Skybound Ace 【Redux】   作:心ここにあらず

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7.

 

 

2セットからの本人によるスパイクと強烈なスパイクサーブにより、強豪の北川第一相手を早くも出し抜くことに成功したリオと翔陽率いる雪ヶ丘

 

 

 

 

ーーバギャァァァァァァンーー

 

 

「やべぇ!!これで3連続ノータッチエースだ!」「取れるやついねぇんだから無理だろ!」「どうすんだよこれ!」

 

 

 

 

リオのスパイクサーブに対し北川第一は未だ対抗策を見出せないでいた。

 

 

 

 

ーーピィィィィィィ!ーー

 

 

 

「タイムアウトです!」

 

 

 

たまらず北側第一の監督がタイムアウトの時間を取り雪ヶ丘のムードを無理やり断ち切ろうとする

 

 

 

「まさかあんな伏兵が隠れていようとはな…」

 

「「「…」」」

 

 

 

監督は勿論選手たちの顔にもまさか優勝候補と目された自分たちを1人で圧倒しようとする存在がいることに驚愕の心境を隠せずにいた

 

 

「いいか!奴のサーブに対しては4人体制…なんとしても体に当てろ!兎に角上に上げることを意識し上にさえ上がればなんとかなる!そして皆でフォローすることを忘れるな!…いいな影山!」

 

「…うす」

 

 

 

監督の話に聞き耳を立てながらリオの方を睨みつけていた影山に監督は釘を刺したのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「うぇーい!」」」

 

「ナイスリオ!」「リオが居ればワンチャン勝てんじゃね?」

 

「ううう…早く俺も打ちたい…」

 

「目立ってないからってリオに嫉妬すんな翔陽!」

 

 

 

ーーパンパンーー

 

 

 

軽く手を叩いたリオが騒いでいたチームメイトを宥める

 

 

 

「おーけーおーけーみんな聞いてくれ…滑り出しは順調そのもの…が…奴らもそう簡単に黙ってないはずだ!おそらく次…もしくは三手以内に俺のサーブはレシーブされるだろうな。その時が勝負だ!初めに言った通り上に上げてくれさえすれば俺と翔陽でフォローする!頼むぞみんな!」

 

 

「「「はい!(おう!)(うん!)」」」

 

 

 

 

そう言いコートに戻るみんなを見つめながら

 

「翔陽!」

 

「ん?」

 

「お前は知ってる通り俺のサーブは威力重視のコントロールはそこそこだ…入りさえすればなんとかなるが外れる可能性も低くはない。…分かるな?上がってからの初手が勝負だぞ?おそらく俺に3枚ブロックがつく…だからお前がかましてやれ!」

 

「…おう!」

 

 

 

ーーコツンーー

 

 

 

お互いに差し出した拳を叩いた2人もコートに入っていく

 

 

 

現在 4:0 で雪ヶ丘リード

 

サーバーはもちろんこの人

 

 

ーーピィィィィィィ!ーー

 

 

 

リオは胸の近くでボールを見つめながら大きく息を吐き数回バウンドさせる

そしてそのままボールを大きく上にあげ助走を取る

 

 

 

ーーダダンーーバギャァァァァァァン!ーー

 

 

「正面!頼む!」

 

「ぐっ」

 

 

 

その高速のボールはしっかりと構えていたリベロはボールを面で捉えたと思った瞬間

 

 

ーーギュルルーー

 

ボールは不規則な回転を描きそのまま後方へと弾き飛んだのだった

 

 

 

 

 

「「「うぉぉぉぉ!!」」」

 

「4本連続!」「北側第一やべぇんじゃねえの!」「またリベロからもぎ取ったぞ!」

 

 

「クソ!捉えたと思ったのに!」

 

「…おそらく左特有の回転だな。右の回転と全く違う回転で…さらにあのスピードとパワーだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウォォォォー!ナイサーリオ!」

 

「分かった分かった!もう一本行くぞ翔陽!」

 

「おう!」

 

 

 

 

 

 

 

もう一度エースを取りに行くつもりで打ち切った弾丸サーブは惜しくもライン側の外側に着弾してしまい得点ならず…サーブ権が北川第一に移ってしまった

 

 

 

「ここ一本できるぞ!」

 

「「「はい!(おう!)」」」

 

向こうのサーブだがいくら強豪校とはいえ中学生で強烈なサーブを打つものはいないらしく普通のアンダーサーブを繰り出してきた

 

 

「ナイス!」

 

うちのリベロがレシーブしそれを俺がトスする流れに持ってくる。初めのツーでのダイレクトスパイクを警戒してかセッターの位置に居る俺に対してブロックが3枚張り付いてやがる。

 

(俺だけのワンマンチームだと思ってやがるな?…いいぜ…今にわかる)

 

 

(さぁどうする…また自分で打つのか!)

 

影山は先ほどから自らの予想以上のプレーをするリオから目が離さないでいた

俺が出したのはコートの端近くからのロングトス

 

 

ーーパシッーー

 

 

…俺がトスを上げたのはレフトの位置にいるチームの中でも下から3番目のおそらく今大会最小ウイングスパイカー

 

 

 

ーードォン!!ーー

 

 

 

小さな体を目一杯沈ませ思いっきり踏み込んだ両足で跳躍する。身長は目視で見ても160ほどほど…ブロックに張り付いている相手のミドルブロッカーよりも明らかに20センチは小さい…

 

 

ーーだがーー

 

 

 

「な、なんで!?」

 

 

 

その2番をつけた小さな背中は目の前のブロックを見下ろすかのように上空へと飛び出しその右腕を振るった

 

 

ーードパァァン!!ーー

 

 

「くそ!」

 

 

翔陽の打ったスパイクは後方のレシーブ陣の間を打ち抜き見事得点となった

 

そしてこの日3度目の大歓声が会場を包み込む

 

 

「「「ウォォォォ!」」」

 

 

「今度はあの小せぇのがやりやがったぞ!」「いやあの一番もだろ!セッターも出来んのかよ」

 

 

 

「ナイスだ翔陽!」「翔ちゃん!」「翔陽!」「「日向先輩!」」

 

 

 

雪ヶ丘は翔陽が完璧に相手チームからスパイクを決め切ったことを喜び

 

 

 

 

「クソッなんだあの2番…あの身長で異常な跳躍しやがる」

 

「一番だけのチームじゃなかったのか…」

 

「どーする…流石に今のを見る限り一枚では止まらないぞ?…いや2枚でも確実に止められるとは限らない…か」

 

「…ぐっ」

 

「おい影山!お前もなんか言えよ!」

 

 

北川第一は予想と外れ素人軍団と揶揄していたチームがワンマンチームじゃなかったことに驚き…影山はさらに表情が曇っていく

 

 

 

「お、次サーブ翔陽じゃん!かましてこいよ!」

 

「おう!」

 

「日向先輩ナイッサーですっ!」

 

 

雪ヶ丘のサーブは翔陽から…先ほどまでサーブを放っていたリオを見ていた敵チーム並びに観客はあそこまでのサーブが出てくることはない…いやそもそもジャンプサーブを放つ中学生が他にいるなんて…そう思っているのが側から見てもヒシヒシと伝わってきていた

 

 

(見せてやれ翔陽…俺とお前の特訓の成果を…)

 

 

翔陽はボールを胸の前で持ち軽く俯いた後ゆっくりと顔をあげ瞼を開ける

 

 

ーーピィィィィィィ!ーー

 

 

そして笛が鳴ったと同時にボールを上げ助走を走り出す

 

 

「クソがっ!」

 

 

ここでようやく影山が…そして相手チームが気づく…

 

 

ーードン!ーードパァァン!ーー

 

 

「影山!」

 

「ぐっ!」

 

翔陽のはなったサーブは影山の正面を撃ち抜くも影山は予想をしていなかったスパイクサーブに…そしてその威力…小さな体からは想像もできないような威力にたじろぎ上手く勢いを殺せない

 

 

「クソッ!」

 

 

レシーブされたボールは雪ヶ丘側のベンチ付近まで飛び込み相手チームはボールまで届くことができずこちらのポイントとなる

 

 

「シャアァァァァァァ!」

 

「ナイサー翔陽!」「マジか翔ちゃん!」「お前こんな凄かったのかよ!」

 

 

これでポイントは7:1で圧倒していく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在はポイント20対11 雪ヶ丘リード

こちらは翔陽のサーブが惜しくもリベロ正面を捉えてしまいそして向こうのスパイクがコージやイズミンを狙い出したのと同時に北川第一にうちの弱点…後ろ4枚のうちリベロを除いた3人がほとんど素人同然だという事実を見抜かれてしまい得点されてしまう。

 

そしてこちらのサーブもサーブ権がイズミンやコージ、一年生となるとサーブが入らなかったりアンダーサーブを返され左右に打ち切られる展開が続き一時期は猛追撃を見せるもリベロの佐藤くんが上手くサポートしボールを上げたことでなんとか攻撃を断ち切りここで現れた雪ヶ丘のサーバーは…本日二度目のリオのサーブからである

 

 

 

北川第一は後方4枚体制のレシーブ陣営を敷いている。何せこのゲームの主導権を握られた理由の一つがこの男のサーブである。

ここをどれだけ最小で凌げるかが雪ヶ丘を倒す上で必須条件として監督から支持され北川第一の共通認識としてなりつつあった

 

 

ーーダンーーダンーー

 

 

リオはボールを数回つき大きく息を吐く。そして

 

 

「…ふぅ…いくぜ…」

 

 

両手でボールを高く舞い上け助走を開始する

 

 

ーーダンーダダンッーー

 

 

そしてこのゲームなんだも得点を量産したその左腕の剛腕が振り下ろされる

 

 

ーードパァァァァァァァァン!!ーー

 

 

轟音と共に放たれたその高速のボールはリベロ隣…背番号5を身につけた北川第一のエース金田一勇太郎のもとに

 

 

ーーギュルルーー

 

 

「ぐわっ!」

 

 

金田一の正面であったが守備専門のリベロでも難易度の高いそのサーブは金田一の腕を弾き飛ばしボールはそのまま2階席の手すりにぶつかった

 

 

「「「ナイサーリオ!」」」

 

翔陽にコージ、イズミンが駆け寄ってくる

 

 

 

「おう!次も決めるぜ」

 

「クソー!まだサーブは敵わねぇか!」

 

「いやいや翔ちゃん…うち人数もギリギリの弱小校だからね!なのに優勝候補からサービスエース取ってるリオは勿論翔ちゃんもおかしいからね!」

 

 

 

確かにそれは一理ある。いくら俺たちの情報が0に等しいとはいえ実績のある俺はともかく翔陽は2年前まで本当のアマチュアだった。それが俺との自主練や大学生チームとの練習で県内屈指の強豪からサービスエースやスパイクを決めている。

 

 

…まぁ元々持ってたポテンシャルは計り知れなかったからなこいつの場合

 

 

 

その後も3連続サービスエースを決めたが24点のマッチポイントの時点でネットに引っ掛けてしまいサーブ権は向こう側に…

 

向こう陣営はここまで圧倒的なスタッツになると思っていなかったのか明らかに動揺を見せるベンチに悲壮感を漂わせているスターターの面々…このまま押し切ってこちらが第一セットを掻っ攫うかと思っていた次の瞬間…

 

 

ーーダンーーダダンーー

 

 

ーードパァァン!!ーー

 

 

今ゲーム初めて放たれたその男のサーブをこちらのレシーブ陣営が触れることさえ許さずノータッチエースとなった

 

 

「…はは…やっぱやる奴だったかお前…」

 

「ウォォォォ!あいつすげぇなリオ!」

 

 

賞賛する俺たちに遅れ会場が爆発する

 

 

「「「うぉぉぉぉ!」」」

 

 

「やり返したぞあのセッター!」「あいつだろ?王様とか言われてるやつ!」「なになにアイツすげぇ奴なの!?」

 

 

「な、ナイサー影山…」

 

「ちっ…」 「おいやめろ…」

 

「…」

 

なんだアイツら…あんなスゲェサーブの後で空気悪すぎだろ。特にあの5番と王様セッター…あんなチーム状況でバレーしても楽しくねぇだろ

 

 

「ま、関係ねぇか…おい翔陽早めにけりをつけるぞ…でないとコチラはどんどん不利になる」

 

「??…おう!」

 

 

翔陽はリオが言っている意味がわからず曖昧な返事を返す

 

 

ーードパァァン!!ーー

 

「頼む!」

 

「はい!」

 

佐藤くんは正面横に打ち込まれたスパイクを辛うじて拾うことに成功したがボールは遥か右奥に…

 

 

「うぉぉぉぉ!」

 

翔陽が流石の反射神経でボールの行方を追いギリギリで追いつき上に上がる

 

 

「ラスト頼む!」

 

「まかせろぉ!」

 

 

みんなで繋いだボールを俺がアンダーで向こうに返す

 

 

「チャンスボール!」

 

「…くっ…なんで…」

 

「…くそっ」

 

 

 

ーーバコンッ!ーー

 

 

北川第一はレシーブから上手くセッターに返したところでエースにボールをトスしたのだがやけに強い勢いで出されたトスにエースは反応できず上手く体重を乗せたスパイクを打つことができなかった。

そして今までの試合を見ていたこの男がその隙を逃すはずもなかったのだ

 

 

ーーガコンッ!ーー

 

 

「なに!」「読まれた!」

 

 

リオは予めセンターにいるエースにトスが上がることを予期しエースのトスに合わせてコミットブロックをしそのままエースをドシャット…

 

 

「余裕!」

 

 

 

そしてこのドシャットを通して北川第一対雪ヶ丘の第一セットは雪ヶ丘に軍配が上がったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆北川第一サイド

 

 

 

 

 

「よもやここまでとはな…」

 

 

 

 

北川第一を束ねる監督はこれまでの驚愕のパフォーマンスを思い出し唸る。

 

 

 

"雪ヶ丘中学"

 

 

 

初めては聞いたことのない中学だと認識していた。そして調べるうちに出場歴もなく今年も人数ギリギリのエントリーで応募した中学であり、うちが負ける通りがないと思った。

 

 

 

 

しかし現実は私の予想を大きくと上回っていく。

 

そう思わせる要因は大きく3つある。一つは初出場とは思えないチーム力の高さ。具体的には"2人"を除いてもなお、中堅クラスはあるそのレベルの高さであろう。特にリベロの彼などはウチのリベロと比べても遜色のないレベル。…いや、向こうが2年生だと言うことを加味すれば向こうのほうが成長の余地があると言える。

 

 

 

そして"問題の2人"

 

 

まずはその1…背番号1をつけた彼であろう。"日向翔陽"君…聞いたことない名前だ。

 

 

 

ーードパァァァァァァン!!

 

 

「しゃあ!!」

 

 

 

目を引くのは身長160そこそこしかないにも関わらずウチの金田一達の上から打ち下ろせる脅威の跳躍力。そして、ウチ相手にサービスエースをもぎ取れるほどのサーブ力に守備もそこそこ出来ると言う万能っぷりである。

 

あの身長に目を瞑らずとも"コチラから選びたくなる"ほどの選手である

 

 

"彼'が居なければ…いや、同じチームにさえいなければ、1番の彼はスーパールーキーとして今大会で最も注目された選手として記憶されていただろう。

 

 

 

 

 

その時ーー

 

 

 

 

ーーバギャァァァァァァァァァァァン!!

 

 

 

 

「「「ぐっ!?」」」

 

 

 

 

今日何度目にし何度浴びせられたか分からない、ウチのブロックを吹き飛ばすほどの轟音。

 

 

 

「…本当に…何者なんだ彼は」

 

 

 

私の目の前でウチの自慢の選手達相手に大立ち回り、どちらがより強者であるかを1人で確立させている男。

 

180後半に差し掛かるであろう中学生としては破格のサイズに日々の鍛錬で磨き上げられたであろうバレー選手として理想的な筋肉。そしてその肉体から生み出される絶大なパワーと身体能力。

 

その風貌と名前から分かる通りおそらく日本人以外の血が通っているのだろう。

 

 

 

 

 

「やべぇ!"あるぞ!"あり得るぞ"!!」

 

 

「"新戦力が強豪を喰らう瞬間が"」

 

 

 

 

観客も皆向こうが勝ち望む未来を想像し出している。そして最早それに反抗出来るほどのプライドも打ち砕かれた。

 

 

現在の点差…20:12…おそらく試合前のこの結果を伝え誰が信じようか。

 

 

 

「一本だ!一本切ってみせろ!」

 

 

 

弱小と舐めていたウチの選手達のプライドや自信は粉々であろう。

 

それでも私だけは諦めるわけにはいかない。…たとえどんなに情けない結末を迎えようとも監督である私だけは教え子達を見捨てるわけにはいかないんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リオはどこに進学させるべき?

  • 烏野
  • 青城
  • 白鳥沢
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