グロキシニア転生者が行くHUNTER×HUNTER 作:霊槍って、良いよね
天高くそびえ立つ門、それが今、俺たちの目の前にあった。
ここがゾルディック家の門らしい。
そんな門の前では、おじさんがせっせと骨を片付けていた。
「よう、おっさん。今日も掃除ご苦労さん」
「こ、これはキルア坊ちゃん!おかえりなさいませ!」
骨を片付けていたおじさんはビックリしたように勢いよく顔を上げた。
掃除……ねえ。
「掃除って、それ…」
ゴンが骨を指差すと、おじさんは困ったような顔をしながら、
「ええと……」
「ああ、こいつらはオレの友達」
キルアのその言葉を聞くと一瞬驚愕ながらも笑顔になり、
「おお、キルア坊ちゃんにも友達が!!!それは良いことですね……しかし、奥様やイルミ様がなんというか…」
「んなことはどーでもいいんだよ。んで、これまた侵入者だろ?」
「侵入者?」
「そ。オレの家って色々恨み買ってるし、そうじゃなくても賞金目当てとかで頻繁にこういうのが来るんだよ。そんでミケに始末されんの」
「ミケっつうと…ペットか?」
「みたいなもんだな。でもまあ、襲うのはこの小さい方から入った奴だけ。こっちの門から入れば襲って来ねえから、問題ねえよ」
なるほど……確か………試練……いや、試しな門だったっけ?そんなような名前だった気がするな。
鍵も何もついてない純粋に重いだけの門。
「鍵も付いてねえから、力さえありゃ誰でも開けるぜ」
キルアのその言葉にレオリオは
「鍵付いてねえのか?そりゃ不用過ぎねえか?」
そう言いながら門を開こうとした。
しかし、びくともしない。
レオリオがどれだけ踏ん張っても1ミリも動かない。
「おい!鍵ついてねえとか嘘だろ!つか壁だろこれ!!!」
「重いんですよ。1の扉は片方だけで2トンあります」
「1の扉……そう言えば7まで数字が刻まれてるっスね」
「数字が1つ増えるごとに重さは倍になる。ちなみにオレは3まで開けるぜ」
やっぱりゾルディック家の有望株だけあって、相当筋力あるなキルア。
「ま、ここ開けば良いだけな分、優しいっスね」
とりあえず布に包んだイルミ像を片腕で抱えながら、門を開こうとすると、不思議そうにおじさんが見てきた。
「この布に包まれてるのが気になるんスか?」
そう聞くと、
「ああ、これはな」
キルアがニヤニヤしながら顔の部分の布を取り払った。
「こ、これは…!よく出来た精巧な石像ですね。イルミ様へのプレゼントですか?」
「ちげーよ。これはイルミ本人だぜ。念とかいうやつで石にされてやんの」
「なっ!それは一大事じゃないですか!!!すぐに上に連絡して除念師を手配しなければ!!!」
そう言いながら電話するために守衛室に向かおうとするおじさんをキルアが止めた。
「良いよ。別に。つうかイルミをこうしたのこいつだし」
そう言いながら俺を指差す。
「なっ!?!?!?」
「大丈夫っスよ。今日はこれの返却に来ただけっス。あたしも襲われたから対処しただけだし、ちゃんと解除するつもりっスから」
「い、いや、しかしそれでも連絡は入れておかなければ」
そう言いながらおじさんは守衛室に入ってしまった。
まあ良いか。
「それじゃ、あたしたちはもう入っておくっスねー」
そう声をかけ、イルミを抱えたまま右の扉を7まで一気に開いた。
「マジかよ」
キルアの呟きを一旦聞き流し、
「クラピカー、そんなとこでぶっ倒れてないで、入るっスよ!もう加重は解除してるんだし、立ち上がるっス」
「ハァ……ハァ……今……行く…」
流石にゾルディック家の中で加重もしてたら危険だからとっくに加重は解除していたのだが、やはり疲労は溜まっているらしい。
中に入ると、大きな犬が姿を現した。
クラピカ、ゴン、レオリオの3人は固まって動けずにいた。
「へえ、よく訓練された犬っスね。この子がミケっスか」
「そ、こいつがミケだ。ゴンたちも安心しろよ。試しの門から入って来たから、こいつはオレらを襲わねえ」
「………」
今まで見てきた動物と違うのか、ゴンは喋ることもできずにミケに視線を固定していた。
少しして、そんなミケから離れるように山を目指し、樹海を進み始めた。
それにしても、広いな。
これが全部庭か。
そしてしばらく歩いたその時、執事らしき男が1人、俺たちの前に現れた。
「ゴトー?」
キルアにゴトーと呼ばれた男は、一度お辞儀をし、
「おかえりなさいませ、キルア様、そしてご友人の方々」
俺に対する害意をめちゃくちゃ感じるな。
でも、ゴンたちに対してはそれがなさそう。
「ご友人の方々もこの先へお通りください。旦那様がお会いになるそうです。しかし、そこの長髪の者は例外です。貴様はイルミ様だけ引き渡し、今すぐ帰れ」
さもなければ殺すとでも言いたがな殺気が飛んでくる。
どうやら、守衛のおじさんが連絡した後、何か命令でも受けたみたいだな。
うーん、どうしたものか。
「待てよ、こいつは」
キルアが止めようとするが、どうやらゴトーは聞く耳を持っていないらしい。
「奥様からのご命令です。その者をここから先に通すことは出来ません。これでも譲歩しているのです。ここで殺したって良いのですよ?」
全部で20人。
それが、この場にいる執事の数だ。
ゴトー以外は絶を使って木の裏とかに隠れているが、俺なら感知可能。
おそらくゴトーは1人で俺に勝てるとは思っていないだろう。
そもそもイルミを倒してるわけだからな。
だからこそ、俺がここで帰らなければ隠れている執事全員で俺を相手にするって感じかな。
「じゃ、これはキルアに持たせるっス」
とりあえずイルミをキルアに持たせる。
受け取ったキルアは嫌そうな顔をしていたけど、まあ良いや。
「先に行ってて良いっスよ。後から追いつくから」
「ほう」
ゴトーの殺気が強まったな。
「あたしは大丈夫っス」
そう言うと、ゴンはしぶしぶといった感じで一歩前に踏み出し、歩き始めた。
それに続くようにみんなも先に進む。
みんなが見えないほど遠くに行ったあたりで、ゴトーの殺気が更に強まった。
「さて、それじゃ……あたしも通らせてもらうっスよ」
「バカが!奥様のせめてもの温情を無碍にしやがって!」
瞬間、ゴトーから大量のコインが俺に殺到した。
その全てが銃弾以上の威力と速度。
でもまあ……止まって見える。
全てのコインを素手で掴み取り、そしてその場に捨てた。
「温情なんてはなからないじゃないっスか。君が受けた命令は半殺しにした上での拘束命令。あたしを帰して良いなんて言われてないでしょ?」
「……………」
俺がこの場を動かなかったことについて、キルアたちが見えなくなるまでゴトーが口を出さなかったのもそのためだろう。
そうすれば、その後何をしても無事に帰したという嘘をつけるし。
しかも敷地内の方が俺を御しやすいだろうしな。
罠とかもありそうだし。
だから、俺があの場で帰るよりもその場に残っている方が都合が良かった。
殺害命令じゃないのは死後の念を警戒してのことだろう。
イルミがどうなるか分からないから。
「ちなみに、君以外の隠れていた執事は全員無力化済みっス」
木のそばに隠れるなんて、俺からしたら捕まえてくださいって言ってるようなものだからな。
その木を操って全員拘束した。
一向に他の執事たちが攻撃を開始しないことから俺の言葉が事実だと理解したのか、
「それも対策済みか……ハァ……通れ」
ゴトーはため息を吐き、道を開けた。
「良いんスか?」
「奥様からは先ほど貴様が言っていた命令が出ているが、もし仮にそれが不可能であるようなら自分の目で見極めるから通せと旦那様から命令されている」
「それは有難いっスね。それじゃ、他の執事たちの拘束も解いてあげるっス」
とりあえず、全員拘束を解いた。
「それは流石に不用心だろ」
ゴトーはそう言い、殺気を出した…けれどその殺気は一瞬で霧散した。
俺の練によってかき消えた。
「不用心じゃないっスよ。君たちならたとえ自由にしたとしてもいつでも対処できるっスから。それじゃ」
「化け物……だな」
後ろから聞こえてくるその小さな小さな呟きを聞き流しつつ、俺はみんなの後を追った。