タイトルのイメージは「永遠に渡って染まる」
先ず始めに、ロリちゃんとメノリちゃんのファンの方はごめんなさい。
正直、コレを書いている時のネタの中で「アンチ・ヘイト」の部類に入るかもと思っていた要因の約8割がコレです。
今回も後書きに死神図鑑ゴールデン風小話を載せています。
プロローグ
無間
真央地下大監獄の最下層に位置する第八の監獄。光すら届かず全てが漆黒に染まる空間。
そんな右も左も分からない闇の中を死覇装と八番隊の隊長羽織りをだらしなく着崩して歩く少女、浮竹都依がいた。
「やあ。怠惰を気取る君が、態々私に会いに来てくれるとはね」
そんな都依に優しそうな男の声が話しかけてきた。
「………愛染惣右介」
都依は声が聞こえた方の闇を見つめながら声の主の名を呼ぶ。
「おや?私と君は初対面だと思ったが、ふふっ、若い世代にも知られているとは、どうやら私もまだ捨てたものではないらしい」
「………」
私のことを『怠惰を気取る君』なんて呼んだ奴が何言ってんだと呆れた目を向けながら、都依はこの男と自身の卍解は思っていた通り相性が最悪だと悟る。
無間に収容されていてコレなのだ。『情報』など与えたらどうなるか分かったものではない。
「答え合わせ………いや、君はパズルのピースの形が合っているか確認しに来たんだね」
「………その回りくどい言い方、コスパ悪いよ」
「ふふっ、すまない。どうやら私も自身が思っていた以上に、人との会話を欲していたらしい」
「………」
都依は愛染の言葉を無視して帰路に着く。
「……帰るのかね。………また来ると良い。その時は私が隊長だった時の京楽や浮竹の恥ずかしい話を聞かせてあげよう」
「!?……」
都依は愛染の言葉に一瞬歩みを止めるが、すぐさま歩き出し無間を後にした。
深夜、流魂街近郊で闇夜に紛れて駆けていく2つの影があった。
「……なぁ、ロリ。本当にやるのか?」
影の1つメノリ・マリアはもう1つの影ロリ・アイヴァーンに話かける。
「今更何言ってんのよメノリ。この時の為に数百年準備してきたんでしょうが」
「いや、そうだけどよ」
「メノリちゃんの言う通りやめたほうが良いと私も思うよ〜。てか、ロリちゃん、男の趣味悪くない?」
「「!?」」
ロリとメノリは、急に会話に入って来た第三者に驚愕しながらもその声のした方を振り返る。そこには脱力した状態で立っている都依がいた。
「あんた、確か新しい八番隊の……」
「ロリちゃん、いくら今が現世でバレンタインシーズンだからって無間に忍び込んで愛染に直接チョコ渡そうとか、ダメだよ?」
「………は?」
「直接は渡せないけど、差し入れって形なら面倒くさいけど私の方から渡してあげるから。ほら」
そう言って都依はロリにチョコを渡してと言うように手を出す。
「……はっ、アホらしい。行こう、メノリ」
「お、おう」
話にならないと鼻で笑いロリ達は都依から離れようとする。
「は〜、私の話に合わせてそのまま帰ってくれれば良かったのに、無間開放とか面倒くさいからやめてよ〜」
「!?あんた、知って……」
そう、彼女達の本当の目的は無間を開放し愛染を解き放つことだった。
「『永き想いは苦痛に歪み、儚き想いは希望に満ちる 冥土蓬莱』。普通は無間開放なんて出来るわけないし、私が出てこなくても良かったんだけど、流石に滅却師のメダリオンを持ち出されたらね〜」
「「!?」」
都依の言葉にロリ達は懐に隠し持っていたメダリオンに触れる。
「やっぱ、持ち出してたか〜」
「!?なっ、てめぇ!カマかけかよ!」
「いや、可能性は考えてたよ。もし隊長の誰かの卍解が奪われて、それを利用されたら、一京分の一の確率の奇跡でも無間開放の可能性があったからね。もし君達がメダリオンを持って無かったら君達を見逃してはい終わり〜で楽だったんだけどね」
都依は本当に面倒くさいと言いたげな顔をする。
『毒せ 百刺毒娼』
「おい、ロリ!?」
「うっさい!どうせコイツは殺すか卍解使わせて奪うかなんだよ!」
そう言ってロリは帰刃して巨大なムカデの様に変化した腕を都依に向けて振り下ろす。
「おっと」
危なげなく振り下ろしを避けた都依に、ロリはもう片方の腕を巻き付ける。
「ありゃ、捕まった」
「アハハハ、隊長だから十刃でもない破面の二人くらい簡単に倒せるとでも思ってたの?こちとら、あの時代を生き残ってんのよ。ぽっと出で隊長になった小娘なんかに負けないわよ!」
そう言いながら都依に巻き付けた腕に力を込めるロリ。
「………」
「あ、一応言っといてあげる。私の百刺毒娼は何でも溶かす毒を出すの。早くしないと毒で溶けて死ぬか、圧迫死、ね。卍解を使っても良いわよ?メノリ、メダリオン用意しときなさい」
「おう!」
勝ち誇ったように笑いながらロリはさらに巻き付けた腕に力を込める。そして、
パリンッ
「え?」
拘束していた都依が割れて霊子の粒となって空気中に溶けていく。
「お〜、結構強く握ったんだね〜」
何が起きたのか理解できず固まったロリ達の耳に気の抜けた声が届く。
ロリ達が声がする方に目を向けると、そこには最初と変わらず脱力した状態で立っている都依がいた。
「なっ、あ、あんた!?どうなってるのよ!?自分のコピーを作るのがあんたの能力なわけ!?」
「え、違うよ?アレはね〜、私の霊圧をギュッと固めて私の形にした囮だよ」
そう、都依は冥土蓬莱を始解すると同時に自身とロリ達の間に霊圧を固めて作った囮を置いたのだ。
「なっ!?そんなこと出来るわけ無いでしょ!」
「出来るよ」
いつもと変わらない雰囲気で彼女は言う。
「君達さ〜、私を誰だと思ってるの?護廷十三隊八番隊隊長、浮竹都依だよ?それくらいわけないよ」
「「!?」」
ここでようやくロリ達は都依と自身達の間には隔絶した力量差があることを理解する。
「コスパ悪いからさっさと終わらすよ〜。本当は始解で済ませたかったんだけど。……君達がメダリオン持ちなら話は別」
『卍解』
都依は緩く解号を唱えながら両手の薙刀を逆手に持ち替える。
『冥土蓬莱永劫回帰』
瞬間、世界から彩が消えた。そして、
「あっ、あぁぁ」
「イヤッ、イヤイヤイヤァァァ!?」
ロリとメノリは顔を恐怖で歪ませ、その場にへたり込み、メノリは手に持っていたメダリオンを落とす。そんな二人を都依はいつもの様な気怠そうな瞳で見つめながら彼女達にとっての死刑宣告を告げる。
「君達自身の未来なんだからさ〜、ルートは自分達で決めなよ?」
その言葉もいつもと変わらない面倒くさそうな声音で放たれた。
エピローグ
「あ〜、働いた。ここ一年働かなくていいくらい働いた」
「ヨシヨシ、とよ姉、よく頑張ったね〜」
後日、瀞霊廷のとある茶屋で都依はいつも通り仕事をサボりながら、自身の副官である八々原熊如に頭を撫でられていた。
「ところでとよ姉、何で愛染に会いに行ったの?」
「ん?ああ、今回の件が『ロリちゃん達の独断』か『愛染が仕組んでいたもの』かを見極めるためだね。前者は兎も角、後者だったら流石に護廷隊総出で事に当たらなきゃヤバいし」
「てことは、今回は『ロリちゃん達の独断』ってことか。ねえ、なんで愛染が関与してないってわかったの?愛染がそう言ったの?」
「いんや、元々愛染の関与の可能性は低かったんだけどさ。もし関与してたなら「答え合わせをしよう」とか言いながら私は殺されていたと思う」
「え!?」
都依は今の自分では愛染には勝てないと思っていた。自身の卍解は相性最悪だし、勝てる可能性が無い訳では無いが、斬りつける角度が一度でもずれたら敗北ルートまっしぐらであるだろうことは容易に想像出来た。
一挙手一投足全てに快適解を出さなければ勝てないなど面倒くさくてやりたくない。
「そっか〜。ねえ、もう一つ聞いても良い?」
「ん〜」
「ロリちゃん達がメダリオンを持ってたんなら黒崎隊長に任せれば良かったんじゃない?」
メダリオンは虚由来の力を奪えない。熊如の言う通り一護は卍解と虚化を融合出来るためメダリオンは効かない。一護なら頼めば力を貸してくれただろうことは想像に難くない。
「ん〜、最初は私もそれを考えてたんだけどさ〜」
「?」
「あの愛染を「寂しがり屋」なんて言う黒崎隊長に、ロリちゃん達に刃を向けさせるようにするのはちょっとね〜」
「ふ〜ん?」
よくわかってない熊如は生返事を返す。
「……居た。浮竹隊長」
そこへ、六番隊副隊長、間街白亜がやって来た。
「あ、ヤッホ〜。はっくん」
「……ヤッホー、八々原副隊長」
「んで、どうしたの?白亜くん」
「…ハリベルから伝言「今回、二人を止めてくれて感謝する。今後、この様な事が起こらないよう二人はみっちり叩き直す」って」
「うわ〜、ハリベルさんの叩き直しとか考えただけでもダルそ〜」
「後、世敖三席が探してた」
世敖景博とは八番隊の三席で都依のお目付役である。
「え〜、ヤダ〜。白亜く〜ん、ケイをなんとかして〜」
「ヤダ」
白亜としては珍しく、即答で断る。
「う〜、仕事したくない〜。ゆゆ〜、助けて」
「ヨシヨ〜シ、あ〜しも手伝うから頑張ろ〜?」
遠くから「浮竹隊長〜」と言う景博の声が聞こえる。どうやら仕事からは逃げられないらしい。
死神図鑑ゴールデン「夜遊人」
瀞霊廷のとある茶屋
そこではいつもの様に八番隊隊長の浮竹都依が自身の副官である八々原熊如を連れて仕事をサボってお茶していた。
「今日も尸魂界は平和だね〜」
「ね〜」
「平和なんだから仕事しなくてもいいよね〜」
「よくありません」
都依の後ろから否定の声が掛かる。八番隊三席、世敖景博である。
「............ケイ〜、私達は護廷十三隊。護廷なんだから、平和な時は仕事しないくて良いんだよ」
「良いわけ無いじゃないですか。ほら、隊長に確認して貰わないといけない書類がいっぱいあるんですよ」
「え〜。てか、ゆゆも一緒にサボってるのになんで私ばっかり...」
「八々原副隊長は既に本日分の仕事は終えておりますので」
「え!?ゆゆの裏切り者〜!」
「え〜、だって、あ〜しとよ姉みたいに要領良くないし〜」
都依が、熊如が既に仕事を終えていることに抗議するが、熊如はどこ吹く風である。景博は話は終わりとでも言うように都依の手を引き店を出ようとする。
「ちょ、ちょ、ちょっと待って、ケイ!まだ会計済んでない!」
「会計でしたら既に此方で済ましてあります。なのでこのまま出ても問題ありません」
無銭飲食は流石にまずいと慌てる都依に、ことも何気に会計済みと答える景博。
「......ケイってそういうとこ熟れてるよね。たまに、私より遊び人なんじゃないかって思う」
「?自分は隊長程器用じゃないので仕事中は遊びませんよ?」
「......いや、そういう意味じゃなくて」
「あはは、けいちゃんマジウケる〜」
「?」
本当に分かってなさそうな景博に都依と熊如は微妙な視線を向けるのだった。