今回、最後にある人が出てきます。
ちょっとネタバレでした。
リウは二人のことを聞いたその日から、一護とルキアにのみは心を開くようになっていた
朝、夜明け前…
その日もリウは夜が明ける前に目を覚ました
目覚めたリウは、隣で眠る一護を見てから起こさぬように、そっとベッドから降りた
龍side
やっぱりこの時間帯に目が覚める
ここにきてから以前よりは眠れるようになっているけど、目覚めの時間だけは変わらない
二人はまだ眠りの中にいる
「一護さんって、寝ているときだけは眉間のしわが緩むのか…」
リウは一護の顔を覗き込みながら小さく呟いた
二人が起きるまで、まだ時間があるな
もう少し眠ろう
リウは壁に背を預けて目を閉じ、浅い眠りの中へと意識を落としていった
一護side
ん、何だ?何か視線を感じるような…
「あ、起きた?おはよう、一護さん」
「…おはよ……リウ」
一護は眠そうにリウに返すが、眠気に負け再び眠ってしまう
その時、押し入れからルキアが起きてきた
「おはよう、ルキアさん」
「おはよう、リウ…名前呼びになったな」
「いや…かな」
「嫌なものか、嬉しいぞありがとう」
ルキアにそう言われリウは少し顔を赤くして逸らした
「うるせぇ…ふあぁ~、何なんだよ」
「やっと起きたか、一護」
「おはよう」
「うるせぇよ、ルキア…リウおはよ」
二人の会話の声で覚醒した一護は、ルキアに文句を言いながらも体を起こした
「うるさいとはなんだ、何時までも寝ておる貴様が悪い」
ルキアは負けじと言い返す
う…何も言えねぇ
そのやりとりを見て笑みをこぼした
「む?何を笑っておるのだリウ?」
「何笑ってんだ?」
笑っているリウに二人は同時に問いかける
「ううん、何でもない」
リウは笑いながらそう答える
そんなリウに、二人は顔を見合せて首を傾げた
「さてっと、行こうかな」
「リウ、どこ行くんだ?」
「い、一護!私が居るのに平気で着替えるな!!」
立ち上がったリウに着替え始めながらたずねる一護を、ルキアは顔を逸らしながら怒鳴る
「ん?あ、悪ぃ…」
「ぷっ、あはははは」
ばつが悪そうに謝る一護と、顔を羞恥で赤くしているルキアを見て、リウはとうとう堪えきれなくなり声を出して笑い始めた
「「笑うな!!」」
一護とルキアはそんなリウに向かって同時に叫ぶ
「お兄ちゃーん、近所迷惑だよー」
階下から一護の妹の遊子の声が聞こえてきた
ヤベッ!
「悪い遊子!」
「静かにねー」
「わかったー」
一護はドアを開け顔を出して答えた
「改めて…リウ、一体どこへ行こうというのだ?」
「気になる?」
「ああ」
「なら、ついてきて」
ルキアの疑問にリウは付いてくるように言った
どこに行くんだ?
龍side
まぁ気になるよね
急にどこかに行こうとしてるんだから
リウは一護とルキアを連れて、二人の通っている空座高校の裏山へと向かった
「裏山?」
一護は疑問を隠せずにいる、ルキアもまた同じだった
「そうだよ、此処が目的地だから
ここなら、誰にも迷惑は掛からない」
「それ程の事なのか?」
「うん、まぁ見てて」
リウはルキアの言葉に答え、少し待つよう言う
リウは二人から少し離れた場所に立つと、指笛を吹いた
指笛の澄んだ音が辺りに響き渡る
「グォオオオオオ!!!!」
少しすると三人の耳に大きな咆哮が届き、一頭の巨大な獣が空から舞い降りてきた
獣はリウから少し離れた所に優雅に音を立てぬよう降り立った
「リエク!」
『久しぶりだな、龍…大丈夫か?』
「平気だよ、今は二人のところでお世話になっているんだ」
リウは降りてきた獣に嬉しそうに話しかけ、逆に獣はリウに心配そうに問いかけた
一護とルキアは突然現れたリエクと呼ばれた獣に驚き、固まっていた
「リエク、二人はね…えっと、ちょっと待って」
リエクと話していたリウだが、二人が固まっているのを見て苦笑しながら話しかける
「一護さん、ルキアさん大丈夫?」
「リ、リウその獣は一体?」
「な、何なんだよそいつ?」
二人は我にかえるとリウに問い詰める
リウは二人の剣幕に少し後退りながらも紹介する
「彼はリエク、俺と契約している獣だよ」
『リエクという、よろしく頼む死神達』
「!!」
「死神を知っておるのか!?」
ルキアはリエクが発した「死神」という単語に驚き、聞き返す
『龍から聞いていないのか?』
「何をだよ?」
「!そういうことか…」
分からない様子の一護と、彼とは逆に何か思い付いたらしいルキア
「わかったのかルキア?」
「リウが話してくれただろう、自らの過去を…
その話しに出てきた獣がおそらくこやつだ」
自分にたずねてくる一護に、ルキアはリエクを見上げながら少し辛そうな表情で一護に言った
「そうだよ、リエクは婆ちゃんと契約していた獣
でも、婆ちゃんとの契約がなくなってリエクの命が尽きるって聞いて、俺が今度は契約をしたんだ」
ルキアの言葉に答えて、リウは当時を思い出す様にリエクを見つめた
「なあ、リウ」
「何、一護さん」
「こいつ…リエクは何て動物なんだ?」
「確かにこのような美しい獣、見たことも聞いたこともない」
「リエクは王獣という獣だよ」
「「おうじゅう?」」
一護達は初めて聞く王獣という種類の名の獣に首を傾げた
「そう、王獣は狼のような顔と巨大な翼、鋭い爪の生えた大きな脚を持つ
その強大なる力は、まさに獣の王
そう謳われているのが『王獣』なんだ」
「なるほど、だからこれほど畏怖を感じるのだな」
リウの説明にルキアは納得するが、一護はリエクを見つめるだけで何も言わなかった
そしてリエクもまた自分を見つめる一護に対し、何をするでもなく見返していた
大丈夫かな、見つめ合ってるけど
でも、悪い感じではないから平気か
リウは見つめ合っている一護とリエクを見て、そう考えていた
一護とリエクはしばらく見つめ合っていたが、一護が目を逸らしたことで終わった
その直後、三人と一頭におぞましい叫び声が届いた
一護side
グオオオオォォォォォ!!!!
「「「!!?」」」
何だ、今の声!?…まさか、虚か!?
「リウ!」
一護は叫び声を聞き、リウの方を見た
「アイツだ…アイツの声だ」
そう言うリウの顔は青ざめ、自分を体を抱き震えていた
震えているリウを護り隠すように、リエクは自らの翼で包む
ルキアは一護の隣に立ち、虚が現れるであろう空を見上げる
「一護、来るぞ」
「ああ、虚だ」
二人は短いやりとりをし、一護とルキアは義魂丸を飲み込み死神化した
「コン!リウを頼む!!」
「チャッピー、リウの側に居てやってくれ」
「わ、分かった!」
「了解ですピョン!」
二人の言葉にコンとチャッピーが答え、リウとリエクの側に行く
『見つけたぞ小僧
まさか死神と共に居たとはな、驚いたぞ』
虚はリウを見つけると嘲笑うような不気味な声で言う
リウは虚の姿と声を聞き、ただでさえ怯えて体が震えているというのにその震えが増す
コンとチャッピーは心配に声を掛けるが、その声はリウに届いていないようだった
「テメェがリウを狙ってる虚か?」
一護は震えているリウを一瞬見やると、すぐに正面に向き直り虚を睨み付け問う
ルキアも既に斬魄刀を構えており、虚に鋭い眼差しを向けていた
『ああ、そうだ』
「テメェ…!」
虚の返事に、今にも斬りかかりそうな一護をルキアは止める
「落ち着け一護、奴に斬りかかりたいのは私も同じだ
だが、今奴に斬りかかれば奴の思う壺だ」
「…分かった」
「一つ聞かせろ、貴様は何故リウにこだわる」
ルキアは一護が斬月を握る力を緩めたのを確認すると、刀を構えたまま虚に問う
『何故かって?
その小僧の霊圧が旨そうだから、それだけのことだ』
虚は自分に怯えるリウを見て、愉快そうに目を細めながら答える
『死神、貴様等も喰らってやる』
「上等だ…テメェは俺がぜってぇ倒す!!」
一護は虚の挑発に霊圧を上げながら答える
『小僧』
「!!」
『また来るぞ
それまでは其処の死神共とせいぜい仲良くするといい
お前の絶望した顔を見るのが楽しみだ…ハッハッハッ』
虚は一護に興味など無いようで、リウに言い残すと虚圏へと戻って行った
「!待ちやがれ!!」
一護は舜歩で虚を追うが、間に合わず逃げられてしまった
くそっ!アイツのせいでリウはあんなに苦しんでいるってのに!!
アイツはぜってぇに許さねえ!!
リウside
アイツ、また強くなってた
前に見たときより霊圧が強く…大きくなっていた
リウは虚が去ってからも震えていた
「リウ、大丈夫か?」
義骸に戻ったルキアにたずねられ、リウは青ざめた顔のまま小さく頷いた
「無理すんな、今はリエクのそばにいろ」
「でも、俺…」
『龍、無理だけはしないでくれ
お前の悲しい顔を見ると、俺も悲しくなる…』
体に戻った一護は震えるリウの肩に手を乗せ、立ち上がろうとしていたリウを座らせる
リエクはリウを包んだ翼をゆっくり戻すと悲しげに言った
「リエク……一護さん、ルキアさん………ありがとう」
リウはまだ震えていたが二人と一頭に礼を言った
アイツ、一護さん程ではないけど、かなりの霊圧だった
最後にアイツと会ったときから、アイツは一体どれだけの魂魄を喰らったんだろう…
もう、俺の力じゃアイツは倒せない…一護さん達に任せるしか…
『逃げるのか?』
「!!?」
『お前は、そうやって戦いから逃げるのか?』
誰?誰が俺を…
『待っている
お前が私を呼ぶのを…待っているぞ、龍…』
待って!あなたは誰!?
頭の中に直接響く声にリウは問いかけるが、その声はすでに聞こえなくなっていた
???side
漸く声が届いたか
だが、まだほんの僅かだ…対話には程遠い
そして…お前が私の『名』を呼ぶのもまだ先だ
『待っているぞ…我が主よ』
男は曇り空に向かって呟いた
感想お待ちしています。