今回は希代回。
次回は来週の土日どちらかに投稿予定です。
訓練場にて空蝉と響転の練習をしていた白亜と二番隊副隊長、大前田希代。
そんな中、希代が何気なく疑問を呟く。
「空蝉と響転の違いが、希代にはよく分かりません」
「……違う」
希代の疑問に白亜が即答する。
「でも、どちらも『シュンッ』ってなりますよ?」
「…………」
白亜は数秒考える。
「……空蝉は瞬歩の応用。残像を置く」
「はい」
「……響転は空間を滑る移動」
「はい」
「……だから違う」
「でも、どっちも『シュンッ』ですよ?」
「…………」
白亜は説明を諦めた。
そこへ偶然十三番隊隊長、黒崎一護と同隊副隊長の石田雨竜が通りかかった。
「何やってんだ?」
声を掛けてきた一護に白亜が無表情で答える。
「……空蝉と響転の違いを説明している」
「へぇ」
希代が一護へ振り向く。
「黒崎隊長様。違い、お分かりになります?」
「え?」
希代の質問に一護は腕を組んで考える。
「んー……」
数秒考えてから、
「俺も何となくで使い分けてるからなぁ」
「ほら」
一護の答えに希代が仲間を得たと少し嬉しそうにする。
「『シュンッ』ですよね」
「まぁ……シュンッだな」
「…………」
そんなアホな会話をしていると、この場にいる最後の一人が声を上げた。
「アバウトすぎる」
石田は何処から持ち出したのか移動式のホワイトボードを使い説明し始める。
「空蝉は瞬歩を用いている、つまり歩法。響転は虚特有の高密度霊子移動。理論からして全く別物だ。さらに言えば、滅却師が使用する『飛廉脚』、完現術者の『ブライングルック』なんかも別物になる」
「なるほど……」
石田の説明を真剣に聞いている希代を見て石田は満足そうに頷く。
「つまりだね──」
五分後。
「……というわけだ」
「つまり」
希代は満面の笑みで答えた。
「どちらも『シュンッ』ですね!」
「何一つ伝わってない!!」
石田のツッコミが訓練場に響いた。
白亜は静かに頷く。
「……だから諦めた」
一護は苦笑する。
「悪ぃ石田。大前田の気持ち、今すげぇ分かった」
「......くくっ。まあ、確かに感覚派の希代には石田のような堅物メガネの理論的な説明では分からんじゃろうな」
「うおっ!?夜一さん!」
音もなく「瞬神」四楓院夜一が一護の隣に立っていて会話に入ってきた。
「夜一様!ごきげんよう」
「うむ、希代も息災なようでなにより」
駆け寄ってきた希代の頭を夜一が優しく撫でる。
「さて、ヌシらの話を聞いておったが、『瞬歩』『響転』『飛廉脚』『ブライングルック』の違いか。......そうさのぅ、希代」
「は、はい!」
「瞬歩は『シュンッ』、響転は『スッ』、飛廉脚は『ビュンッ』、ブライングルックは『ポンッ』か『ホフッ』という感じじゃ。どうじゃ?」
「......『シュンッ』、『スッ』、『ビュンッ』、『ポンッ』か『ホフッ』......ああ!そういう事なのですね!」
「「分かったの!?」」
夜一の擬音だらけの説明に理解を示した希代を見て石田と白亜が驚愕する。
「うむ!流石はあの希ノ進の娘じゃな」
「エヘヘ〜、ありがとうございます」
希代を褒め回す夜一の隣で、石田と白亜が地面に両手を付いて項垂れていた。
「……結局、教える相手次第なんだな」
石田と白亜を見ながら呟いた一護の言葉に夜一が笑いながら反応する。
「違う違う。教える側は、相手に合わせて言葉を選ぶもんじゃ」
「……返す言葉もありません」
「……勉強になった」