Skybound Ace   作:心ここにあらず

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◆ 中学編・序章

 

 

小学校全国大会での優勝から数ヶ月。リオ達世代の東京練馬ジュニアは解散し、リオ自身は、短い“休息”の期間を過ごしていた。

 

 

 

 

 

しかし、その休息は、予想もしなかったかたちで破られることになるのだった

 

 

 

 

ある夕方、練習帰りの汗がまだ乾かないまま、リオはリビングに呼び出された。

ソファには父・レオナルドが真剣な顔で座り、母・美羽も心配そうに手を組んでいる。

 

 

「リオ、ちょっと……話があるんだ」

 

 

父の声は普段よりも深かった。

プロリーグのシーズン中でも滅多に見せなかったその表情に、リオは背筋を伸ばす。

 

 

「ん?……どうしたの?」

 

 

 

 母が先に口を開いた。

 

 

 

「パパがね、来季……イタリアのクラブにアシスタントコーチ兼の専属契約することになったの…」

 

 

「え……?」

 

 

途端に頭が真っ白になる。

海外の強豪クラブ。父が再びヨーロッパに戻るという話自体は誇らしい。

だけど、それはつまり——。

 

 

 

「俺も……行くの?」

 

 

 震える声で聞いた。

しかし父は、穏やかに首を横に振った。

 

 

「そのつもりだった。家族で行きたいと思っていた。だけど……」

 

 

母が続ける。

 

「向こうは治安も不安定で、あなたの学校環境も良いとは言えないの。

 私たちも行ったり来たりになるけど……

 ――リオは日本に残して、安心できる場所に預けるべきだって話になったの」

 

 

「……日本の、どこ?」

 

 

 胸がざわつく。住み慣れた東京を離れるのか。

 リエーフ、アリサさん…チームメイト……これまで出会った身近な存在の顔が脳裏をよぎる

 

母は静かに答えた。

 

 

 

「宮城よ。私の実家があるところ…

 あなたのおじいちゃんとおばあちゃんがいるところよ」

 

 

 

「…宮城…って…そんな遠くに」

 

 

 

 

それからその後のことを色々と両親が説明してくれるが頭が真っ白になったような気がして一切話は入ってこないまま、その日は終了するのだった

 

その夜は寝つけなかった。天井を見つめ、いくつもの顔が脳裏を巡った。

 

(リエーフは……どう思うかな)

 

(アリサさんと……また会えなくなるのかな)

 

 

ぎゅっと枕を抱きしめる。

 

 

(宮城……か。知らないところだなぁ…………東京からどんくらい掛かるんだろ…)

 

 

転校が決まってから数日後。宮城への転校が決まった日の朝…東京の空は、いつもより少し低い雲に覆われていた。

 

荷造りしたダンボールが積まれ、リビングには生活の気配が半分だけ残っている。リオは玄関の前でスニーカーの紐を結びながら、胸の奥で何度も波のように押し寄せる感情を押さえ込んでいた。

 

 

 

(……最後に、ちゃんと、言わなきゃな)

 

 

 

 

 

練馬の体育館では、ジュニア時代の仲間が集まってくれた。

 

 

 

「リオ、転校ってマジかよ……」

 

 

 

リエーフがぶっきらぼうに言う。しかしその目は、明らかに寂しさを隠せないでいた。

 

 

「ああ…でも電話するし……絶対また会えるさ…たまには戻ってくるつもりだしな…なんだ寂しいのか?」

 

「 お前がいなくても、俺はもっと強くなるからな!」

 

 

リエーフは胸を張ったが、すぐに声が震えた。その言葉にリオは笑った。

 

 

 

「あぁ待ってるよ。

 だけど、そう簡単には追いつかせないぜ?」

 

 

二人は拳を合わせた。そしてリオが最後に向かった場所はアリサがよく勉強している近所の図書館の裏の小さな公園。

 冬が近い空気の中、ブランコのチェーンが きぃ…きぃ… と、微かに鳴っていた。

 

そしてブランコに座っていたアリサが、リオの姿を見つけて、小さく目を見開いた。

 

 

 

「……リエーフから聞いて学校終わって急いで来た」

 

「…汗かいてるね」

 

 

 アリサは笑いながらも、目の端に涙が溜まっていた。

 

 

 

「宮城に行くんだってね。」

 

「ああ。父さんの転勤とか色々あってね。ほんと急すぎだよ…」

 

「…本当ね…」

 

 

 

冗談みたいないあまりにも急な別れ。けれど、二人は気付いていた。

ずっと前から、この関係が“ただの幼馴染の弟の友だち”で済まなくなっていたことに

 

リオは深く息を吸い込み、アリサの横顔を真っ直ぐ見つめた。

 

 

 

「アリサさん最後に……伝えたいことがある」

 

「……なに?」

 

「俺、アリサさんが……好きなんだ。…大好き"だった"んだ」

 

 

アリサの指が、ブランコの鎖をぎゅっと握る。風が吹く。

 

アリサの淡い髪が揺れて、その奥の、少し潤んだ瞳がリオを捉えた。

 

 

「“だった”って……もう終わりみたいに言わないでよ」

 

 

アリサの声が震えていた。

 

 

「ごめん……言い方がヘタだよな。今でも、ずっと……好きだよ。けど俺はコレから東京から遠いところに行くし、俺のせいでアリサさんの人生を縛りたくない…コレから他にもっといろんな人に出会うかも知れないしね」

 

 

嘘だ。本当は離れたくない。…俺以外の男がアリサさんの隣にいるのを想像したくない。

 

アリサは目を伏せる。泣くまいとしているのに、まつげが震えていた。

 

 

 

「私も……リオのこと、気になってたよ。

 最初は、ただの“リエーフの…弟の友達”だったのに……気づいたら、いつの間にか目で追ってた」

 

 

 

胸の奥が焼けるように熱くなる。

言葉じゃ足りなくなるほど、リオはアリサが好きだった。

 

 

 

「宮城に行っても、バレーは続けるよ。

 絶対強くなって東京に俺の名前が届くくらいに有名になってやる。そんで……アリサに“離れてもずっと好きでいていいかな”って思ってもらえるくらいに」

 

 

 

 アリサは、涙を浮かべながら微笑んだ。

 

 

 

「……ずるいよ。そんな言い方……」

 

「ずるくても、言いたかった」

 

 

 

アリサがブランコから立ち上がり、

リオのパーカーの袖を掴むその手は、小さく震えていた。

 

 

 

「……ねえ、リオ。最後に……抱きしめてくれない?」

 

 

リオは迷いなく腕を伸ばし、アリサをそっと抱き寄せた。

 

 

 

「もっと……一緒にいたかったな」

 

 

 

アリサの言葉は、冬の空気に溶けるように小さかった。リオはゆっくりとアリサの前に立ち、そっとブランコの鎖に手を添える。

 

アリサの体温が胸に触れた瞬間、別れの実感が一気に押し寄せる。

 

 

 

 

「……行かないでほしいけど……

 行ってほしいって思ってる自分もいるんだよ。リオのこと私も縛りたくないから…それに…リオが強くなるところ……誰よりも見たいから」

 

「うん。見ててくれ。絶対強くなって迎えにくるから」

 

 

 

しばらく二人は、何も言わず抱き合っていた。

時間が止まってくれたら、と思うほどに。

 

 そしてアリサは、離れていくリオの手を最後まで握ったまま、小さな声で言った。

 

「好きだよ、リオ。

 離れても、ずっと……」

 

 リオはその言葉を胸に刻み、

 手を離したくない気持ちを押し殺しながら

 

 

「うん……俺も大好きだ」

 

 

 

 リオはアリサの頭を優しく撫でた。

そう言って微笑んだ。

 

それが、二人が“ただの幼馴染の関係”を越えた最後の夜だった。

 

アリサと別れた夜から、季節が一歩進んだように感じた。

 胸の奥に残っている温度だけが、まだ現実から離れられずにいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——それから数日後。

 リオはついに、宮城へ向かう日を迎えた。

 

 朝の東京駅は巨大なガラス天井に朝の光が差し込み、人々が行き交う音が反響している。リオはキャリーケースの持ち手を握り直し、深呼吸した。

 

 

「……行くか」

 

 

 

隣では、母の美羽が優しく微笑んだ。

 

 

「緊張してる? でも大丈夫よ、リオ。あなたならすぐに馴染めるわ」

 

 

続いて父のレオナルドが

 

 

 

「たとえ離れ離れになっても俺たちはお前のことを愛しているし変わらず応援しているからな。あとアリサちゃんに連絡ばっかして愛想尽かされるんじゃないぞ?」

 

「はは、うるさいよ。そっちこそ久しぶりの帰国でしょ?もう母国語喋れないんじゃない?」

 

 

 そのような普段と同じ日常会話を少しした後両親に手を振られながら改札の入り口を潜る… リオはもう一度振り返った。

 両親。

 アリサ。

 リエーフ。

 ジュニア時代の仲間たちやコーチ…

 

 その全てが、まるで昨日のように胸へ迫ってくる。

 

 

(……必ず強く有名になってやる。次会った時アリサにも、リエーフにも胸張って会えるように)

 

 

 

 その思いを抱いたまま、新幹線の車両へ足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 コレから引っ越す家の最寄駅に着くと、東京とは違う冷たい空気がリオの頬を打った。

 

 

「……寒っ!」

 

 

 宮城は東京と比べてもこの時期は特に気温が低かった

 

 

 

「早く向かわないと…とと、どっちだっけ」

 

 

東京ほど人混みはなく、空気が澄んでいる。ビルが立ち並びながらも、どこか余白がある街だった。

 

 

 

「ここが……これから俺が暮らす場所か」

 

 

 

リオの内心は不安よりも、好奇心と意欲のほうが強かった。

 

 

駅から徒歩20分圏内にある木造二階建ての田舎ならではの大きな家。庭には柿の木があり、軒の下には干し大根が吊るされていた。

 

 

 

「うわ……東京に住んでた頃のうちとは全然ちがう……」

 

 

とその時

 

 

「いいところだろう?」

 

 

 

背後から声をかけられ、そこには老夫婦が立っていた。

白い髪の祖父と、優しく目元の下がった祖母。写真でしか見たことがない——

リオが“初めて会う”の祖父母だった。

 

 

 

「…おじいちゃん?おばあちゃん?」

 

 

 

祖父は姿勢が良く、まるで軍人のような雰囲気すらある。祖母は柔らかい笑みを浮かべ、両手を胸の前でぎゅっと握っていた。

 

近づくと——

 

 

 

「……リオ、か?」

 

 

 

 祖父の低い声が震えている。

 

 

 

「はい。初めまして……リオです…神凪リオです!」

 

 

 

 頭を下げた瞬間、祖父の表情がくしゃりと崩れた。

 

「おお……おお……やっと会えた……!

 美羽の子……こんなに大きく……」

 

 祖父は涙をこらえながらリオの肩をぎゅっと抱きしめた。

 祖母も後ろから優しく背中に手を添える。

 

「ずっと会いたかったのよ。

 東京にいると聞いて、遠い子だと思っていたけれど……ようこそ、宮城へ」

 

「……うん。俺も会いたかった!」

 

 

 リオの胸に、温かいものがじんわり染みていく。

 

 

(……ここが、これから俺が暮らす家と家族なんだ)

 

 

玄関を開けると、ほんのりと味噌の香りが漂った。どこか懐かしい匂いだった。

 

 

 

「リオくん、この部屋が今日からあなたの部屋ね」

 

 祖母が案内してくれたのは、二階の明るい和室だった。畳に差し込む光が優しくて、リオは自然と笑った。

 

「なんか……落ち着くなぁ」

 

「ふふ、よかった。

 東京のお部屋とちがって、ちょっと寒いけどね」

 

「全然大丈夫!」

 

 スーツケースを置いた瞬間、

 外からゴウンゴウンと風の音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

●翌日

 

 

祖父母の家から歩いて15分ほどの場所に中学校があった。古い校舎だが、活気のある雰囲気がある。

 

体育館で入学式での行事を済ませ、部活紹介が後日だったため今日はこのまま帰ろうかと廊下を歩いていた。人混みの中でじっと名簿表を見つめていた。

 

(雪ヶ丘の一年は三クラス……俺は1年1組)

 

 

「うおおおおおい!! どけどけどけぇ!!」

 

 

 

 

人混みの向こうから、

マンガみたいな勢いで突っ込んでくるオレンジ髪の小柄な少年がいる。

 

リオは反射的に横へよけた。少年は止まり切れず、靴箱へ ゴンッ と頭をぶつけた。

 

 

「いってぇ……!!」

 

 

 

その姿を見て、周囲の生徒たちが一斉に笑いだす

 

 

「大丈夫か?」

 

 

「へ?あ、う、うん、大丈夫大丈夫!」

(うわっでっけ〜!髪の毛金だし目も青い…)

 

 

「名前なんて言うの?俺神凪リオって言うんだ。多分君と同じ一年」

(身長的に一年だと思うけどあってっかな)

 

 

「一年!?その身長で!?」

 

 

「まぁね。半分外国の血流れてるしパパが大きいからね。んで名前は?」

 

 

「あぁ!そうだった!俺日向翔陽!てかリオどっから来たの?この辺って小学校2つしかないのにリオみたいな奴初めてみたから!」

 

 

「あぁ、それは俺が少し前に東京から引っ越してきたからだよ。親の仕事の都合でね!…んで何をそんなに急いでるんだ?」

 

 

「東京!?って!?そうだ!やっべ急がなきゃ!俺体育館に行きたいんだ!」

 

 

「体育館?なんで?さっき入学式やったじゃん」

 

 

「バレー!!バレー部に入りたいんだ!」

 

 

「!?」

(その身長でバレーか…おそらくリベロかよくてセッターだと思うけど中々難儀なスポーツを選んだな)

 

 

「明日からって先生言ってたけど多分練習してるはずだから見に行きたいんだ!」

 

 

「俺も行くよそれ」

 

 

「え!?なんで?もしかしてバレー部入りたいの!」

 

 

「おう!俺もバレーやってんだ。先生が部活紹介明日って言ってたから明日行こうかと思ってたんだけど手間が省けたしどうせなら早めに知っておいた方が何かといいからな」

 

 

「じゃあ行こうぜ!」

 

 

そう言い残し俺と翔陽は歩き出した

道中俺らはお互いのことを色々話し合った

 

 

 

「へぇ〜翔陽はその"小さな巨人"に憧れてバレー部に入るんだ」

 

「おう!んでもって俺が次の"小さな巨人"になってやる!」

 

「てことは翔陽もクラブかチーム所属だったわけか?ポジションどこ?」

 

「……」

 

「なに?なんかまずい事きいた?」

 

「いやぁ〜それがですね。私の住んでた所にバレーチームが無くてですねぇ。軽いルールくらいしか知らない素人なんですよこれが。」

 

「……まじ?」

 

「…まじ」

 

「…マジかぁ〜」

(てっきりどこからのクラブチームで腕を鳴らして入部を決意したのかと思ってたわ)

 

「なんだぁ!俺はここから上手くなるから見てろよリオ!ってかリオはどうなんだよ」

 

「俺?俺は父親の影響もあってガキの頃からクラブでやってたよ」

 

「ヘェ〜お父さんなんの仕事やってんの?」

 

「元プロ…で今はプロ専コーチ」

 

「プロ!?プ、プロってなんのプロ?」

 

「そりゃバレーだろ。逆に今の流れでそれ以外ないっつうの」

 

「ま、マジか…じゃあ絶対スゲェじゃん!もしかして!もしかして!全国とか行ったことあんの?」

 

「一応な…それなりに期待してもらっていいぜ?」

 

 

 

 

そんなこんなで話しながら体育館まで来て2人揃って中を覗くと…

 

 

「「女子しかいない…」」

 

「おい、翔陽…どう言うことだよ」

 

「俺に言われても分かんないっつうの」

 

 

するとそこに

 

 

「君たち体育館に何か用?」

 

「「へ?」」

 

 

そこには30代くらいのいかにも体育教師というような風貌の女性が立っていた

 

 

「えっと、すいません。うちって男子バレー部ないんですか?」

 

 

俺は恐る恐るここに来た理由を問いただす。

 

 

「うん?バレー部あるよ…"女子"はね」

 

「「女子!?」」

 

「え、それってバレー部ないってことじゃん!どうしよリオぉぉ!」

 

 

 

俺に抱きついてきた翔陽を引き剥がしながら

 

 

 

「俺に言われてもどうしようもないっての!けどここの中学って部活強制ですよね?俺たちどうしてもバレー部に入りたいんです。どうにか出来ませんか?」

 

「んーそうだねぇ…出来なくはないけど…君たちにとってもそれが必ずいい選択になると言う保証はないよ?もしかしたら他の部活動に入部する方がいいかもしれない。それでもいいの?」

 

 

「「…」」チラッ

 

 

俺たちはお互いに目を合わせ

 

 

「「お願いします!」」

 

 

2人揃って女子のバレー部監督である小林さんに頭を下げた

 

 

 

「明日放課後職員室の方まで来てくれ。そこで色々説明する」

 

「「はい!」」

 

 

そう言い残し俺たちは体育館を後にした

 

 

 

 

「やばかったなぁ…ワンチャンバレー出来ないかもとか思っちゃったわ」

 

「それなぁ〜俺なんて初心者なのにここで出来なかったら初心者のまま高校生になっちゃうとこだった」

 

「…なぁ翔陽お前今から暇か?」

 

「ん?うんもう帰るだけでけど」

 

「ちょっと市民体育館寄ってかないか?多分借りれると思うし」

 

「まじ!?いいの?」

 

「行くだけ行ってみようぜ」

 

 

 

俺たちはそうして市内にある市民体育館まで向かい体育館を1時間だけ借りることに成功してハーフコートにネットを張った

 

 

 

「うぉぉぉ!コレがコート!!んでもってコレがボールかぁ!」

 

「お前ボールも触ったこと無かったのかよ…」

 

「だって小学生の時も体育の授業はドッチかバスケ、サッカーだったしな。バレーなんてまじでやったことない!」

 

「…あぁそう」

 

 

 

翔陽は正真正銘まじの素人だった。ボールの扱いやトスにレシーブ、簡単なレシーブパスですら弾くようなレベル…それを確認した俺はボールの掴み方や手の位置に腕の位置それに体の体制と基礎的なことは口頭で説明していった。

 

そしてその後色々実践していくこと30分…

 

 

「じゃあ次俺がトスあげてやるからスパイク打ってみ?」

 

「マジで!いいの!」

 

「はいはい!いいから良いから!ほら行くよっ」

 

 

 

 

ーーフワッと空中に上がるボールーー

 

ネットよりわずかに高い位置だろうか…スパイクとはいったもんだがコートに張り巡らせてるネットの高さは高校生と同じ高さである。俺はともかく中学生…それも一際小さい翔陽が打ち切るなんてことははなから想定していなかった

 

 

ーーーがーーー

 

 

_ダダッ  ドンッ!

 

 

翔陽は小さな体を体全体を沈み込ませるように力を貯めそれを解き放った瞬間、ネットの高さから手がはみ出るほどの跳躍を見せた

 

 

ーーバシッ!ーー

 

 

「あれ!ぐへっ」

 

 

 

翔陽はボールの到達点まで飛ぶことは出来たが肝心のスパイクはボールの端を叩いてしまいあらぬ方向に飛んでいってしまった。そしてその反動で翔陽自身もネットやひっかかると言う初心者ならではのミスを披露してくれたのだった

 

 

 

しかしそんなことよりも大事なことは翔陽の"並外れた跳躍力"である。身長が小さい分到達点は俺よりも遥かに低い…しかしそれは身長150ちょいしか無い日向とすでに170オーバーの俺を比べての話で、もし同じ身長だったら…

 

それほど驚愕の跳躍だったのである

 

 

 

 

 

 

 

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