死神代行と血を継ぐ者(凍結中)   作:焔月

17 / 20
あけましておめでとうございます。

もう年明けから二週間経っていますが、新年初の投稿です。

どうぞ


迫る命の刻限、そして終息

 

織姫side

 

黒崎君、朽木さん、みんな負けないで…!

 

「ガアアアァァッ!!」

「月牙天衝!!」

織姫が見詰める先では先程からリウと一護が互いに技を繰り出し、鍔迫り合っている

それが瞬歩を使っての超高速戦闘で行われているため、ルキア達は一ヶ所に集まり、戦闘に介入する瞬間を見計らっていた

 

『織姫さん、大丈夫かい?』

『…緊張してる?』

「舜桜君、あやめちゃん…うん、緊張してるかな

…でも大丈夫!皆が頑張ってるんだもん、私も頑張らなきゃ!」

『そうだね、僕達も頑張るよ

僕達は君の力、君の想いの強さで僕達の力は強くも弱くもなる…だから、心を強く持ってね』

『…織姫さんなら大丈夫です』

「ありがとう、二人共」

織姫は自らの力、『盾舜六花』の具現であり、『回復』、『防御』、『攻撃』のうちの『回復』を担っている二人と会話を交わす

 

リウ君、必ず助けるからね

 

 

 

 

一護side

 

くそっ!一瞬でも動きを止められれば…

 

「ガアアアァァッ!!」

「!!しまっ…!」

「『氷竜旋尾(ひょうりゅうせんび)』!!」

一瞬だが思考の海に沈んで力を緩めてしまい、それを見逃さなかったリウが一護に襲い掛かる

そこに氷でできた斬撃が二人の間に放たれた為、リウは一護から咄嗟に距離を取った

 

「わりい冬獅朗、助かった」

「気を抜くな、黒崎」

一護の隣に冬獅朗が立ち、恋次以外の他の全員が側に来る

恋次は一護達の前に立ち、リウを牽制している

 

「グルルル…」

リウは刀を手放し、前に重心を傾けながら、目に憎悪の光を宿しながら冬獅朗を睨み付ける

それはまるで、獲物を横取りされた飢えた獣の目と同じ物だった

 

 

 

 

龍?side

 

ジャマ、シタ

アイツ、ジャマ、シタ

クウ、アイツヲ、クウ

アイツラ、ゼンブ、クウ

アイ、ツハ、サイゴ

アイツ、ハ、イチバン、ウマソ、ウ

クウ、クウ、クイタイ

ニクヲクライ、チヲススリ、ホネヲクダキ、ナニモノコサズ………クライツクシテヤル!!!

 

「グオオオオオオオオオォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォオオオォ

ォォォォォォォォォォ!!!!!!」

おぞましいほどの雄叫びを上げるリウ

その雄叫びは、聞く者総ての背筋を震え上がらせる程だった

 

「まだあんな力を残していたのか…!」

 

アイツハ、サイショニクウ、モウ、ジャマハサセナイ

 

「ガアアアアァァァッ!!」

「!?ぐうっ!」

リウは瞬歩を使って冬獅朗に襲い掛かる

リウの攻撃を辛うじて受け止めた冬獅朗だが、衝撃が大きかったらしく地面が陥没していた

 

「くそっ…はああああっ!!」

ガギンッ、という鈍い音と大きな火花を発しながら、冬獅朗はなんとかリウを引き離した

 

 

 

 

冬獅朗side

 

くそっ、なんて力だ…手が痺れてやがる

 

「ガアッ!」

「月牙天衝!!」

再び冬獅朗に襲い掛かろうとしたリウを、一護が月牙を放ち遠ざける

 

「大丈夫か!冬獅朗!」

「すまない、黒崎」

一護が冬獅朗に駆け寄るとただ攻撃を受け止めただけだというのに、軽傷とはいえかなりの傷を負っているのを見て、眉間のしわを深める

 

「グルルル…」

「『邪魔するな』ってか、龍のやつ」

「彼奴の狙いは恐らく俺だ

このまま動きを封じられればな」

此方を睨み付けるリウの表情を見て、何を思っているのかを考える一護と、冷静にリウの行動を分析する冬獅朗

 

このまま俺が囮になれば彼奴を止められるか0?

 

 

 

 

一護side

 

冬獅朗の奴、まさか…

 

「冬獅朗、お前まさかとは思うけどよ

『自分が囮になろう』とか考えてんじゃねぇよな?」

「!?」

「その表情を見る限り図星みてぇだな

…そんな事誰も許さねえからな、やろうとなんかすんじゃねえぞ」

警戒を緩めず、顔だけを冬獅朗に向けながら話す一護

そんな一護に冬獅朗は「ああ」と短く返した

 

「『狒骨大砲』!!」

「『次の舞・白漣』!!」

「『唸れ!灰猫』!!」

「リヒトヴィント!!」

「『巨人の一撃(エル・ディレクト)』!!」

「『切り裂き紅姫』!!」

「「!!」」

リウと対峙していた二人の後ろから、全員が一斉に攻撃する

 

「ガアアアァァッ!!」

「まだじゃ!『瞬閧(しゅんこう)』!!」

攻撃を耐え反撃しようとするリウに、瞬閧を纏った夜一が、高速で白打を繰り出し動きを封じる

 

「グルルル…」

苛立たしげに唸りながら、両腕を交差させて夜一の攻撃を耐えるリウ

 

「今じゃ!井上!!」

「!!は、はい!『双天帰盾』私は、拒絶する!!」

「!?グ、ガア゛ア゛ア゛アァァァッ!!!!」

織姫の双天帰盾の光に包まれた直後、リウは絶叫を上げながら、結界を破ろうと霊圧を放ちながら暴れる

 

「ガアアアアァァァッ!!!!」

「きゃあっ!」

「井上!!」

リウの霊圧に耐えきれず結界が破られ、織姫は衝撃で倒れ込むが、ルキアが地面に倒れ込む直前に受け止めたため無事だった

 

「グルルル」

リウは先程まで冬獅朗に向けていた憎悪の目を、今度は織姫に向ける

しかし、織姫に向けるその憎悪は、冬獅朗に向けていたものよりも遥かに(くら)く強いものだった

 

「ガアアアアァァァァッ!!!!」

リウは無造作に覇リウを振るい、竜王破を二人に放つ

 

「井上!ルキア!

くそっ…!月牙天衝!!」

「破道の三十三!蒼火墜!」

黒い斬撃と蒼い炎が竜王破とぶつかり相殺し合う

煙が晴れると、血に塗れたリウが唸りながらこちらを見据えていた

 

「龍…」

一護はそんなリウに哀しげな目を向ける

 

もう、お前を助けられねえのか…?

 

 

 

 

龍?side

 

アイ、ツガ、イチバン、キケ、ン、ダ

アノ、ヒ、カリ…アレ、ニツツ、マレタトキ、ホンノウ、ガ、ニゲロ、ト、サケンダ

アノ、オンナ…アノ、オン、ナ、ヲ、サイ、ショニ、コロス

ジャマナ、ヤツ、ハ、ゼン、ブクウ

アイツ、ハ、アイ、ツヲクウ、ノハ、ソノアト、ダ

 

「グルルル(カクゴシロ、オンナ、ヤツザキニシテヤル)」

 

 

 

 

ルキアside

 

リウ…もう、手遅れなのか…?

もう、お前を助けることは出来ぬのか…?

 

「もう一度、やらなきゃ

…私の力が、リウ君を助けられる、唯一つの方法なんだから」

「井上…」

 

そうだ、諦めてどうする

ここで諦めては、リウを死なせるのと同じなのだ

リウを止めねば…私達がやらずに、誰がやるというのだ!!

 

「行くぞ井上、リウを止める」

「うん!」

 

 

 

 

一護side

 

不味い…さっきの月牙に霊圧を込めすぎた…

あと、撃てて2~3発が限界だ、それ以上は卍解が解ける

虚化は論外だな、ただでさえ霊力の消耗が激しいのに、そんな状態で虚化なんかしたら一瞬で卍解が解ける

 

「くそっ…!」

 

どうすりゃ良いんだ…

龍…!

 

「ガアアアァァッ!!」

「!!逃げろ!井上!ルキア!」

リウが二人に襲い掛かろうとしているのを見て、一護は声を張り上げる

しかし、二人は逃げようとせず、自分達に向かって来るリウを見詰めていた

 

 

 

 

ルキアside

 

「来るぞ井上、覚悟は良いか?」

「うん」

自分達に向かって来るリウを、二人は静かに見据える

そして、リウの爪が二人を切り裂こうとした瞬間…

 

「今だ!!」

ルキアの声で、二人は左右に飛び退く

二人の後ろには恋次が待機しており、恋次の左隣には、冬獅朗と乱菊が

右隣には、浦原と夜一が立っていた

 

「雷鳴の馬車、糸車の間隙

光もて、此を六に別つ

縛道の六十一!六杖光牢!!」

「縛道の六十三!鎖条鎖縛!!」

「破道の三十二、黄火閃!」

「破道の三十三!蒼火墜!」

「!?ガアアアアッ!!!!」

乱菊の詠唱での六杖光牢と、冬獅朗の詠唱破棄での鎖条鎖縛がリウの動きを封じ、そこに浦原の黄火閃と夜一の蒼火墜が放たれ、リウは叫び声を上げた

 

これでリウが止まってくれれば良いのだが...

 

「グガアアアアッ!!」

「!まだ動けるのか!?」

鬼道によって起きた土煙から、咆哮を上げながら現れたリウ

ルキアは、ボロボロで身体中から血を流しているにもかかわらず、全く止まる様子の無いリウを見て驚きを露にする

 

「ガアアアァァッ!!」

「させるかよ!吼えろ!蛇尾丸!!」

再び織姫に襲い掛かろうとするリウに、恋次は蛇尾丸を振るい妨害する

 

「グルルル…!」

「行けぇ!!」

蛇尾丸でリウを囲み、それを見て恋次は蛇尾丸を思い切り引いた

 

 

 

 

恋次side

 

このまま捕らえてやる!

 

恋次が蛇尾丸を引くと、リウを囲っていた刀身の輪が狭まっていき、そしてリウを縛り上げた

 

「ガアアアアァァァッ!!!!」

蛇尾丸に締め上げられ、傷口から更に血を溢れさせながらリウは絶叫を上げる

 

「今だ井上!!」

「う、うん

『双天帰盾』私は拒絶する!!」

再びリウを双天帰盾が包み込む

 

「!?ガア゛ア゛ア゛ア゛ァァッ!!!!!」

リウは痛みによる絶叫だけでなく、双天帰盾による治療で更に大きな絶叫を上げ、拘束から逃れようと身を捩る

 

「(お願いリウ君、元に戻って!)」

「ガア゛ア゛ア゛ア゛ァァァッ!!」

織姫はリウに戻ってもらいたい一心で意識を集中させる

しかしリウは織姫の思いなど欠片も気に止めず、術を破ろうと霊圧を上げ抗った

 

「!!きゃあっ!」

「井上!ぐあっ!」

「グルルル…オオオォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォオオオオオオオォォォォォォォオオオォォォォォォォォォォ!

!!!!!」

リウは蛇尾丸に縛られた状態で双天帰盾を掛けられていたが、両方を霊圧と自身の膂力(りょりょく)だけで破ってしまった

 

何て野郎だ、力だけで蛇尾丸の拘束から逃れやがった

 

 

 

 

一護side

 

―斬月、双破

『『どうした、(一護)(相棒)?』』

―龍は…龍に残された時間は、あとどのくらいだ...?

『あと僅かしか残ってはいない』

『…持って5分ってとこだ

早くあの井上って女の力で正気に戻さねえと、本当に手遅れになる』

―…わかった、ありがとな二人共

『一護…』『相棒…』

 

「龍…必ずお前を助けるからな」

一護は恋次、ルキア、冬獅朗と戦っているリウを見て小さく、でも確かな意思と覚悟を持った声で己の魂に誓った

 

 

 

 

織姫side

 

「グ…ガアアァァァ…」

「リウ君…」

織姫は恋次と冬獅朗、ルキアに庇われリウを見詰めていた

リウは、多量の出血と霊力の消耗のせいで、足元すら覚束ない様子でふらふらとしている

 

「井上」

「黒崎君」

リウを警戒しながら、額や腕から血を流している一護が、声を掛けた

 

「怪我、してねえか?」

「うん、私は大丈夫だけど、でも皆が…」

織姫の言葉に一護は全員を見渡す

皆、一護やリウ程の深い傷は負ってはいないが、それでも軽傷とも言えない傷を負っていた

 

「案ずるな井上

リウや一護に比べればこの程度、どうということはない」

いまだ血の止まっていない一護をちら、と見て言うルキアの言葉に全員が頷く

 

「グルルル…」

「来るぞ!」

「ガアアアァァッ!!」

冬獅朗がそう言った次の瞬間には、リウは織姫に襲い掛かってた

 

「あ…!」

突然の事に織姫は動けず、他のメンバーもリウを止めようとするが、既にリウの獣のように鋭く伸びた爪が、織姫を引き裂こうとしていた

 

「井上!!…ぐあああぁっ!!」

「!?黒崎君!!」

自身の卍解の特徴である速さを生かし、神速とすら呼べる速さで織姫の元へ駆ける一護

そして、織姫を引き裂こうとしていたリウの爪は、織姫ではなく織姫を庇った一護の背中を深く切り裂き、その痛みに一護は絶叫を上げた

 

「黒崎君!しっかりして!黒崎君!!」

「ぐ……うぅ…」

リウに背中を深く切り裂かれた上、既にかなり血を流していた一護の顔色は悪い

さらに意識も朦朧としているのか、自分を心配して呼び掛ける織姫の声にも応えず、ただ呻くだけだった

 

「一護!くうっ!」

「グガアアアアッ!!」

リウにやられた一護を心配し、二人の元へルキアは駆け寄ろうとするが、リウに妨害され近付くことが出来ない

 

 

 

 

龍?side

 

「グルルル…」

全員から距離を取ったリウは、一護を切り裂いた際に手に付いた彼の血を見て、(おもむろ)にその血を舐め始める

 

ウマイ、コレガ、アイツ、ノ、レイリョクノ、アジ…

チ、ダケデ、モ、コン、ナニ、ウ、マイ、ナラ、アイツノ、ニクハ、キット、モッ、トウマイ

クイタイ、ハヤク、アイツヲ…

 

「グルルル」

自分の手に付いていた一護の血を全て舐め終わると、リウは昏く濁った、でも獣のような目を、一護にのみ向ける

 

「グオオオオオオオォォォオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」

リウは凄まじい咆哮を上げると強く地面を蹴り、一護へと狙いを定め、襲い掛かった

 

 

 

 

 

ルキアside

 

まさかリウ、一護を喰うつもりか!?

 

「リウサンを止めて下さい!彼の狙いは黒崎サンだ!!」

ルキアがリウの狙いが何なのか分かり、理解したのと同時に、浦原が全員に向かって叫んだ

 

「ガアアアアァァァッ!!」

「三天結盾!」

織姫は意識が朦朧としていて動けない一護を護るために、自分達の前方に防壁を張る

リウは防壁を破ろうと爪を立てるが、織姫の『一護を護る』という強い意思で張られている防壁を、破る事が出来ない

 

「破道の三十三!蒼火墜!」

「!?ガルッ!」

三天結盾を破ろうと霊圧を上げたリウに、ルキアが蒼火墜を放ちリウは回避するため後方に飛び退く

 

「井上、リウは私達が引き付ける

だからお前は、一護の治療を頼む」

「うん、双天「いい…井上」…黒崎君!」

織姫が一護の治療をしようと言霊を唱えようとするが、一護の言葉によって中断する

 

「はぁ…はぁ…ぐ…うぅ…!」

「黒崎君!動いちゃ駄目だよ!」

「そうだぞ一護!大人しくしていろ!」

一護は重傷を負っているにも拘らず立ち上がり、天鎖斬月を構える

 

「グルルル」

リウは自身を強い眼差しで見詰める一護に、唸り声を上げる

 

「よせ一護!そんな体で戦えば、お前が…!」

ルキアは言葉を続ける事が出来なかった

それは、決して認めたくはないこと、最悪の事なのだから

 

あのまま戦えば、あやつの命が…

だが一護は、それを言ったところで決して戦うのを止めたりはせぬ

 

「死ぬな、一護…!」

ルキアの声は、リウに全ての意識を向けている一護に届く事はなかった

 

 

 

 

一護side

 

くそっ…!視界が揺れる…

立っているのが…いや、意識を保ってるだけで精一杯だ…

 

「グルルル」

リウは一護が動けないのが解っているらしく、一護にはそれほど意識を向けず、他の全員を警戒している

 

「龍…」

「グル?」

一護がリウの名を呼ぶと、リウは警戒を緩めずに一護を見る

 

「目を…覚ませ…龍…!」

「ムダ、ダ、コノ、カラダハ、ワレノ、モノ

オマエ、タチガ、リウ、ト、ヨブ、モノハ、モウ、イナイ」

『!?』

「なん…だと…

ふざ、けんな…!龍を、返せ…!!」

突如片言で話すリウ

だがその口調はリウのものとは違い、感情が無く平淡なモノ

リウとは違う、『リウの姿をした者』が言った『リウはもう居ない』という言葉に、全員の表情が凍り付く

しかし、一護だけはその言葉を信じず、その目に怒りの炎を宿し、『龍を返せ』と、途切れ途切れにだが言葉を紡ぐ

 

龍がもう居ないだと、ふざけんな!!

龍は、必ず助ける!!

 

「オマエ二、ナニガ、デキル

オマエハ、モウ、タタカ、エヌ

ソコデ、オトナシ、ク、ホカノ、モノタチ、ガ、クワレル、ノヲ、ミテイ、ロ

…グオオオオオオオオオオオオォォォォオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォオオオオ

ォォォォォォォ!!!!!!」

一護を嘲笑うかのようにそう言うと、リウ(これからは獣と表記しますby作者)は雄叫びを上げ、今だ動くことが出来ない全員に向かって駆け出す

 

「逃げろ、お前らぁ!!!!」

一護の必死の叫びに、漸く我に返った全員が獣の爪から逃れる

 

「グルルル(ヨケイナ、コトヲ)」

獣は一護の声により、正気に戻り自分の爪から逃れた全員と、叫んだせいで傷に響いたのか、片膝をつく一護に憎悪の目を向ける

 

 

 

 

 

獣side

 

アイツ、ラヲ、クラッタ、アト、アノ、オトコヲ、クラ、オウト、オモッタ、ガ、モウ、イイ、アイツヲ、クラウ、ソレデ、モクテ、キ、ハ、タッセイ、スル

 

「ガアアアアアァァァァッ!!!!」

『!!』

「逃げろ一護!!」

雄叫びを上げながら獣は、一護に迫る

ルキアは一護に逃げろと叫ぶが、一護は既に片膝をついていて、目の焦点も合っておらず、意識を保つだけで精一杯の状態だった

 

「駄目ーーーーっ!!」

織姫が叫んだと同時に彼女のヘアピンが光り、一護と獣の間に三天結盾が張られる

 

「グルッ!?」

獣は障壁を破れないと解ると、それを張った織姫を睨み付ける

 

「オン、ナ、ヨケイ、ナ、コトヲ、シテ、クレタ、ナ」

獣は忌々しげに呟き、織姫を庇うように傷だらけになりながらも、各々の武器を構え自分に向かって来ている全員を見る

 

「ソノ、ヨウ、ナ、ジョウタイ、デ、ナニガ、デキ、ル?

スデニ、ゲン、カイ、デ、アロウ?」

獣は、何故それほどまでに全員が必死になるのかが解らず首を傾げる

 

「やっと、捕らえ…たぜ…龍…」

「!?キサマ…!」

小さな…しかし確かな声と共に、一護が獣を後ろから羽交い締めにしていた

 

 

 

 

一護side

 

絶対に、放すかよ…!

 

「!?マサカ…ハナ、セ…キサマァ!!」

「放す、かよ…!今だ!井上!!」

「う、うん!双天帰盾!私は拒絶する!!」

獣の意識が自分に向いていないのではないかと感じた一護は、既に限界を超えている自らの身体を無理矢理動かし、獣を羽交い締めにしていた

 

これで、本当に最後だ

これが失敗したら、俺も…リウも間に合わなくなる…!

俺はいい、でも龍は必ず…!!

 

「グガア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァッ!!!!」

「ぐ…うぅ…大人しく…しやがれ…!」

結界の中で、一護に拘束されているにも関わらず暴れる獣

一護も暴れている獣の爪によって更に傷を負うが、決してリウを放そうとはしない

 

「ガア゛ア゛ア゛ア゛ァァァッ…ガルッ!」

「!!ぐあああああぁぁぁっ!!」

結界内で絶叫し暴れていた獣だったが、突如一護の腕に噛み付き、突然の事に一護は痛みで絶叫を上げた

しかし、一護は痛みに顔を歪めながらも獣を拘束する力は緩めない

 

「グルルル」

「ぐ…ぐうぅ…!!ぐあぁっ!」

「黒崎君!!」

「続けろ…!井上!俺に構うな!!ぐうぅ…っ!!」

一護の拘束から逃れようと、噛み付いている力を強める獣

だが一護は痛みに呻きながらも力を緩めず、逆に拘束する力を強めるが、力を入れたせいで背中と腕からの出血が酷くなり、一護はその痛みに耐える為歯を食い縛る

 

 

 

 

織姫side

 

黒崎君…!駄目、今はリウ君に集中しなきゃ…!!

 

「ガア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァッ!!!!」

耳を(つんざ)く程の絶叫を上げる獣

彼の口元は一護の血で紅く染まっていて、絶叫を上げる度に口元に付いていた血が飛び散る

 

お願い!元の…優しいリウ君に戻って…!!

 

織姫の強い想いが、獣と一護を包む結界の光を強める

しかし獣は必死に暴れ、抵抗する

 

「目を…覚ませ…!龍ーーー!!」

一護がリウの名を叫んだ直後、獣が目を見開き動きを止めた

 

 

 

 

龍side

 

漆黒の闇の中で漂いながら、死んでいるのかと思うほどに深い眠りに就いているリウ

彼は膝に顔を伏せ、身体を抱えるように丸めていた

闇の中で、どのくらい時が経ったのわからないが、リウはうっすらと目を開ける

しかし、その目は虚ろで意識がまだ完全でないことを示していた

 

ここは…?俺は、一体

…何か、とても大切な事を、忘れているような…?

俺は…何を忘れているだろう?

何も…何もわからない…

 

「   」

 

?『   』って何だ?もしかして…この『   』というのが解れば、俺が忘れている事も思い出せるのだろうか?

でも…駄目だ、意識が遠退く…早く思い出さなければいけないと分かってはいるのに

はや…く…おも、い…ださ……

 

 

 

 

 

 

 

(龍ーーー!!)

 

 

 

!!何、だ…今の……かなり小さかったけど、声?

俺を、呼んでいた

誰なんだろう?俺を呼んだのは…

でも、わからない

ノイズが掛かっているみたいに…男の人なのか…それとも、女の人なのかさえわからない

誰なんだろう、俺を呼ぶその声は…?

 

『知ラナクテイイ、オ前ハ、知ラナクテイイノダ

オ前ハココデ、眠ッテイレバイイ

ソウスレバ、オ前ガ傷付クコトハナイノダカラ

何故、他人ノタメニオ前ガ傷付クノダ、ソンナ必要ハナイダロウ?

ココニイレバオ前ハ、傷付クコトハ決シテナイ

ダカラ…ココニイロ、ココデ深ク、眠リニ就イテイレバイイ

戦イモ、争イモナイコノ場所デ…』

 

でも、呼んでるんだ…俺を…誰かはわからないけど

…行かなきゃいけないって、そう思うんだ

 

『又、傷付クトシテモカ?

忘レタ訳デハアルマイ?アノコトヲ

他人…ソレモ、マッタク知ラヌ人間カラ掛ケラレタ、アノ言葉ヲ…

ソレデモ、行クノカ?アノ場所ヘ、オ前ガ傷付クダケノ、アノ世界二』

 

確かに彼処は、俺にとって傷付くだけかもしれない

 

『ナラ…』

 

でも…それでも、行かなきゃいけない

俺を呼んでいる、それに…俺を呼ぶあの声は、優しい感じがしたんだ

まるで、家族に言っているみたいに………あの声からは、『戻って来い』って思いが伝わって来た

 

 

 

 

 

やっと思い出したよ……………『一護』これを…この名前を俺は忘れていたんだ

俺の命を救ってくれた人、俺に居場所をくれた人、俺に命の大切さを教えてくれた人

それから…俺に、何のために戦うのか…その意味を教えてくれた人だ!!!!

 

リウはそう念ずると同時に、眼を開き覚醒する

 

『愚カナ

思イ出サズニイレバ、楽二死ネタモノヲ…

ダガ仕方ガナイ、我ガコノ手デオ前ヲ葬ッテヤロウ』

「やれるものならやってみろ

俺はもう、お前には絶対に負けない!!」

リウは立ち上がり、目の前に立つ人型の闇を強い光の宿る眼で見据える

 

『今ノ貴様ニナ二ガ出来ル

力ノ無イ、今ノ貴様ニ』

「力ならあるさ…『覇竜』!」

右手を開き、自らの力の具現である存在の名を呼ぶ

すると、開いた右手に光が集まり剣の形を成す

光が晴れるとそこには、闇の中だというのに光を放つ銀色の剣が顕れていた

 

『やっと呼んだな、龍』

「ごめん、さっき目覚めたんだ」

『解っている、さあ早くあの者を倒すぞ

もう時間がない、一護たちもお前を戻そうと力を尽くしている』

「わかった…いくよ、覇竜!

卍解!!『天翔覇竜』!!」

顕れた覇竜と言葉を交わし、闇を倒す為に即座に卍解するリウ

 

『貴様デハ我ハ倒セヌ』

「知るか!『竜王破』!!」

闇の言葉に一切耳を貸さず、自らの技を放つ

 

『愚カナ』

「無駄だ

『光を司りし竜王よ、闇を喰らえ

闇を喰らいて汝の糧とし、力と為せ』!!

煌浄・竜王破(こうじょう・りゅうおうは)』!!」

闇は手を前に出し防ごうとするが、リウは言霊を唱える

言霊に呼応するように、闇に向かっていた竜王破が眩い輝きを放つ

 

『何!?マサカ、我ヲ喰ラウト言ウノカ!

オノレ…オノレェェェェェ!!!』

闇は光の竜に呑み込まれ消滅する

闇を喰らい、輝きを増した光の竜は主であるリウの傍に降りると、その身はリウの持つ剣へと吸い込まれた

 

「ありがとう」

リウがそう言うと、覇竜は淡い光を発した

 

戻ろう、みんなの元へ

戻って謝ろう、迷惑を…心配をかけてごめん、と

 

 

 

 

一護side

 

動きが、止まった…?

 

「グ、ガウゥ……グガア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァッ!!!」

『!?』

「ぐあっ!」

突如、苦しげな叫びを上げる獣

苦しみから逃れるように激しく暴れ、一護も突然の事に反応できず、倒れ込んだ

 

「グガアアアアアァッ!!」

頭を抱え地面に倒れ込んだ獣に、全員は何もできず、ただ見守ることしか出来ない

 

「ぐ…リ、ウ…」

一護も、限界を超えていた身体で獣を拘束していたので、動くことは元より意識を保てていることが不思議な位だった

 

「グガァ…グ…グオォ…オォ……」

獣は声すら出さなくなり、目は虚ろで意識が混濁しているようだった

少しすると、獣は完全に沈黙し意識を無くしていた

 

終わった…のか?

なら、龍は…助かったのか?

 

 

 

 

 

 

「ぅ…うぅ…」

『!!』

しばらくして、小さな呻き声が獣……否、リウの口から発せられる

瞬間、リウの卍解が解けて覇竜はリウの精神世界に消えるように戻った

 

「龍?」

一護が呼び掛けると、リウの目がうっすらと開き一護を捉える

 

「いち…ご?」

「ああ、俺だ」

呂律の回っていない口調で、リウが一護の名を呼ぶ

一護は、動けない筈の身体を再び無理矢理動かして、リウの顔を覗き込んで応えた

 

「ただいま…それと、ごめん」

「おかえり…気にすんなよ、お前が戻ってきて良かった

……ぐ…わりい、もう…限界、みてえだ」

リウに言葉を返して直ぐ、一護は緊張の糸が切れたらしく倒れ、意識を失った

 

 

 

 

ルキアside

 

緊張が切れたのか…?

 

「一護!リウ!!」

「ルキア…」

駆け寄ってくるルキアを、弱々しく呼ぶリウ

ルキアは二人の元に着くと、先に一護の容態を診る

一護はすでに呼吸も浅く、直ぐに治療しなければ危険な状態だった

 

「まずい…井上!一護を頼む!」

「はい!双天帰盾!」

ルキアの声で織姫は一護の治療を始める

その間に、ルキアはリウの身体を手を翳して調べる

 

傷は井上の能力で治ってはいるが、魂魄へのダメージが大きい

…先程までの暴走が原因なのだろうが、これ程大きいとなると回復にかなりの時間が掛かるな…

 

「リウ、お前はしばらくの間安静にしていろ

身体の方の傷は井上の能力で治ってはいるが、魂魄そのものの傷は癒えきっておらぬ

回復するまでには時間が掛かる、その間は安静にな」

「判った…ルキア、ごめん…俺も、限界…みたい」

ルキアの診断を聞いていたリウは辛そうで、聞き終わると目を閉じ意識を失ってしまった

 

「…井上、一護の治療はどうだ?」

「なんとか傷は塞がったけど、完全に治るまでにはもうしばらく掛かると思う」

「…取り敢えず、お二人を上に運びましょう

上になら多少の治療器具も有りますし、ここにいるよりは良いはずですから」

「そうだな」

浦原の提案にルキアは賛成し、他の全員も頷いていた

 

「アタシはリウサンを、阿散井サンは黒崎サンをお願いします

他の皆さんはテッサイさんに伝えてきてください」

「分かった」

「僕達は帰らないと、明日も学校がありますし

……浦原さん、黒崎とリウ君の事、どうかよろしくお願いします」

各々返事を返し、意識の無い一護とリウを運ぶ

織姫、雨竜、チャドも二人を心配してはいるが、翌日も学校があるため、帰って行った

 

 

 

 

 

上へと戻った浦原達は、二人の傷口に付いている血を優しく拭き取り、服を着替えさせてから布団へと寝かせる

その間、誰も言葉を発することはなかった

 

一護、リウ……すまぬ、我々の力不足でお前達をここまで傷付けてしまった

 

「朽木サン、そろそろお休みになって下さい

二人の容態も安定していますから、大丈夫ッス」

悲しげな表情で、眠っている二人を見詰めるルキアに浦原が声を掛ける

 

「…そうだな、浦原あとは頼む」

「はい、お任せ下さい」

少し考え、ルキアは部屋を出ていこうとする

しかし部屋を出る直前、ルキアは振り返らず浦原に声を掛け、浦原は僅かに目を見開くと、帽子を深く被り直しながら返事を返した




駄文を読んで頂き有り難うございます。
これからも焔月をよろしくお願いします。



最後に、ルキア誕生日おめでとう!
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