解那のギャグ回
次回は来週日曜日に投稿予定です。
九番隊隊舎・編集室。
九番隊隊長、檜佐木修兵が自身の副官である掛詞解那の上げた原稿を読んでいる。
「……なんだこれ」
表紙には大きく
『瀞霊廷通信特別企画 固めのプリン最前線』
と書かれていた。
「事件記事どこ行った!?」
「三ページ目です」
「三ページ!?」
「一ページ目は表紙。 二ページ目は『瀞霊廷おすすめプリン店ランキング』です」
「ランキング載せんな!」
「ちなみに一位は流魂街七十八地区の『甘露庵』」
「聞いてねぇ!」
「特集を組む以上、取材は徹底しました」
律儀な性格の修兵は一応上げてきた原稿の為、突き返す事はせずページをめくり内容を確認する。
味の採点方法
・甘さ
・カラメルの苦味
・舌触り
断面の芸術点
・焼き色
・硬度比較
・スプーンの入り方
内容が細かすぎた。
「なんだよ"断面の芸術点"って!」
「重要です」
「重要じゃねぇ!……て、待て待て待て。"断面の芸術点 98点 間街副隊長監修"って何だ」
「美術的評価です」
「誰に頼んだ」
「六番隊・間街副隊長」
――回想
白亜がスプーンでプリンを割り断面を見つめている。
「……気泡が少ない。焼き色も均一。カラメルの流れ方も美しい」
そこで白亜は1つ頷いた。
「芸術点、九十八点」
――回想終了
「真面目に採点してんじゃねぇ!!」
「掲載許可をお願いします。」
「ダメ」
「……………では事件記事を一ページ増やします」
「そういう問題じゃねぇ!」
数日後。
『瀞霊廷通信』には解那の「プリン特集」が本当に掲載されてしまった。
瀞霊廷・各所
「見たか!?瀞霊廷通信!」
「掛詞副隊長がプリン紹介してる!」
「え!?あの人が!?」
誌面には
『クラシックタイプの固めプリンは スプーンを入れた瞬間から幸福が始まる』
と大々的に見出しが書かれていた。
「誰だこれ書いたの!」
「掛詞副隊長だって!」
「暴君乱心だ!!」
「副隊長が暴走したぞ!!」
瀞霊廷中でプリン特集による阿鼻叫喚が発生していた頃、この騒ぎを引き起こした人物は編集室にて何食わぬ顔で仕事をしていた。
「……騒ぎになってるぞ」
「?」
「お前の記事のせいだ」
「プリンは平和の象徴です」
「そういう話じゃねぇ」
「甘い物を食べると争いは減ります」
「理屈が強引なんだよ!」
解那は少しだけ微笑む。
「……でも売上は過去最高でした」
「……そこだけは認める。……しかし、お前が甘い物の記事なんて珍しいな」
「……妹が好きだったので」
解那が少しだけ目を伏せて答える。脳裏にはあの頃の結那が朗らかに笑っていた。
『見た目と匙を入れた感触は固いのに、口に入れると甘くて柔らかいのがお姉ちゃんみたいで可愛いから』
(……本当に私は、美化してたんだなぁ)
その後すぐいつもの無表情に戻る。
「次号はパウンドケーキ特集も考えています」
「立ち直り早ぇな!……次号?」
「はい。次回は三番隊・桃源院副隊長にご協力いただき、パウンドケーキ特集を考えています」
「他隊の副隊長を巻き込むな」
「既に了承は得ています」
三番隊舎・給仕室
修兵を引っ張ってきた解那によりイヅルを連れた優火が召集されていた。
「はい!私、お菓子作るの好きです!」
「……桃源院さん?」
何故、自分がこの場に連れてこられたのかイヅルは疑問に思う。
「隊長も試食係お願いします!」
「……そういうことか」
(もう止められねぇ……)
イヅルと修兵は二人して悟ったような表情をしだした。
次号では
『桃源院副隊長監修 失敗しない干し柿パウンドケーキ』
が掲載され、女性死神を中心に人気が出たそうな。
「……お前、本当に事件記事書く気あるんだよな?」
「もちろんです。甘味も事件も、現場が全てです。」
「記者魂だけはブレねぇな……。」