世界一幸せな男   作:トトロのとろろ

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第2話

校舎の玄関前に貼り出されたクラス分けの周りは大勢の同級生で賑わっていた。一喜一憂している同級生の間を通り過ぎクラス分けを確認する。一年二組。それが俺のクラスの様だった。

 

玄関前を後にし教室を探す。クラスを探すだけなら迷う事はなかった。教室のドアを開けると中学から同じだったのか既に仲良く話してるグループもあったが自分の席に座っている人の方が多かった。黒板に貼り出してあった席順で自分の席を確認する。一番後ろの窓際の席に座っている落ち着いた雰囲気の女子の隣だった。早速自分の席へと腰を下ろす。これから一年間同じクラスになる仲間だ。まずは隣から話しかけてみることにした。

 

「初めまして。俺、真島幸人って言うんだよろしく。真島でも、幸人でも、あだ名でも、好きな様に呼んでいいよ」

 

「あ、じゃあ真島君って呼ばせてもらうね。私は義井沙里ですよろしく。できれば名前以外で呼んでもらえると嬉しいかな」

 

「嫌いなの?名前」

 

「嫌いじゃないんだけど、ちょっと私には可愛すぎる気がして…」

 

「名前負けしてるって事?そんな事ないと思うけどむしろ足りないくらいじゃない?」

 

「そ、そんなことないよ!」

 

「あははは、ごめんごめん。揶揄うつもりだったけど嘘はついてないよ。まあ嫌がる事をする気は無いし、義井って呼ばせてもらうよ」

 

「もぉ揶揄わないでよ」

 

「悪かったって。ところで義井は何処か部活とか入ったりするの?」

 

「部活?私は吹奏楽部に入部するつもりなの。もう友達も誘ってるんだ」

 

「そうなんだ。実は俺も吹部に入ろうと思ってたんだ。経験者なの?」

 

「へー真島君も吹部なんだ。私はクラリネットやってたんだ。真島君は?」

 

「俺はバリサク吹いてたんだけど高校からは別の楽器始めようかなって思ってるんだよね」

 

「そうなんだ。何するつもりなの?」

 

「とりあえず全部見て回ろうかなって思ってるけど第一候補はユーフォかな」

 

「ユーフォなんだ。私の友達初心者が3人いるんだけど低音パートに誘ったんだよ」

 

「へーじゃあすぐに会うことになりそうだな」

 

「そうだね。あっ先生きたよ」

 

「みたいだな。じゃあまた後で」

 

先生が入ってくると立っていた人も自然と席に着き賑やかだった教室が落ち着く。話し始めた先生の言葉を聞くとどうやら今から入学式の様だった。

 

入学式は中学までとあまり変わらず、あっという間に過ぎていった。教室に戻ってからも同じでこれからの事を説明されても、注意すべきところは大きく変わりはない様で先生の話も自然と聞き流していた。

 

放課後になり部活見学の時間が来た。さっさと荷物をまとめ隣を見ると義井も準備はできている様だった。

 

「義井も今から見学行くの?」

 

「うん。今日は友達と一緒に低音パートの見学に行こうかなって。真島君も低音パート見に行くの?」

 

「今日はとりあえずサックスパートを見に行こうかなって思ってる」

 

「そうなんだ。友達が低音パートの練習場所は聞いてきたって言ってたし、また明日ってことになるかな?」

 

「多分そうなるだろうな。じゃあまた明日」

 

義井と別れとりあえず各パートの練習場所を聞く為に音楽室へと向かう。…とはいえその音楽室がどこにあるのかすら知らないがまあ校内見学にはちょうどいいだろう。

 

しばらく校内を歩いているとやっと音楽室へと辿り着く。ドアを開け中に入ると1人の男子生徒しかいなかった。ドアが開いたことに気づき振り返った男子生徒と目が合う。

 

優しそうな顔立ちをしたその生徒は俺と同じくらいの身長だが、少し着古した雰囲気を感じる学ランから先輩であることを感じさせた。

 

「初めまして。入部希望の真島幸人です。よろしくお願いします‼︎」

 

「おお元気があっていいな。俺は副部長の塚本秀一。トロンボーンやってるんだよろしく」

 

「はい!早速なんですけど全部のパートを見学したいんですけど練習場所教えてもらえませんか?」

 

「全部?初心者なのか?」

 

秀一先輩は近くに置いてあったメモ帳を手に取ると、俺との会話を続けながら器用に何かを書き始めた。

 

「いえずっとバリサク吹いてたんですけど高校からは別の楽器を始めようかなって思ってます」

 

「おーバリサクやってたんだ。っとはいこれ。全部のパート回るなら見学期間全部使うだろうし紙に書いておいたから。」

 

「すいません。わざわざそこまでしていただいてありがとうございます‼︎」

 

「ははっいいんだよ別に。じゃあいってらっしゃい」

 

「はい。いってきます」

 

音楽室を後にし早速サックスパートの練習場所へと向かう道中いろんな所から楽器が鳴る音が聞こえてきた。おそらく見学に来た人に吹いてもらったり、お手本を見せたりしているのだろう。そんなことを考えながら歩くとサックスパートに着くのは早かった。サックスは人気な様でその教室は結構な賑わいだった。教室の中に入ると大勢の人が俺の姿を見た先輩が駆け寄ってきた。

 

「サックス希望か?まあとりあえず入っていけよ。俺瀧川ちかお。ちかお先輩でいいぜ」

 

「ちかお先輩ですね。俺は真島幸人ですよろしくお願いします。呼び方は好きに呼んでやってください」

 

「幸人かよろしく。経験者?」

 

「吹奏楽はやってませんでしたけどバリサクの経験なら今年で11年目になります。」

 

「じゅ、11年‼︎やばっ‼︎」

 

「いやいやたまたま楽器が近くにあって、たまたま初めて、たまたま続けてただけですよ」

 

「いや〜経験者は結構いるけどそこまで長いのは久々に聞いたな。やっぱ上手いのか…って当たり前だよな」

 

「そりゃあもう上手いですよ」

 

そう言い切ると、ちかお先輩は一瞬きょとんとした顔をした。

 

「あっはっはっ堂々と言い切るなぁ」

 

「嘘つくよりかっこよくないですか。キリッ」

 

「キリッじゃねえよ‼︎はぁ〜あ。それでまたなんで急に吹奏楽部に?」

 

「いやぁなんか新しいことしようかなって思ってたんですけど朝の演奏聞いてたら別の楽器を1から始めるのもありかなって思って」

 

「お〜演奏聞いてやってみようって思えるのはやっぱ嬉しいな。でも別の楽器って事はサックスはやらないのか?」

 

「そうなりますね。冷やかしみたいになって申し訳ないですけどせっかくなんで先輩達と仲良くなっておきたいなって思って会いに来ちゃいました」

 

「会いに来ちゃいましたってお前…男からそんなかわいく言われるのなんかちょっとやだな」

 

「ちょっとやだななんで言わないでくださいよ‼︎」

 

「悪かったって。まあ挨拶したいなら手が空いてるやつならあっちにいるから話してこいよ」

 

「はい!いってきます」

 

ほとんどの先輩方は見学者の相手をしていて忙しそうにしていたがそれも手が空いている先輩と話しているうちにどんどん入れ替わり、1日が終わる頃には先輩方全員と話す事ができた。別のパートに行く予定だと言っているとはいえ、自分より上手い人をこうも優しく受け入れてくれる先輩方には感謝しかなかった。

 

明日はどんな人達に会えるのだろう。

そんな期待を胸に帰路につく俺の足はいつもより早かった。

 




この話から原作キャラが多く登場する事になりますが、深いところまでの理解が及ばず、解釈違いを起こす可能性が有ります。その点につきましては理解及ばず申し訳ありませんがご了承宜しくお願い致します。
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