死神代行と血を継ぐ者(凍結中)   作:焔月

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更新せずに早半年。
我ながら執筆の遅さにウンザリしている焔月です。




仮面の軍勢との邂逅

リウが完全に回復したのは、浦原が二日は絶対安静と診断したその日…すなわち、仮面の軍勢達の元へ向かう日だった

 

龍side

 

「ふぁ…」

身体を起こし、少しの間うとうとしていたリウは自身の内側から聞こえてくる声で覚醒する

 

『起きたか、龍』

-覇竜、おはよう

『ああ、おはよう』

『おはよう龍

もう身体は良いのか?』

-おはよう莉鷹

 うん、もう大丈夫、心配掛けてごめんね二人共

 …いままで話できなくてごめん

 二人はずっと俺に話し掛けてくれてたのに…

『仕方あるまい

それだけ弱ってしまっていたのだ』

『黒崎の霊圧を受けた事も、回復が早まった要因みたいだぞ?

お前とあの男は霊圧の質が似ているからな』

-虚の力を持っているから?

『ああ、だがお前の元の霊圧の高さも理由の一つだ

その身に宿す霊圧が高ければ、おのずと回復も早くなる』

『それに、この部屋の霊子濃度が高いのも理由に入る

お前は様々な理由が重なった事で、これ程早く回復出来たのだろう』

-そっか、たくさんの理由が重なって…か

 でも、これで少しずつ動けるようになったかな

 

内なる二人の推測に嬉しそうに答え、顔を綻ばせるリウ

精神世界にいる覇竜と莉鷹も、木々の間から見える晴れ空に自然と笑みが浮かんだ

 

 

 

 

一護side

 

今日か…平子達ん所に龍を案内するのは

リウ…あいつらを警戒しなきゃいいけどな

 

『そりゃ無理だろ』

-!…双破、急に声掛けんなよ

 驚いたじゃねえか

『悪かったな相棒

だが、いくら俺達に慣れてきたっても、初対面の奴には警戒を露にするだろうな

相棒、龍の側を離れんなよ?』

-解ってる

 平子達が龍に何かしようってんなら…俺も容赦はしねえよ

『ふ…そうかよ』

双破は一護の決意を確かめると、それきり話し掛けて来なかった

 

この間のあの平子の反応…

あいつは、弥優さんのことを知ってんのか?

 

「訳わかんねえ

取り敢えず、龍を迎えに行くか…」

一護は頭を掻きながらそう溢すと身支度を調え、ルキアに平子達の元へ向かうことを伝えると、浦原商店へ向かった

 

 

 

「ちはー、浦原さん居るかー」

「はいはーい…いらっしゃい、黒崎サン

リウサンの用意も…「一護!!」「どわぁっ!」出来てるッス♪」

浦原が話している途中で、一護にリウが飛び込んで来る

一護は咄嗟にリウを受け止めるが、受け止めきれず床に尻餅をついた

 

「ってー、飛び込んで来んなよ龍」

「あはは、ごめんごめん

一護、今日平子さん達仮面の軍勢(ヴァイザード)の人達のところに行けるんでしょ?」

目を輝かせ興奮した様子で話すリウに、一護は苦笑しながらも答えを返す

 

「ああ、もう体調も大丈夫そうだしな

それにあいつらにも連絡してある…龍、大丈夫なのか?

初めて会うやつとかにはお前、怯えたり、緊張したりしちまうじゃねえか」

「た、確かに初対面の人とはギクシャクしちゃうけど…でも、それでも会ってみたいんだ

俺達以外の、虚の力を持っている人達と」

リウは最初、顔を俯かせながら話していたが、それでも会いたいという気持ちに偽りはない、本当に会いたいのだという事を示すために、強い光の宿った目で一護を見据える

リウの目を見た一護はふ、と息をつくと笑みを浮かべる

 

決意は揺らがねえみてえだな

 

「行くぞ龍

平子達が居るアジトに案内してやる」

「うん!!」

一護の言葉に一瞬リウはきょとんとしたが、言葉の意味を理解すると笑みを浮かべ返事を返した

 

「じゃあ行くわ、邪魔したな浦原さん」

「お世話になりました、浦原さん」

「行ってらっしゃい二人共

リウサン、もう黒崎サンの家に戻って平気ですからね」

リウは浦原の言葉に笑みを浮かべることで答えた

一護はその様子を見ると、リウを連れて平子達が隠れ家にしている廃工場へと向かった

 

 

 

 

龍side

 

もう結構歩いたかな?

まだ体調が万全って訳じゃないから少し疲れたな…

 

「大丈夫か?顔色がわりいぞ」

「大丈夫、少し疲れただけだから…」

弱い笑みを浮かべながら話すリウに、一護は眉をひそめる

 

「…少し休むか?」

「ううん、いいよ

それにもうすぐで着くんでしょ?」

リウの質問に一護は答えずにリウに背を向けしゃがんだ

 

「……乗れ」

「は?」

「だから背中、おぶったほうが早い」

振り向きながら話す一護にリウは呆然としていたが、一護はそれを『無言の肯定』と取ったらしくリウを背中に背負い歩き出した

 

「ちょっ!一護?!歩ける!歩けるから!!」

「デケェ声出すな、耳が痛てぇ

それに病み上がりのやつに無茶はさせねえよ、黙っておぶられてろ

まだ少し距離はあるし、突然斬りかかって来る奴がいるからな、体力温存しとけ」

「…」

 

『突然斬りかかってくる奴』って誰だろう…

 

一護の有無を言わさぬ物言いにリウは引っ掛かりを感じながらも何も言い返せなくなり、一護に体重をしっかりと預けることで返事の代わりとした

一護はリウが自分に身を預けてくれたことに小さく微笑み、しっかりと抱えると平子達が待つアジトへと歩を進めた

 

暖かい…あれ?眠くなって、き…た

 

 

 

 

平子side

 

遅いなぁ、一護のやつ

 

「少しは落ち着いて居られんのかい!このハゲ!!」

「アダァ!!何すんねんひよ里ィ!!」

平子は自身の頭を思いきり叩いた少女・猿柿ひよ里に強く抗議する

 

「じゃかましい!!ウロウロウロウロ、鬱陶しいねん!!」

「一護が約束の時間過ぎても来んねや!

落ち着いても居られんわ!」

口喧嘩を始めた二人は、遂に取っ組み合いの喧嘩に発展してしまった

その様子を見ていた他の仮面の軍勢のメンバーは、呆れながらも【いつものことだ】と無視していた

 

 

 

 

一護side

 

着いたな

 

「龍、着いたぞ……龍?」

「すぅ…すぅ…」

「…」

リウはやはり疲れてしまっていたのか、一護が呼び掛けても起きる気配はなかった

 

寝てんのか、仕方ねえな

これは…結界か?中に入れねえ…

 

どうしようかと考え、無意識に結界に触れる一護

一護が触れた瞬間、結界の一部が開いた

 

開いたな…入るか

 

一護は眠ったままのリウを背負った状態で、中へと入っていく

工場の中には仮面の軍勢達の霊圧は無かったため、一護は地下に居るのだろうと考え、地下に繋がる階段を下りていった

 

 

 

「---!」

「----!!」

 

何だ?誰か喧嘩でもしてんのか?

 

階段を下りている途中でも聞こえてくる喧嘩と思われる声に、一護は首を傾げながらも平子達が待つ地下に向かった

 

 

 

 

 

平子side

 

「あ!べりたん来たよ!」

久南白が階段を下りてくる人影を見て声を上げる

その声を聞き、他の全員も階段の方を見る

 

「わりい、遅くなった」

「遅いんじゃボケェ!!」

平子達にリウを背負ったまま謝る一護

その一護にひよ里が飛び蹴りを放つ

 

「!!」

「ひよ里!?」

「…破道の三十三、蒼火墜」

ひよ里の放つ殺気で目が覚めたのか、リウがかなり威力を弱めた蒼火墜を撃つ

 

「な!鬼道やと?!」

ひよ里は瞬歩で蒼火墜から逃れると、死神ではなく『人間』である一護に背負われている子供・リウに驚きを露にする

 

「起きたのか、龍」

「ふあ…おはよう、一護」

 

寝起き…それもまだ覚醒しきっとらんのにあのコントロール

流石は弥優さんの孫っちゅうわけか

 

「初めましてやな

俺は平子真子、ヨロシクなリウ」

一護の背から降り、話をしていたリウ

だが平子が近付き話し掛けた瞬間、リウはビクリと肩を震わせて一護の背後に隠れてしまう

 

「リ、龍です

宜しくお願い、します」

一護の後ろから恐る恐る顔を出し、名前を名乗るリウ

一護はそれを見て、苦笑しながらも平子に事情を説明した

 

「わりい平子

龍はちょっと事情があってな、他人と関わるのが苦手なんだ」

「事情?」

「ああ、こいつは「いい一護、自分で話す」…わかった」

一護の話を遮り、リウは平子達仮面の軍勢のメンバーを見渡す

 

「俺は、母と祖母を目の前で何者かに殺されている」

『!!』

たった一言、だがその『たった一言』は全員(一護を除く)を驚愕させるのに充分だった

 

「弥優さんが…殺された、やと…?

あの、弥優さんがか?」

「祖母をご存知なんですか?」

まるで、祖母を知っているかのように言葉を発する平子に、リウはたずねる

 

「知っとるも何も、此処に居る全員があの人に一度は世話んなっとる

あの人は、護廷で副隊長を勤めとった人や」

「婆ちゃんが、護廷の副隊長?」

「喜助から聞いてへんのか?俺らの過去

弥優さんの本当の名は『八千代弥優』っちゅうんや

それも知らんかったんか?」

「八千代、弥優…それが婆ちゃんの本当の名前」

 

この様子だと本当に知らんみたいやな

 

「ああ、せやけどあの人は俺らが隊長になる前、急に姿を消したんや

あの人を知っとる奴等は全員、あの人を捜した

でも、結局見つけられへんまんま捜索は打ち切りんなって、弥優さんは死んだと思われとったんや

けど…生きとったんやな

…なあ、弥優さんが死んだんは何時や

辛い事を思い出させんのはわかっとる、でも教えてくれへんか?」

平子の願いに、リウは少し間を開けたがやがて

 

「九年前

婆ちゃんは俺を逃がしてソイツに殺された

俺を…リエクに託して」

リウはそう呟くと指を口に含み、思いきり吹きならす

 

ピィーーー

 

『グォオオオオオ!!!』

『!?』

突然地下にまで響く大きな咆哮に仮面の軍勢達は驚き、中には戦闘体勢になっている者もいる

一方、リウと一護は彼等と違い落ち着いていて、リエクが来るであろう階段の方を見る

すると大きな何かが羽ばたくような音が聞こえ、白い大きな鳥の様な獣がリウの傍に舞い降りた

 

『グルルル』

「落ち着いてリエク、急に呼んじゃってごめん」

仮面の軍勢達に唸り声を上げるリエクを、リウがなだめ落ち着かせる

しかしリエクは、自らが認めている一護以外の者達に警戒を解こうとはせず、リウの傍らにしゃがんだ

 

『懐かしい顔が幾つかあるが…どういうことだ

何故貴様等から虚の力を感じる』

リエクはそう言葉を発すると、平子を鋭い目で見据える

それはまるで『答えねばただでは済まさぬ』と暗に言っているようだった

平子は冷や汗をかきながらもリエクに少し離れた場所に来るよう示し、リウを見たリエクは彼が頷き離れることの了承を取ると平子に付いていった

 

 

 

 

龍side

 

何処に行くんだろう?

 

「おい」

「!何?」

「オマエ、虚化出来るんやろ?

見してみぃ、どれくらいなんか試したる」

 

-莉鷹どう思う?

 なんかすごく見下されてるんだけど…

『見せてやればいい、俺達の力をな』

 

「…いいよ、見せてあげる

…でも、後悔しないでよ?

自分と相手の力量を測れないのは……戦いでは命取りだ」

目を細め、静かに怒りを見せるリウ

リウの怒りに気付いたのは側にいた一護と、様子を静かに見守っていた元九番隊の隊長・六車拳西、元三番隊の隊長・鳳橋楼十郎、元七番隊の隊長・愛川羅武の四人だけであり、彼等は冷や汗をかいていた

 

「…『莉鷹』」

小さく、己の本能の化身であり半身の名を呼ぶ

するとリウの姿が霊圧の嵐に包まれ、側にいた一護も流石に少し離れた場所に移動した

 

「どういうことだ一護

虚化は仮面を出すだけだ!なのに何故あいつは霊圧に包まれた?!」

「直ぐにわかるっての

あいつの虚化は俺達とは違うんだよ」

自分達のもとに移動してきた一護に拳西が詰め寄るが、一護は直ぐにわかるといってリウの方を示した

 

『一護、説明したところで無意味だ

姿を見せねば分からないだろう』

霊圧が晴れ、姿を見せるリウ

しかしリウの姿は先程とは大きく異なり、腰まである深い闇のような漆黒の髪に、血のように緋い深紅の瞳を持つ青年となっていた

 

『誰だお前(は)!?』

一護以外の全員が声を揃えて言う

一護も初めて見るリウの虚化に声に出さないが驚いていた

 

『誰だだと?俺は俺だ

お前達が虚化しろと言ったから、お前達の望み通り虚化しただけにすぎん』

「性格変わりすぎだろお前…」

一番早く驚きから回復した一護が、言葉を漏らす

 

『それは仕方のないことだ

虚化すると、莉鷹の性格が俺にも影響する

だから人が変わったようになるのだろう』

「言葉遣いもか?」

肩をすくめながら答えるリウに、一護は質問する

その質問にリウは頷くことで肯定した

 

「そんなことはどうでもええねん

問題は、その虚化した状態の実力がどれ程のものなのかっちゅうだけや

…構えや、相手したる」

『言ったはずだ』

ひよ里の挑発にリウは響転(ソニード)で瞬時に彼女の背後へ回り込み

 

『己と相手との力量差を測れぬのは…戦場では命取りだと』

腰に指していた刀をひよ里の喉に突き付け、動きを封じるリウ

彼の動きが見えたものは誰も居らず、リウが納刀し一護の隣に立ったのに気付いたのも、リウが虚化を解いたあとだった

 

「すげえな龍

俺でも目で追えなかったぞ」

「俺も驚いてる

まさか、あそこまで速く動けるなんて…」

リウ自身も驚いているようで、手を握ったり開いたりしている

 

あそこまで速いのか

景色を見失うなんてことは無いけど、慣れるまでしばらく掛かりそうだ

 

 

 

 

リエクside

 

龍、虚化したのか…だが今はそれよりも

 

『ここまで来れば、会話はおろか姿も見えまい

話して貰おうか、平子真子

龍から離れてまでしなければ話せぬ程だ、余程の事なのだろう?』

リエクは鋭い視線で平子を見据える

平子は、それもそうやなと溢すとリエクに座るよう促し、自身も近くにある岩に座った

 

「リウの奴は喜助から聞いとるらしいが、それでもこれは話したくはないからな

俺らは藍染を恨んどる

嵌められたからっちゅうのもあるが、一番の理由は同士討ちさせて虚化を発症させたことや

でも、それだけやない

アイツは、流魂街の何の罪もない魂魄を実験に使って何人も殺したんや、これが赦せるか?

俺は赦せへん、他の奴等も差異はあれどみんな藍染を恨んどるんや」

『復讐、するつもりなのか?藍染という者に

…その事に関してとよかく言うつもりはない

だがな…その復讐に龍を巻き込もうというつもりならば、そうなる前に俺が貴様等を喰い殺す

龍を貴様等の都合で戦いに巻き込むな、あの子が望むのは平穏な生活だ』

リエクはそこまで言うと、もう話すことは何もないというように平子に背を向け、歩き出す

しかし、平子が放った一言でその歩みは止まった

 

「藍染は自分の計画に必要だと感じれば、リウを必ず狙うはずや

それに、藍染はもうリウの存在に気付いとる筈やからな、気を付けや」

『…分かった、肝に銘じておこう

俺は戻る、龍の居る場所が俺の居場所だ』

リエクは振り向かずに言うと、今度こそリウの元へと歩いていった

 

こうなることは分かっていた

あの子が…龍が戦いに巻き込まれないということは、龍が力を手に入れた時点で無くなった

平穏に過ごしたいという龍の願いは、二度と叶わなくなってしまった

隊長格の霊圧を持つ実力者だ、尸魂界が龍の存在を見過ごす訳がない

現に、先日隊長格の何人かが現世に来たくらいだからな

 

『…弥優、お前の恐れていた事が、今現実になろうとしている

龍が望む事で、俺に出来ることは何でもする

だが、戦いを嫌い、平穏を望むあの子が戦いに巻き込まれるのを、俺は見ている事しか出来ぬ

弥優、お前ならばきっと、龍が戦いに赴くのを止めるだろう

だが、あの子が自ら戦いに赴く事を決めたのなら、俺は俺に出来る全てをしよう

龍が、少しでも傷付かずにすむようぬように…』

リエクはリウ達からも、先程話していた平子からも見えない場所で、天井に描かれた人工の空を見上げながら、今は亡きかつての主・弥優に思いを馳せ、リウの未来を案じた

 

龍に何があろうとも、俺の命はリウと共に在る

お前が死ねば俺も死ぬ、だが、例えお前が尸魂界に逝ったとしても、俺はお前と共に在ろう

 

『我が命は汝と共に在る』

 

これは、俺の誓いだ

何があろうともお前と共に在るという誓い

龍、俺は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二度と、大切なものを失いたくはないのだ

お前と…同じ、ように…




いかがでしたでしょうか?
我ながらの駄文だと思う日々です。
心の広い方々、どうかこれからも宜しくお願いいたします


最後に…
一護、誕生日おめでとう!
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