グロキシニア転生者が行くHUNTER×HUNTER 作:霊槍って、良いよね
ゴンたちを追いかけ、歩くこと数分、ゾルディック家本邸の扉の前で俺は4人と合流した。
走ればすぐに追いつけたけど、そこまで急いではいなかったしな。
「あっ!グロキシニア!」
俺に気づいたゴンが手をブンブンと振ってくる。
「お待たせっス」
「よく来れたな…お前」
キルアは呆れ顔だ。
まあ、キルアならゴトーの実力も、そしてゴトー以外の執事が隠れていたことも分かっていただろうからな。
絶を使っていたから、気配には気付いていなくとも、ゾルディック家の長男を下した者をゴトー1人で相手させることはないだろうと言う予想程度なら出来ていたはずだ。
「快く通してくれたっスよ」
「ほんとかー?」
疑り深くレオリオが顔を覗き込んでくるがとりあえず良いだろう。
「それにしても、流石にデカイ屋敷っスね」
と、丁度その時、俺たち背後に気配が現れた。
絶を使った上で高速で俺たちの背後に回ったのだ。
この世界の人間の中では明らかに上澄みの存在だ。
絶を解くと同時に、即座に気付いたキルアが振り向いた。
「親父……」
ふむ、どうりで気配が似てると思ったらキルアの父親か。
「おかえり、キル」
無表情だけど………なんか普通に家族を愛してるタイプだなこの人。
暗殺者家族の長だからもっと血も涙もないタイプかと思ってたけど、予想は外れだ。
「た…ただいま」
「家の前で話し込むのは友達に悪いだろう」
そう言って、キルアの手からイルミ石像を取り、扉を開ける。
それにしても…………流石は世界最高峰の暗殺者一家……家の下に暗黒大陸から来た存在を隠してるとはね。
この気配は湖の周辺に生息しているガス生命体の寄生体だろう。
しかも、宿主と共存してるタイプだ。
あのガス生命体は常に依存相手を探している。
自らのお願いを聞いてもらった上で対価として相手の願いを何でも叶えるが、これは依存相手の選別である。
ガス生命体は自らの依存相手として定めた相手の願いは何でも無償で叶える。
思考を読んだ感じ、依存相手はキルアだな。
まあ、依存されることで悪影響とかは特にないし、大丈夫だろう。
せいぜいが依存相手を自分に依存させようとしてくるだけだ。
そこまで害はない。
しかし、どうやらキルアはこのガス生命体のことも、宿主のことも忘れているようだ。
頭に刺さった針の影響だろうな。
そうこうしている内に、一つの部屋の前に着き、キルアの父はその扉を開け、中にあった大きなソファに腰をかけた。
「色々話す前にさ……親父に言っておかなきゃいけないことがあるんだ」
「何だ?」
「オレ、暗殺者辞める。友達と、普通に生きる!」
キルアの宣言を前に、キルアの父は目を細め、
「そうか……友と、そう言ったな」
そう言い、俺たちの方を見た。
次の瞬間、
「お前たちに、キルの友達たる資格があるのか?」
常人ならば即座に気絶か、ショック死してしまうだろうその殺気を放ってきた。
その殺気を前に、ゴンが苦しそうにしながらも口を開いた。
「友達に!!!資格なんていらない!!!」
それに続いて、レオリオとクラピカも口を開く。
「同感だぜ友達に資格なんていらねえ!」
「ああ、その通りだ」
3人のその言葉を聞くと、殺気がおさまった。
「良い友達を持ったな。キル」
うーん、やっぱりこの人家族思いだよな。
「さて、まずはこのイルミの状態だが……やったのはお前だな。俺の殺気を毛ほども脅威に感じていなかったお前のことだ」
「そうっスね。それをやったのはあたしっス」
「すぐに解けるのか?」
「もちろんっスよ。何なら、今すぐにでも」
指を鳴らすと、すぐさまイルミの石化が解けた。
指を鳴らしたのは単純にその方が雰囲気出るなと思っただけで、特に効果はない。
俺の意思だけで解けるからな。
石化が解けたイルミは、すぐさま俺と距離を取ると共に現状を把握するため辺りを見まわし、ここがゾルディック家だと気付いたのか、不思議そうな顔をした。
まあ、俺がわざわざ持っていくとは思っていなかったのかな。
「肩の治療をしてこい。その後は修行のやり直しだ」
父親にそう言われると、イルミ渋々ながら部屋から出て行った。
肩をぐっさりと刺したからな。
それなりに大きな穴が開いている。
「さて、1つ質問だ。お前は何者だ?」
さっきの殺気とは比べられないほどの強大な殺気が放たれた。
対象は俺のみに集中しているようで、ゴンたちは体を強張らせるだけで済んでいる。
殺気の対象指定か、器用なことするな。
「うーん、そうっスね……強いて言うなら、この家の地下にいる存在と同じ場所……そのさらに奥から来た者っス」
本当は別の世界から来たのだけど、まあ今はこっちで良いだろう。
説明しやすいのはこっちだしな。
別に隠すことでもないし。
仮にバレてもどうとでもなる。
俺の答えにキルアの父は驚愕の表情をわずかに浮かべた。
内心ではとても驚いているようだが、もともと無表情で表情筋を動かさないから表情筋が固まってるんだろうな。
「なるほどな。お前ほどの存在だ。感知されるのも納得ではある」
ため息と共にそうこぼしている。
どうやらこの人は、他者の実力を見抜く目が良いらしい。
心を読んで分かったが、俺の強さは分からなかったらしい。
故に自分の理解が及ばないほどに強いと判断しているのだ。
「この家の地下?何かいたっけ?」
キルアが不思議そうに頭を傾げている。
忘れてるようだからな。
「お前が知る必要はないことだ。暗殺者を辞めるなら尚更な」
「!?じゃあ、認めてくれるのか?暗殺者を辞めること」
「お前の人生はお前のものだ。好きにしろ」
「何だ、随分話の分かる父親じゃねえか。良かったな」
レオリオがそう声をかけると、キルアは少しだけ笑った。
「そうだ、聞きたいことがあったんだ」
「何だ?」
「念能力について……兄貴は知ってたのに、俺は知らなかった。何で教えてくれなかったんだよ」
「念能力…か。キルに教えなかったのは、まだキルの精神が未熟だったからだ。幼い時に念能力を覚えれば、自分に合わない発を作ってしまいかねないから」
「確かに、昔のキルアならお菓子具現化する発とか作りそう」
「確かになー」
ゴンの純粋な言葉に、レオリオがからかうように続けた。
「流石にそんなことは……ないぞ?」
「言い淀んでんじゃねえか!」
「それより親父、今の俺ならどうだよ」
「今のキルなら、念の修行をしても良いだろう。ハンターになったのなら尚更。と言うより、今から念の修行をつけるぞ?」
「え?」
「元より、ハンター試験に合格したら念の修行を始めるつもりだった。ハンターになれば、おのずと念の修行は必要になる。どこぞの念能力者に教わって、下手な知識を身につけるよりも、家で教えた方が良いだろう」
「暗殺者は辞めるけど…良いの?」
「暗殺者になるならない以前に、お前は俺の子だ。そして、キルの友達となるからにはお前たちにも念の修行を受けてもらう」
仮に友達が弱くて、キルアに対して人質に取られたらたまったものではないってことだな。
「念の実力が一定以上になるまで、この敷地から出られると思うな」
「マジかよ」
「よろしくお願いします!」
落ち込むレオリオに、やる気を出すゴンという対称的な2人が出来上がってしまった。
「私はこのグロキシニアに師事することになっているのだが、どうなるだろうか?」
「そこの化け物に教わるというのなら、こちらが教えられることはない。すぐにでも敷地から出て行って構わない」
化け物って……酷い言い草だな。
「ふむ、ゾルディック家の家長から見ても化け物だというのなら、このままグロキシニアに学ぶべきだな。よろしく頼む」
「任せろっス」
その後は、ハンター試験はどうだったとか、キルアの近況を話したりして、その場はお開きとなった。
ゴンたち3人はそのまま修行へ。
俺とクラピカはゾルディック家を去り、修行の開始だ。
さて、踏ん張ってくれよクラピカ。
相当キツい修行になるからな。
というわけで、ゴン、キルア、レオリオはゾルディック家での修行ルートへ!クラピカはグロキシニアとの修行で一旦お別れです。
ちなみにシルバは絶対に家族思いだと思ってます。
そして、キキョウが登場しなかったのはゼノが会うのを止めてるからです。ゼノは長年の経験から遠目でグロキシニアを見た時にあいつはヤバい。怒らせたらゾルディック家が滅ぶと確信したので、怒らせる可能性があるキキョウを止めていました。ゴトーへの命令は止められてなかったけど。
アイの依存相手の選別に関しては独自解釈です。
実際はどうか分かりませんが、今作ではこう言うことにします。