今回はお墓参り。
明日も午前、午後に一話ずつ投稿します。
十三番隊舎裏、雨乾堂を過ぎ小高くなっている丘の上に小さな、それでいてしっかり手入れがされている墓標が有った。
その墓前に京楽が花を供えながら編笠を少し持ち上げる。
「やぁ、浮竹。今日はちゃんと酒持ってきたよ」
そう言って京楽は懐から徳利を取り出す。
「今日は飲めそうかい?」
「ねぇねぇ、京楽さん。このお団子食べて良い?」
「都依隊長!?それお供え物ですよ!?」
「大丈夫だよ、清音ちゃん。浮竹なら『皆で仲良く食べなさい』とか言いそうじゃない」
「言いますね」
「あれ?清音ちゃん!?」
「……でも、『先に手を合わせてから』って付け加えると思います」
「あー、それは言う」
「なるほど。あ、何ならお団子のお礼に私がお酌します」
「て、だから違いますって!!」
浮竹十四郎の墓前でおちゃらけ出す京楽と都依を清音が注意する。
そんな光景を後ろで見ていた一護はふと哀愁を漂わせる。
「ん?どうした、一護」
「ん、あ〜、なんか懐かしいなって思って」
ルキアの質問に生前の母親の墓参りの光景を思い出したと一護は告げる。
「そう言えばそうだったな」
「ふっ。取り敢えず、あの二人止めるか。ルキア」
そう言って、一護とルキアは清音を助ける為に話の輪に入って行く。
「……ありがとな、浮竹」
静かな黙祷が続く。
「さーて、帰りにお茶していかない?」
「あ、すいません。私、今月お金が……」
お参りが済んだ後、都依がお茶してこうと言うが清音が自身の懐事情が良くない事を告げる。
「あ、それなら黒崎隊長に奢ってもらえば大丈夫」
「何でだよ」
「いや、黒崎隊長アレ持ってるでしょ?朽木家御用達店舗全店共通無料木札、通称『桜紋朽木総通証』」
「え?……あ、あ〜。アレか。確かに持ってる」
都依の言った物が何なのか考え、一護は生前にお年玉として、現総隊長の朽木白哉から貰った木札の事を思い出す。
「え?アレ有効期限とか無いの?」
「たわけ。朽木家がそのような狭量な事をするか」
「てか何で俺がそれを持ってる事をてめぇが知ってんだよ」
白哉から渡された木札を一護が持っている事を、何故、都依が知っているのか疑問を投げかける。
「この前、それを白亜くんが貰っているのを目撃してさ」
『間街副隊長、兄にコレを授ける』
『……コレ。朽木総通証』
『え〜、白亜くん良いな〜。総隊長、私にもくださ〜い』
『貴様にはやらぬ。コレはこの者が我が「ワカメ大使」を純正に評価してくれた事への礼だ』
『うぇ〜。………因みに、コレって他に誰か持ってたりするんです?』
『大恩ある黒崎一護と我が義弟のみだ』
「って、言ってた」
「………まあ、虎徹には織姫がいつも世話になってるしアレが使えなかったとしても奢るのは問題無い」
「本当ですか!?」
「やった〜」
「……都依、てめぇはダメだ」
「え〜」
そんな会話を墓標の隣に立ちながら京楽は楽しそうに見ていた。
「浮竹、若い世代はちゃんと育てるよ」
ふと、京楽は横に目を向けるが、またすぐに一護達に視線を戻す。
「だから、安心して昼寝でもしてな」