タイトルの直訳「孤独な男の子/大人の約束」
間街白亜が破面だとバレて、なんとか処刑撤回した後のお話。
後書きに死神図鑑ゴールデン風のお話を載せています。
元十刃であるリーラ・バンクシーこと、間街白亜の処刑が撤回されてから数日後。
白亜は双極の丘にて瀞霊廷を眺めて居た。
「やあ、間街白亜くん。いや、リーラ・バンクシーくん」
「………京楽春水」
そんな白亜に後ろから物音一つ立てずに護廷十三隊の現総隊長、京楽春水が声を掛けてきた。
「…………ねぇ、1つ聞いて良い?」
白亜は突然の来訪者に驚くこともなく話かける。
「何だい?」
「何故、私を庇った?」
白亜の言葉に、京楽は一度自身の編笠を深く被り直してからゆっくりと口を開く。
「.........そうだね、日番谷隊長やあの更木隊長が君を庇ったからさ。僕個人としてはどちらでも、いや寧ろ処刑でも良かった。僕が処刑撤回を申し出たのはそちらの方が有益だと思ったからさ」
「………そう」
「こんな薄情な人間が総隊長で失望したかい?」
「そんな売れない批評家みたいな事、私は言わないし思わない………ただ、もう一つだけ聞いても良い?」
「?」
「………私が生きていること、スタークは恨んでるかな?」
今まで無表情だった白亜。
ただ、この質問を投げかけた時は無表情ながらも瞳が震えていた。
「......さて、どうだろうね?と言うより、スタークくんを斬った僕にそれを聞くのかい?」
「私は、死神としてそれなりに多くの虚を斬ってきた。そんな私だからこそ貴方に聞くべきだと思った」
「………そうかい。………そうだね。スタークくんは、そう言うの気にしないんじゃないかな?」
「………そう」
京楽の答えを聞いた白亜は今にも泣き出しそうな声音を出す。
「たださ」
「?」
京楽はしばらく瀞霊廷を眺めながらゆっくりと、まるで期待を裏切ってしまって泣き出しそうな子供をあやすような優しい声で口を開く。
「………スタークくんがどう思うかなんて、本当のところは誰にもわからない」
「......」
「でもね、僕があの子だったら、生き残ってくれて良かったと思うけどね」
「何故?」
「一人ぼっちは寂しいだろう?」
「...............そう」
白亜は姿勢をただし、京楽に対して頭を下げた。
「京楽総隊長。この度は、寛大なご対応ありがとうございます」
そんな頭を下げてお礼を言ってきた白亜に対し、京楽は一瞬だけ困ったように笑って。
「間街副隊長、今後の活躍に期待しているよ」
その後2人は双極の丘を後にし瀞霊廷へと歩き出した。
「あ、ところでさ、間街くんのコレクションの中にお酒の飲めそうな食器ってあるかな?」
「虚弾で出来た切子硝子のお猪口ならあります」
「お、本当かい?なら今夜一杯どうだい?」
「総隊長が秘蔵の一本を出してくれるなら」
「え〜、……まあ良いか」
死神図鑑ゴールデン「芸術は爆発だ」
隊士達が複数のギリアンに襲われているところに『終焉美学』を既に始解状態にした白亜が躍り出て来た。そして、
『王虚の閃光』
白亜の放った『王虚の閃光』がギリアン達を飲み込み消し飛ばした。
「ふ、副隊長……! 今の、空間がひび割れるほどの禍々しい赤い光は一体……!?」
「……ん? ………ああ、あれはただの『絵の具』」
「絵の具!? 絵の具であんな、山が一つ消し飛ぶような大爆発が起きるわけないじゃないですか! 今のどう見ても虚閃ですよね!?」
「違う」
「違うんですか!?」
「あれは絵の具」
「いやだから!」
「赤」
「色の問題じゃないんですよ!」
「私は芸術家だから。ちょっとキャンバスに、赤の顔料を力強くぶち撒けただけ」
「力強さの次元が違いますって! 空間が歪んでましたよ!?」
「……芸術は時として三次元の枠を優に超えてくる。それによく言う、『芸術は爆発だ』って」
「爆発の規模がおかしいでしょ!?」
「それより、みんな無事?」
「え?あ、はい!ケガ人は居ますが死者は居ません」
「……そう。なら帰ろうか」
「あ、はっ、はい!」
(あれ絶対虚閃だよなぁ……)