃないのか。面倒なことをさせる。まあそれでも聞いてくれないので、やはり人望の成せる技というものなのだろう。良くも悪くも慧音万歳だ。無論慧音が来た後は慧音に怒られる。言うこと聞かない側が悪いと思うが、どうやら俺の人徳が原因らしい。

 

「ふぃ〜」

 

「後は巫女が解決するのを待つだけか」

 

「長いなぁ」

 

「かなり老けたな、平」

 

「老けたからかなり疲れてんの。休憩くれ」

 

「駄目だ。まだやることがあるからな。逃げ遅れて大事になった人間がいないか見回るぞ」

 

「俺も大事になってるはずだけどな」

 

「嘘を言え」

 

老けたのは大事ではないらしい。と言うわけで里内を稗田家と共に歩いて探しまわる。一応とのことで厚めの傘を貰った。霧の影響があったとしたら、少しは抑えられるかもしれないとのことだ。何が何やらわからないことだらけの中でこの傘を取り出すのは、やはり稗田家が優秀であることを証明している。ありがとう稗田家。まあ、慧音がその申し出を断ったわけだが。我々は半人半妖、人間よりは影響が出にくい。その傘で探す人手を増やせ、と。冗談じゃない、俺は安心が欲しいぞ。…あれ、受け入れられない感じ?

 

「かくれんぼは終わりだー」

 

「異変だ!誰か、屋根のない場所にいたら返事を!」

 

「屋根の上にガキ発見」

 

「こら!そんな言い方は…あー、ほら、降りてきなさい!私たちが受け止めるから!」

 

なんともまあ。勇気のある子供だ。俺は屋根の上なんか、足元が崩れそうで歩けるもんじゃなかったのに。今の俺はおじいちゃんだから、慧音が主に動いてくれないと救助は難しい。元に戻るのには一晩くらい必要かもしれない。せめて若年層には戻りたいが、それも一晩は必要。半人半妖で命が長いのは良いが、その分戻るのが遅くて嫌になる。屋根の上から子供を回収し、どうしてもと稗田家に渡された傘を広げる。結局、人を助けるのなら必要なのだ。広げた傘で子供への影響が防げるなら。

 

「…すまない」

 

「何が」

 

「考えが足りていなかった」

 

「まあ避難所にここまで人来るとは思わなかったわなぁ」

 

「そうではなくてな」

 

「分からんぞ。謝るなら何も言わずに鶏肉くれ」

 

「…兎肉だぞ、ウチで出しているのは」

 

「えっ」

 

子供を届けた避難所でこんな頭溶かした会話をし、慧音に知らなかった真実を伝えられた。鳥だと思ってた。なんとなく。牛は食べたことがある。たぶん。でも鳥がなかったから、てっきり鶏肉を出してるのかと。豚もあるらしいけど、牛に近いって聞いてたし。…そうか、兎だったんだ。妹紅が持ってくる肉って兎だったのか。空を見て未だ晴れないことを確認し、異変の解決を願う。こんなことで老いるのは嫌だが、不安から来る暴動が一番嫌だ。稗田家と巫女のおかげでなんとかなりそうなので助かる。

 

「…平、私たちも帰ろう。後は稗田家の方々に任せる。私たちの寺子屋も開けておくべきだ」

 

「俺は何も出来ないけどな」

 

「平もその見た目をどうにかするべきだろう?見知らぬ老人はそれだけで警戒されるからな。」

 

昔からいる連中ほど周りの顔だけは覚えている。過去、三回ほどそれで揉めたことがあった。老いた原因は妹紅だが。老人同士の喧嘩なんてどうしようもなく見てられないんだからやめろと諭したかったが、諭す前に慧音が出てきたのは良い話だ。妹紅は許さない。毒で五回くらい悶えて欲しい。あいつのせいで何度揉め事が発生したことか。それもあって妹紅は避けている。他にも原因はあるが、大半俺は悪くないので割愛する。じゃあ今の話も割愛すれば良かったな。まあやったら仕方ない。

 

「歳取ると日差しがキツくってねぇ」

 

「日光浴か?」

 

「こんな赤い霧の中でやるわけないでしょ。巫女様まだ?」

 

「物見櫓にいた稗田家の方は霧が出て少ししてから飛んでいく人間を見たそうだ。だから安心だよ」

 

「そうなると遅いよねぇ」

 

「平がせっかちなだけだ。…歳を取ると時間が経つのも早くなるらしいぞ」

 

「え、じゃあ俺より慧音の方が」

 

「ふんっ」

 

年寄りに頭突きはきつい。背骨が潰れた気がする。こういうのも時間経過で治るのは良いんだが、全然時間かかるからな。反省しろ慧音。ちなみに生まれた年代だけで言えば慧音の方が後。体の年齢で言えば…いつもなら多分慧音の方が上じゃないかな?上だと思う。そのくせ俺より先にここに辿り着くんだから本当に嫌な話だと思う。背骨潰されて寝たきりの俺の隣にいる慧音はどんな心境で居るというのか。てんで理解できない。根本から違うというのはそうなのだが、それだけではないだろうと思う。

 

「…何?」

 

「いや、いつかは今の立場が入れ替わるのかな、と。」

 

「…その頃には妹紅のところに鞍替えするわ」

 

「焼いてもらうか。歳を見ても妥当だろう?」




Q.妹紅は何をしたのか
A.嫌がらせ百選
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