今回、何と4000字越えです。
脱力です。でも、これからも頑張りますのでよろしくお願いします。
では、4話目です。どうぞ
リウが目覚めてから10日
一護とルキアは一日に一度は、必ずリウに話し掛けた
しかし、どんなに話し掛けてもリウの反応は無くただ冷たい視線が返ってくるだけで全く進歩がなかった
龍side
「なぁ、いい加減何か答えてくれよ」
「…」
「…ハァ、やっぱ駄目か」
リウは理解できなかった
何故自分に関わろうとするのか、何故諦めないのかと、理解できないために困惑していた
「おい!」
「!?」
「大丈夫か?」
「…何で」
「ん?」
「…何で俺に関わろうとするんだ」
俯いて困惑している表情が辛そうに見えたのだろう、一護はリウを少し強めの声で呼び掛ける
顔を上げたリウが一護に対して初めて発した言葉は、疑問だった
「何でって、目の前で苦しんでる奴を、放っておけるかよ」
一護は当然というように言った
しかし、リウにはそれが理解できなかったのだ
どうして、この人はそんなことを言える
俺はこの人を危険に巻き込んでしまうのに…
「なぁ、せめて名前だけでも教えてくれ」
「…
少し間を開けて、リウは躊躇いながらも自らの名を名乗った
「そうか、リウか、いい名前だな」
そう言って一護はリウの頭を優しく撫でた
リウは、突然頭を撫でられた事に驚き固まる
「一護」
リウが名を名乗って少しした後、ルキアが部屋に入って来た
「ルキア」
「一護、何をしておるのだら」
「何って、頭を撫でてんだけど?」
何言ってんだ?とでも言いたげな一護に、ルキアは声を荒げる
「そうではない!何故そうしているのかと聞いておるのだ!!」
「うるせぇよ、名前を教えてもらったんだよ…」
怒鳴るルキアに面倒くさそうではあるが冷静に答える一護
「何?そうなのか、それでその子の名は?」
「リウだ」
一護はいまだ驚きで身を固くしているリウに代わり、ルキアに彼の名を伝えた
「そうか、リウと言うのか…良い名だな」
ルキアもそう言って笑みを浮かべる
リウは一護に頭を撫でられ、ルキアには笑みを浮かべられている、その状況に混乱していた
「何で、何で俺に関わろうとするんだ…!」
リウがそう言うと二人は動きを止めた
「何でって、なぁ」
「うむ、一護も言ったが、私も困っておる者を放ってはおけぬのだ」
部屋に入る前二人の会話が聞こえたのだろう、ルキアはそう言ってリウを見る
「そういうことじゃない!!
なんで、なんでそんなに俺に関わろうとする!
俺に…俺に関わるな!!」
リウは二人が何故自分に関わろうとするのか理解できない…いや、理解したくないというように拒絶のみを示す
「もう嫌だ、俺の…俺のせいで…っ!」
そう言ってリウは涙を流した
それを見て一護は瞠目するが、すぐに
「ルキア、少し二人きりにしてくれねえか?」
「…わかった、何かあったら呼んでくれ」
「おう」
突然、一護はルキアにリウと二人きりにしてほしいと言う
その意図を察したルキアは、何かあれば呼ぶように言い残して部屋を出ていった
「大丈夫か?」
「…」
一護の問いに答えず、リウは涙を流していた
それを見た一護は無言でリウを自分の胸に引き寄せた
リウはそれに驚き抵抗したが、抜け出せないと解ると諦め一護に少しだけ寄りかかり泣き出した
数年前に、リエクの翼に包まれたことを思い出しながら
一護side
一護はリウが自分に寄りかかり泣き始めたことに、少し驚きながらも優しくリウの頭を撫でた
かなり辛かったんだろうな、そう思いながら
一護はリウが泣き止むまでの間、ずっと頭を撫でていた
「…ごめん、それとありがとう」
リウは落ち着いてから、拳で涙を拭い礼を言った
「大したことじゃねぇよ、もう大丈夫か?」
一護の質問にリウは頷くことで答える
「優しいんだな、俺はずっと拒絶していたのに
それなのにずっと変わらずに話し掛けてきて」
「迷惑だったか?」
「いいや、そうじゃない
初めは物好きな奴だなと思った
でも、嬉しかったのもあった、この人達なら信じられる、そう思える気がした」
リウは小さく微笑みながら言った
「そうか、ありがとな
じゃあ、辛いだろうけど話してくれるか?お前に何があったのか」
「…わかった」
リウが答えると一護はルキアを呼んだ
龍side
この人達なら…大丈夫かもしれない
アイツから…きっと…
三人はそれぞれで座り、座っている場所は、ルキアは押し入れ、一護は椅子、リウはベッドに座っていた
リウは一護とルキアに頷き、話し始めた
「事件が起きたのは九年前…」
~~回想~~
九年前…
「お母さん、お婆ちゃん、行ってくるね」
「あまり遅くならないようにね」
「気を付けるんだよ」
「はーい!」
当時俺は、母さんと婆ちゃん、そして俺の三人で山奥に暮らしてた
その日もいつもの様に山の動物達と遊びに行ったんだ
何故動物達となのかって?
ずっとそうして暮らしていたからか、俺は動物達が何を言っているのか解るようになっていたし、一緒に育ったからというのもあった
そうして毎日夕方まで動物達と遊んでいた
あの日…事件の起こった日もそうだった
家の近くまで来たときに、家の方角で何かが燃えているのが見えて、急いで家に戻ったんだ
そして見たのは家が燃えているところだった
俺は直ぐに母さんと婆ちゃんを探した
先に見つけたのは母さんだったけど、母さんの様子がおかしかったんだ
「お母さん…?」
俺は不安になって母さんのことを呼んだら、いきなり首を絞められた
「お母さん…や、めて…苦…しい」
意識を無くしかけて『もうだめだ』と思った時、婆ちゃんが助けてくれた
「大丈夫かい!?龍!」
「げほっげほっ…ハァ…ハァ…大…丈夫
ありがとうお婆ちゃん」
「ごめんよ、もっと早くくるべきだったね」
ようやく息を整えて礼を言った時、婆ちゃんはホッとしたように俺を抱きしめた
「お婆ちゃん、お母さんどうしちゃったの?」
「…龍、あなたは逃げなさい」
婆ちゃんは俺の問いに答えてくれなかった
そのあと、とても悲しそうに俺にそう言ったんだ
「嫌だ、俺も残る!」
俺は母さんと婆ちゃんを置いて行くことはできなかった
でも婆ちゃんは無理矢理にでも俺を逃がす為に、リエクを呼んだんだ
リエクが誰だって?
リエクは婆ちゃんと契約していた王獣で、俺も婆ちゃんを通じて何度か会ってた
「リエク、この子を安全な場所へ連れて行っておくれ」
婆ちゃんはリエクにそう言って俺を逃がしたんだ
家から遠く離れた場所に連れて行かれたあと、俺は直ぐに家に戻ってほしいといったんだ
家に戻った時見たのは、燃えて跡形もなく崩れ落ちた家だったものと、変わり果てた姿の母さんと婆ちゃんだった
二人は全身傷だらけで、着ていた服は血で赤黒く染まって元が何色なのかもわからなくなっていた
それを見たとき、俺は何も判らなくなってただ泣き叫んでた
少し落ち着いてきたときにリエクに声を掛けられて、それでもう二人は死んでしまったんだ、ってようやく理解できたんだ
その後に、今度は俺がリエクと契約した
それから暫くは山で暮らしてたけど、四年前に山を降りた
でもその後少しして、俺はアイツに目をつけられた
アイツは俺にこう言ったんだ
『ほう、儂が見えるのか?小僧
面白い、今すぐ喰らってやりたいが…まだだ、まだ早い
小僧、もっと絶望しろ
貴様の心が完全に絶望に染まった時、そのときに喰らってやる』
アイツがそう言った時、俺は恐怖で動けなかった
それにアイツが言った『絶望』という言葉の意味がわからなかった
でも、それは直ぐに知ることになった
アイツは、俺に関わった人達を殺してたんだ
それを知った俺は、人間と関わることを避けるようにした
でも、それでも人と関わってしまうとその人は必ずアイツに殺された
それで、俺は色々な町を転々としていてこの町に来たんだ
~回想終了~
「そうだったのか…」
リウが話し終わってから沈黙が流れ、最初に口を開いたのはルキアだった
一護も何も喋らないが、その顔は険しくなっている
「リウ、お前が言っていた『アイツ』とは虚のことか?」
「!虚を知っているのか!?」
リウはルキアが発した『虚』という言葉に驚き聞き返した
「お前こそ、虚を知っていたのだな?」
目付きが鋭くなっているルキアの問いに、リウは驚きを隠せないまま頷くことで肯定を示す
「虚に狙われておるのか…」
「倒しゃいいだけだろ」
ルキアが考えていると、今まで無言だった一護がそう言い同意を求める
「…そうだな、考えていてもなにも変わらんしな」
「ちょっ!ちょっと待て!!
二人は何故虚のことを知っているんだ!?」
リウは一護達が虚のことを知っているのに驚いていた
「そういえば話していなかったな
私は死神だ、だから虚のことも知っている」
「死神…」
「ちなみに一護も死神だ
ただし一護は『死神代行』だがな」
「死神代行…」
リウは聞き慣れない“代行”という言葉首を傾げた
「死神は知ってる、でも死神代行というのは知らない」
リウはそう言い、答えを求める様に一護を見る
「死神がどういう存在なのかはわかってるんだろ?」
一護が問うように確認すると、リウは頷き答えた
「死神は現世で死した人間の内、霊力を持っている人達がなったり、貴族と呼ばれている存在がなる者のはず」
リウはそう言いながらルキアの方を見る、ルキアはその答えに合っていると頷きで返した
一護はそのやり取りを見て口を開いた
「死神代行ってのは、死神の力を持っている人間のことだ」
「…つまり、あんたは生きている人間なのか?」
「あぁ、つうかあんたじゃねぇ、黒崎一護だ」
一護は前に教えただろ?と言いながら訂正した
「別に良いだろう
あんたは?あんたもその死神代行ってやつなのか?」
リウは一護に言い返してからルキアを見て尋ねた
「いや、私は死神だ
護廷十三隊の十三番隊に所属している」
ルキアはリウの問いにまっすぐ見つめながら答えた
「そっか…婆ちゃんがいたところと、同じところにいるのか」
「何、それはどういうことだ?」
リウの言葉にルキアは首を傾げる
「俺の婆ちゃんは元死神だったんだ」
「「?!」」
リウの言葉に二人は驚愕した
「身内に死神がいるとは…
リウ、お前の祖母の名を教えてくれぬか?」
ルキアは驚きをあらわににながらも、リウに彼の祖母の名を教えてほしいと頼む
「弥優《みゆ》俺のお婆ちゃんの名前は弥優だ」
「弥優…聞いたことがないな、調べればあると思うが」
ルキアは弥優という名に心当たりはなかった
「すまぬ、ありがとう」
「別にいい、こっちこそありがとう」
「リウ、これからどうするんだ?」
「わからない、これから…か」
一護の問い掛けに、リウはどうするべきか分からず黙りこんでしまった
「わかんねぇなら、家にいるか?」
「…は?」
一護の言葉にリウは固まってしまった
「ずっとは無理だけど、自分が何をしたいのかがわかるときまで、それまでなら家にいてもかまわねぇよ」
一護はリウの頭を撫でながら笑って言った
「…じゃあ、暫く、世話に…なる」
リウは声が消え入りそうになりながら言った
その日の夜…
一護とルキアは部屋でリウと共にいた
「じゃあ、そろそろ寝るか」
一護はそう言い二人を見る
「そうだな、もうだいぶ遅い時間だしな」
ルキアもまたそう言い、定位置である押し入れに入る
一護はすでにベッドに入っていた
リウは床に敷かれた布団の上に座っている
しばらくすると、部屋には一護とルキアの寝息のみが聞こえている
にもかかわらずリウは全く眠りに就こうとする様子がなく、ベッドに背を預け目を閉じているだけだった
「眠れねぇのか…?」
囁くような小さな声でリウに尋ねる声がした
リウが声のした方を見ると、一護がうっすらと目を開いていた
「ああ、今までまともに眠れなかったからな…」
「…来るか?」
「え?」
「眠れるまで、一緒にいてやるよ…」
一護は小さくでも確かにそう言ってリウをベッドに招く
リウはしばらく戸惑っていたが、やがて一護の元へ…ベッドへと入っていった
暖かい、いつ以来だろうか?
こんなにも安らかな、安心できる気持ちになったのは…
リウはそう考えながら、久しぶりに眠りへと落ちていった
いかがでしたか?
感想お待ちしています。