BLEACH『未来奇譚篇』   作:春囃子風

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前回投稿しました解那の卍解習得エピソードです。
一応、加筆修正しています。

本日も午後にもう一つ投稿します。



Believing the Flesh――その身に宿る心を信じる

 

九番隊舎・執務室

九番隊隊長、檜佐木修兵ひさぎしゅうへいは自身の副官である掛詞解那かかののかいなを問い詰めていた。

 

「どこ行ってた?」

 

「取材です」

 

「敵地じゃねぇか!しかも解決してるし!?」

 

「一人の方が楽ですので」

 

修兵は解那の答えに苦い顔をしながら頭を掻く。

 

「解那、お前が俺を含めて人を信用してないのは知っている。だが、頼むからもう少し周りに目を向けてくれ」

 

「…………仕事はしっかり熟しています。…他に無いのでしたら、他の取材がありますので失礼します」

 

修兵の言葉に眉根を寄せた解那は、早足で執務室を後にする。

 

「……東仙とうせん隊長、六車むぐるま隊長。隊長って難しいです」

 

そんな中、一人執務室に残された修兵のやるせない台詞だけが物悲しく響いていた。

 

 

 

 

 

 

解那の斬魄刀は本当は「風神かぜのかみ」のみ。

彼女には自分よりも人当たりが良い双子の実妹である「掛詞結那かかののゆいな」がいた。能力も結那の方が上で解那が五番隊で九席になった時には既に結那は九番隊で五席になっていた。

結那は『瀞霊廷通信せいれいていつうしん』の愛読者で九番隊に配属出来たことを心の底から喜んでおり、解那はそんな結那を愛おしく思っていた。

そんな結那が彼女の誕生日に、斬魄刀だけを残して消息を絶つ。その数日後に別の場所で彼女は無残な姿の遺体として発見される。事件は他にも複数の犠牲者を出したが犯人は見つからず。

事件が未解決のまま、数年経ち、九番隊の隊舎には九番隊の副隊長腕章を付け、腰に自身の斬魄刀と妹の斬魄刀「雷神かみなりのかみ」を差し、片耳にはあの日妹にあげるはずだったプレゼントのピアスを付けた解那がいた。彼女は事件の犯人を探している。九番隊に移籍したのは『瀞霊廷通信』のネットワークを利用する為と九番隊の隊士達を怪しんでいるから。だから、彼女は信じない。上官の檜佐木修兵すらも。妹を助けられなかった自分自身のことも。

 

やっとの思いで妹を殺した真犯人を見つけた解那。

 

 

雷轟らいめいとどろかせ一矢いっしむくいて、暴風ぼうふうれて身命しんめいせ 嵐神あらしのかみ

 

 

自身と妹の斬魄刀を無理くり二刀一対の形にすることで手に入れた『嵐神』。始解し、刃の腹の部分に柄と同じ緑と黄色の紋様が刻まれている平刃の刺突剣エストックに変化させ、犯人に迫る。鎌鼬と雷撃を駆使し、犯人を攻撃するが、それでも一歩及ばない。

解那は妹の仇を取る執念で手にした卍解暴君嵐神ぼうくんらんしんを発動しニ本の平刃の刺突剣エストックを一本の西洋剣に変え、斬撃を雷撃の纏った暴風にして、犯人を追い詰めた。が、

 

 

ごしらえ 甘露あまたあらわ

 

 

犯人の斬魄刀がフランベルジュへと変化する。

やっとの思いで妹を殺した真犯人を見つけた解那。

しかし、追い詰めたはずの犯人に自身の卍解の攻撃が吸収回復され、逆にとどめを刺されそうなってしまう。

 

れ 風死かぜしに

 

「檜佐木隊長!?」

 

そんな解那と犯人の間に割って入る人影があった。九番隊隊長、檜佐木修兵である。

 

「これはこれは、檜佐木隊長」

 

吉菱きびし、まさかお前が犯人だとはな......」

 

そう連続死神殺害事件の犯人は六車拳西けんせいが隊長を務めていた時代から九番隊にいる現六席・吉菱玖外郎くげろうだった。

 

「お前がアイツらを………!」

 

 

卍解ばんかい 風死絞縄ふしのこうじょう

 

 

その瞬間、鎖が大量に寄せ付けあい、漆黒の太陽と思わせる球体を形成する。その球体から鎖が伸びて真犯人と修兵の身体に絡みつく。

 

「卍解『風死絞縄』。知ってますよ。この鎖が付いている者は死ぬ事はなくなる。あの鎖の球を通して溜め込まれている私とあなたの霊圧が無くなるまではね」

 

「………」

 

余裕の態度を崩さない犯人。

修兵は無言のまま、手に持った風死で犯人の首をきり飛ばす。

その後、瞬きすらしない間に真犯人の首から上が再生される。

 

「ヒヒッ、死を停滞させる斬魄刀とは良く言ったものだ。だが、再生に使われる霊圧は私とあなた、均等に使われるのだろう?ヒヒッ、相手にとどめを刺せず、共倒れしか狙えない卍解が護廷十三隊の隊長の卍解とはな!」

 

「……確かに、俺の卍解は信頼できる第三者がいて初めて成立する卍解だ」

 

修兵はボロボロで立っているのもやっとな解那を横目で見る。

 

「ヒャヒャヒャッ、まさか、そこの馬鹿を当てにしているのか?無駄だ。私の斬魄刀は攻撃を吸収して私自身を回復させる。あんたの卍解とは相性が悪いが、その女の卍解程度の攻撃では回復するだけさ」

 

「知ってるさ。お前が俺の卍解を知っているのと同じで、俺もお前の能力を知っている。その能力に許容限界があることもな」

 

「ヒャヒャヒャッ!確かに許容限界はあるがさっきも言った通りその女の卍解程度では限界は来ない。さらにそいつの妹を含めた複数の霊魂を取り込んだお陰でその許容範囲は大幅に上がっている!!」

 

解那は下を向いて歯を食いしばる。犯人の言う通り、自身の卍解ではヤツを倒せない。修兵が間に合っていなかったら殺されていただろう事実が、ヤツの言っていることが本当のことであると告げている。

 

「……解那、俺は戦いが怖い」

 

「!?」

 

そんな暗い顔をしている解那に修兵は話す。自身の心境を。

 

「そんな俺だからこそ、信頼できる人ってのは作り甲斐がある。……解那、俺の背中はお前に預ける」

 

解那は、修兵の言葉を聞いてもなお踏ん切りが付かない自分が嫌になってくる。

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん」

 

その時、背中から声が聞こえた。振り向くとそこには自分と瓜二つの顔で優しそうな緑色の瞳をした妹、結那が立っていた。

 

「……結那」

 

気づいたら周囲に修兵と犯人がいない。ここは解那の精神世界。なら目の前に居るのは本物の結那ではなく自身が作り出したげn「うりゃっ!」

 

ゴッ!!

 

「ぐぺっ!?」

 

結那の肘が解那の脳天に振り下ろされた。

 

「あっ、う、うぉぉぉ〜っ。ちょっと結那!?なんでイキナリ姉の頭に肘鉄落としてんのよ!」

 

「いや、だって私のこと、自身が作り出した幻影だと思ってそうなんだもん」

 

「だからって肘鉄は無いでしょ!肘鉄は!」

 

「そこはほら、私と言う生きた存在を印象付けようと思って」

 

結那の言葉を聞いて解那は目の前の結那が本物であることを悟る。それと同時に記憶って美化されるんだなぁとも思った。だって今の肘鉄で妹がハチャメチャなヤツだって事を思い出したのだから。

 

「ねぇ、お姉ちゃん。私を助けられなかった自分をまだ信じれない?」

 

「!?………当たり前でしょ。姉なのに、私にとって大切な人だったのに、守れなかったんだから!」

 

結那の問いかけに、解那の瞳から止めどなく涙が溢れる。溢れても溢れても止まらないその涙は、まるで自責の念で傷付けた傷から流れ出る血のように痛々しい。

 

「………お姉ちゃん。私は、お姉ちゃんを信じてる」

 

「…結那」

 

そんな姉の手を優しく握って結那は微笑みながらゆっくり口を開く。

 

「私の仇を取ってくれて、そしてこの事件を解決して、『瀞霊廷通信』のトップページに記事が載るのを」

 

「……『瀞霊廷通信』?」

 

解那の涙が一瞬にして引っ込んだ。

 

「だって檜佐木隊長が信頼してるって言ってたんだよ?それはもう『瀞霊廷通信』でトップ記事を書けってことじゃん!」

 

解那は痛くなってきた頭に手を当てる。この痛みは結那のどうしようもない言動に対してか、それとも最初に受けた肘鉄の傷が痛み始めたからなのか、悩ましい限りである。

 

一頻りはっちゃけた結那は真剣な眼差しで解那を見つめながら言葉を紡ぐ。

 

「行くんだね」

 

「うん。まだ、自分を心の底から信じれるとは思えないけど、結那と檜佐木隊長が信じてくれた私を信じようと思う」

 

「……うん。お姉ちゃん、いってらっしゃい!」

 

「行ってきます」

 

 

雷命らいめいかがやたまえ、静風せいふうまといてしずまりたまえ 嵐神あらしのかみ

 

 

 

 

 

現実世界では『風死絞縄』が解かれ修兵と犯人が膝をついていた。

 

「ヒッ、ヒヒッ、ヒャヒャッ。さて、この後どうするのさ、檜佐木隊長?私を倒す算段は整ったのか?」

 

「はぁ、はぁ」

 

修兵は後ろの解那を一瞬見る。そして、犯人を見据えて、不敵に笑う。

 

「……そうだな、取り敢えず、俺の役目はここまでだ。……あとは任せた、解那。」

 

修兵がそう言い終わると同時に解那から膨大な霊圧が放たれる。

 

 

卍解ばんかい 双極名君嵐神そうきょくめいくんあらしのかみ

 

彼女の手には暴君嵐神の時と同じ一本の西洋剣が握られていた。

 

「?」

 

犯人が解那の身に何が起こったのかを理解しようと凝視した次の瞬間には解那は真犯人の目の前にいて剣を振り下ろしていた。

 

「!?」

 

犯人は寸前のところで解那の攻撃を防ぐ。

 

「な!?バカな!?威力が上がっている!?だ、だが、まだ許容限界には……」

 

解那の卍解の威力が上がっていることに驚愕する犯人だが、許容限界を超える程ではないことを悟り、余裕を取り戻していく。

 

「まだよ、結那!」

 

解那の言葉で彼女の隣には彼女と瞳の色が対象になっている彼女と顔が瓜二つで少し優しそうな瞳の黄金に輝く女性が立っている。そして、その手には暴君嵐神とは色合いが逆の黄色の紋様に緑色に淡く輝いている西洋剣が握られていた。

 

「な!?掛詞結那!?バ、バカな!?お前は死んだはず!?」

 

黄金の女性が握っている剣から暴風を纏った雷撃が放たれる。

 

「は、な、許容限界、を、超え……」

 

解那の新たな卍解『双極名君嵐神』が犯人の斬魄刀の許容限界を超え、結那の一撃を犯人に届かせる。そして

 

「結那!」

 

『お姉ちゃん!』

 

「『行っけぇぇぇぇ!!』」

 

二人の攻撃が犯人を跡形もなく消し飛ばした。

 

 

 

 

 

 

九番隊舎・執務室

九番隊隊長、檜佐木修兵は自身の副官である掛詞解那を問い詰めていた。

 

「どこ行ってた?」

 

「取材です」

 

「敵地じゃねぇか!しかもまた解決してるし!?」

 

「安心してください。今回は一番隊の阿散井あばらい副隊長と五番隊の雛森ひなもり副隊長、六番隊の間街まがい副隊長にもご協力とインタビューをして参りましたので」

 

「俺が言いたいことはそう言うことじゃねぇんだよ!」

 

修兵は頭を掻きながらため息を一つ吐いた。

 

「はぁ。……まあ、あれだ。一応、この記事は次回の瀞霊廷通信には載せてやる」

 

「ありがとうございます」

 

表情は変わらないが雰囲気が柔らかくなった解那がお礼を言うのを見た修兵は一瞬目を丸くする。

 

「……今、笑ったか?」

 

「?」

 

「……いや、何でもねぇ」

 





掛詞解那かかののかいなの斬魄刀
・斬魄刀名:『嵐神あらしのかみ
・解号:『雷轟らいめいとどろかせ一矢いっしむくいて、暴風ぼうふうれて身命しんめいせ 嵐神』
・見た目:柄と鞘が黄色い物と、柄と鞘が緑色の物の2本。長さはどちらも通常の斬魄刀と同じ。始解後、刃の腹の部分に柄と同じ色の紋様が刻まれている平刃の刺突剣エストックに変化
・能力:黄色い斬魄刀が雷撃操作。緑色の斬魄刀が暴風操作
・卍解:『暴君嵐神ぼうくんらんしん
・見た目:刃の腹の部分に緑色の紋様が刻まれていて全体が淡く金色に輝いている一本の西洋剣
・能力:振るった斬撃が雷が付与された暴風になる
・具象化した姿:角の部分が雷になっていて全身が淡く金色に輝いている白いユニコーン「雷神かみなりのかみ」(彼女は雷神らいじんと呼んでいる)と角が竜巻で出来ている淡く緑色に輝いている白い羊「風神かぜのかみ」(彼女は風神ふうじんと呼んでいる)。二体(二柱)とも厳格な喋り方。声が渋い。
・真の解号:『雷命らいめいかがやたまえ、静風せいふうまといてしずまりたまえ 嵐神』
・真の卍解:『双極名君嵐神そうきょくめいくんあらしのかみ
・見た目:暴君嵐神と形状は同じ。ただ、片目が輝く緑色に変化し、隣には彼女と瞳の色が対象になっている彼女と顔が瓜二つで少し優しそうな瞳の黄金に輝く女性が立っている。そして、その手には暴君嵐神とは色合いが逆の黄色の紋様に緑色に淡く輝いている西洋剣が握られている
・真の卍解習得条件:自分を含む「人」を信じること
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