話もたいして進みません、m(_ _)mスミマセン
龍side
リエク…
『すまなかった、龍、心配かけたな』
戻ってきたリエクはリウの側にしゃがむと、彼に謝る
「ううん、それより、平子さんと何の話をしたの?」
『すまない、それは話せないのだ』
「…そっか、なら無理には聞かないよ」
すまなそうな表情をするリエクを見上げたリウは、彼をしゃがませると自分も座り、身体を預ける
やっぱり、リエクの傍が一番落ち着く
一護達の傍も落ち着けるけど、それでも一番はリエクだ
「…少し、休むよ
後はお願いね、一護…リエク」
「りょーかい、ゆっくり休め」
『ああ、まかせろ』
少しばかり疲れが出たのか、リウはリエクに寄りかかったまま眠ってしまった
リエクはリウを包むように翼を動かし、一護もリウの側に腰を下ろす
一護side
疲れが出たのか?
まあ、病み上がりで虚化したんだ、疲れない方がおかしいか
「ねえべりたん、この子どうして寝ちゃったの?」
「龍はまだ回復しきってるわけじゃねえからな、疲れたんだろ」
「ふーん
…ねえべりたん、虚化の持続時間、延びた?」
「…」
白の突然の問いに一護は驚き、答えられなかった
だが、仮面の軍勢のメンバーは『延びていない』と取ったらしく、溜め息をつく
そういや、わかんねえな
双破を受け入れたけど、それだけで変わるとは限んねえし
『延びてるぜ』
―!?双破、驚かせんなよ
延びてるって言ったけど、どれくらいだ?
『そうだな、大体三十分位か』
―随分と延びたな
『慣れりゃあもっと延びるぜ
それこそ、一日は余裕で持つ様になるんじゃねえか?相棒の霊力の量を考えりゃな』
―そんなにか?
『だが、月牙天衝を使えばその分時間も縮まってゆく
よく考えて使わねばならんぞ』
―確かに、おっさんの言う通りだ
その時の状況をよく見て使わねえとな
「べりたん?ぼおっとして、大丈夫?」
「ん?ああ、大丈夫だ
虚化については持続時間は延びたぜ
なあ、『斬月』『双破』」
一護が目を閉じたまま、己の斬魄刀と、本能の化身であり半身でもある存在の名を呼ぶと、それに応えるように二人が姿を現す
『ああ、そうだな
だが、まだまだだ、そうだろう?一護』
『斬月の言う通りだ
俺の力を使いこなすのは難しいぜ』
「分かってるさ」
『!?』
当たり前の様に二人と言葉を交わす一護
突如現れた二人に仮面の軍勢のメンバー達は驚き呆然とする
『黒崎、その二人はお前の斬魄刀と虚か?』
そんな彼等とは対照的に、リエクは現れた二人の事を一護にたずねる
「ああ、そういやリエクは初めて会うんだったな
右が俺の斬魄刀の斬月、左が俺の内なる虚の双破だ」
『よろしく頼む』
『よろしくな、リエク』
『斬月と双破、か…うむ、覚えた
それにしても、双破は黒崎と瓜二つだが、大分違うな
龍が言うには『内なる虚とは、その者の本能の姿』だというが、本当らしい』
随分と好戦的なようだと、リエクは小さく息を吐いた
「なんやぁ、随分と騒がし…い
………一護ぉ!何やコイツらは!説明せぇ!!」
「うるせえよ平子…
右が斬月、左が双破、こいつらは俺の斬魄刀の本体と、内なる虚だ」
「虚を、具象化したっちゅうのか…!」
一護の説明を聞き、仮面の軍勢のメンバーは、驚きで固まっている者、ギャアギャア騒ぐ者、目をキラキラと輝かせる者等様々な反応を示す
しばらくすると、その騒ぎに痺れを切らしたある者の怒号が響いた
『いい加減に黙れ!!
主の眠りを妨げるつもりか!!』
姿を現したのは、腰ほどもある白銀の長髪と緑玉のような瞳を持つ男だった
「覇竜、お前の声で起きねえか?」
『その点は心配無用だ
龍の周りには、既に結界を張ってある』
『いい加減、そいつらの事が鬱陶しくなってな
龍の事もあるからと、こうして出てきたのだ』
「莉鷹まで…」
一護は軽く頭を押さえながら、リエクの許可を得て彼に寄りかかった
疲れた表情のままリエクに身体を預ける一護に、斬月と双破は軽い憐れみの視線を送る
「何や、お前ら」
『我が名は『覇竜』、龍の斬魄刀だ』
『王から頂いた名は『莉鷹』
霊圧で気付いているだろうが、龍の内なる虚だ』
「お前らもか…
もうええわ、俺の手に負えん」
平子も一護と同じように頭を押さえ、近くにあった岩に腰を下ろした
「は…りゅう?り、おう?」
静まりかえった地下に、リウの小さな呼び声が響いた
龍side
二人の気配がなくなった
外に出たのかな?
「は…りゅう?り、おう?」
『龍、起こしてしまったか?』
『まだ寝ていて良いぞ、もう少しすれば戻るからな』
「いい…起きる
戻って、二人共」
リウの命に従い、覇竜と莉鷹は姿を消す
リウがふと隣を見ると、疲れた表情の一護がリエクに寄りかかっていた
「一護、どうかしたの?
なんか、疲れた表情をしてるけど…」
「…おう、ちょっとな」
答えない一護にリウは首を傾げるが、目の前にいた人物を見て嬉しそうな声をあげた
「斬月!双破!」
リウは二人の名を呼ぶと、まず斬月に抱き付く
斬月は僅かに目を見開いたが、直ぐにリウのことを抱き上げた
『よう龍、もう体はいいのか?』
『私達も心配していた
だが、もう良さそうだな』
「体の方は大丈夫
強いて言えば、体力が落ちちゃったくらい」
斬月に頭を撫でられ、くすぐったそうにしながらも答えるリウ
斬月に下ろしてもらうとリウは、今度は双破に抱き付く
双破も斬月と同じように抱き上げ、軽く頭を撫でた
「♪」
双破にも撫でられ、リウは笑顔になる
自らの肉体の成長を止めているリウは、言動等は既に年相応の大人びたものだが、身体はまだ幼い子供の物なので、今のリウは見た目と同じ年齢の様に見えた
「双破、そろそろ戻ってくれ
帰るぞ、龍」
一護は双破に戻るよう声を掛ける
斬月はリウを下ろしてからすぐ、一護の精神世界に戻っていた
『了解だ
また後でな、龍』
「うん、またね双破
行こ、一護…………!!何で…この霊圧はあの時の、まさか…っ!」
「待て龍!何処に…!!」
突然走り出したリウの腕を掴み、一護は止めようとするが、その直後全員に隊長格の霊圧が届いた
一護side
この霊圧…
「くそっ!
…コン!龍を頼む!」
一護は直ぐ様義魂丸を飲み込み死神化すると、リウをコンに任せ外へと飛び出して行った
「!オマエは…」
「よう、久し振りだなぁ、死神」
「グリムジョー…!てめぇ、何でまた…!!」
空座町の上空に出た一護の目に飛び込んできたのは、水浅葱色の髪をもつ破面だった
しかし、一護は最後まで言葉を紡ぐことが出来なかった
自らの後ろに、感じ慣れてきた霊圧が冷たく荒々くなって現れたからだ
「リ、ウ?」
「見付けた、でも違う
あの時感じた霊圧とは違うものだ」
あれは、本当に龍なのか?
あれじゃまるで…
『復讐、みたいだな』
―復讐?
どういうことだ、双破
『言葉通りの意味だ
もしかしたらだが、龍は家族を殺した奴を見たんじゃねえか?
それか、例え見てなくても、霊圧を感じ取ってたのか…だな』
―グランド・フイッシャーを見たときの俺と、同じような状態になってるのか…
「『覇竜』…お前らに聞きたい事がある」
一護はリウの『お前ら』という言葉に首を傾げた
目の前にいるのは、グリムジョーただ一人だからだ
「何時から気付いてた」
「初めからだ
上手く霊圧は隠してるみたいだが…生憎、俺はそういうのには敏感でね
殺気が駄々漏れで、『自分は此処に居る』と言っている様なものだ」
リウが言い終わるとリウと一護を囲む様に虚の群れが現れる
中には破面らしきものも何体か居た
「囲まれたか…なら」
「俺がやる…『竜王破』」
月牙を放とうとする一護を制し、リウは覇竜に霊圧を込め無造作に振るう
そして、覇竜から放たれた竜は全ての虚を呑み込み昇華させた
「龍、何で来た
まだ万全じゃねぇだろうが」
「母さんとお婆ちゃんを殺した奴の霊圧と似てるんだ
…一護、アイツ等って何?一護は知ってるんだろ」
一護は信じたくはなかった
今のリウの目は暗く濁り、鋭い眼光はグリムジョーのみを見据えている
これが、本当に龍なのか?
こんな龍は初めてだ、今の龍にはグリムジョーを倒す事しかねえのかもしれねえ
名前はいい、でも言わなきゃいけねえ
だったら、破面とだけいえば良い
「…破面」
「アランカル
そうか、アイツもアランカルだったんだな
…なら、手加減は要らねえな
卍か「アカンでリウ」!?ぐっ!平、子さ…」
「平子!」
卍解しようとしたリウの首に手刀を入れ、強制的に意識を刈り取った平子が、リウを抱えながら一護の隣に現れた
「サンキュー平子、助かったぜ
今龍に卍解させる訳にはいかねえからな
…龍を頼む」
「りょーかい
無理すんなや、一護」
平子はリウを抱えたまま姿消し、一護は水浅葱色の髪の破面、
「グリムジョー、テメェ、今度は何しに来た」
「藍染が現世で確認された霊圧を調べろって命令したんだよ
まあ、期待外れだったがな
感情に振り回されるなんざ素人も良いとこだ
…まあいい、折角獲物が目の前に居るんだ
今度こそ息の根止めてやるぜ…なあ!死神ィ!!」
「!チィッ、卍・解!!」
一護が卍解し天鎖斬月を構えた途端、場を霊圧に似た何かが支配した
『グオオオオォォォォォォォ!!!』
「!?」
「何だ!?」
二人の丁度間を通り抜けた何かは、上空で旋回し一護とグリムジョーから少し離れた場所に降りる
そこにいたのは、白銀の鱗と緑玉の瞳、そして金色を角を持つ巨大な龍だった
『…グウゥ』
「まさか…でもこの感じは、龍…なのか?」
一護は何となくだが、目の前にいる龍がリウだと感じていた
「さっきの餓鬼か…
ただの人間じゃねぇみてえだな
…面白れえ、来いよ餓鬼!相手してやる!」
『グオオオオオオオォォォォォォォ!!!』
リウはグリムジョーが霊圧を上げると咆哮を上げ、襲い掛かる
グリムジョーは
しかし、リウの鱗は硬く斬りかかっても火花が散るだけで傷を付ける事は出来なかった
グリムジョーside
厄介だな…このままじゃ埒があかねえ
藍染に報告しねえとな、藍染が知りてえのはきっとコイツの事だろ
「メンドくせえ…虚閃!」
グリムジョーが前に突き出した左手に霊力が集まり、紅い閃光がリウに向かって放たれる
『ガアッ!!』
リウも口を大きく開き、紅蓮の炎を放つ
虚閃と業火は互いに相殺し合い、巨大な爆発を起こした
爆煙が晴れるとすでにグリムジョーはおらず、場にはリウと一護だけが残っていた
龍side
咄嗟に
初めから目眩ましの為に虚閃を放ったか
まんまとやられた訳か…
『…逃げたか
まあいい、次は必ず仕留めてくれる』
「…リ、龍…なのか?」
『そういえば、この姿を見せるのは初めてだったな
…そうだ、俺だよ』
一護が確認するようにたずねれば、リウは目を細めながら肯定する
リウの鱗は日の光を受け、白銀の鱗はより一層輝きを増す
その神々しい光を纏いながら滞空するリウに、一護は本能的な畏怖を感じた
「一護!無事か?!」
「平子」
瞬歩で現れた平子に驚きつつも、一護は再び目の前にいる白銀のリウを見詰める
『…必ず見つけ出す
母さんとお婆ちゃんを殺したアランカルを…
必ず見つけ出して、殺してやる
絶対に仕留める、逃しはしない』
虚空を見詰め、誰にも聞こえぬ様に呟くリウ
その声は憎悪に満ちており、普段は強く優しい光が宿っている瞳も今は暗く濁り、『怒り』や『悲しみ』『憎悪』といった負の感情に満ちていた
一護は、リウを見詰めると僅かに目を伏せる
「(同じだ、あの時の俺と
お袋がグランド・フィッシャーに殺されたのが解った時、俺は何も考えられなくなった
その時、俺の目には暗い光が宿ってたとルキアが言っていた
今の龍は、あの時の俺と同じ状態なんだ)…龍、戻ろうぜ
浦原さん達にこの事を話さなきゃならねえからな」
『…わかった、乗りなよ一護
少し、話したい事もあるからさ』
「分かった、それじゃあな平子」
「ああ、また来いや
俺らはお前らの味方やからな」
平子に別れを告げ、一護を乗せたリウは浦原商店のある方角へと飛んでいく
飛びながらリウは一護に話し始めた
『驚いたか?この姿を見て』
「そりゃ驚いたさ
だけど、何となくお前だって判った
…それも、覇竜の力…なのか?」
『違う、この力は元々俺が持ってた力だ
俺は前世の記憶を持ってる…俺は前世、人ではなかった』
「!?どういう事だ…?」
信じられないように一護は聞き返す
まあ、当然の反応だよな
前世の記憶を持ってるなんて、普通信じられる筈がない
『俺の前世の名は『
今の俺と同じ姿をした、龍族の長の側近だった龍だ
煌は、ある魔物の封印を守護する役目を負っていた
でも、煌は役目を引き継ぐ前に死んでしまい、死した後も、魂だけの存在として封印を護り続けた
そうするうちに長い年月が経ち、煌の魂は虚へと堕ちてしまった
煌は虚に堕ちてもなお封印を守り続け、引き継ぎの他の龍さえも敵と認識して攻撃し始めた
そのせいで、他の龍達は封印の場に近付けなくなった
虚に堕ちた煌は、最終的に一人の死神に斬られ浄化されるまで、封印の場に居続けた
そして、死神に斬られ成仏した煌は、今度は人間として生を受けた
その煌が転生したのが俺なんだ』
「そうか」
『信じるのか?こんな突拍子で、作り話としか思えない話を』
あっさりと己の話を信じた一護に、リウは戸惑いを隠せなかった
「信じるさ
お前が俺に嘘の話をしても得にはならねえだろ?
それに、お前は嘘をつくのが苦手だし…何より、嘘を言うような奴じゃねえからな」
『!…敵わないな、本当に』
「ああ……お、見えたぜ」
一護の声で前方に意識を戻したリウは、見えてきた浦原商店へと一気に滑空し舞い降りた
一護はリウの背から降り、リウはそれを確認すると、光を纏いながら人の姿に戻った
「お帰んなさい、黒崎サン、リウサン」
「おう」
「ただいま戻りました」
リウが人の姿に戻ってすぐ、浦原が店の中から現れ二人に声を掛けた
「平子さんから聞いています
…破面が現れたそうッスね」
「ああ、中で話す
龍、行くぞ」
「…わかった」
一護を先頭に店の中に入っていく三人
浦原side
リウサン、様子が少しおかしいような…
何かあったんスかねえ
「黒崎サン
リウサン、どうかしたんスか?少し様子が…」
「その事についてもきちんと話すさ、実は…」
夕日が差し込んでくる室内で、一護は浦原と猫の姿で居た夜一に、今日あった事を話した
全てを聞き終わった浦原はお茶を啜り、夜一は部屋から出て、人の姿に戻ってから部屋に戻って来た
「成る程…それでリウサンの様子がおかしかったんスね
…リウサン、ご家族を殺した破面が憎いですか?」
「…勿論、憎いですよ
でもそれ以上に…あの時母さんとお婆ちゃんを護れる力があったのに、護れなかった俺自身が、憎い…!」
拳を強く握り締めながらそう言ったリウ
そのリウの拳からは血が流れていて、どれだけ強く握り締めていたのかがわかる
「止めろ龍、自分で自分を傷付けるな
きっとそれはお前の家族も望んでないだろ?」
一護は優しく語り掛けるように、血が着くのも構わずリウの手に己の手を重ねる
リウは、また失うのではないかという恐怖と不安とで瞳が揺れていた
「浦原さんに、前言われたんだ『思う力は鉄より硬い、半端な覚悟はドブに捨てましょう!』って
強くなろうぜ、龍、一人では無理でも二人なら出来るだろ?」
「…ああ、ありがとう」
若いって良いッスねえ
アタシも協力しますよ、お二人を利用している訳ですから…
一護side
龍、俺はお前を護ってみせる
お前が俺を護ると言うのなら、俺がお前を護る
「帰るぞ、龍
遊子が心配するし、そろそろ夕飯だ」
「…わかった
浦原さん、お邪魔しました」
「いえいえ、何時でもいらして下さい」
浦原と夜一に見送られ、店を後にした二人はゆっくりと家に向かって歩くが、家まであと少しという所で一護は、自分がまだ死神化したままだということに気付いた
「龍、わりいけど先帰っててくれねえか?
コンを迎えに行かなきゃなんなかったの忘れてた」
「それなら心配ないよ、ねえコン」
「ありゃ、やっぱ気付いてたか」
「コン!何時から…まあいいや、戻るぞ」
一護は代行証でコンを取り出すと身体戻り、丸薬をポケットに突っ込んで再び歩き出す
「なあ龍
お前の家族を殺したのって、破面だったのか?」
「うん、アイツを見て確信した
いままで解らなかった、母さんとお婆ちゃんを殺した奴の姿を俺は見てないから
…いや、見たかもしれないけど、ショックのせいなのかそこだけが思い出せない
でも、霊圧は覚えてた
死神と虚の霊圧が混ざったようなものだったから
浦原さんに仮面の軍勢の人達の事を聞いて、もしかしたらと思った、でも違った
その後に見たあの破面を見て、コイツだと思った
霊圧は違ったけど、コイツの同類が母さん達を殺したんだって
軽く暴走してたんだ、平子さんが止めてくれなかったら俺は周りも考えずにアイツに襲い掛かってた」
「そうか…」
一護はそれから一言も話さず、リウもまた何も喋らなかった
「ただいまー」
「「お帰りお兄ちゃん(一兄)」」
「お帰り、リウ」
黒崎家に着くと、遊子と夏梨、そしてルキアが二人を出迎えた
「…ただいま
一護、俺部屋にいるから
夕飯は要らない、食欲がないんだ」
リウは、暗い表情のまま呟くと二階に上がり、一護の部屋へと行ってしまった
「リウ君…」
「遊子、おにぎり握ってくれるか
そしたら、後で龍に持ってくからさ」
二階の方を向いたまま一護がそう言うと、遊子は炊飯器に残っていた御飯で幾つかおにぎりを握り、皿に乗せた
一護とルキアは夕食を終えると、遊子の握ったおにぎりを持って部屋に戻る
暗いな、電気つけてねえのか?
「龍、電気つけとけよ、見えねえだろ?」
「俺は見えるから問題無い
それ、おにぎり?要らないって言ったはずだけど」
「一つでも良いから食べろ
腹は空いているのだろう?」
一護が部屋の電気をつけ、ルキアが一護が手に持っている皿のおにぎりを一つ手に取り、リウに差し出す
「要らない、ほっといてくれ
…暫くは戻らない」
リウは窓を開けるとそう言い残し、夜の町に飛び出して行ってしまった
龍side
このままじゃ、また暴走しかねない
付いてくるなよ…一護、ルキア…もう、俺のせいで二人が傷付くのを見たくない
再び空座第一高校の裏山へとやって来たリウは、木にもたれ掛かり体を抱き締める
「うぐ…っ
何で…いまごろ…!うああぁっ!」
『又、傷付クトシテモカ?
忘レタ訳デハアルマイ?アノコトヲ
他人…ソレモ、マッタク知ラヌ人間ニ掛ケラレタ、アノ言葉ヲ…
ソレデモ、行クノカ?アノ場所ヘ、オ前ガ傷付クダケノ、アノ世界ニ』
黙れ!例え傷付くとしても、俺はこの世界で生きる!
少なくとも、俺を認めてくれた人がいる
確かに、俺を嫌う人間の方が、俺を認めてくれた人よりも遥かに多いだろう
それでも、俺が生きる事を望んでくれる人がいるのなら、俺はその人の為に生きる!
出ていけ!俺は、闇には染まらない!!出ていけ!!
『ククク、今ハ退イテヤロウ
ダガ、良ク覚エテオケ
我ハ何時デモオ前ノ
オ前ガ隙ヲ見セレバ、我ハ直グニデモ、オ前ノ身体ヲ戴ク
ソノ時迄息災デイルコトダ
...アア、忘レテイタ
コレハ、オ前ヘノ餞別ダ、有リ難ク受ケ取ルガイイ』
餞別だと?何を………!!
「ぐっ!あぐぅ
…ぐっ、あああああぁぁぁーーー!!!!」
己の内に巣食う闇の言葉に疑問を浮かべるが、次の瞬間、目を見開き身体を痙攣させて絶叫を上げた
「ぐっ…あぐっ…!ぐうぅ…!!」
その場に倒れ込んだリウは、冷や汗を大量にかき、時折身体を痙攣させながら呻き声を上げる
リウからはコントロール出来なくなった強大な霊圧が大きく揺れながら放たれ、眠っていた獣や鳥がそれに怯えて逃げ出して行くが、そこに黒い影が現れた
『ククク、辛カロウ?
我ニソノ身体ヲ明ケ渡セバ、苦シミカラ解放サレルゾ?
ドウダ、明ケ渡ス気ニナッタカ?』
「闇…貴様の、仕業か…
ぐぅ…言った…はずだ…!お前に…この身体は、渡さないと…!!
いい加減に、この術を…解け!!」
『オ前ガ我ニソノ身体ヲ渡スナラ、直グニデモ解イテヤル
我ニ身体ヲ明ケ渡セ、闇ヲ受ケ入レロ、小僧』
苦しむリウを愉しそうに笑いながら見下ろす闇に、リウは途切れ途切れに、苦しみながらも抵抗する
闇は弱々しいリウのその抵抗を愉快そうに見ると、リウの首を掴んで持ち上げる
「ぐっ…かっ…放、せ」
『ククク
小僧、オ前ノソノ魂、闇ニ染メテヤロウ
オ前ハ、一体何処マデ耐エラレルカナ?』
「何を…ぐっ、あああああぁぁぁ!!!
ああぁあぁ…ああ…ぁ…」
闇は、首を掴んでいた手とは反対の手で、リウの視界を覆い隠す
するとリウは先程よりも大きな絶叫を上げ、やがて声が小さくなっていき、そして意識を手放した
闇はリウの身体から力が抜けて、意識が途絶えたのが分かると手を放す
その場に倒れ込んだリウの霊圧は、意識が無くなった事により、殆ど感じられなくなっていた
消えていく…
全てが、塗り潰されていく
俺は、何を失ってる?何を得ていた?
…わからない、何もかも、無に消える
『フフ、フフフ…フハハハハハハハハ!!!
コレデ良イ、コレデ、コノ身体ハ我ノモノダ!
堕チヨ小僧、ソシテ永遠ニ眠ルガイイ
オ前ノ意識ガ戻ッタ時ニハ、全テ終ワッテイル』
言い終えると同時に闇は姿を消していく
闇が消えるとそこには、意識の無いリウだけが倒れていた
一護side
!…龍の霊圧が、消えた…?
それに、さっきのあの霊圧の乱れ方は何だ
龍は、霊圧を全部解放する事も、乱す事も滅多にないってのに
一体、龍に何があったってんだ…
「一護!」
「ルキア、さっきの感じたか?」
「当たり前だ、行くぞ!」
一護とルキアは、会話が終わると直ぐに死神化して窓から飛び出し、一校の裏山へと向かった
龍、無事でいてくれ…!
ルキアside
リウ…一体、どうしたというのだ
何故、あの様な哀しい目をしていたのだ…
!リウ!?何なのだ…この尋常ではない霊圧の乱れ方は
ここまで霊圧が乱れるなど、先日の暴走の時よりも酷いではないか!
「頼む、間に合ってくれ…!」
ルキアの呟きは風に掻き消され、隣を走る一護にすら聞こえなかった
どうてしたか?