死神代行と血を継ぐ者(凍結中)   作:焔月

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遅れてすみません。

四ヶ月振りですね、どうぞ


回復の兆し

龍side

 

身体が怠い…眼を開けられない

 

「ぅ…うぅ」

「!リウ…気が付いたのか?」

 

この声、ルキア?

 

「ルキ、ア?」

「ああ、私だ…起きられるか?」

「多分、無理だと思う

動かそうとはしてるけど、指すら動かせないんだ」

ルキアの問いに、リウはうっすらと目を開け弱々しい声で答える

 

「そうか…手を貸せば起きられるか?」

「…うん、それなら起きれると思う」

ルキアはリウの答えに頷くと、リウの肩を支えながら身体を起こす

 

「顔色は…うん、少し良くなったな

…飲めるか?」

「うん、ありがとう」

ルキアは、リウの顔を覗き込み顔色を確かめると、畳に置いていたお盆から、コップと薬を取り差し出す

リウはそれを受け取ると、ルキアに助けてもらいながら薬を飲み、再びルキアに支えてもらいながら横になった

 

「リウ、ゆっくり休むのだぞ」

「…ルキア」

「何だ?」

「一護の…皆の怪我の様子は?」

リウは部屋を出ていこうとしていたルキアを呼び止め、一護達の事をたずねる

ルキアはリウの方に振り向くと

 

「大丈夫だ、井上のお陰で全員怪我は癒えている

一護に関しては浦原達も治療している

それに、井上も来ているからな」

「織姫さんが?

でも、学校があったんじゃ…」

リウの言葉を聞くと、ルキアは再びリウの布団の傍に座り、そしてリウを見ながら言う

 

「もう学校なら終わっておるぞ」

「終わってる?」

「うむ…まあ分からぬのも無理はない

丸一日以上、お前は眠っていたのだからな」

「?!」

ルキアの発した『丸一日以上』という言葉に目を見開き、小さな声でルキアにたずねた

 

「丸一日…俺、そんなに眠ってたの…?」

「ああ、魂魄そのものにかなりの負担が掛かっていたからな

だが、こんなに早く目覚めるとは思わなかったぞ?

浦原によると、最低でも三日は目覚めぬと言っていたからな」

私もお前が起きたとき驚いた位だ、とルキアは苦笑しながら言う

 

「あはは…でも、もう駄目かな

多分一時的な覚醒だと思うし、少し辛くなってきた」

「!…そうか、ならもう休め

無理をしては、回復も遅れてしまうからな」

「うん、ごめんね…ルキ、ア」

リウは小さな声で謝ると、ルキアの服を掴んだまま眠ってしまった

ルキアはそれに苦笑しながらも優しく手をほどき、部屋を後にした

 

 

 

 

ルキアside

 

一時的とはいえ、もう意識が回復するとは…

それほど、リウの霊力が大きいということか

一護も、そろそろ意識が回復する頃だろうか?

 

「おや、朽木サン

リウサンの所へ行ってたみたいッスけど…どうでした?」

「ああ、少しの間だったが意識が回復したぞ」

「!?なっ…!もうッスか?!幾らなんでも早すぎでしょう

あの時、彼の魂魄は消滅しかけていた状態で、どんなに早くてもあと二日は目覚めない筈なんスから」

居間で茶を飲んでいた浦原は、ルキアからリウの意識が回復したと聞くと目を見開き、驚愕を露にしながら言う

…信じられないという表情をしながら

 

「私も驚いた

貴様から、三日は目覚めぬと聞いていたのだからな

だから、置いてあった薬も飲ませておいた

…リウは私達の事を、特に一護の事を心配していた

暴走して我を無くしていたとはいえ、自分が皆を傷付けてしまった

一護に関しては瀕死の重傷まで負わせてしまったのだ

恐らくリウは、その事に責任を感じているのだろう」

目を伏せながらそう言うルキアに、浦原と黒猫の姿でいた夜一は顔を見合わせ、そして頷いた

 

「店長、黒崎殿の意識が戻られましたぞ」

しばらくして、奥の部屋から鉄裁が浦原に声を掛けてきた

 

「分かりました~

…行きましょう朽木サン、夜一サ~ン行きますよー」

浦原は立ち上がりながら二人に声を掛ける

ルキアは頷いてから立ち上がり、夜一は伸びをしてから浦原の肩に飛び乗ると、一護のいる部屋に向かった

 

「良かった、黒崎君…もう大丈夫なの?」

「ああ、ありがとな井上」

部屋の前まで来ると、中から一護と織姫の声が聞こえてきた

 

「お目覚めですか、黒崎サン」

「浦原さん、夜一さんにルキアも

…俺、どのくらい気を失ってたんだ?」

一護は三人の姿を認めると、自分が気を失っていたことを思い出し浦原にたずねた

 

「一日半ってところッスね

そうそう、リウサンの容態も安定してるんで大丈夫ッスよ」

「…そうか、良かった」

一護は自分が眠っていた時間の長さに驚いていたが、リウの様子が安定してると聞き安堵の息を吐いた

 

「…そういや、冬獅郎達は?」

「日番谷隊長達なら、今日の朝尸魂界に戻られた

隊長達もお前達を心配していた…特に恋次はな」

最後の部分だけ、ルキアは別れ際の恋次の表情を思い出し、表情を曇らせる

 

「…そうか」

一護もルキアの表情を見てそれを悟ったのか、目を伏せた

 

 

 

 

一護side

 

恋次の奴

龍が我を忘れたのは、自分のせいだと思っていたのか…

 

「もう大丈夫なのか?一護」

「ああ、井上のお陰でな

浦原さん、俺はもう家に戻っても平気か?」

ルキアの問いに立ち上がりながら答え、一護は浦原にたずねた

 

「ええ、大丈夫ッスよ

学校もあるでしょうしね」

「サンキューな浦原さん

それと…龍のこと、頼むな」

笑って答える浦原に返事を返し、一護は店を出ようとする

しかし、出ていく直前少しだけ顔を向けるとリウの事を任せた

 

「はい…お任せ下さい、黒崎サン」

浦原は、一護の複雑そうな表情に僅かに目を見開くが、すぐに帽子を深く被り直しながら答え、一護はそれを聞くと家へと帰っていった

 

 

 

 

浦原side

 

さて、リウサンの様子を見に行きますか

 

「浦原さん、私も帰ります

リウ君の事、よろしくお願いします」

浦原を呼び止め、織姫は家に帰ることを伝えると店を後にした

 

「貴女は戻らないんスか、朽木サン」

立ち上がった浦原は、いまだにお茶を飲んでいるルキアに問い掛ける

 

「うむ、もうしばらくの間邪魔させてもらう」

「分かりました、ごゆっくり」

ルキアの返事を聞くと、浦原はリウが休んでいる部屋に向かう

 

 

よく眠ってますね、意識が回復したのが嘘のように

 

リウの眠る部屋にきた浦原は、リウの傍に座るとリウの胸の辺りに手を翳し目を閉じる

数秒程そうしていたが、目を開けると同時に手を下ろした

 

回復が思ったより早いッスね

この調子なら、明日の午後には目を覚ましそうッス

 

「早く元気になって下さいリウサン

皆サンも、貴方が元気になるのを待ってるんスから」

浦原の小さく呟くようなその声には、様々な思いが込められているようだった

それからしばらくの間、浦原はリウの様子を見ていたが、やがて立ち上がり部屋を後にした

 

 

 

 

ルキアside

 

む?もうこんな時間か…

戻るには遅い時間だな、どうしようか…

 

「朽木殿」

「!握菱殿、何か?」

「今夜はもう遅い時間ですので、泊まっていかれてはと」

ルキアに話し掛けてきた鉄裁は、泊まっていくよう提案する

 

「…すみません、お願いしても?」

「ええ、分かりました」

少し悩んでいたルキアだったが、やがて提案を受け入れ伝えると、鉄裁は用意の為に出ていった

 

「朽木」

「夜一殿」

鉄裁が出ていったのとすれ違いで、黒猫姿の夜一が現れる

 

「一護には連絡したのか?」

「していません…電話をお借りします」

「うむ、伝えねばあの家の者は心配するだろうからの」

「そうですね」

ルキアは苦笑しながらも、黒電話を操作して話す

数回コール音がしたあと、相手が出た

 

【もしもし】

「ん?この声…一護か?」

【ああ、俺だけど…ルキアか?】

「ああ、私だ

握菱殿に、時間がもう遅いから泊まっても良いと言われてな

だから今日は、浦原の所に泊まることにした

明日の朝には戻る、荷物もあるからな」

【了解だ、親父達には伝えとく】

「すまぬな」

【気にすんな、じゃあな】

「ああ、またな」

一護との電話を終え、ルキアは湯呑みに残っていたお茶を飲み干す

すると、鉄裁が部屋に戻ってきた

 

「朽木殿、お部屋の用意ができましたぞ」

「ありがとうございます、握菱殿」

「いえいえ、ではゆっくりお休みください」

ルキアが用意された部屋にいくと、すでに布団が敷いてあったため、布団の上に座り込む

 

「あ、朽木サン泊まっていくんスか?」

「ああ、もう遅いからな」

「そうッスか」

部屋に戻って来た浦原が、既にパジャマに着替えているルキアに訊ねると、ルキアは部屋にある時計を指しながら答えた

 

「朽木サン、リウサンの容態なんですが…」

浦原は真剣な表情でルキアを見、切り出す

ルキアはそれを聞くと、浦原と同様に真剣な表情をして次の言葉を待つ

 

「どうやら、アタシの思っていたよりも回復が早くてですね

明日の午後には意識が戻るかと思います

遅くても、明後日迄には戻るでしょう」

「!…そうか、明日か

ならば明日、学校で皆に伝えよう

皆心配していたからな」

先程の真剣な表情とはうって変わり、穏やかな表情での浦原の報告に、ルキアも表情を緩め安心したものとなる

浦原はそれを見ると、静かに部屋を後にした

 

そうか、明日か…明日が楽しみだな

皆と学校が終わったら、リウが目覚めるのを待つか

 

ルキアはそう考えながら、布団に入り眠りに就いた

 

 

翌日・早朝

 

ルキアは目を覚ますと鉄裁が用意していた朝食を食べ、一護の家に戻る

すでに一護は制服姿で家の前に立っており、ルキアの鞄を持っていた

 

「一護、お早う…早いな」

「おう、お早う

別に早くねえよ、早く着替えて来い」

一護に促され、ルキアは一護の部屋に行き制服に着替えると、一護と共に学校に向かった

 

 

 

 

一護side

 

ルキアの奴、なんか嬉しそうだな…なんかあったのか?

 

「なあルキア、なんか嬉しそうだけど

…なんかあったのか?」

昼休み、一護、ルキア、織姫、雨竜、チャドの五人が屋上で昼食を摂っていた

何故この五人だけかというと、ルキアが『お前達に話したい事がある』と言い、何時もは共に食べている他のメンバーに断ったから

そして、一護の先の台詞となる

 

「ん?ああ、昨日浦原が教えてくれたのだ

『リウサンの容態なんですが…

どうやら、アタシの思っていたよりも回復が早くてですね

明日の午後には意識が戻るかと思います

遅くても、明後日迄には戻るでしょう』とな

だから放課後、皆で浦原の所に行かないかと訊ねたかったのだ」

昨夜浦原が言っていた言葉をそのまま話したルキアは、四人に浦原商店へ行こうと提案する

それに四人は…

 

「俺は行くぜ」

「私も」

「僕もだ」

「…俺も行く」

全員賛成意見で、放課後浦原商店へ行くことが決定した

 

そうか今日には目を覚ますのか…良かった

あの時、『魂魄が消滅しかけている』って聞いたからな…本当に良かった

 

昼食を食べるのを再開していた一護は、リウのことを考えながら表情を緩めていた

織姫も、雨竜もチャドも、ルキアの話で表情を和らげる

彼等にとって、リウは弟のような存在になっていた

 

 

 

 

その頃、浦原商店では…

 

龍side

 

「ん…」

誰もいない部屋、浦原によって霊子濃度を高めてある部屋で、リウは静かに目を覚ます

彼は身を起こすとゆっくり部屋を見渡し、自分の状況を整理する

 

えっと、あの時…

!!…そうだ俺、暴走して…一護の声で目が覚めて…

闇と戦ったあと、目の前が真っ白になって…気が付いたら皆傷だらけで…

一護!そうだ、一護が一番重傷だったのに

…でも、俺も意識が遠くなって…

そういえば、一回目が覚めたんだっけ…ルキアと話をしたけど、直ぐに気を失っちゃったし…

 

俯きながら考え込んでいたリウの元に、浦原がやって来て声を掛ける

 

「気が付きました?リウサン」

「!(この人、確か)…浦原、さん?」

疑問形ではあるが、自分の元に現れた人物の名を呼ぶリウ

 

「ええ、そういえばきちんとお話してませんでしたね

アタシはこの『浦原商店』の店主をしている、浦原喜助と言います

よろしくお願いしますね、リウサン」

「龍です、名字は自分でも判らないので名乗ることは出来ません

…あの、浦原さん」

互いに名を名乗りあうと、リウは浦原を呼ぶ

 

「はい、何ですか?」

「浦原さんも、死神…なんですか?」

「!…ええ、アタシと夜一サン

それと鉄裁サンは死神でした」

リウの質問に浦原は軽く目を見開くが、肯定を示す

 

「じゃあ、なんで現世に…?」

「少し、昔話をしましょうか」

リウの問いに、浦原は自分達の過去を話す

自分は、元十二番隊隊長だったこと

藍染惣右介という死神によって、無実の罪を着せられ現世に追放されてしまったこと

夜一と鉄裁はその時、共に現世に来たことを話した

 

「そうなんですか…」

「でもアタシはこの生活を気に入っているんです

掟なんかに縛られませんし、何より自由に過ごせますからね~」

悲しげに目を伏せたリウに浦原は明るく言う

リウが顔をあげ浦原の目を見ると、彼の目に嘘はなく、本当に今の暮らしを気に入っているのだと解った

 

「浦原さん

浦原さん達は、尸魂界に何年前まで居たんですか?」

「110年程前までいました

アタシ達と、今仮面の軍勢(ヴァイザード)と自分達のことを名乗っている、元死神の方々もいます

彼等も今はこの町にいますよ」

「ヴァイザード?」

「仮面の軍勢という意味です

彼等は元々は護廷隊の隊長・副隊長だったんですよ」

 

仮面の軍勢(ヴァイザード)…意味は、仮面の軍勢…仮面?

仮面って確か…

 

『本来なら仮面として現れるのだが、お前の場合は違う

お前は俺を完全に受け入れた影響なのか、俺と同じ姿になるようだ』

以前、自分が虚化する時にどうなるのかを莉鷹に訊ねたとき、そう言われたのを思い出したリウ

そう考えが至った彼は、浦原に自分の推測を話す

 

「浦原さん

その仮面の軍勢の人達は、全員虚の力を持っているんですか?」

「!…ええ、彼等は先程話した藍染の策略によって虚化させられてしまったんです

生まれながらに虚を宿している黒崎サンや貴方と違い、故意に…ね」

浦原の目には後悔が映っていた

 

「…会ってみたい」

「はい…?リウサン…今、なんて…?」

小さく呟いたリウに浦原は聞き返す

 

「会ってみたいです

その…仮面の軍勢の人達に」

「……はぁ、何を言っても聞きそうにありませんね

彼等の居場所は、黒崎サンが知っています

週末になったら案内してもらって下さい

今からはダメッスよ

最低でも、今日と明日はこの部屋からあまり外に出ないで、安静にしてて下さい」

浦原はリウに何を言っても無駄だと判り、肩を落とす

しかし、今のリウは霊圧が不安定な状態のため、あと一日は安静にするように釘を指した

 

「解りました

そういえばこの部屋、なんか不思議な感じがするんですけど…

この部屋に、術か何か掛けているんですか?」

「ええ、この部屋には霊子濃度を高める為の結界を張ってあるんスよ

出入りは自由なんで、心配は無用ッス」

結界を張ってあるなら不思議な感じがするのも当たり前か、と浦原の答えに納得するリウ

 

あれ…?なんで、急に…眠、く……なっ…て

 

目覚めたばかりなためか、余り体力がなく眠ってしまったリウ

意識を無くし倒れるリウを、浦原が咄嗟に支え布団に寝かせた

 

「…ゆっくり休んでください、リウサン」

小さく呟いた筈の浦原の声は、静まり返りリウの寝息の音しかしない部屋では、やけに大きく聞こえた

 

 

 

 

放課後…

 

一護side

 

「黒崎君、井上さん、茶渡君、石田君

一緒に帰りましょう」

学校での何時もの呼び方で、ルキアが皆を呼ぶ

 

「(相変わらずの猫被りだな…)判った、行こうぜ」

『うん(ああ)』

浦原商店へ向かうため、五人で帰ろうとする一護達

 

「一護~、一緒に帰れねえのか?」

「ああ、わりい啓吾

行くところがあるからよ、また今度な」

「ちぇ~、まぁ仕方ねえか

じゃあ明日な」

「また明日」

「おう、またな

啓吾、水色」

普段共に帰っている浅野啓吾と小島水色の二人に断りを入れて、一護達は浦原商店へ向かった

 

 

「ちわー、浦原さん居るかー」

「はーい

いらっしゃい、皆さん」

一護が呼び掛けると奥から浦原が現れ、五人を奥へ案内した

 

「浦原、リウの様子はどうだ?」

「ハイ、お昼頃に意識が戻りましたよ」

『本当(か)(ですか)!?』

浦原の言葉を聞き、全員が驚きの声を上げる

 

「ええ、でも流石にまだ霊圧も安定してませんし、体力的にも弱っている状態なんで、今はまた眠ってます」

「じゃあ、もう大丈夫なんだな」

安心したように言葉を溢す一護

彼の言葉は、その場にいる全員が思っている事だった

 

「あ、そうそう黒崎サン

週末に、何か予定って有ります?」

「いや、別に無えけど…なんでだ?」

突然の浦原の質問に驚きながらも答え、訳をたずねる

 

「実は、リウサンにアタシ達が死神だった事に気付かれまして、アタシ達と平子サン達の事をお教えしたんスよ

そうしたら彼等に会いたいと言ってきましてね

黒崎サンには、リウサンと平子サン達の橋渡し役をお願いしたいんス」

「なるほどな…判った引き受けるぜ

平子達には俺から連絡しておく」

「お願いします」

一護は浦原の頼みを了承すると、平子に連絡する為部屋を出ていく

 

此処等で良いか

 

携帯を取りだし電話帳から平子の番号を探し、呼び出す

 

【どないした、一護?

お前からかけてくるなんて珍しいなぁ】

「わりいな平子、今大丈夫か?」

【別に平気やけど…何の用や】

「実はよ、今新しい仲間が増えてな

お前の言葉を借りると『俺達の同類』だ」

【?!…どういうことや】

「だから、そいつも身の内に虚を宿しているんだよ」

【んで、そいつの虚化の修業をすれば良いんか?】

「いや、その必要はねえ

そいつは既に虚化を会得してるし、持続時間も長いからな

というよりは、あいつの意思で虚化を完全に操れるから、持続時間の修業は必要ねえんだ」

【なら、何のために俺に電話したんや】

「そいつが、お前ら仮面の軍勢に会いたいんだと

浦原さんが言うには『俺達以外にも虚の力を持っている人がいるなら、その人達に会ってみたい』だそうだ」

【…わかった、んで、いつ来るんや?】

「週末に行く事になってる

いまあいつの体調が余り良くなくてな

今日と明日は絶対安静、って浦原さんから言われてるらしい」

【了解や、他の奴等には俺から言っておく

一護一つ確認や、ソイツは死神なんか?】

「いや、俺と同じだ

死神の力を持った人間だよ」

【お前の他にも居たんか、死神の力を持った人間】

「ああ、そいつは祖母が死神だったらしいからな

だから死神の力を持っていたんだろうぜ」

【その『祖母が死神だった』ってどういうことや

…一護、その死神だった人の名前聞いとるか?】

「ああ、弥優って言ってたぜ」

【みゆ?どんな字や】

「弥生の弥に優しいって書いて弥優って言ってたけど…何でだ?」

【!!?…そうか、アリガトな一護

じゃあ、週末に会おうや】

「おう、わりいな平子」

【気にするな、ほなまたな】

「ああ」

平子との電話を終え茶の間に戻ると、ルキア以外のメンバーは既に帰っていた

 

「ルキア、あいつらは?」

「井上達なら、リウの顔を見て帰っていったぞ

お前の戻るのがあと少し遅ければ、私も帰ろうと思っていたところだ」

「そりゃすまなかったな

じゃあ俺も、龍の様子を見てくるか」

一護はそう言うなり、リウの眠る部屋に向かった

 

 

 

龍side

 

リウの眠る部屋

部屋は静寂が支配していて、一護の足音でさえ大きく聞こえる

 

ん…あし…おと?……誰の?

 

「ん…」

「!…わりい、起こしたか?」

「いちご…?」

寝起きで、呂律が回っていないリウは、ぼんやりとした表情で一護を見詰める

 

「ああ、気分はどうだ?」

「大分楽になってるよ、学校は終わったの?」

「ああ、もう帰っちまったけど、チャド達も来てたんだぜ」

「そっか」

 

心配かけちゃったな…

 

「ごめんね、一護」

「何がだ?」

突然のリウの謝罪に、怪訝そうな表情で聞き返す一護

 

「色々、暴走していたとはいえ俺は皆を傷付けた…

一護は瀕死の状態にまでなっちゃったんでしょ?

だから…お「気にすんな」…え?」

「お前の意識だって抑えられちまってたんだろ?

それに、俺達は誰一人死んじゃいねえ

それでいいじゃねえか」

「…でも」

「いいんだよ、それに…

お前が死んじまったら、きっと俺は…いや全員が自分の事を責めると思うぜ

『護れなかった』『死なせてしまった』ってな

お前は俺達にとって弟みたいなもんなんだ

だから、お前は気にしなくて良いんだ」

「…一護」

「ん?」

「ありがとう…でもやっぱり俺「龍!」!!」

突然、一護はリウの言葉を遮るように両肩を掴み名を呼ぶ

リウは、一護の霊圧が僅かだが上昇しているのを感じ取り、体を強張らせた

 

「龍、一人で抱え込むな

自分を責めても誰もそれを良しとは思わない

それに弟を護るのは当たり前だろ?

少しは皆に甘えろよ

少しずつで良い…少しずつ、他人に慣れていけば良いから」

「……わかっ、た

ごめ…なさい…あり、がとう…っ」

優しく諭すような一護の言葉に、リウは涙を流しながら答える

 

「泣くなよ…でも、よく我慢したな

今はいいか…泣き止むまでここにいてやるから、今は泣きたいだけ泣け

浦原さん達も入ってこいよ、居るんだろ

「!!」

後ろを振り返らず、部屋の外に居るであろう者達を呼ぶ一護

すると部屋にルキア、夜一、浦原、鉄裁の四人が入ってきた

 

 

 

 

浦原side

 

ありゃ、バレちゃいましたね~

 

「何時から気付いてたんスか?」

「ずっと部屋の外に居りゃあ、流石に俺だって気付くわ

龍だって気付いて…」

「一護?」

途中で話すのを止めてしまった一護に、ルキアが声を掛ける

一護は顔を上げると、四人に静かにするよう手で示す

不思議に思った浦原達が一護の側に近寄ってみると…

 

「…すぅ…すぅ」

そこには、リウが一護にしがみついたまま、涙を流して眠ってしまっていた

 

「泣き疲れてしまったのか?」

「ああ、そうみてえだな」

ルキアの問いに答える一護は優しい目をしており、二人の向かい側に座っている三人も、優しげな目をリウに向けていた

 

「浦原さん、そろそろ俺達は帰るな」

リウを起こさぬよう布団に寝かせながら、一護は浦原を見ずに言う

 

「判りました、リウサンのことはお任せください」

「頼むぞ浦原」

穏やかな表情のまま浦原は答え、それを見た一護とルキアは家へと帰っていった

 

弟ッスか…貴方は本当に皆さんに思われてるんスね

少し羨ましいッスよ

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