死神代行と血を継ぐ者(凍結中)   作:焔月

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今回でやっと龍は一護達に心を開きます

迷走していますが、温かい目で見守って下さい

では、第五話です。どうぞ


心を許すそのきっかけ

龍side

 

あぁ、ま…この夢

 

リウは一人、森の中にいた

しかし、リウは動けずただ立ち尽くすだけ

動くのは目だけだった

 

『こっちだ…』

突然リウの耳に声が届く

声のした方を見ると遠くに人がいて、リウを手招いている

その方へ向かおうにも、体はピクリとも動かない

そして、リウの意識は少しずつ薄れていった

 

『     』

 

意識が途絶える直前リウには声が届く、しかし何を言ったのかはわからなかった

 

 

次の日の朝、夜明け前…

リウは静かに目を覚ました

 

「まただ、またあの夢…」

小さく、でも確かにそう呟いた

 

小さい頃から時々見る…

俺は、どこか深い森の中の池のほとりに立っていて、歩こうと思っても体は動かない

すると池向こうから誰かが俺を手招いている

体は全く動かない、それに意識も薄れていく

意識が途絶える直前、俺の直ぐ耳元で誰かが何かを話す、でも何を言っているのかはいつもわからない

いつもそこで目が覚める

 

リウはふと隣で眠る一護を見る

一護はまだ深い眠りの中にいる、そうわかると次は押し入れの方を見て気配を探る

ルキアもまた眠りの中にいると分かり、リウは一護を起こさぬように静かにベッドを降り、壁に背を預け再び目を閉じた

 

 

 

 

一護side

 

am7:30

 

「ふあぁ~あ」

小さな欠伸の声を発しながら一護は目を覚ました

 

「ん?リウ?」

一護は隣にリウがいないのを確認すると部屋の中を見渡す

 

「こっち、おはよう黒崎…さん」

「なんだそれ…まあいいや、おはようリウ」

一護はリウの言葉に苦笑しながらも、リウの頭を撫でた

 

「おはよう一護、リウ」

押し入れから出て来て、あいさつしたルキアはすでに制服に着替えていた

 

「はよ、ルキア」

「おはよう朽木…さん」

「なんだそれは?まあよいが」

一護とリウもそれぞれにあいさつを返す

ルキアはリウの言葉に疑問を持つが大して気にしなかった

 

「まあ、そうなるよな

俺もそう言われた、気にしてねぇけど」

「そうなのか?」

「ああ」

「それより一護、時間は大丈夫か?」

ルキアが指差す先、時計は既に7時50分を指していた

 

「ん?…あ!やべぇ!遅刻する!!」

「ハァ、早く降りて来るのだぞ」

ルキアの言葉で慌てだす一護、ルキアは呆れながらもリウに微笑みかけてから下に降りていった

 

「行ってくるな

親父がうるせぇかもしんねぇけど、我慢してくれ」

着替え終わった一護はリウの頭を撫でながらそう言って、部屋を出ていき学校へ向かった

 

 

 

 

龍side

 

何でだろう、二人に俺の過去を話したからだろうか?

だから、あの二人の傍は落ち着くのかな

でも…

 

「巻き込んだ…」

アイツは二人を必ず狙う、二人は死神の中でも上位の実力者だ、狙わないはずがない

やっと信用できると思える人に出逢えたのに…

 

リウは一護達が帰って来るまで部屋の隅で蹲り、二人を巻き込んでしまったと自らを責め続けた

 

 

 

 

一護side

 

「ただいまー」

一護はルキアと共に部屋に戻るとリウに挨拶をする

リウの返事がなかったことを不審に思った一護は首を傾げる

 

返事がねぇな、リウのやついねぇのか?

 

「何を突っ立っておるのだ!早くはいれ!!」

「リウの返事がねぇんだ」

「いつもだろう?」

「だけどよ…」

「とにかく、早く中に入れ」

部屋に入ろうとしない一護をルキアは早く入るよう促す

二人が入ると部屋の隅で蹲っているリウを見つけた

 

「リウ」

一護が声をかけると肩をびくりと震わせてから、リウは顔をあげた

 

「あ…おかえり、二人とも…」

「ああ、ただいま」

「ただいま、リウ大丈夫か?」

一護とルキアはあいさつを返したが、リウの様子に一護は心配してたずねる

 

「平気だ…何でもない」

リウはあまり良くない顔色のまま、返事を返す

 

平気そうには見えねぇが…やっぱ、まだ信用されてねぇか

 

一護はため息をついてからリウに言う

 

「気分が悪くなったら直ぐに言えよ?」

一護の言葉にリウは間を開けたが、やがて小さく頷きまた目を閉じた

 

リウ、お前はずっと他人と自分の間に壁を作っているのか?

人と関わらないようにずっと独りで…何もかもを背負い込んで

 

 

 

 

龍side

 

ずっと独りでいた…人と関わらないように、自分の周りに結界を張ってまで

でも、あの二人は結界を張っているはずの俺に気付いた

正確には、俺を見つけたのは黒崎だ

あの人の霊圧はすごく大きいし強い、でもそれなのに暖かく感じる

ずっとそばにいたいとそう思ってしまう

 

「そばにいてはいけないのに…」

小さくリウは呟いた、しかしその呟きは一護とルキアにも、聞こえていた

 

「何でそうなんだよ」

「そうだぞ

いてはいけないなどと何故そんなことを言うのだ」

「ルキア、お前は人のこと言えねぇだろ」

夏休みに入る前、何も言わずに出ていった事を思い出し、ルキアは慌てる

 

「う…うるさい!

とにかく、いてはいけないなどということはないのだ

しかし、何故そんなことを?」

「昨日の話しのことと何か関係があんのか?」

一護の問いにリウは答えようとしない

しかし、リウの表情は暗く、その眼は虚ろで何も映してはいなかった

 

「…」

「リウ?」

「放っておいてくれ…」

「何?」

小さく言葉を発するリウに一護が聞き返した

 

「放っておいてくれ!!もういい!

もう、関わらないでくれ…」

突然のリウの拒絶

始めこそ強い口調だったが、最後は泣きそうな、絞り出すような声だった

その言葉に一護とルキアは顔を見合せた

 

「いきなりどうしたんだよ?」

リウの言葉の意味が分からず一護はたずねる

 

「言葉通りの意味だ…

確かにあんたたちに俺の過去は話した、でもそれだけだ」

そう話すリウからは表情が消え失せ、声は冷たく突き放すようなものだった

 

「…断るぜ」

「何?」

「断るって言ってんだ」

一護の言葉を聞きリウは睨む、しかし一護はそれを気にせずに続けた

 

「俺から見れば、お前は助けを求めてるようにしか見えねぇよ」

「!?…何だと?」

「そんな眼で『放っておいてくれ』って言われても助けてほしいって言ってようなもんだぜ」

「一護、言い過ぎだ」

挑発するような一護をルキアは咎める

 

「うるさい…うるさい!!

お前に何が分かる!!大切なものを全てなくし、今度は虚に狙われる!そんな俺の気持ちが!!」

「わかんねぇよ確かにな

でもな、『大切なものを失う』、その気持ちだけは解る」

叫ぶリウに一護ははっきりとリウを見つめながら言う

 

「解るものか!アイツは普通の虚とは違う!

アイツが今まで喰らってきたのは、死神や虚までは見えなくても、普通の魂魄が見える位には霊力がある人間たちだ!!

それに、アイツは自分を昇華しようと来た死神だって何人も喰らってる!!

いくら力が強くてもアイツには勝てない!

だから…だからもう「俺のお袋は、虚に殺された」っ!!」

リウの言葉に被せるように一護は言う

リウは一護のその言葉に目を見開き、言葉を失った

 

「…どういう…ことだ?」

リウは困惑したまま一護にたずねる

 

「俺のお袋が死んだのは六年前、俺が虚の罠にかかっちまったんだ

その俺を庇ってお袋は虚に殺された」

「!?ころ…された?」

一護の言葉にリウは驚き、繰り返した

 

「私も虚によって大切な人を失った…いや、正確には私が殺した…」

ルキアは哀しげに言う

その表情を見てリウは本当なのだとわかった

 

二人も大切な人を失っている、それも目の前で…

俺だけが失っているわけではないんだ…

 

「ごめん…」

リウは俯きながら二人に謝った

 

「別にいい、気にしてねぇよ」

「私もだ、謝る必要などない」

一護とルキアはリウに気にするなと言う、しかしリウは俯いたままで、言葉を発しない

しばらくしてからリウは顔をあげ、小さく言った

 

「ありがとう」

 

この人達ならアイツが相手でも大丈夫かもしれない

でも、もしこの人達がアイツに負けて殺されでもしたら…俺はきっと、本当に心が折れるだろう

それほどにこの二人の存在は、俺の心の奥にまで入ってきた

この人達なら信じられると今ははっきりと言える

 

 

 

 

その日もリウは床に敷かれた布団ではなく、壁に背を預けて眠ろうとしていた

それを見て一護はリウに呼びかける

 

「そんなとこじゃねぇで布団で寝ろよ」

「…横になると眠れない、だからこうしてる」

「眠れない?」

意味が分からない様子の一護に、リウは話す

 

「うん、横になると無防備になる

すぐには動けないから、ずっと背を預ける状態で寝るようにしてた」

「なるほどな、だけどここは平気だろ?」

「癖になってる、すぐには直せない」

「そうか…なら、来いよ

一緒なら横になっても眠れるだろ?」

一護は毛布をめくり場所を空けると、リウをベッドに招く

 

「…お邪魔します」

リウはしばらく考えた後、そう答えた

自分の隣に躊躇いながらも入ってくるリウに、一護は苦笑しながらも迎え入れた

 

もう、戻れない

アイツと決着を着けなきゃならない

でも、俺に何ができる?俺には戦う力はない、だからといって逃げるのはもう嫌だ

 

俺にできること…あの力を見たら、二人は俺から離れていくだろうか?

それでもいい、もう誰かが俺のせいで死ぬのを見たくはない

アイツを倒せるのなら…二人を護れるのなら、相討ちになって死んでも後悔はない

 

「もう、逃げない

アイツからも、俺自身の運命からも…」

リウは小さくだがそう己に誓った

そして、そのまま眠りの中へと意識を沈めていった

 

 

 

 

???side

 

やっと自身の運命に立ち向かうと決めたか…

 

『待っているぞ龍、私はお前の力

お前に私の名が届くのももうすぐだろう』

 

ある場所で男が虚空に向かって呟く

その呟きに応える者はいない

男はそのまま佇んでいたが、やがて空間に溶けるように消えていった

 




今作品は一護達は龍に対し少し過保護です。
特に一護は龍に甘いです。

言い忘れていましたが、この作品は破面篇からのものになっています。

オリジナル設定豊富ですので、だめだとおもう方は読まないほうが良いかもしれません。

これからもよろしくお願いします。
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