どうも、半人半妖です 作:覚め
聞いてんのか月の畜生共。
「どうしたの」
「いやぁ…折角触れ合える体になったんだからさ?多少甘えても良いじゃん」
「それを慧音ではなく私にやってる時点で好感度は低いぞ」
「慧音はなんだか触らせてくれなくてな。嫌われたか?」
「姿を消してたからなぁ」
妹紅は体温高めだから冬場は好きよ。夏場は嫌いだけど。ま、妹紅の膝を無断で借りてる俺が言えたことではないか。脇腹を妹紅の膝上に置き、肘をついて楽な姿勢をとる。妹紅から不満が出る借り方だ。頭を置いても不満が出る。が、仕方あるまい。何せ数百年ぶりに自分の意思で人と触れ合うのだから、多少は慣らしていかないと。ちなみにそれに気づいて慧音の手を握ったら思い切り振り払われた。流石に泣きたかったが、抑えた。妹紅は酒に酔ったらいつも触りにくるからまあ良いだろ、と。
「私は都合のいい女か?」
「違う?」
「意外と慧音に対してはそうだがな。平に対してそうなった覚えはないぞ」
「悲しい」
「平と慧音じゃ関わってきた年数が違う」
「ま、俺は平民の出ですからね」
「お前な…」
大体、慧音と出会ったのも俺からすれば最近だ。まあかれこれ1000年は生きてるからその範囲が広いことは言うまでもないが。妹紅が言うには、俺と慧音が出会ったのは慧音が歴史関係の事柄をやり始めてすぐのことらしい。…こいつ、慧音とほぼ一緒にいるようなものなのだから事実なのだろうが。面倒なことをしているなとも思う。…そう言えば、慧音はどうやって俺のことを知ったんだ?偶然辿り着いたわけじゃあるまいし。里の外だぞ、俺がいたのは。…一体どうやったんだ?
「どうやって知ったと思う?」
「あのなぁ…今私が何してるように見える?」
「季節外れの芋を焼いてる」
「火力調整が難しいんだよ」
「焦がしても俺は食うぞ」
「…お前、どんな環境で育ってきたんだ?」
里の外の洞窟にどうやって気がついたのやら。まあ、知り方はいくらでもあるか。多分里の奴らが俺のこと記してたんだろ、どっかに。人間の考えることだからな、と言ってみたら妹紅が苦笑いした。その際、火が少し強くなった。2人して変な声が出て、また苦笑い。こう言うので良いんだよ、こう言うので。月なんかクソ喰らえ、月から誰か来たら八意に追い払って貰えないかな。そのときは流石に顔を出さないか。あの面倒な奴らをどうにかして排斥したい。…無理だな、実力的に。
「鈴仙ちゃんの薬売りは順調だってさ」
「里の奴らも寛大になったねぇ」
「と言うよりはよく効くからじゃないか?初めは物好きが買ったんだろ」
「今度慧音に聞いてみるか」
「そんなことも聞くのか…」
「悪いか?」
そんなことを話していたら慧音に呼ばれた。妹紅がその声に驚き、ついに芋を焦がした。焼き芋にはならなかった。そんな芋と共に卓に着く。俺が焼き芋を食いながら現れたとき、慧音に笑われた。妹紅が。まあある程度察せるか。しかも割と豪快に。こいつこんな豪快に笑うんだ…と思ったら妹紅が恥ずかしさを隠すためか俺の手から芋を奪い取り、バクバクと食べ始め、途中でウッとなりながらも完食した。新聞紙の中にある燃えカスを食べるわけでもないのでそのまま丸めてゴミ箱へ。
「そんなに笑うことじゃないだろ…」
「良いじゃないか、たまには」
「俺としては食ってたものが取られたんだよな」
「あんな燃えかすは飯じゃないだろ」
「慧音〜」
「それよりご飯だ」
「これだよ」
「何が?」
出された飯を食べる。…月の飯と比べると全然良いものなので、それだけで美味く感じる。実際美味いはず。片腕だと食いづらいんだけど本当にどうにかならないかな。八意に聞いたら、知らないやり方だから最悪繋げたら死ぬとか言われた。せめて自然に死にたいので断った。と、妹紅が勝手にその時のことを話し出した。確かに喧嘩しに行った時の話だが、果たしてそこまで語る必要はあるのか?と思いつつも慧音からの確認に答え続ける。慧音が特に反応したのは、八意に矢を打ち込まれたと言う話だった。
「過保護か?」
「だな…慧音。平はもう大人だぞ?」
「でも見た目は15とかだろ?」
「若作り楽で済んで良いわ」
「それを言うなら妹紅もだろう。」
「…私は老いる訳ないからな」
空気が重くなっちまった。いやまあ俺の場合、慧音が死んだ後妹紅と生きても良いしそのまま死んでも良いからな。俺の人生楽で良いぜ。まあ半人半妖の生涯を人生と言うかどうかはわからんが。しかしそうなるとここにいる三人は全員人生と呼べる人生を過ごしていないことになるな。うーん、ダメか。八意の寝床を襲った日を思い出してみる。妹紅の知らんことを話してみるか…うーん、ないな。八意の顔面にエンサン?を投げつけたけどすぐに治ってつまらなかったところは話さなくて良いか。
「で、何も得られずに終わったと。」
「そうだよ〜」
「この馬鹿!」
「なんで私!?」
「平の気持ちは分かる。だが、妹紅は既に形だけでも復讐を終えただろう?それならお前は止める側に立つべきだっただろう。」
「…いやぁ、あの時は平が行方不明だったろ?正直言って満足に殴れてなくて…」
「この馬鹿!」
「妹紅が俺を優先してくれて嬉しいよ」
「あれは慧音が錯乱し過ぎてたからな。それがなかったら満足行くまで殴ってた」
輝夜「ええ!?一発殴って帰るの!?はぇぁ!?」