ダンボール戦機 転生した少年の物語   作:LBX

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プロローグ

 

松明などで照らされ、周囲を見るからに荒くれ者といった雰囲気の者達が囲う広々とした空間。

 

そんな彼等が注目するのはその空間の中央。

LBXと呼ばれる手のひらサイズのホビー用小型ロボットの為の専用のバトルステージで現在行われているバトルである。

バトルは城砦ステージで行われているのだが、どうやらたった今決着が着いたのか観客達は一斉に歓声を上げた。

 

「「「うおぉぉぉぉっ!!」」」

 

「マジかよ⁉︎1対3で無傷で勝ちやがった!」

 

「しかも見たかよ、あの情け容赦ないバトル!」

 

「相変わらずエゲツネェぜ、流石は“ライト“だぜ!」

 

熱狂する観客達が見据える先では、それぞれ対面に向かい合ってCCMを片手に向かい合ってる4人のプレイヤー。

そして、そんなプレイヤー達がバトルを行なってたジオラマの中でジオラマ内の城に叩きつけられめり込んだズール、両手を粉砕された状態で川の中に沈められたナズー、胴体を叩き潰されたオルテガなど、合計3機のLBXが普通のバトルであればまず目にする事は無いであろう酷い状態で破壊されていた。

 

そして、そんな3機の内胴体を叩き潰されたオルテガの側で一本のメイスを片手で持ち肩に担いだ1体の白い悪魔がたった今破壊した3機をそれぞれ見据えていた。

 

「う、嘘だろ…こっちは3人がかりだったんだぞ…」

 

「なのに、こんなに一方的に…」

 

「分かっちゃいた事だけどよ…あ、悪魔かよ…」

 

 

 

自身のLBXの惨状を目の当たりにしたプレイヤーの3人。そんな3人の目の前でたった今バトルを終えた愛機を回収した黒髪黒眼に上下共に黒い服のもう1人のプレイヤー、“工藤ライト“は、CCMとLBX“バルバトス“を持っていた鞄の中に収めるとさっさとその場を後にしようとする。

 

 

「あっ、おい待ちやがれライト!今回はもう1機持ってきてるんだ、だからもう一度勝負しやがれ!」

 

「悪いな、この後予定が入ってるんだ。もうそろそろ行かないといけない時間になったから、悪いけど今日はここまでって事で」

 

「あぁ⁉︎ふざけんじゃねえぞ、勝ち逃げする気か!」

 

「別にそんなんじゃない。心配しなくても勝負ならまた今度来た時に受けるから。

それに今のバトルでこの機体の修正点が見つかったからこの後の用事を終えたらカスタマイズの為に時間を確保したいんだ。だからホントごめんな!」

 

「あっ、おい!…ったくあの野郎今度覚えとけよ」

 

ライトは申し訳なさそうな顔をしながら先程まで戦ってた男達に謝罪をしつつ、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

半端逃げるような形で広間を後にしたライト。広間から出てきた先は、先程の騒がしい言わば地下コロシアムとでも言うべき雰囲気の場所とは全く違う静かなコーヒーの香りが漂う喫茶店だった。

 

出て来た先では、青髪にサングラスをしたこの店のマスター“檜山 蓮(ひやま れん)“が今日も客の少ないこの店のカウンターでコップを磨いていた。

 

「なんだ、今日はいつもより早いじゃないか。珍しく負けでもしたのか?」

 

「いやいやちゃんと勝ちましたって檜山さん。そうじゃなくて友達との約束の時間が迫ってたので今回は早めに切り上げただけですよ。

大体あそこに入る前に一応早く出るかもとは言った筈でしょ…」

 

「悪いな、冗談だ。そもそもそんじょそこらのプレイヤーにお前が負けるとも思えんしな。

それで、さっき見せてもらった新型、“バルバトス“と言ったか。使い心地はどうだ?今度のアングラビシダスはソイツで参加するつもりなんだろ」

 

「そうなんですが、やっぱまだ作りたてな事もあって課題が山積みですよ。反応速度に、攻撃の際に僅かな軸のブレ。

幸い明日は学校休みなんで、それらを修正する為に今夜は徹夜で家でカスタマイズの予定ですよ。ってやば!

すみません檜山さん、待ち合わせがあるので失礼します!」

 

「おう。次は背伸びしてでもコーヒー飲みに来いよ。ほんの僅かでも売り上げが上がるからな」

 

「中学生に売り上げ協力強要しないでくださいよ、俺苦いの苦手だし…」

 

「ふっ、子供舌め」

 

「へいへい、中学生はまだまだガキですよ」

 

少々呆れた顔と声になりながらも檜山に一礼した後、喫茶店『ブルーキャッツ』を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇〇〇〇

 

〜ライトside〜

 

いや〜今日も暴れた暴れた。

しかし、やっぱりブルーキャッツでのバトルは良いなぁ。普段の“アイツら“とのバトルも良いけど、やっぱルール無用で好き勝手に暴れられるバトルの方が俺の性に合ってるな。

何より思いっきり相手のLBXをぶっ壊しても後腐れないのが良いな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…とまぁ今回のバトルの感想は一旦置いておこう。

早速だが俺、工藤ライトは所謂転生者のというものらしい。殆どの奴が聞けば頭のおかしい奴と思われるかもしれないが事実である。

俺は前世では普通の高校生をしていたんだが、学校の帰りにトラックが突っ込んで来るという交通事故に巻き込まれて死んでしまった。

 

そして次に気がついた時には、俺はこの世界で“工藤ライト“という1人の子供として新しい生を受けたらしい。

一応言っておくと最初から記憶があったわけじゃない。俺が小学校の高学年になったら、ある日前世の記憶が流れ込んできたのだ。

 

 

そして記憶が戻った状態でこの世界で生きていく内に、この世界が『ダンボール戦機』の世界である事を知った。

LBXが現実に存在してる事や、俺が知り合って来た奴等の中にさっきの檜山さん含めてダンボール戦機のキャラ達がいたのでほぼ間違い無いだろう。

なのでこの世界の大体のストーリーはダブルまで、更にアニメ限定ではあるが把握している。しかしだからといって、俺は所詮子供。

この世界のとある“知り合い達“の協力もあり本来この世界に存在しない筈の俺が今持ち歩いているバルバトスを含めた“ガンダム“やそれに関係する機体を作る事が出来た。

だがそれでも何か特別な力を神様から貰った訳でも無いので、さっきまで喫茶店で話していた檜山さん。またの名を伝説のLBXプレイヤーにして無印のラスボスである男“レックス“の野望をこの段階で防ぐ手立てなど無いし、変に下手な行動を起こして原作開始前に何か良からぬイレギュラーが発生してしまう可能性が無いとも言い切れない。

 

だけど何もしないで原作を迎えてしまうのは流石に不味い。そう思ったから俺はガンダムシリーズの機体を作った。

前世でよく見ていたからというのもあるが、知り合い達のおかげで自力でLBXのメンテナンスを始めとした技術を身に付けられたし、市販のLBXだと少しばかり物足りなさを感じたのも理由の1つではある。

…まぁその影響でこの世界には多かれ少なかれ影響を既に出してしまってはいるんですけどね…。

で、でも何もしないよりはマシな筈だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまぁ、俺の話は一旦こんなもんで良いだろう。

俺はブルーキャッツを出た俺は今、同じミソラ商店街にある模型店、“キタジマ模型店“へと足を運んだ。

 

そこには既に、約束をしていた3人が集まっており俺が店に入って来た事に気付くと呆れた様な顔をしてくる。

 

「あっ、やっと来たわね。今回は貴方が一番最後よ、ライト」

 

「悪い悪い。さっき知り合いと会ってバトルする事になってな。

思いの外遅くなっちまった」

 

「おいおい、これから俺達とバトルだろうが。大丈夫なのか?」

 

「平気だって、こんな事もあろうかとちゃんと別の機体持ってきてあるから。

しかし“バン“より遅くなっちまうとは、なんか悔しい」

 

「いやいくらなんでも酷いだろ⁉︎俺だって毎回遅れてくる訳じゃないからな!」

 

もうとっくに気付いた人も居るだろう。

そう。今回約束していたのはこのダンボール戦機の世界においての主人公と主要キャラであり、今俺が通ってる中学のクラスメイトで友人でもある3人。

“山野バン“、“青島カズヤ“、そして“川村アミ“の3人である。

 

「おっ、今日はライトが最後になっちゃったか」

 

「ほーら言ったじゃない、今回は絶対ライト君が最後だって」

 

あと店のカウンターにはこの店の店長とサキさんがいつも通り仲良さげに話しているのだが…。

 

「あの…俺そんなに予想されるほど遅刻のイメージ定着しちゃってます?」

 

「「ああ(ええ)」」

 

「酷ない?」

 

「日頃の行いでしょうが」

 

「ぐっ」

 

アミにそう言われて俺は何も反論出来なかった。

だって仕方ないじゃん。あそこでのバトル超楽しいんだから!それに今までの近くだって自作したLBXの調整だったり他にも色々と用事があったり。

だから俺は悪く無い筈なんだよ!

 

あ、因みにブルーキャッツの事は3人にはまだ内緒にしてる。

あそこならず者の集まりみたいなところだし、何よりバンはまだ自分のLBXは持ってないからな。

 

「なあ、それより早くバトルやろうぜ!」

 

「はいはい、そう慌てるなって。ほらよ、今回の機体だ」

 

パンが某イナズマサッカー少年みたいな事を言って急かしてくるので、俺はカバンの中からさっきブルーキャッツで使ったバルバトスとは別の機体を2機取り出して、片方をバンに渡す。

 

「おぉ、見たことないLBXだ。もしかして新型⁉︎」

 

「まぁそんなところだ。名前はモビルジン。まぁジンって呼んでも良いんだけどな。

ついこの間“サイバーランス社“の方で今度売りに出す為にソイツ含めて何体か造れてな。ただ正式に売りに出す前に俺の知り合いにも使ってもらって感想聞いて来いってさ。

だから、バンにはそのモニターになってもらおうって訳だ。俺もジン使うから同じ機体同士で戦った場合のデータもついでに取れるしな」

 

「マジかよ。羨ましいぜバン」

 

「それにしても前から思ってたけど、サイバーランス社の“テストプレイヤー“って発売前の商品のモニターまで出来ちゃうのね」

 

「…まぁ、会社の人的にも実際に遊ぶことの多い子供の意見とか欲しいんだろ」

 

まさか俺が考えた、というより前世で見ていた作品の機体をそのままサイバーランスに作ってもらったなんて言えるわけもないので、思わずぎこちない声になったかもしれないが、幸いバレてはないみたいだ。

 

あと、アミの発言からも分かるが俺は現在サイバーランス社のテストプレイヤーになっていて、ガンダム関連の機体も一部を除いてそこの技術者の人達に作り出して貰ったものだ。

今回のバルバトス含めた一部のやつはフルスクラッチでやってるが、最初の頃はほとんどサイバーランス社に作って貰っている。

 

因みに何故俺がサイバーランス社のテストプレイヤーなのかなどは、また今度説明する事にしよう。今はとにかく目の前のバトルである。

 

「それじゃあ今回は私とライト。バンとカズの組み合わせで良いわね」

 

「そうだな。その方がバランス的にも機体テスト的にも丁度良いや」

 

「へへっ、今回は負けねえからな。絶対勝とうぜバン!」

 

「ああ。行くぞカズ。バトル開始だ!」

 

 

 

 

 

 

 

こうして、俺はいつか来るであろうその時に備えながらも、いつものメンバーと今日もLBXバトルを開始するのであった。

 

本音を言えば、原作みたいな事件なんて起こらずにこのまま時が流れてくれれば良いとさえ思っていた。

 

 

 

 

だがこの時の俺は知る由もなかった。

その願望が余りにも甘すぎる期待である事。そして、その時は、もうすぐそこまで迫っているという事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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